刑事事件の控訴期間は、第一審判決の宣告を受けた翌日を初日として14日間と定められています。刑事裁判を受けている方は、判決が出る前に弁護士と打ち合わせをして、想定している判決と異なる結果となった場合の対応を検討しておくとよいでしょう。
第一審判決に不服があるという方で、弁護士の変更を考えている方は、アトム法律事務所のように刑事事件の取り扱い件数が豊富な法律事務所で相談を受けていただくことをおすすめします。控訴審は高度な法的知識と実践経験が重要になります。これから控訴を検討される方は、この記事を参考にしてみてください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
刑事事件の控訴期間|いつからいつまで?
第一審判決から控訴するまでの流れ
控訴とは、第一審判決に対する不服申立てのことです。第一審の裁判所が出した判断に不服がある場合に、もう一度審理を求めることができます。例えば、東京地方裁判所が出した判断が「量刑が重すぎて不当である」というとき、再度、東京高等裁判所で審理してもらうよう求めることができます。
控訴は、第一審裁判所で判決が宣告された日の翌日を1日目として、14日間であれば、申立てが可能です。この14日間のことを、控訴期間といいます。控訴期間が経過すれば、第一審裁判所の出した判決は確定するのです。控訴期間内に控訴申立てをすれば、控訴手続きが開始されます。その場合、第一審での判決は確定せず、裁判手続きは控訴審へとステージが変わります。
控訴するときに必要となる書類|控訴申立書・控訴趣意書
控訴をするときには、第一審裁判所に対して控訴申立書を提出します。控訴申立書は、第一審の判決に不服であるから控訴を申し立てるという旨の記載があればよく、書面としてはとてもシンプルなものです。第一審の判決言渡しに備えて、事前に控訴申立書を用意しておき、即日控訴申立てを行うことも可能です。
控訴申立書を原審(第一審裁判所)に提出すると、申立書は第一審の記録一式とともに控訴裁判所へと回されます。そして、控訴裁判所は弁護人に対して控訴趣意書の提出期限を連絡します。控訴趣意書は「どの点に不服があるのか、なぜ控訴をするのか」を示す書面です。指定された期日までに提出しなければ控訴ができなくなり判決が確定してしまうため、この期日は極めて重要なものとなります。
控訴申立てと保釈請求|第一審判決が実刑だった場合
第一審判決が懲役刑で実刑であった場合、判決の言渡しが終わると、被告人は法廷で身体拘束され、そのまま収監されてしまいます。その場合、弁護人はすぐに保釈請求をして被告人の釈放に向けて動くことが必要です。保釈請求は書面を裁判所に提出してから検察官に意見が求められます。そして、検察官の意見が戻ってから、裁判所が保釈について判断するのです。弁護人は検察官の意見が裁判所に戻ったタイミングで裁判官面談を行い保釈の必要性や許容性を主張することができます。
保釈手続きと並行して、控訴申立てを被告人と検討します。控訴をするときは、控訴期間内に控訴申立書を裁判所に提出しなければなりません。第一審裁判所での判決が無罪や執行猶予付き判決であれば事件はそこで終了です。なお、無罪判決のときには、検察官が控訴をすることもありますので、最後まで気を抜くことはできません。
刑事事件の仕組み|控訴・上告・上訴とは
刑事事件の判決に対する不服申立ての方法
刑事事件の裁判では、判決に対する不服申立ては、控訴と上告があります。控訴は第一審の判決に対する不服申立てで、上告は第二審の判決に対する不服申立てです。例えば、大阪地方裁判所を第一審として行われた刑事事件の判決に不服申立てをするときは、控訴といいます。控訴は大阪高等裁判所で行われるわけですが、そこでの判決にさらに不服がある場合には、上告することが可能です。上告審は最高裁判所で行われます。
日本の裁判は三審制といって、最大で3回裁判を受けることができる制度になっています。そして、上級の裁判所に不服申立てすることを「上訴」といい、控訴も上告も「上訴」です。
刑事事件は捜査・公訴提起・公判の流れで行われる
刑事事件が起こってから、いきなり裁判になることはありません。刑事事件は、刑事訴訟法にしたがって手続が進められ、最初から裁判所が登場する流れにはなっていないのです。刑事事件が発生すると、まず警察が捜査を行います。そして、収集された証拠はすべて検察官に引き継がれ、刑事裁判をするかどうかが検討されます。検察官が起訴すれば裁判の流れになり、不起訴にすれば、そこで事件は終了です。
検察官が起訴することを「公訴の提起」といいます。公訴の提起が行われると、公判の手続が進行していきます。そして、公判で事件が審理され、結審するとようやく判決の言渡しが行われるのです。判決が出されても、控訴期間が経過するか、上訴権を放棄しなければ判決は確定しません。刑事事件が発生してから判決が確定するまでは、少なくとも数か月の時間がかかります。
控訴における弁護士の役割とは?
控訴において、弁護士は被告人の刑が軽くなるような弁護活動を行います。控訴の理由が第一審判決の量刑が不当と考えるなら、それを裏付ける証拠を用意します。控訴は2回目の裁判で、三審制であればあと1回裁判のチャンスがあると思う方もいるかもしれません。しかし、上告審では事実を争って新たな証拠を出し、審理を求めることができません。上告審は適用された法律に問題がある場合や判例変更が行われるときに法廷が開かれるため、そのハードルは極めて高いものです。
つまり、事実上、控訴審が最後の裁判になることが多く、弁護士もラストチャンスと考えて臨むことになります。第一審で弁護人を務めた弁護士は、控訴申立てをするところまで弁護人として活動ができます。その後も係属してその弁護人に依頼する場合には、新たに弁護人選任届を裁判所に提出することが必要です。
刑事事件でお困りの方は弁護士にご相談ください
刑事事件の専門家とは|弁護士に相談する意味
刑事事件は、その手続が法律で厳格に定められています。特に、時間の流れについて「日」だけでなく「時間」単位でも定められており、スピーディに対応しなければ取り返しがつかないことになってしまいます。刑事事件でお困りの方は、まず弁護士に相談することをお考えください。
弁護士の中でも、刑事事件の取り扱い経験が豊富な弁護士であれば、より安心感が得られます。同じ弁護士の中でも、差が出るのは「経験」です。弁護士を何年やっているかという点より、「刑事弁護をどれだけ経験してきたか」という指標は信頼できるといえるでしょう。
刑事裁判にしないための方法|不起訴の獲得
刑事裁判になれば、弁護士の力が必要だということは誰もが考えると思います。しかし、刑事裁判にならずに事件を終わらせることができれば、それに越したことはありません。不起訴処分を獲得できれば、前科をつけることなく事件を終了させることができます。
警察での取り調べの段階で弁護士にアドバイスをもらい、不起訴獲得に向けて動くことが大切です。痴漢、窃盗、傷害のような事件では、被害者と示談を成立させることを考える必要があります。検察官の刑事処分の前に示談を成立させ、不起訴処分を得ることで公開の法廷で裁判を受けるリスクはなくなります。
執行猶予判決を獲得するために必要なこと
刑事事件が起訴され、裁判になった場合には、考えるべきは執行猶予の獲得です。もちろん、無罪主張の場合はあてはまりませんが、認めの事件であれば執行猶予獲得の意味は大きいです。執行猶予が付くと、刑の執行が猶予されるためその期間犯罪を犯さなければ刑務所に入らずに済むということを意味します。つまり、裁判が終わったら通常の日常生活を取り戻すことができるのです。
執行猶予を目指すには、裁判でどのような証拠を裁判所に提出するかが大切です。被害者対応ができているなら、示談書や示談金を支払ったことを示す証拠が考えられます。医療機関の協力が得られているなら、医師の診断書を提出することも有効です。どのような証拠を出すべきかは、弁護人の弁護士とよく相談のうえ決めることになります。
まとめ
刑事事件の控訴期間は、第一審判決が出された翌日から起算して14日間になります。この控訴期間に不服申立てをすることで、控訴審でもう一度審理してもらう機会を得ることができます。控訴審を行う場合は、弁護士とよく相談して、どのような主張を展開するか方向性を検討することが大切です。控訴審で弁護士を変えることも可能ですので、迷ったら一度、刑事事件に詳しい弁護士までお問合せください。