2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
- 窃盗(万引きを含む)の未遂とは?
- 窃盗未遂の刑罰は?
- 窃盗未遂の処分を軽くする方法は?
窃盗(万引きを含む)は、未遂であっても、未遂犯として逮捕・処罰される可能性があります。
未遂犯とは、犯罪に着手したものの、最後まで遂げなかった者のことです(刑法43条本文)。
物色を始めれば「着手」が認められるので、他人の物を盗めなかったとしても、窃盗の未遂犯として罰せられる可能性があります。
窃盗罪の刑罰は「10年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」ですが、未遂は刑罰が軽くなる可能性もあります。
この記事では、窃盗(万引きを含む)未遂の逮捕の不安がある方、そのご家族に向けて、未遂犯の刑罰、処分を軽くための対処方法などを弁護士が解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
窃盗・万引きの未遂犯とは?逮捕される可能性はある?
窃盗罪とは
窃盗罪とは、他人の財物を「窃取」する犯罪です(刑法235条)。
「窃取」とは、物を占有する人の相手の意思に反して、他人に占有を移転させることを意味し、平たくいえば「盗みとる」ということです。
窃盗罪の典型例としては、万引きやひったくり、スリなどがあります。
窃盗罪になる行為例
- 万引き
- ひったくり
- スリ
- 下着泥棒
- 空き巣
- 車上荒らし
- 車両窃盗
- 倉庫窃盗(倉庫に侵入して保管物を盗む)
こういった行為はすべて窃盗罪として処罰対象になります。
窃盗罪の刑罰は「1か月以上10年以下の拘禁刑」または「1万円以上50万円以下の罰金」です(刑法235条)。
窃盗未遂とは
窃盗未遂とは、窃盗罪の未遂犯のことです。
窃盗罪には「未遂犯」を処罰する規定があります(刑法243条)。
未遂犯とは「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者」のことをいいます(刑法43条)。
構成要件該当行為に、密接な行為を開始した時点で、犯罪の既遂に至る客観的な危険性があるときには、実行の着手があったと認められます。
窃盗罪の実行の着手は、「窃取」に密接な行為を開始した時点で、盗みが現実味を帯びたとき、認められます。
窃盗の実行の着手時期
| 実行の着手時期 | |
|---|---|
| 空き巣(侵入盗) | 物色を開始した時点 |
| スリ | 服の外側から触った時点(あたり行為の時点) |
| 倉庫窃盗 | 倉庫に侵入した時点 |
| 車両荒らし | 車両に入った時点 |
| キャッシュカードのすり替え詐欺 | かけ子が電話で嘘をついた後、受け子が被害者宅付近まで行った時点* |
*最高裁令和4年2月14日第三小法廷決定
そして、これらの行為におよんだものの、最終的に、「盗みとる」ことができなければ、窃盗の未遂犯になります。
逆に、窃盗に成功した場合は「既遂罪」になります。未遂罪とあわせて覚えておきましょう。
窃盗未遂でも逮捕される?
窃盗・万引きは、未遂であっても逮捕される可能性は十分にあります。逮捕される可能性が高いのは、犯罪の実行に着手した後に発覚したケースです。
具体的には、以下のような状況が「窃盗未遂」として逮捕の対象になり得ます。
- 万引き目的で商品をカバンに入れようとしたところを店員に発見された
- 下着泥棒をするため、ベランダを物色しているところを通報された
- 自転車を盗む目的で、鍵を壊そうとしているところを通報された
- スリの目的で、ポケットの外側を触ったところを取り押さえられた
一方、逮捕される可能性が低い場合もあります。そもそも犯罪の実行に着手していない段階、つまり「盗もうと思ったが、具体的な行動には移さなかった」というケースでは、未遂罪自体が成立しません。
また、もし逮捕されたとしても、初犯かつ犯行態様が悪質と言えない場合や実質的な被害が発生していない場合、逮捕されてもその後の処分で不起訴になるケースも多くあります。
窃盗・万引きにおける既遂と未遂の違い、分岐点
窃盗・万引きの既遂と未遂はどの時点で区別されるのでしょうか。以下で段階的に分析してみましょう。

犯罪行為に着手していない場合=未遂も成立しない
そもそも犯罪の実行に着手していない段階では、既遂罪はもちろん未遂罪も成立しません。
どの時点で「犯罪の実行に着手した」と言えるかについては、窃盗の現実的な危険性が発生したかどうかで判断されます。一般的には物色行為を始めた時点と判断されることが多いです。
たとえば、以下のような場合には窃盗未遂罪にもならない可能性があります。
- コンビニで商品を盗もうと思ったが、実際には商品を手に取らなかった
- 窃盗目的で住居に忍び込んだが、金品を物色する前に見つかって通報された(住居侵入罪が成立する可能性はあります)
着手したが自分の意思でやめた場合=中止犯(中止未遂)
犯罪行為に着手してしまったけれども「途中で自分の意思でやめた場合」には、窃盗未遂罪になります。
犯罪行為にいったん着手してしまったら、その段階で何らかの罪が成立してしまうのはやむを得ません。ただ途中でやめているので「未遂」となります。
このように、自分の意思で犯罪を中止する場合を、法律的に「中止犯」といいます(刑法43条但書)。たとえば、以下のような場合には窃盗罪の中止犯が成立すると考えてください。
- 下着泥棒を目論んで下着を手に取ったけれど「やっぱりやめよう」と思って元の場所に戻した
- 夜中に他人の家に忍び込んでたんすの引き出しを開けて物を取ろうとしたが、やっぱりやめて何も取らずに帰った(住居侵入罪は既遂になる可能性があります)
着手したが外部的要因で失敗した場合=障害未遂
犯罪行為に着手したけれど、外部的な要因によって失敗した場合にも「未遂罪」になります。
- コンビニで万引きしようとして商品を手に取りカバンに入れようとしたら、発見されて現行犯逮捕された
- (金品があることが確実な)倉庫の鍵を壊して侵入したが、見つかって通報された
このような場合を「障害未遂」といい、「窃盗未遂罪」として処罰されます。
着手して目的を遂げた場合=既遂罪
犯罪行為に着手し、実際に目的を達成したら既遂罪です。
たとえば以下のような場合、窃盗既遂罪が成立すると考えましょう。
- コンビニで商品を万引きしようとして商品を手に取りカバンに入れて店外へ持ち出した
- 下着泥棒をしようとして、実際に下着を取って持ち帰った
窃盗・万引きの既遂と未遂の量刑の違い
窃盗が既遂になった場合と未遂になった場合では、量刑はどの程度異なるのでしょうか?
窃盗既遂の場合は、原則として10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が適用されます。
一方、未遂の場合は、中止犯が成立すれば必ず刑が減軽または免除されます。中止犯が成立しない場合は任意的減軽にとどまり、いずれにせよ中止犯の成否が量刑判断に大きく影響します。
中止犯(中止未遂)が成立する場合|必ず刑が減軽または免除される
中止犯が成立する場合、刑法43条但書により、必ず刑が減軽または免除されます。これは裁判官の裁量に関係なく、法律上の義務になります(いずれかの判断は裁判官の裁量によります)。
つまり、中止犯が成立したら、必ず刑を減軽あるいは免除してもらえる、ということです。窃盗罪において、刑が減軽される場合、具体的には以下のようになります。
- 拘禁刑の場合:長期と短期がそれぞれ2分の1になる
「15日以上5年以下の拘禁刑」 - 罰金刑の場合:上限・下限がそれぞれ2分の1になる
「5千円以上25万円以下の罰金」
中止犯が成立する場合は、起訴前であっても不起訴になる可能性が高まるため、弁護活動において積極的に主張することが重要です。
中止犯(中止未遂)が成立しない場合|刑の減軽は裁判官の裁量
実は、窃盗未遂においては中止犯が成立しないケースが多々あります。たとえば下着泥棒を目論んでいたけれど、見つかって現行犯逮捕された場合の障害未遂のケースです。
こういった場合には「任意的に刑が減軽」されます(刑法43条本文)。
任意的、というのは裁判所の裁量によって減軽してもらえる可能性がある、という意味です。
中止犯が成立しない障害未遂の場合、任意的減軽が適用されると、窃盗罪の法定刑(10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の範囲内で裁判所の裁量により軽減される可能性があります。
ただし、刑の減軽は確実ではなく、刑の免除はない点には注意が必要です。
犯罪行為をしてしまったら、外部的要因で失敗する前に自ら思いとどまった方が刑罰を軽くしてもらえます。万が一、魔が差してしまったときには、このことを思い出して犯罪を思いとどまってください。
窃盗未遂の刑罰
| 中止未遂 | 障害未遂 | |
|---|---|---|
| 刑罰 | 必ず減軽・免除 | 減軽の場合あり |
| 具体例 | 自分の意思で思いとどまる | 犯行完了前に逮捕される |
中止犯が成立するなら積極的に主張すべき
窃盗行為に及んでしまっても、自分の意思でやめたら必ず刑を減免してもらえるので、もしもそういった事情があるなら逮捕後などの刑事手続において積極的に主張しましょう。
ただし、中止犯の認定が難しいケースもある点には注意が必要です。たとえば「見つかりそうだったからやめた」というケースは、外部的な要因に影響されたとみなされ、自らの意思による中止とは認められない可能性があります。
そのため、中止犯を主張する際は、弁護士を通じて行うことが重要です。本人が単に、「自分でやめた」と主張するだけでは、捜査機関に十分に伝わらないケースもあります。
弁護士であれば、中止犯が成立する根拠を法的に整理したうえで、検察官へ効果的に働きかけることができます。
窃盗・万引き未遂の量刑を決める要素
窃盗未遂罪で逮捕されたとき、実際にはどの程度の量刑を科されるのでしょうか。
実際の量刑は一律ではなく、いくつかの事情によって、処分の重さは大きく異なります。
犯罪の内容
犯罪が重大・悪質であれば量刑は重くなります。たとえばコンビニで100円のパンを盗もうとしただけなら不起訴になる可能性が高いでしょう。
一方で、1,000万円の価値のある物品を盗もうとした場合、数人の共犯で計画的に窃盗行為を実行した場合などには拘禁刑が選択される可能性が高くなります。
「中止犯」が成立するか
中止犯が成立すると、必要的に刑が減免されるので刑罰は軽くなります。少々高い物品を盗もうとした場合でも、執行猶予をつけてもらえる可能性が高くなるでしょう。
被疑者の反省の有無・初犯かどうか
被疑者がしっかり反省していて、かつ初犯であれば、刑罰を軽くしてもらえる可能性が高くなります。
同種前科の有無
窃盗罪や詐欺罪などの同種前科があると、情状の面で不利となって刑罰が重くなる可能性が高まると考えましょう。
被害感情
被害者の感情も重視されます。「厳しく処罰してほしい」と希望されると、軽い窃盗未遂罪でも起訴されて処罰される可能性が高まると考えてください。
窃盗・万引き未遂で逮捕された場合の手続きの流れ

窃盗未遂で逮捕されると、以下のような流れで手続きが進みます。
1.検察官のもとへ送致される
逮捕されたら、48時間以内に検察官のもとへ送られます。
2.勾留されて取り調べを受ける
検察官が「引き続いての身柄拘束が必要」と判断すると、送検後24時間以内に勾留請求されて勾留決定が下ります。すると最大20日間、留置場にて身柄拘束され取り調べを受けなければなりません。
勾留されない場合には、被疑者在宅のまま捜査が進められます。
3.起訴か不起訴か決定される
勾留期間が満期になると検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。
4.刑事裁判になる
起訴されたら刑事裁判になります。不起訴になったら刑事手続が終了し、身柄拘束を受けていた場合には釈放されます。
5.判決が下される
刑事裁判になった場合、略式起訴であれば罰金を払えば手続きが完了に。公判請求された場合、何度か期日が開廷され最終的に判決が下されて刑罰が言い渡されます。
窃盗・万引き未遂で処分を軽くする方法
窃盗未遂罪で逮捕された場合、処分をなるべく軽くするには以下のように対応してください。
被害者への謝罪、被害弁償
まずは被害者への謝罪が重要です。被害が発生していなくても誠意をもって対応してください。もしも、一部被害が発生していたら確実に弁償を行い、場合によっては謝罪の気持ちとして慰謝料も払うとよいでしょう。
被害者から「嘆願書」を出してもらえたら不起訴などの軽い処分を出してもらえる可能性が高くなります。
関連記事
反省の態度を見せる
しっかりと反省することも重要です。警察や検察官に対して今の反省している心情や、再犯には及ばないという決意を示しましょう。書面で提出する方法も有効です。
未遂減軽を主張する
未遂犯ですので、刑の減軽(減免)を主張しましょう。
特に、中止犯が成立する場合には、曖昧にされないよう注意が必要です。
未遂減軽(減免)が重要なのは、刑事裁判になった後だけではありません。
起訴前であっても、中止犯が成立するようなケースでは不起訴にしてもらえる可能性も高くなります。刑事弁護人を通じて、検察官へ中止犯が成立する情状の良いケースであることをしっかり主張しましょう。
当事務所では未遂犯も含めて刑事弁護に積極的に取り組んでいます。窃盗未遂罪で逮捕されてお悩みの方がおられましたら、お早めにご相談ください。
窃盗・万引き未遂についてよくある質問
Q.万引き未遂は前科になりますか?
起訴されて有罪判決が確定した場合は、万引き未遂でも前科になります。
ただし、初犯で被害額が少額の場合は、不起訴になる(起訴されない)ことは多いです。
Q.未成年の窃盗未遂はどうなるの?
20歳未満の未成年者が、窃盗未遂事件を起こした場合、原則として、家庭裁判所に送致され、保護処分等の処分を受けることになります。
Q.窃盗未遂でも示談は必要ですか?
窃盗未遂で、何も物を盗んでいない場合でも、示談交渉は必要でしょう。
示談が成立すれば、処分が軽くなる可能性が高まります。未遂犯の示談金については、ケースバイケースです。
窃盗目的で侵入した際に壊してしまった物があれば、その弁償に足りる金額を準備したり、迷惑料としておおよそ20万円~30万円程度用意することもあります。
Q.万引きした商品は棚に戻せば未遂ですか?
一度、万引きした商品を棚に戻しても、未遂犯にはならず、既遂犯になります。自分の支配下に、物の占有を移転した時点で、窃盗は既遂になります。
アトムの解決事例(窃盗・万引き)
こちらでは、過去にアトム法律事務所で取り扱った窃盗の未遂事件について、プライバシーに配慮した形で一部ご紹介します。
窃盗未遂事件(不起訴処分)
同僚女性のカバンから家の鍵を盗んで女性宅に侵入し、室内にカメラを設置したとされたケース。窃盗目的があったものとして住居侵入および窃盗未遂で逮捕された。
弁護活動の成果
被害者と住居侵入、盗撮、窃盗未遂について宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。
示談の有無
あり
最終処分
不起訴
窃盗未遂事件(略式罰金20万円)
転売目的で、店舗でプラモデルを盗もうとしたところ、店員に見つかり、窃盗未遂で逮捕された。
弁護活動の成果
準抗告が認められ、早期釈放を実現。
証拠上、立件される可能性の高い余罪も含め、被害店舗に謝罪と賠償を尽くし、合計3件の示談を成立させた。結果として、略式罰金となった。
示談の有無
あり
最終処分
略式罰金20万円
これらの事案のほかにも、数多くの解決実績がございます。
気になる方は、『窃盗事件データベース』より解決実績をご確認ください。
窃盗・万引き未遂事件の不安は弁護士に相談
最後にひとこと
窃盗罪の場合、未遂犯も処罰対象とされているので(刑法243条)、盗みに失敗しても「窃盗未遂罪」が成立する可能性があると考えましょう。
逮捕・起訴されるリスクがある以上、早期の弁護士相談が処分の軽減につながります。
窃盗の未遂で逮捕・処罰の不安がある方は、今すぐアトム法律事務所までご相談ください。
ご依頼者様からのお手紙・口コミ評判
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のお客様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
逮捕からの素早い対応で、報告も毎回してくれて安心できました。

右も左も分からないままご相談させていただきました。刑事事件がまさか身内にふりかかるとは思いもよらずあわてました。逮捕からす早く対応していただき毎回報告もきっちりしていただき不安な気持ちもやわらぐことができました。不起訴となりひと安心しています。本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。
先生に相談したおかげで日々の不安もなくなりました。

(抜粋)先生この度はありがとうございました。分からないことだらけで、不安だけがつのる毎日だったのでお会いして今後のことをご相談させていただいたことで不安がなくなりました。もっと早く相談しておけばよかったと思うこともありますが、今回のことを教訓として、今後の生活を送っていこうと思います。末筆ながら、先生ならびにアトム法律事務所の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。
ご依頼者様からのお手紙のほかにも、口コミ評判も公開しています。
身柄事件では、逮捕から23日後には起訴の結論が出ている可能性があります。在宅事件でも、検察からの呼び出し後、すぐに処分が出される可能性があります。
弁護士へのご相談が早ければ早いほど、多くの時間を弁護活動に充てることが可能です。窃盗・万引き未遂事件でお悩みの方は、お早目にアトム法律事務所までご相談ください。
アトムの無料相談:24時間ご予約受付中
アトム法律事務所は、2008年の創業以来ずっと、刑事事件の弁護活動を行ってきた実績があります。
警察が介入した事件では、初回30分無料の弁護士相談も実施中です。相談ご予約窓口は24時間つながります。お気軽にお電話ください。


