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窃盗罪の法定刑と構成要件を解説!拘禁刑・罰金刑の分かれ目とは

窃盗罪の法定刑

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

万引き、空き巣、車上荒らし、置き引きなど、これらはすべて「窃盗罪」で処罰される可能性があります。窃盗罪の刑の重さを決める出発点になるのが「法定刑」です。

窃盗罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(刑法235条)。

以下の4つの構成要件をすべて満たしていれば、窃盗罪に問われる可能性があるでしょう。

窃盗罪の構成要件

  • 他人の財物であること
  • 占有を移転させること(窃取)
  • 故意があること
  • 不法領得の意思があること

この記事では、具体的な窃盗罪の構成要件、不起訴や執行猶予付き判決を得るためのポイントについて窃盗罪の解決実績が豊富なアトム法律事務所の弁護士が詳しくお伝えします。

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窃盗罪の法定刑は?

窃盗罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(刑法235条)。

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法235条

法定刑は「10年以下の拘禁刑または罰金」

窃盗罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」から「罰金」まで非常に幅が広いです。なぜなら、窃盗は万引きのような比較的軽微なものから、組織的な空き巣のような悪質なものまで、態様が多岐にわたるからです。

裁判所が実際に言い渡す「量刑(処分の重さ)」は、被害額や犯行の悪質さ、示談の有無などによって決まります。

罰金刑と拘禁刑の分かれ目

窃盗罪の罰金刑と拘禁刑の「分かれ目」がどこにあるのかを、判断基準とともに整理します。

裁判所は主に以下の4つのポイントを総合的に判断して、罰金か拘禁刑かを決定します。

罰金刑と拘禁刑の分かれ目

罰金刑になりやすいケース拘禁刑になりやすいケース
被害額・内容数千円〜数万円(万引きなど)数十万円以上、貴金属や現金
犯行の態様突発的、単純な手口計画的、組織的、プロの手口
動機生活困窮、魔が差した転売目的、遊興費稼ぎ
示談の状況成立済み、被害弁償完了未成立、被害者の処罰感情が強い

初犯と再犯で判決はどう変わる?

窃盗罪の初犯であれば、罰金刑や執行猶予つきの拘禁刑となることが多いです。被害者と示談が成立した場合は、不起訴が獲得できる可能性もあります。

一方、再犯や被害額が高額な場合は実刑(刑務所行き)の可能性も高まります。示談の有無が判決に大きく影響します。

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窃盗罪が成立する4つの構成要件

「勝手に持ち去ったのだから窃盗だ」と思われがちですが、法律上、以下の4つの構成要件をすべて満たさない限り、窃盗罪として処罰されることはありません。

逆に言えば、一つでも欠けていれば窃盗罪が成立せずに、無罪や別の罪になる可能性があります。

窃盗罪の構成要件

  • 他人の財物であること
  • 占有を移転させること(窃取)
  • 故意があること
  • 不法領得の意思があること

それぞれ詳しい内容をみていきましょう。

(1)他人の財物であること

大前提として、窃盗罪が成立するためには、盗んだ対象が「他人の財物」である必要があります。

他人の財物とは、他人が所有権を持っている「物」のことです。現金、商品、貴金属などはもちろん、電気も法律上は財物とみなされるため、無断でスマホを充電する行為などが窃盗に問われる可能性があります。

(2)占有を移転させること(窃取)

窃取(せっしゅ)とは、「持ち主の意思に反して、その物を自分の支配下に置くこと」をいいます。

こっそり盗む場合だけでなく、持ち主が見ている前でひったくったり、強引に持ち去ったりする場合も、暴行や脅迫がなければ「窃取」に該当します。

(3)故意があること

窃盗罪が成立するためには、「他人の物だと分かったうえで、その物を自分の支配下に置いた」という認識(故意)が必要です。

たとえば、友人のカバンを自分のものだと思い込んで持ち帰ったような、うっかりミス(過失)の場合は、窃盗罪の「故意」がないため罪に問われません。

(4)不法領得の意思があること

窃盗罪が成立するには、不法領得の意思が必要です。難しそうな要件ですが、「権利者排除意思」と、「利用処分意思」に分けて考えると分かりやすいです。

権利者排除意思

権利者排除意思とは、「本来の権利者を排除して、他人の物を自己の物のように扱う」をいいます。

他人の財布を無断で持ち去る行為は、「その財布や中の金銭をもらうつもりだった」場合には、権利者排除意思が認められます。

一方で、落とし物を拾ってすぐに交番に届けるつもりだった場合には、権利者を排除する意思がないため、原則として不法領得の意思は否定されます。

利用処分意思

利用処分意思とは、「その物を自分のもののように利用・処分しようとする意思」をいいます。

具体的には、「自分が使う」「売却する」といった行為をする意思があれば、利用処分意思があると判断されます。

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【事例別】これって窃盗罪?構成要件の境界線

落ちていた財布を拾って自分のものにした

結論から言うと、「その場所に管理者がいるかどうか」が、窃盗罪になるかどうかの分かれ目です。

「占有」を侵害したといえる場合は窃盗罪そうでない場合は窃盗罪より軽い占有離脱物横領罪(1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金若しくは科料)が成立します。

一般的な目安

  • 道端や公園で拾った場合:占有離脱物横領罪
  • 店内や駅構内で拾った場合:窃盗罪

ここでの「占有」は、支配の意思で財物を事実上支配していることをいいます。必ずしも物の現実の所持または監視を必要とせず、物が占有者の支配力の及ぶ場所に存在すれば足ります(最判昭和32年11月8日刑集11巻12号3061頁)。占有の肯定例・否定例として、以下の判例があります。

占有肯定例(=窃盗罪成立)

被害者が公園のベンチにポシェットを置き忘れて約27メートル離れた場所まで歩いて行った時点で被害者の占有は失われておらず、ポシェットを領得した行為は窃盗罪に当たる(最決16年8月25日刑集58巻6号515頁)。

占有否定例(=占有離脱物横領罪成立)

公衆の自由に出入りできる開店中のスーパーマーケットの6階ベンチの上に札入れを置き忘れたまま地下1階に移動してしまい、付近には手荷物らしき物もなく、札入れだけが約10分間放置されていた場合、被告人が札入れを領得した時点で札入れは被害者の占有下にあったとはいえず、占有離脱物横領罪が成立する(東京高判平成3年4月1日判時1400号128頁)。

無断で自転車を借りて、あとで返した(使用窃盗)

「すぐ返すつもりだったから盗んだわけではない」という主張が通るかどうかは、先ほど解説した構成要件の4つ目、「不法領得の意思(排除意思)」があるかどうかで決まります。

短時間の使用かつ、実際に元の場所に戻した場合などは、窃盗罪とはみなされない可能性があります。

一方、返すつもりだったと主張しても、元の場所以外に放置した場合などは、「不法領得の意思(排除意思)」があるため窃盗罪が成立するおそれがあります。

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家族や親族のものを盗んでしまった(親族相盗例)

一定の親族間では、窃盗罪が成立し得ても、刑が免除されたり、告訴がなければ起訴できなかったりする場合があります(刑法244条)

親族相盗例

  • 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で窃盗罪(未遂を含む)を犯した者は、その刑が免除される(刑法244条1項)。
  • 上記以外の親族との間で犯した窃盗罪(未遂含む)は、告訴がなければ起訴することができない(同条2項)。

ここでいう、「配偶者」は内縁関係を含みません。「直系血族」は、父母や祖父母、子どもや孫のことです。「親族」とは、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族を意味します(民法725条)。たとえば、兄弟姉妹は6親等内の血族、兄弟姉妹の配偶者は3親等内の姻族に当たります。

窃盗事件を繰り返している(常習累犯窃盗)

窃盗事件を繰り返している場合、常習累犯窃盗罪(盗犯等の防止及処分に関する法律3条)に該当し通常の窃盗罪より重く処罰される可能性があります。

常習累犯窃盗罪の構成要件は、(1)常習として、(2)過去10年以内に窃盗罪で6月以上の懲役刑を3回以上受けたことです。

常習累犯窃盗罪の法定刑は、3年以上20年以下の拘禁刑です。同罪に罰金刑はなく、拘禁刑の内容も窃盗罪より加重されています。

窃盗未遂をした

窃盗罪は、未遂であっても処罰の対象となります(刑法243条)。

窃盗未遂罪の法定刑は、原則として既遂と同じ「1か月以上10年以下の拘禁刑または1万円以上50万円以下の罰金」の範囲内で決められます。ただし、裁判官の判断で刑が減軽される可能性があり、上限と下限が半分になります(刑法43条1項、68条)。

減軽されると「15日以上5年以下の拘禁刑または5000円以上25万円以下の罰金」の範囲内で刑罰が科されます。

窃盗未遂罪になるのはいつ?

窃盗未遂罪になるのは、窃盗罪の実行に着手したといえるときです。実行の着手は、他人の財物の占有を侵害する具体的危険が発生する行為を行った時点で認められます。具体例として、以下の裁判例があります。

窃盗未遂罪になるタイミング

  • 住居侵入窃盗の場合
    金品物色のためタンスに近寄った時点(大判昭和9年10月9日刑集13巻1473頁)
  • 車上荒らしの場合
    ドアの開扉・解錠など自動車内への侵入行為を開始した時点(東京高判昭和45年9月8日判タ259号306頁)

窃盗未遂が成立すると、事後強盗として重く処罰される可能性もあるので要注意です。すなわち、未遂を含む窃盗犯人が、逮捕を免れる目的等で暴行・脅迫をすると、事後強盗罪が成立する可能性があります(刑法238条)。事後強盗は強盗と同じ扱いをされるので、窃盗罪よりも量刑がかなり重くなることが多いです。

強盗罪についてさらに詳しく知りたい方は、『強盗で逮捕されたらどうなる?必ず裁判になるの?刑を軽くするには?』もぜひご覧ください。

窃盗既遂罪になるのはいつ?

窃盗既遂になるのは、他人の占有を排除して自己又は第三者の占有に移した時点です。万引きの既遂時期の具体例として、以下の判例があります。

  • 店頭に並べてある靴下を手にしてポケットに入れた時点(大判大正12年4月9日刑集2巻330頁)
  • スーパーにおいて、店舗備え付けのカゴに商品を入れレジを通過することなく外側に持ち出した時点東京高判平成4年10月28日判タ823号252頁)

窃盗罪に関するよくある質問

Q.窃盗罪の公訴時効は?

窃盗罪の公訴時効は7年です(刑事訴訟法250条2項4号)。したがって、窃盗行為が終わってから7年経つと、検察官は公訴を提起することができなくなります。

ただし、海外に逃亡している期間などは時効の進行が停止するため注意が必要です。

Q.窃盗事件は家族にバレずに解決することは可能ですか?

早期に弁護士が介入すれば、可能性は十分にあります。

逮捕を回避(在宅事件)したり、警察から職場や家族への連絡を最小限に抑えるよう働きかけたりすることが可能です。まずは「事件が公になる前」のスピード対応が重要です。

Q.窃盗罪の検挙率は?

令和2年版犯罪白書によると、令和元年の窃盗の検挙率は、侵入窃盗64.1%、非侵入窃盗44.0%、乗り物盗9.2%です。

非侵入窃盗の中には、身近な犯罪である万引きも含まれます。万引きは現行犯逮捕の他、防犯カメラ映像等の証拠をもとに後日逮捕されることもあります。

万引きの検挙率は70.2%と比較的高くなっています。万引きは軽い犯罪と考えがちですが、衝動的な万引きでも繰り返していれば実刑判決のおそれが高まります。

窃盗罪の弁護を弁護士に依頼するメリット

不起訴処分が期待できる

窃盗事件を起こした場合、重要なのはできる限り早く示談を成立させることです。検察官は、犯行態様の悪質性や被害品の価値だけでなく、示談成立の有無も起訴・不起訴の判断に際し考慮するからです。

特に、窃盗のような財産犯は、お金を支払うことで被害が回復したと同視できます。ですから、窃盗罪における示談は不起訴となるために非常に大きな意味を持っています。

ちなみに、令和元年の窃盗罪の起訴猶予率は、男性が46.6%、女性が59.9%です(令和2年版犯罪白書)。

アトム法律事務所では、窃盗事案で宥恕条項付き示談の成立と被害届取下書の提出により不起訴を獲得するなど豊富な弁護実績があります。窃盗罪で不起訴を獲得したい場合、ぜひ当事務所にご相談ください。

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早期釈放が期待できる

被害額が大きく実刑のおそれがある、犯行を否認しているなどの事情があると逮捕・勾留されるおそれがあります。

もし逮捕・勾留された場合、示談成立によって早期釈放が期待できます。示談が成立すれば、逃亡や証拠隠滅のおそれといった身体拘束の理由がなくなるからです。示談成立が早ければ、逮捕を回避できる可能性もあります。

刑事事件は、逮捕・勾留されてから検察官が起訴するかどうか決めるまで最短で23日間しかありません。早期釈放を実現するには、一日も早く刑事弁護の実績豊富な弁護士に依頼することが最善の方法です。

執行猶予や減刑が期待できる

示談が成立すれば、執行猶予付き判決や刑の減軽が期待できます。

また、弁護士は、示談交渉の他にも、事案に応じてきめ細やかな情状弁護を行います

たとえば、窃盗の原因が経済的困窮にあるのなら、生活保護に関する情報を提供するなど、生活環境の改善に向けて活動します。

窃盗の原因が病気であるケースもあります。それが、「窃盗症(クレプトマニア)」です。窃盗症は、医学的にきちんとした診断基準がある病気です。放置するとご本人にとっても辛い状況が続きます。窃盗症の場合、専門医療機関で治療を受けることが再犯防止のために重要です。弁護士は、専門医療機関の情報を提供したり、保釈を申立てて通院のサポートを行います。

弁護士は、被告人が社会内で更生できる環境を調えることにも全力を尽くします。こうした活動は、執行猶予付き判決や減刑の獲得にも非常に有効です。

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また、当事者が逮捕されてしまっているケースでは、初回接見出張サービス(1回限り・有料)がご利用いただけます。

アトム法律事務所は、刑事事件のみを扱う弁護士事務所として開業し、窃盗事件についても多数の解決実績を持っています。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了