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盗撮は捕まる?盗撮で逮捕されるケースとその後の流れ

盗撮の逮捕の流れ

2023年7月13日、盗撮を処罰する「撮影罪」が新たに導入されました。

スマホが普及したことで、盗撮は誰でも起こしうる身近な犯罪になりました。それだけに、出来心で盗撮してしまった、家族が盗撮で逮捕されてしまったという方も増えています。

そもそも盗撮で逮捕されるのはどのような場合なのか逮捕されたらどういう流れになるかを知っておくことは、刑事手続きが進む中で取るべき対応を行う上で大切です。

また逮捕を回避するポイントや不起訴になるための方法、弁護士に依頼するタイミングや弁護士を付けるメリットについても解説します。

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盗撮をしたら逮捕される?|逮捕の流れ

盗撮の検挙数・逮捕率

盗撮の検挙数は増加傾向にあり、法務省の資料によれば、令和元年度の盗撮事犯の検挙件数は3,953件となっています。

アトム法律事務所がこれまでに取り扱った盗撮事件で逮捕をされたのは全360件のうち112件(31%)でした。

参考:アトムの盗撮解決実績(逮捕)

盗撮は常習性のある犯罪です。慣れてくると「バレることはない」「自分は捕まらない」という考えになることもあるようです。

しかし、今捕まっていないのはたまたまです。そのままエスカレートしてしまえば、「悪いことだと頭ではわかっているのに、止めたくても止められない」という状況になります。そしていつか逮捕されたときには全てを失います

①盗撮の現行犯逮捕の流れ

盗撮で逮捕されるケースは、多くが現行犯逮捕です。

現行犯逮捕とは、今犯罪をしている、または犯罪の直後に行われる逮捕で、犯人を間違える恐れが低いため、逮捕令状なく一般人でも行えます(刑事訴訟法212条1項、213条)。

盗撮が被害者や周囲の人に気付かれた場合、現行犯逮捕された後、警察を呼ばれて最寄りの警察署で取調べを受ける流れになるのが一般的です。

盗撮が現行犯で発覚した場合逃げてはいけません。以下のリスクがあります。

  • 逃走しようとしたことが不利な事情になり逮捕後の拘束が長引くおそれ
  • 焦って逃げようとして、被害者や駅員を突き飛ばして暴行など別の犯罪が成立するおそれ

②盗撮で後日逮捕(通常逮捕)の流れ

後日逮捕(通常逮捕)とは、警察が犯人を特定し、裁判所に逮捕状を請求して、逮捕状に基づいて行われる逮捕をいいます。

盗撮で後日逮捕されることはあまり多くはありません。しかし、「盗撮は現行犯逮捕されなければ大丈夫」というような理解は間違いです。盗撮でも後日逮捕されることはあります

近年の盗撮の規制強化や、科学技術の発達により後日逮捕のハードルは下がっています。

盗撮に気付かれたけれど逃げたケースや、気付かれていないと思っていても被害届が出された場合、防犯カメラの記録等から逮捕につながることがあります。また、仕掛けたカメラが見つかって捜査されることもあります。

その場合、だいたい1か月以内くらいで警察から電話で任意出頭を求められることが多いでしょう。

任意出頭を求められたら

取り調べで容疑が固まったとしても、軽微な盗撮事件であれば逮捕状を請求されるということは多くありません。多くは在宅捜査になります。

ただし、証拠が揃っているのに不合理な否認を続けるような場合には逮捕される可能性が高くなるので注意が必要です。
まずは呼び出しを受けた段階で、対応方法について弁護士に相談してください。

また、まれにある日突然警察が自宅に来て逮捕されることもあります。この場合、同時に家宅捜索でPCが押収され余罪が捜査されることも多いです。

現行犯逮捕と通常逮捕の違い

現行犯逮捕通常逮捕
令状不要必要
逮捕権誰でも警察
可能性高いあり

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盗撮で逃走後に後日逮捕される可能性は?|自首や任意出頭も解説!

盗撮で逮捕が不安な方は弁護士に相談を

盗撮での後日逮捕の可能性は、被害届や証拠の有無、盗撮行為の態様に左右されるため、一概に判断はつきません。逮捕される時期も捜査の進展具合によるため、1年後に突然逮捕されるといった事例もあります。

弁護士に相談をすれば、捜査の見通し、万が一逮捕された後の流れ、自首の可能性を事前に検討することができます。また、被害者が判明しているケースであれば、弁護士を通じて示談をすることで事件化を防ぐことも期待できます。

万が一逮捕されてしまったとしても、事前に依頼している弁護士がいれば接見(面会)に来てもらうことができます。

盗撮について不安を抱えたままにするよりも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

盗撮で逮捕されるケースと刑罰

盗撮で逮捕されると何罪に問われる?

「盗撮罪」という犯罪はなく、盗撮行為は主に迷惑防止条例によって規制されています。

迷惑防止条例は、都道府県ごとに条例に差異はあるものの、典型的には人の衣服の下の身体や下着を、①撮影する行為②撮影するためにカメラを差し向ける行為③撮影するためにカメラを設置する行為を禁止しています。

また、ケースによっては以下の法律で逮捕される可能性があります。

  • 軽犯罪法
  • 住居侵入罪違反
  • 児童ポルノ禁止法

単なるのぞき見に過ぎない場合や、迷惑防止条例違反に問えない態様の行為は、軽犯罪法の「のぞき見」として処罰されます(軽犯罪法1条23号)。

盗撮目的で住居や建物に立ち入る行為については刑法130条の住居(建造物)侵入罪に問われる可能性があります。

被害者が18歳未満の児童であれば、児童ポルノ製造の罪が成立することも考えられます。

盗撮で逮捕された場合の刑罰

盗撮は初犯であれば大抵は罰金刑になります。もっとも、悪質なケースでは懲役刑の可能性も0ではありません。

法令刑罰
迷惑防止条例(盗撮)1年以下の懲役または100万円以内の罰金※1
軽犯罪法拘留または科料※2
住居侵入等(刑法130条)3年以下の懲役または10万円以下の罰金
児童ポルノ禁止法(製造)3年以下の懲役または300万円以下の罰金

※1 東京都の場合
  なお、実際に撮影までしていない場合「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」
  常習である場合「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」
  「卑わいな言動」の場合「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」

※2 拘留:「1日以上30日未満」刑事施設へ収監する刑罰 
  科料:「1,000円以上1万円未満」の金銭を支払わせる刑罰

盗撮で逮捕されるケース①|公共の場での盗撮行為

公共の場での盗撮行為は、迷惑防止条例違反で逮捕されます。

もっとも多いのが、電車内や駅、ショッピングモール内のエスカレーターなどで、スカート内をスマホのカメラで撮影しているところを被害者や目撃者から取り押さえられ、現行犯逮捕されるパターンです。条例にもよりますが、実際の撮影の有無にかかわらずカメラを差し向けた行為自体が犯罪となることが多いです。

なお、迷惑防止条例で規制されているのは、基本的には人の衣服の下の身体や下着を撮影等した場合です。
しかし、着衣の上からの撮影であっても、胸を中心に撮るなど撮影態様によっては逮捕される場合があります。これは、迷惑防止条例で公共の場での「卑わいな言動」が禁止されているためです。

盗撮で逮捕されるケース②|公共の場以外での盗撮行為

公共の場以外での盗撮行為も、現在は迷惑防止条例違反で逮捕されることがほとんどです。

具体例

  • 住宅の開いている窓から室内の女性をスマートフォンで撮影した
  • 学校や会社の更衣室やトイレにカメラを設置した

公共の場所以外の住居更衣室トイレ浴場など衣服を脱ぐ可能性のある場所や、学校事務所内などでの盗撮行為については、従来は迷惑防止条例の規制範囲に含まれておらず、軽犯罪法および住居(建造物)侵入罪で処罰するという運用がされてきました。

しかし、近年盗撮規制の見直しが進められ、不特定多数が出入りする公共の場以外での盗撮行為についても、迷惑防止条例の規制範囲に含める自治体が増えています
この場合も「カメラを差し向ける行為」や「設置する行為」をした時点で条例違反となることが多いです。

盗撮場所による刑罰の主な違い

公共の場公共の場以外
法律迷惑防止条例迷惑防止条例
軽犯罪法
刑罰懲役/罰金懲役/罰金
拘留/科料
具体例電車や駅住居や会社のトイレ

軽犯罪法違反では逮捕されることはない?

迷惑防止条例に問えない行為は、軽犯罪法で処罰されることになります。

軽犯罪法違反とされる場合、迷惑防止条例違反のケースより逮捕されるリスクが低く、逃亡をしない・警察の呼び出しには応じるなど誠実な対応をすれば逮捕をされることはほとんどありません

というのも、拘留または科料に当たる軽微な犯罪は、逮捕できる条件が法律上かなり限定されているためです。

拘留または科料にあたる罪の逮捕

  • 現行犯逮捕
    犯人の住居・氏名が明らかでない場合か、逃亡するおそれがある場合のみ認められる(刑事訴訟法217条)
  • 後日逮捕
    定まった住居を有しない場合か、正当な理由がなく警察官らの出頭要求に応じない場合のみ認められる(刑事訴訟法199条1項但書)

もっとも、逮捕時の罪名が絶対というわけではなく、なかには迷惑防止条例の容疑で逮捕され、捜査の結果軽犯罪法に罪名が変わるケースもあります。

また、条例違反に問えないとしても、住居侵入や建造物侵入の容疑で逮捕される可能性があります。

盗撮で逮捕された後の流れ

逮捕後の刑事事件の流れ

盗撮に限らず、成人が刑事事件で逮捕された場合、以下の流れで手続きが進められます。

逮捕 流れ

逮捕後は、警察で取り調べを受け、48時間以内に検察庁に事件が送致されます。事件を引き継いだ検察官は、自らも被疑者と面談し、24時間以内(逮捕から72時間以内)に勾留請求をするかどうか決定します。

勾留とは逮捕に引き続き行われる身体拘束処分です。勾留されると10日間、捜査の必要性から延長されると最大20日間、身体拘束が続きます。

勾留中に検察官が事件を起訴するか不起訴にするか決定し、起訴をした場合には裁判が行われることとなります。

盗撮は逮捕されてもすぐに釈放される?

逮捕された後は、当日中に釈放されなければ、警察署の留置場で寝泊まりすることになります。

盗撮事件では、初犯で仕事や家庭もあり、容疑を認めている場合は、勾留されずに2~3日で釈放され在宅事件になることが増えています。

しかし、在宅事件になっても無罪になったわけではありません。何もしなければ起訴されて罰金刑になり前科が付くことになりますので、釈放後はできるだけ早いタイミングで弁護士に相談することをおすすめします。

勾留されるか在宅事件になるか

2~3日で釈放されて在宅事件になれば、事件が会社や周囲にバレる心配は少ないでしょう。しかし勾留されてしまった場合は、長期間身体拘束が続く可能性があり、仕事や家庭などを失ってしまうリスクは極めて大きくなります。

生活を守るためには勾留を回避することが最大のポイントです。

関連記事

勾留とは|勾留の手続と釈放される方法

盗撮事件が起訴されたら

起訴には、略式起訴と通常の起訴の2つがあります。

略式起訴は、本人の同意を得て、公判を開かず100万円以下の罰金または科料を科す手続きです。罰金を払えば全てが終わりますが、争うことはできず、有罪が確定して前科が付くことになります。
盗撮事件では、30~50万円の略式罰金になることが多いです。

通常の起訴は、公判を開いて検察と弁護人が主張を尽くし、判決を受ける手続きです。通常の起訴をされるということは、大抵の場合「懲役刑が求刑されること」を意味します。
起訴後約1か月で第一回公判が開かれ、事実関係が明らかで争いがない事件であれば1回の公判で終了します。起訴後も勾留が続くことがありますが、起訴後は「保釈」を請求することができます。

略式起訴の特徴

略式起訴通常の起訴
裁判なしあり
主な刑罰罰金刑罰金刑又は懲役刑
前科つくつく

このように略式起訴となるか、通常の起訴となるかでは様々な違いがあります。もっと詳しく知りたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。

関連記事

略式起訴の要件と罰金相場|前科はつく?起訴・不起訴との違いは?

起訴されたらどうなる?起訴・不起訴の流れを解説

盗撮で逮捕されたら?|弁護士に相談するメリット

弁護士に依頼する主なメリット

弁護士をつけると盗撮で前科がつかない可能性が高まる

盗撮事件で弁護士に依頼すると、前科を回避できる可能性が高まります

というのも、盗撮で前科をつけないためには、被害者に謝罪と賠償を尽くして示談することが不可欠ですが、被害者との示談は弁護士を介して適切な内容で行い、その結果を検察官に伝えることが重要だからです。

初犯で単純な迷惑防止条例違反の盗撮事件であれば、何もしなければ略式起訴で罰金刑弁護士に依頼して被害者と示談ができれば不起訴処分となることがほとんどです。

示談にあたり、加害者とは話したくないが、弁護士なら連絡先を教えてよいという被害者も多いです。また、被害者が未成年の場合や、被害者情報を加害者が知っている盗撮では、被害感情が強いことも多く、示談が難航しがちです。示談して前科を避けるためには、まず弁護士に相談することをおすすめします

弁護士は逮捕直後の被疑者と接見(面会)ができる

逮捕から勾留請求までのおよそ3日間は家族であっても面会することができないのが通常です。警察からも詳しい事情が聞けず、本人の状況もわからずに困って法律事務所に相談に来られる方は多くいます。

弁護士なら、逮捕直後から面会が可能です。家族が盗撮で逮捕されたら、できるだけ早く弁護士に相談し、まずは弁護士面会(接見)を依頼してください。大切なのは面会はできるだけ早い方が良いということです。刑事弁護を行う法律事務所では、弁護活動を依頼するか決める前に接見だけの依頼も受けていることがほとんどです。

弁護士の接見が本人とご家族との架け橋となります。また、黙秘権の効果的な使い方納得できない供述調書が作成された場合の対処方法など、取調べへのアドバイスを受けることで、不利益な供述をすることを避けられます。

逮捕後の勾留を避け早期の釈放が期待できる

盗撮で逮捕されても、弁護士に依頼すれば、勾留を避けて早期釈放を実現できる可能性が高まります。そのためには、勾留の要件である、①罪を犯したと疑う相当の理由、②住所不定、証拠隠滅の恐れ、逃亡の恐れのいずれか(刑事訴訟法60条1項)を欠くことを弁護士を通じて主張します。

具体的には、被害者と示談をしたり、被疑者が通常はまじめに社会生活を送っていることや同居の家族もいること、今回釈放されても家族の監督体制が整っていることなどを検察官や裁判官に意見書を出すなどして主張し、勾留請求や勾留決定を防ぐ活動を行うことができます。

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