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窃盗・万引きの未遂も逮捕される?刑罰の重さは?未遂の処分は軽くなる?

窃盗未遂でも逮捕?
  • 窃盗(万引きを含む。)の未遂とは?
  • 窃盗未遂の刑罰は?
  • 窃盗未遂の処分を軽くする方法は?

窃盗(万引きを含む。)は、未遂罪(みすいはん)も逮捕・処罰される可能性があります。

未遂犯とは、犯罪に着手したものの、最後まで遂げなかった者のことです(刑法43条本文)。

物色を始めれば「着手」が認められるので、他人の物を盗めなかったとしても、窃盗の未遂犯として罰せられる可能性があります。

窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役」または「50万円以下の罰金」ですが、未遂は刑罰が軽くなる可能性もあります。

この記事では、窃盗(万引きを含む。)未遂の逮捕の不安がある方、そのご家族に向けて、未遂犯の刑罰、処分を軽くための対処方法などを弁護士が解説します。

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窃盗罪には未遂犯がある

窃盗罪には未遂犯があり、盗みに失敗しても処罰される可能性があります。

以下のような為は、窃盗未遂で逮捕される可能性があります。

  • 万引き目的で、商品をカバンに入れようとした
  • 下着泥棒をするため、ベランダを物色
  • 車両荒らしや倉庫窃盗の目的で、侵入
  • スリの目的で、ポケットの外側を触る

以下では、もっと詳しく、窃盗罪と未遂犯の意味について確認しましょう。

窃盗罪とは

窃盗罪とは、他人の財物を「窃取」する犯罪です(刑法235条)。

「窃取」とは、物を占有する人の相手の意思に反して、他人に占有を移転させることを意味し、平たくいえば「盗みとる」ということです。

窃盗罪の典型例としては、万引きやひったくり、スリなどがあります。

窃盗罪になる行為

  • 万引き
  • ひったくり
  • スリ
  • 下着泥棒
  • 空き巣
  • 車上荒らし
  • 車両窃盗
  • 倉庫窃盗(倉庫に侵入して保管物を盗む)

こういった行為はすべて窃盗罪として処罰対象になります。

窃盗罪の刑罰は「1ヶ月以上の10年以下の懲役」または「1万円以上50万円以下の罰金」です(刑法235条)。

窃盗未遂とは

窃盗未遂とは、窃盗罪の未遂犯のことです。

窃盗罪には「未遂犯」を処罰する規定があります(刑法243条)。

未遂犯とは「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者」のことをいいます(刑法43条)。

構成要件該当行為に密接な行為を開始した時点で、犯罪の既遂に至る客観的な危険性があるときには、実行の着手があったと認められます。

窃盗罪の実行の着手は、「窃取」に密接な行為を開始した時点で、盗みが現実味を帯びたとき、認められます。

窃盗の実行の着手時期

実行の着手時期
空き巣(侵入盗)物色を開始した時点
スリ服の外側から触った時点(あたり行為の時点)
倉庫窃盗倉庫に侵入した時点
車両荒らし車両に入った時点
キャッシュカードのすり替え詐欺かけ子が電話で嘘をついた後、受け子が被害者宅付近まで行った時点*

* 最高裁令和4年2月14日第三小法廷決定

そして、これらの行為におよんだものの、最終的に、物を「盗みとる」ことができなければ、窃盗の未遂犯になります。

逆に、窃盗に成功した場合は「既遂罪」になります。未遂罪とあわせておぼえておきましょう。

次の項目では、窃盗既遂と未遂の違いについて、もっと詳しく見ていきます。

窃盗既遂と窃盗未遂の違い、分岐点

窃盗の既遂と未遂はどの時点で区別されるのでしょうか?以下で段階的に分析してみましょう。

未遂と既遂の分岐点

そもそも犯罪行為に着手していない場合

そもそも犯罪の実行に着手していない段階では、既遂罪はもちろん未遂罪も成立しません。

どの時点で「犯罪の実行に着手した」と言えるかについては、窃盗の現実的な危険性が発生したかどうかで判断されます。一般的には物色行為を始めた時点と判断されることが多いです。

たとえば、以下のような場合には窃盗未遂罪にもならない可能性があります。

  • コンビニで商品を盗もうと思ったが、実際には商品を手に取らなかった
  • 窃盗目的で住居に忍び込んだが金品を物色する前に見つかって通報された(住居侵入罪が成立する可能性はあります)

着手したが途中でやめた場合

犯罪行為に着手してしまったけれども「途中で自分の意思でやめた場合」には、窃盗未遂罪になります。

犯罪行為にいったん着手してしまったら、その段階で何らかの罪が成立してしまうのはやむを得ません。ただ途中でやめているので「未遂」です。

このように自分の意思で犯罪を中止する場合を、法律的に「中止犯」といいます(刑法43条但書)。たとえば以下のような場合には窃盗罪の中止犯が成立すると考えてください。

  • 下着泥棒を目論んで下着を手に取ったけれど「やっぱりやめよう」と思って元の場所に戻した
  • 夜中に他人の家に忍び込んでたんすの引き出しを開けて物を取ろうとしたが、やっぱりやめて何も取らずに帰った(住居侵入罪は既遂になる可能性があります)

着手したが外部的要因で失敗した場合

犯罪行為に着手したけれど、外部的な要因によって失敗した場合にも「未遂罪」になります。

  • コンビニで万引きしようとして商品を手に取りカバンに入れようとしたら、発見されて現行犯逮捕された
  • (金品があることが確実な)倉庫の鍵を壊して侵入したが、見つかって通報された

このような場合「窃盗未遂罪」として処罰されます。

着手して目的を遂げた場合は既遂罪

犯罪行為に着手し、実際に目的を達成したら既遂罪です。

たとえば以下のような場合、窃盗既遂罪が成立すると考えましょう。

  • コンビニで商品を万引きしようとして商品を手に取りカバンに入れて店外へ持ち出した
  • 下着泥棒をしようとして下着をとって持ち帰った

窃盗既遂と窃盗未遂の量刑の違いは?

窃盗が既遂になった場合と未遂になった場合とでは、量刑はどの程度異なるのでしょうか?

実はこの場合、「中止犯」が成立するかどうかによって変わってきます。

中止犯が成立する場合

中止犯とは「自分の意思によって犯罪行為を途中でやめること」。自分の意思で犯罪をやめたら、被疑者(容疑者)に対する情状は良くなるのが当然です。

実際刑法においても「中止犯が成立したら、刑罰が減軽あるいは免除される」と規定されています(刑法43条但書)。

つまり中止犯が成立したら、必ず刑罰を減軽あるいは免除してもらえる、ということです。

  • 減軽…刑罰を軽くしてもらえること。懲役刑や禁固刑の場合、長期と短期が2分の1になります。罰金刑の場合、上限と下限の金額が2分の1になります。
  • 免除…刑罰を免除してもらえること。

窃盗罪が減軽されると具体的にどのくらいの刑罰になるのか?

窃盗罪のもともとの刑罰は10年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。減軽がなければ原則として懲役刑は1月以上、罰金刑は1万円以上です。

これが「減軽」されることで、上限と下限の金額ともに2分の1になり「15日以上5年以下の懲役」または「5千円以上25万円以下の罰金刑」となります。

中止犯が成立するなら積極的に主張すべき

窃盗行為に及んでしまっても、自分の意思でやめたら必ず刑罰を減免してもらえるので、もしもそういった事情があるなら逮捕後などの刑事手続において積極的に主張しましょう。

中止犯が成立しない場合

実は窃盗未遂においても中止犯が成立しないケースが多々あります。たとえば下着泥棒をしたけれど見つかって現行犯逮捕された場合などです。

こういった場合には「任意的に刑罰が減軽」されます(刑法43条本文)。

任意的、というのは裁判所の裁量によって減軽してもらえる可能性がある、という意味です。

必ず減軽してもらえるわけではありませんが、軽くしてもらえる可能性はあります。

また中止犯の場合と異なり「刑の免除」はされません。

犯罪行為をしてしまったら、外部的要因で失敗する前に自ら思いとどまった方が刑罰を軽くしてもらえます。万一魔が差してしまったときには、このことを思い出して犯罪を思いとどまってください。

窃盗未遂の刑罰

中止未遂障害未遂
刑罰必ず減軽・免除減軽の場合あり
具体例自分の意思で思いとどまる犯行完了前に逮捕される

窃盗未遂の量刑の相場

窃盗未遂罪で逮捕されたとき、実際にはどの程度の刑罰を適用されるのでしょうか?

量刑は、以下のような要素によって大きく異なります。

犯罪の内容

犯罪が重大・悪質であれば量刑は重くなります。たとえばコンビニで100円のパンをとろうとしただけなら不起訴になる可能性が極めて高いでしょう。一方で1,000万円の価値のある物品を盗もうとした場合、数人の共犯で計画的に窃盗行為を実行した場合などには懲役刑が選択される可能性が高くなります。

「中止犯」が成立するか

中止犯が成立すると、必要的に刑罰が減免されるので刑罰は軽くなります。少々高い物品をとろうとした場合でも、執行猶予をつけてもらえる可能性が高くなるでしょう。

被疑者の反省、初犯である

被疑者がしっかり反省していて初犯であれば、刑罰を軽くしてもらえる可能性が高くなります。

同種前科の有無

窃盗罪や詐欺罪などの同種前科があると情状が悪くなって刑罰が重くなる可能性が高まると考えましょう。

被害感情

被害者の感情も重視されます。「厳しく処罰してほしい」と希望されると、軽い窃盗未遂罪でも起訴されて処罰される可能性が高まると考えてください。

窃盗未遂で逮捕された場合の手続きの流れ

逮捕の流れ

窃盗未遂で逮捕されると、以下のような流れで手続きが進みます。

1.検察官のもとへ送致される

逮捕されたら、48時間以内に検察官のもとへ送られます。

2.勾留されて取り調べを受ける

検察官が「引き続いての身柄拘束が必要」と判断すると、送検後24時間以内に勾留請求されて勾留決定が下ります。すると最大20日間、留置場にて身柄拘束され取り調べを受けなければなりません。

勾留されない場合には被疑者在宅のまま捜査が進められます。

3.起訴か不起訴か決定される

勾留期間が満期になると検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。

4.刑事裁判になる

起訴されたら刑事裁判になります。不起訴になったら刑事手続が終了し、身柄拘束を受けていた場合には釈放されます。

5.判決が下される

刑事裁判になった場合、略式起訴であれば罰金を払えば手続きが完了に。公判請求された場合、何度か期日が開廷され最終的に判決が下されて刑罰が言い渡されます。

窃盗未遂で処分を軽くする方法

窃盗未遂罪で逮捕された場合、処分をなるべく軽くするには以下のように対応してください。

被害者への謝罪、被害弁償

まずは被害者への謝罪が重要です。被害が発生していなくても誠意をもって対応してください。もしも一部被害が発生していたら確実に弁償を行い、場合によっては謝罪の気持ちとして慰謝料も払うとよいでしょう。

被害者から「嘆願書」を出してもらえたら不起訴などの軽い処分を出してもらえる可能性が高くなります。

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窃盗で示談をする方法とメリット|示談金相場のリアルデータ

反省の態度を見せる

しっかり反省することも重要です。警察や検察官に対して今の反省している心情や、再犯には及ばないという決意を示しましょう。書面で提出する方法も有効です。

未遂減軽を主張する

未遂犯ですので、減軽(減免)を主張しましょう。

特に中止犯が成立する場合には、あいまいにされないよう注意が必要です。

未遂減軽(減免)が重要なのは、刑事裁判になった後だけではありません。

起訴前であっても中止犯が成立するようなケースでは不起訴にしてもらえる可能性も高くなります。刑事弁護人を通じて検察官へ中止犯が成立する情状の良いケースであることをしっかり主張しましょう。

当事務所では未遂犯も含めて刑事弁護に積極的に取り組んでいます。窃盗未遂罪で逮捕されてお悩みの方がおられましたら、お早めにご相談ください。

窃盗未遂についてよくある質問

Q.万引き未遂は前科になりますか?

起訴されて有罪判決が確定した場合は、万引き未遂でも前科になります。

ただし、初犯で被害額が少額の場合は、不起訴になる(起訴されない)ことは多いです。

Q.未成年の窃盗未遂はどうなるの?

20歳未満の未成年者が、窃盗未遂事件を起こした場合、原則として、家庭裁判所に送致され、保護処分等の処分を受けることになります。

Q.窃盗未遂でも示談は必要ですか?

窃盗未遂で、何も物を盗んでいない場合でも、示談交渉は必要でしょう。

示談が成立すれば、処分が軽くなる可能性が高まります。

未遂犯の示談金については、ケースバイケースです。

窃盗目的で侵入した際に壊してしまった物があれば、その弁償に足りる金額を準備したり、迷惑料としておおよそ20万円~30万円程度用意することもあります。

Q.万引きした商品は棚に戻せば未遂ですか?

一度、万引きした商品を棚に戻しても、未遂犯にはならず、既遂犯になります。

自分の支配下に、物の占有を移転した時点で、窃盗は既遂になります。

アトムの解決事例(窃盗・万引き)

こちらでは、過去にアトム法律事務所で取り扱った窃盗の未遂事件について、プライバシーに配慮したかたちで一部ご紹介します。

窃盗未遂事件(不起訴処分)

同僚女性のカバンから家の鍵を盗んで女性宅に侵入し、室内にカメラを設置したとされたケース。窃盗目的があったものとして住居侵入および窃盗未遂で逮捕された。


弁護活動の成果

被害者と住居侵入、盗撮、窃盗未遂について宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴

窃盗未遂事件(略式罰金20万円)

転売目的で、店舗でプラモデルを盗もうとしたところ、店員に見つかり、窃盗未遂で逮捕された。


弁護活動の成果

準抗告が認められ、早期釈放を実現。
証拠上、立件される可能性の高い余罪も含め、被害店舗に謝罪と賠償を尽くし、合計3件の示談を成立させた。結果として、略式罰金となった。

示談の有無

あり

最終処分

略式罰金20万円

これらの事案のほかにも、数多くの解決実績がございます。

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窃盗・万引きの未遂事件、不安は弁護士に相談

ご依頼者様からのお手紙・口コミ評判

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〇〇〇〇事件でお悩みの方は、お早目にアトム法律事務所までご相談ください。

最後にひとこと

実はすべての犯罪について、未遂犯が処罰されるわけではありません。犯罪の種類により、未遂犯が処罰されるものと処罰されないものがあります。

窃盗罪の場合、未遂犯も処罰対象とされているので(刑法243条)、盗みに失敗しても「窃盗未遂罪」が成立する可能性があると考えましょう。

たとえばコンビニの商品を手にとって自分のカバンに入れようとしたとき、見つかって失敗したとしても「窃盗未遂罪」で逮捕される可能性があります。

未遂が「中止犯」に該当すれば、法定刑は軽くなります。

未遂が「中止犯」に該当しない場合は、既遂犯と同じ重さの刑罰になる可能性もあります。

窃盗の未遂犯で逮捕・処罰の不安がある方は、今すぐアトム法律事務所までご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了