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盗撮事件が実名報道されるのは逮捕直後?弁護士が教える報道対応

盗撮の実名報道

2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。

盗撮事件で逮捕されると実名報道されるのでしょうか。また実名報道されてしまった場合、どう対応することがベストなのでしょうか。「まだ事件が解決していないので、実名報道は放置せざるを得ない」とお考えの方はいませんか?実名報道はそのときだけの問題ではなく、5年10年とその影響を受け続けることもある深刻な問題です。

実名報道の影響を正しく把握し、弁護士への相談を早期におこなうべき理由について解説しています。盗撮をしてしまい実名報道が不安な方や、自分や自分の家族が盗撮で実名報道された場合には、まずこちらの記事をご一読ください。

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盗撮事件を起こしたら実名報道される?

盗撮事件で実名報道されるケースはある

盗撮事件で実名報道されるケースはあります。盗撮事件に限らず、刑事事件の報道には法律上の規制や明確な基準はありません。基本的には報道機関の自主判断にゆだねられています。

公務員や大企業の役員など、公共性が高く社会的な信頼が重視される職業や地位にある場合は、実名報道の可能性が高まります。

犯罪報道は公共の利害に関する事実とされていることから、目的が公益を図ることにあり、内容が事実であれば、名誉棄損になることもありません(刑法230条の2)。

なお例外的に、少年事件については実名等の本人が特定できる情報の報道が少年法によって原則禁止されています。

報道機関に実名報道されやすい事件とは?

報道される内容はあくまで報道機関の裁量ですので、明確な基準があるわけではありません。もっとも、実名報道されやすい事件・されにくい事件はあります。

実名報道されやすい事件

  • 重大事件や公共性の高い事件
  • 有名人や社会的地位の高い人が起こした事件
  • 一般人の興味を引いたり話題性のある事件

特に、公共の利害に関する程度が強い事件ほど、実名での報道がされやすい傾向にあります。

盗撮事件の実名報道の実情は?

盗撮で実名報道される事案のほとんどは、公務員などの公共性が高く社会的な信頼が重視される職業や地位についているケースです。職場での犯行など犯罪が職業に関連している場合はさらに実名報道のリスクが高くなります。

逆に一般的な会社員などは、盗撮がよほど悪質であったり特殊な例でなければ実名報道までされるリスクは小さいと考えられます。

盗撮事件の報道は毎日のようにされていますが、実名報道されるリスクはそこまで高くありません。盗撮報道のうち、実名が報道されているものの割合は2~3割程度といった印象です。顔写真付きで報道されるケースはさらに少なくなります。

盗撮報道の例

実名報道職業行為・手口
ありバス運転手乗客の女性の下着などを撮影しようと路線バスの車内にスマートフォンを設置
あり郵便局員郵便局内の休憩室に録画状態のスマートフォンを置いたままにして同僚の女性を盗撮
あり中学教頭エスカレーターで女性の背後からスカート内にスマートフォンを差し入れて盗撮
あり元・中学非常勤講師中学校の女子トイレに盗撮目的で侵入し、小型カメラを設置して18歳未満の児童の動画を撮影。児童ポルノ製造の罪にも問われたケース
あり警察官(巡査長)駅構内の階段で、女性のスカート内にスマートフォンを差し向けて盗撮
なし会社員駅構内エスカレーターで、18歳女子高校生のスカート内にスマートフォンを差し向けて盗撮
なし無職商業施設で、10代女性のスカートの中に小型カメラ内蔵の腕時計を差し向けた
なし飲食勤務する飲食店内の女性トイレに侵入し、女性が入っている個室の上からスマートフォンを差し入れた

盗撮事件の実名報道は逮捕直後におこなわれる?

盗撮の実名報道①逮捕直後に警察が公開するケース

盗撮事件で逮捕された場合、その事件が実名で報道されるタイミングは様々です。中でも、逮捕翌日に報道されるケースが一般的で、ヤフーニュースなどの大手サイトのトップページに表示されることもあります。

報道機関は警察から公表された情報をそのままニュースにすることが大半ですが、報道に労力を割く価値があると判断した事件では取材を行います。

盗撮事件報道で、実名のみならず、顔写真までも出されてしまうと、すぐに個人が特定されてしまいます。報道記事に出た実名や顔写真は瞬く間にネット内に広がってしまうでしょう。

事件報道の映像や顔写真はいつ撮られる?

警察官に連行されて警察車両に乗る姿が実名とともに報道される場面を見たことがあるかと思います。実名で検索した際に、その際の画像が検索結果に数多く出るようになってしまえば、大きな社会的ダメージを受けます。

あの映像を逮捕されたシーンだと思っている人も多いですが、実はほとんどが逮捕時ではなく、逮捕後に送検されるタイミングの映像です。被疑者が護送車に乗って検察庁に向かうために警察署の建物から出たところを報道陣に写真撮影されます。被疑者が似たようなグレーのスウェットを着ていることが多いのは、すでに逮捕され警察署に留置されているからです。

報道陣が待ち構えているタイミングが分かっているのであれば、顔を伏せて映らないようにするといった方法で多少は報道時の不利益を抑えることができます。

盗撮の実名報道②逮捕されなくても報道される場合

盗撮報道の大半は、逮捕された際のものですが、なかには逮捕されずに捜査の対象となった場合にも行われることがあります。在宅事件の場合、事件が検察庁に送致されたタイミングで「書類送検された」という表現で報道されます。著名人や会社経営者などの場合は、実名報道になることが多いです。しかし、書類送検の報道は実名を伏せて「会社員男性」「団体職員の女性」など抽象的な表現とされることもあります。

実名が使われなければ、ネットで名前検索をしても事件の記事はヒットしませんので、その点では実名報道よりはマイナスの影響は小さいといえるでしょう。しかし、実名報道でなかったとしても、事件発生の場所や職業が報道されることで、「わかる人にはわかる」という状況になる可能性があります。

盗撮の実名報道③初公判、判決が報道される事例

盗撮事件が実名報道されるタイミングは逮捕直後や書類送検時だけではありません。余罪が多数あり被害者が児童に集中していたり、他の犯罪でも検挙されているような場合は社会的関心が高まります。そのような場合は、初公判や判決が出るタイミングでも報道される可能性があります。社会の関心を集める事件は逮捕時からその動向を追いかけられ、各段階で記事に取り上げられるのです。

逮捕直後、初公判、判決と、それぞれで報道された場合は、ネットに公開される記事の数も多くなります。報道記事を見た人がそれを掲示板に転載したりSNSで取り上げて自分の意見を発信するなど、その拡散はすべてを把握できないほどになります。

盗撮の実名報道④公務員等で処分が公表される場合

公務員などの公共性が高く社会的な信頼が重視される職業では、刑事処分が確定した後に、職場で懲戒処分が発表された場合にニュースになることがあります。「〇〇教育委員会は、××を懲戒免職とした」とか「〇〇県は××を減給5ぶんの1 (6か月)の懲戒処分にした」などと発表されます。

もっとも、通常は刑事処分も確定した後ですし、ここで報道価値があるのは「どこがどういう処分をしたか」というところですので、実名で報道されることはほとんどないでしょう。とはいえ、処分内容と職場・肩書は分かってしまいます。

盗撮の実名報道は弁護士に対応をまかせるべき

弁護士が警察に要望する|実名公表の回避

盗撮の逮捕事件が発生すると、まずは警察が記者に対して事件があったことを公表します。警察署のホームページでも事件情報は公開されている場合もありますが、それよりも詳細な事実が公表されるのです。すべての事件が公表されるわけではありませんが、警察署長の判断で「いつ」「どこで」「誰が」「何をしたか(容疑)」が発表されます

弁護士は、依頼人のために、警察がプレスに公表するのを控えるよう「要望書」を提出することができます。実名報道を避けるために、警察のプレス報道を回避することを目指した活動です。最終的には警察署長の判断になるため、この要望書が警察を拘束することはありません。しかし、実名が公表された場合に回復不可能な甚大な影響がでる場合には、その事情を説明して実名を伏せてもらうよう要望することができます。

被害者との示談で盗撮事件の早期解決を

実名報道が行われてしまった場合、次に考えるべきことは、事件の解決です。盗撮事件を早く終わらせ、報道記事の削除などに注力しなければいけません。盗撮事件の解決には、被害者との示談が必須です。無実の罪で逮捕された場合を除き、認め事件の場合には被害者への謝罪と賠償が不可欠になります。

被害者と示談をする場合、被疑者やその家族が直接被害者に接触することは控えなければなりません。盗撮被害者は加害者に対して恐怖や不快感を覚えている可能性が高く、被害者の感情に最大限配慮した行動が求められます。また、直接の接触は、捜査機関に「口封じをしようと接触している」と受け取られる可能性もあります。これは刑事処分に不利にはたらきますので、被害者との示談は弁護士に依頼するようにしましょう。

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刑事事件が実名報道されると失職の可能性も

盗撮などの刑事事件が実名報道されると、様々な場面で不利益が生じます。社会的信用をなくし、仕事を辞めさせられることにもなりかねません。内定が取消されたり、勤務先にいづらくなり仕事を追われることもあります。また、一度仕事を辞めたあと、転職活動が難航することもよくあります。

仕事の面だけではありません。実名報道により居住地域に噂がたち、その場で生活を続けることが困難になり、引越しを迫られることもあります。家族への影響も小さくないため、実名報道が行われた場合には、すぐに弁護士に相談されることが大切です。

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実名報道の事後対応を弁護士に依頼するメリットは?

実名報道が行われたとき、自分で対応することも可能ですが、少しでも早く状況をよくするには弁護士に対応を依頼することが望ましいです。報道機関に記事を削除してもらったり、その他のサイトに転載された記事を削除するには大きな労力を要します。削除したいと考える記事が一つ二つであれば時間もかからないでしょう。

しかし、通常、盗撮事件が報道されると報道機関各社が取り上げますので、同時に10近くの記事が公開されることも少なくありません。

また、報道記事を悪用して、名誉毀損するような記事が作成されることもあります。そのようなときは、法律上の根拠を示し毅然とした態度で記事削除の主張を行うことが大切です。事後対応は各報道内容を精査して、どのような主張が適当であるかを検討するところから始まります。早い段階で専門家に相談することが事後対応として適切だといえます。

実名報道がネットで炎上・拡散するシステムとは?

報道機関が盗撮事件を実名報道した場合、それだけでは炎上とはいえません。その記事を引用して記事が作成され、そこに多くの人がコメントを書き込むことで炎上は激化するのです。掲示板でスレッドが立てられると、匿名の投稿者があることないことを書き始めます。5ちゃんねる、みみずん、雑談たぬき、爆サイなど、有名大手掲示板にスレッドが立てられることで、多くの閲覧者が集まってきます。

また、SNSでニュースが拡散されることも珍しくありません。特に、TwitterやFacebookではその拡散性に優れているため、一度事件のことが投稿されると瞬時にして多数人の目に触れることになります。ネット内に事件関連の記事が増えれば増えるほど、名前検索での検索結果は事件記事で染まってしまいます。

実名報道への対応は早ければ早いほどよい

実名報道が行われたときは、とにかく早く弁護士までご相談ください。「事件が落ち着いたら対応しよう」「まだ刑事処分が出ていないので、今は何もしないほうがよい」とお考えの方がいます。しかし、実名報道への対応は、刑事手続きとは別に考えなければいけません。刑事処分が出るまでの数週間で、炎上や拡散はさらに酷くなる可能性があり、ネット上の対応は早いうちに手を打つべきだといえます。

実名報道はそのときだけの問題ではありません。一度ネットに出た情報は「永遠に残る」可能性があります。現に、アトム法律事務所に寄せられるお問合せでは、「10年前の事件の記事が残っており、仕事に影響して困っている」というものもあります。刑事事件として警察や検察官対応をするのと並行して、実名報道の対応も専門家にご相談ください。事件が解決したあとの生活や今後の人生のために、早期対応が大切です。

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