判決文抜粋
「(警察署の敷地と道路とを隔てる高さ約2.4m幅約22cmのコンクリート製の塀は)刑法130条にいう「建造物」の一部を構成するものとして,建造物侵入罪の客体に当たると解するのが相当」
のぞきはその犯行態様により住居侵入等罪に問われます。
ここでは、住居侵入等罪の未遂と既遂の分かれ目について判示された裁判例を解説します。
また住居侵入で有罪となった後、職場を解雇された原告が解雇の取り消しを求めたという民事裁判についても紹介します。
「(警察署の敷地と道路とを隔てる高さ約2.4m幅約22cmのコンクリート製の塀は)刑法130条にいう「建造物」の一部を構成するものとして,建造物侵入罪の客体に当たると解するのが相当」
住居侵入等罪で未遂となるのは、侵入しようとしたものの身体の全部を住居や建造物、囲繞地(庭などの敷地)に入れられなかった場合とされています。
この裁判例は囲繞地を隔てる塀そのものについても建造物に含まれると判示し、警察署の塀の上に立った被告人について住居侵入等罪の既遂罪の成立を認めました。
「建物に入らなければ住居侵入等罪にならない」などということはないのです。
「(被告人の住居侵入等罪の行為は)私生活の範囲内で行なわれたものであること、(略:刑罰も)罰金二、五〇〇円の程度に止まつたこと、(略:被告人の仕事上の立場も)指導的なものでないことなど原判示の諸事情を勘案すれば、(略)会社の体面を著しく汚したとまで評価するのは、当たらない」
会社が従業員に対して規則を守るよう強調していた時期に住居侵入罪で有罪となり「社内規定の不正不義の行為を犯し、会社の体面を著しく汚した者」という懲戒解雇事由に照らして解雇されたという事例です。
判決で、この懲戒解雇は不当と判断されました。
「私生活上の犯罪」「刑罰が罰金刑にとどまる」「指導的な立場にない」などといった場合、解雇が不当だと認められる可能性は高いようです。
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