2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
盗撮の罰金は、実務上30万円~50万円程度になることが多いです。法律上の上限は撮影罪で300万円ですが、実際に言い渡される金額はそれよりはるかに低い水準に収まります。
ただし、罰金を払えば終わりではありません。罰金刑でも前科はつきます。
逆に、被害者と示談が成立して不起訴になれば、罰金を払う必要はなく、前科がつくこともありません。初犯で示談が成立した盗撮事件では、この解決を目指せるケースが多くあります。
この記事では、盗撮の罰金額の相場、初犯と再犯での違い、罰金と示談金の違い、罰金が払えない場合にどうなるかを解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
盗撮の罰金はいくら?
法律上の上限と実務の相場は違う
盗撮の罰金には、法律で決められた「上限」と、実際に言い渡される「相場」の2つがあります。
撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。
東京都の迷惑防止条例違反は「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」で、常習の場合は拘禁刑の上限が2年に引き上げられます。
ただし、常習であっても罰金の上限は100万円のままで変わりません。
そして重要なのは、これらはあくまで上限だという点です。実務で言い渡される罰金額は、上限よりはるかに低い水準にとどまる傾向にあります。
データでみる盗撮の罰金額の相場
たとえば、駅構内などの公共の場所で女性のスカート内をスマホで盗撮するといった一般的な盗撮事案であれば、罰金額は30万円程度が目安になります。
さらに、アトム法律事務所が実際に取り扱った盗撮事件で罰金刑が言い渡された事案の罰金額相場は約30万円でした(アトム「盗撮の罰金の相場」の統計より)。
つまり、法律上の上限が300万円であっても、実際に支払うことになる金額は30万円~50万円程度の範囲に収まるケースが大半です。
なお、示談が成立しているなどの事情があれば、罰金さえ科されずに不起訴になる可能性もあります。
罰金で終わった割合は約82%
過去にアトム法律事務所が取り扱った盗撮事件で有罪になった事案のうち、罰金刑になった割合は約82%でした(アトム「盗撮の罰金/懲役率」の統計より)。
裏を返せば、罰金で済まずに懲役刑(現在の拘禁刑)が科されたケースが約18%あるということです。
アトムの解決事例(罰金刑になったケース)
公園で女性のスカート内を盗撮した事例
公園で女性のスカート内をスマホで盗撮。逮捕なし・在宅事件。過去に別の公園で100件以上の盗撮を繰り返した常習性あり。
量刑のポイント
宥恕付きの示談が成立したものの、100件以上という極めて高い常習性が考慮され、不起訴ではなく罰金刑が科された。
示談の有無
あり(示談金30万円)
最終処分
略式命令により罰金20万円
盗撮の罰金額を左右する4つのポイント
裁判所が刑を決める際や、検察官が起訴するかどうか・どの手続きによるかを判断する際には、さまざまな事情が考慮されます。特に重要となるのは以下の4つのポイントです。
罰金額や量刑を左右するポイント
- 被害者との示談が成立しているか
- 初犯か、再犯か
- 行為の悪質性
- 反省の態度と再犯防止の取り組み
(1)被害者との示談が成立しているか
被害者の方に謝罪し、示談金を支払って示談を成立させることは、処分の重さを決めるうえで非常に重要です。
示談が成立し、被害者から「加害者を許す」という意思(宥恕)を示してもらえれば、検察官が不起訴処分と判断したり、裁判になった場合でも刑が軽くなったりする可能性が高まります。
(2)初犯か、再犯か
初犯であれば、反省の態度などを示すことで罰金刑で済む可能性が高いです。示談が成立していれば、不起訴を獲得できるケースも多いでしょう。
しかし、過去に同種の盗撮事件で有罪判決を受けたことがある再犯の場合、反省していないとみなされ、罰金額が高くなったり、正式な裁判になって拘禁刑が選択されたりする可能性が格段に上がります。
関連記事
・盗撮・撮影罪の初犯は逮捕・起訴される?不起訴を目指す方法を解説
・盗撮で再犯するとどうなる?初犯との違いと実刑を避ける方法
(3)行為の悪質性
犯行の態様が悪質であると判断されると、罰金額は高くなる傾向にあります。悪質性として考慮される主な要素は以下のとおりです。
- 計画性:小型カメラを巧妙に仕掛けるなど、計画性が高い
- 撮影期間・回数:長期間にわたって何度も盗撮を繰り返していた
- 撮影内容:被害者の特定につながる映像や、性的な露出が大きい映像を撮影していた
- 画像の拡散:撮影した画像をインターネット上に公開した
(4)反省の態度と再犯防止の取り組み
真摯に反省している態度を示すことも、処分を左右する重要な情状です。捜査・裁判を通じて反省の姿勢を示すことが、検察官や裁判官の判断に有利に働く可能性があります。
罪を素直に認め、二度と繰り返さないための具体的な対策(性依存症の専門医療機関への通院など)を始めることも、有利な事情として考慮されることがあります。
盗撮で罰金刑では済まないケース
罰金では済まず拘禁刑が科されるケースも、有罪となった事案の約18%あります。
被害結果が重大である場合や、行為が特に悪質である場合は、たとえ初犯であっても罰金で終わらない可能性があります。
罰金では済まない可能性が高い盗撮事件の例
盗撮で罰金ではなく拘禁刑となりやすいのは、たとえば以下のようなケースです。
また、何もせず公訴時効の完成を待っていたことが発覚すれば、反省の態度が見られないと判断され、刑事処分が厳しくなることが予想されます。
盗撮で時効を待つリスクについてはこちらの記事で解説しているのであわせてご覧ください。
アトムの解決事例(罰金では済まなかったケース)
執行猶予中に書店で盗撮を行った事例
痴漢事件の執行猶予中に、書店で女性2名をスマホで盗撮し現行犯逮捕された事案。
量刑のポイント
執行猶予中の同種再犯であり、被害者の拒絶により示談は成立しなかった。再犯防止に向けたカウンセリングを実施し、その資料を情状証拠として提出したが、実刑判決となった。
示談の有無
なし
最終処分
懲役5か月
この事例のように、示談が成立しないまま同種再犯に及んだ場合、罰金では済まない可能性が高くなります。
示談の成否は処分を左右する大きな要素ですが、常習性や余罪の有無といった事情もあわせて判断される点には注意が必要です。
盗撮の罰金と示談金は何が違う?両方払う必要はある?
罰金は国に、示談金は被害者に支払うもの
罰金と示談金は、支払う相手も性質もまったく異なるお金です。この2つを混同している方も少なくありませんが、整理すると以下のとおりです。
罰金と示談金の違い
| 罰金 | 示談金 | |
|---|---|---|
| 支払う相手 | 国 | 被害者 |
| 性質 | 刑事罰 | 民事上の損害賠償金(解決金) |
| 支払いのタイミング | 裁判(略式命令を含む)が確定した後 | 示談が成立した時点 |
| 支払わない場合どうなるか | 労役場留置となる可能性がある | 示談書の内容に基づき請求を受けたり、民事訴訟を起こされたりする可能性がある |
「両方払わなければいけないのか」という点については、両方を払うことになるケースもあります。示談を成立させたにもかかわらず、起訴されて罰金が科された場合です。
示談が成立していても、常習性が高い、余罪が多数ある、同種の前科があるといった事情があれば、検察官が起訴に踏み切ることがあります。
実際に、100件以上の盗撮を繰り返していた事案では、宥恕付きの示談が成立していたにもかかわらず、罰金20万円の略式命令を受けています。
ただし、示談が成立していれば、そうでない場合に比べて不起訴となる可能性は大きく高まります。両方を払うことになる可能性があるとしても、示談を進める意味が失われるわけではありません。
示談が成立して不起訴になれば罰金は払わない
一方で、示談が成立して不起訴処分を獲得できれば、罰金を払う必要はありません。
不起訴になるということは、刑事裁判が開かれないということです。罰金は裁判(略式命令を含む)によって科される刑罰なので、起訴されなければそもそも発生せず、前科もつきません。
つまり、被害者に示談金を支払うことは、罰金と前科の両方を回避することにつながり得るということです。
盗撮の罰金はいつ、どうやって払う?払えない場合は?
罰金の多くは略式手続で決まり、公開の裁判は開かれない
盗撮で罰金刑になる場合、その多くは「略式手続」によって決まります。
略式手続とは、被疑者に異議がないことを確認したうえで、検察官が簡易裁判所に略式命令を請求し(略式起訴)、公開の法廷を開かずに書面審理だけで罰金が言い渡される簡易な手続きです。
そのため、法廷に立つことも、傍聴人の前で氏名を読み上げられることもありません。身柄を拘束されている場合でも、略式命令を受けて罰金を納付すれば、その日のうちに釈放されるのが一般的です。
ただし、略式手続で罰金が確定しても前科はつきます。「公開の裁判にならない=前科がつかない」ではない点に注意してください。
略式起訴の要件や通常起訴との違いについては、略式起訴をテーマにした別記事で詳しく解説しています。
罰金の納付時期と方法
罰金は、裁判(略式命令を含む)が確定した後、検察庁から送られてくる納付告知書にもとづいて納付します。原則として一括払いになります。
納付先は検察庁または指定された金融機関で、現金で納付するのが原則です。
罰金が払えないと労役場留置に|まずは検察庁に相談を
罰金を納付できない場合、最終的に労役場留置となることがあります。刑事施設に併設された労役場に留置され、一定期間作業に従事することで罰金を納めたものとみなされる制度です。
留置される日数は、判決または略式命令で定められた換算額にもとづいて計算されます。実務上は1日あたり5,000円として換算されることが多く、たとえば罰金30万円であれば60日間となります。
ただし、すぐに一括で用意できない場合でも、検察庁に相談することで分納や納期の延期が認められる場合があります。
支払いが難しいとわかった時点で、放置せず検察庁に連絡することが重要です。
盗撮の罰金も前科も回避するには示談が最優先
被害者と示談を成立させる

盗撮事件を起こしてしまい、罰金刑や前科を避けたい場合は、被害者と示談を成立させることが最優先です。
謝罪と賠償を尽くして被害者から許しを得ている事件であれば、検察官が公判請求してまで処罰する必要はないと考え、略式手続による罰金にとどまる可能性が高まります。
また、示談成立により盗撮行為に対する被害者の処罰感情が低くなった、当事者間で事件が解決したと判断されれば、不起訴処分を獲得できる可能性も高まります。
あわせて読みたい関連記事
盗撮で示談が重要な理由や、盗撮の示談金相場について詳しく知りたい方は『盗撮で示談する方法とメリット|示談の流れや示談金相場も解説』をご覧ください。
起訴される前に示談で解決するのがベスト
盗撮事件で起訴されなければ、罰金刑にならず前科もつきません。そして、その判断がなされるのは、検察官が処分を決める前の限られた時間です。
逮捕・勾留された場合、起訴・不起訴の判断が下されるまで23日以内、在宅事件でも検察官の判断時期は事前に知らされないため、いつ処分が決まってもおかしくない状態が続きます。
示談交渉は相手方の意向にも左右されるため、着手が遅れるほど間に合わなくなるリスクが高まります。
だからこそ、示談交渉は事件発覚後できるだけ早い段階で開始し、検察官に「不起訴処分が相当である」と判断させる材料を揃えておくことが重要です。
盗撮事件に強い弁護士に示談交渉を任せる
盗撮事件でお困りの方や、被害者との示談を考えている方は、盗撮事件に強い弁護士に相談してください。
加害者本人が盗撮の被害者と示談をすることは困難です。そもそも、被害者側の連絡先がわからず示談交渉自体を始められない場合や、連絡先がわかっても交渉を拒否される場合が少なくありません。
弁護士が示談交渉を行うメリット
| 弁護士 | 本人 | |
|---|---|---|
| 被害者情報 | 問い合わせ可能 | わからない |
| 示談交渉 | 交渉しやすい | 難しい |
| 示談成立 | 早期成立 | 時間がかかる |
弁護士に依頼した場合、検察官が起訴を判断する前に示談を成立させるべく、次のような弁護活動を進めます。
- 逮捕されている場合は、勾留の回避・早期釈放に向けて検察官や裁判官と交渉する
- 被害者の連絡先を検察官や警察官を通じて確認し、速やかに示談交渉を開始する
- 検察官が起訴の判断をする前に、不起訴処分を求める意見書を提出する
- 起訴されてしまった場合も、罰金刑にとどめるための情状証拠を集める
盗撮の罰金に関するよくある質問
Q.盗撮で罰金刑になると前科はつく?
盗撮事件で起訴され、罰金刑が確定すると、盗撮の前科がつきます。
前科とは刑罰を受けた経歴のことをいいます。罰金刑は刑罰の一種であるため、金額の大小にかかわらず前科として記録されます。
Q.略式起訴でも前科はつく?
略式起訴で罰金刑が確定した場合も、前科はつきます。略式手続は通常の公開裁判に比べて簡易で短期間に終わります。
ただし、「期限までに正式裁判の請求をしなければ刑罰が確定し、前科がつく」という点は通常起訴と同じです。
前科を回避したいのであれば、略式起訴を含めて起訴全般を回避する必要があります。
略式起訴を回避するには、「略式手続によることに異議がない旨の書面(略式請書)」に署名する前に弁護士に相談することが重要です。

Q.罰金刑なら社会復帰はしやすい?
罰金刑は前科になってしまいますが、拘禁刑の実刑で刑務所に入る場合に比べれば、はるかに社会復帰がしやすいです。
特に、略式手続によって裁判が公開されることなく解決すれば、勤務先や学校に事件を知られる可能性は低くなります。
ただし、前科がつくこと自体は変わりません。資格制限が問題となる職業もあるため、社会生活への影響を最小限にとどめたいのであれば、示談を成立させて不起訴処分を目指すことが最善です。
盗撮の罰金・前科の不安は弁護士に相談
まとめ|一人で悩まず、まず弁護士に相談を
盗撮の罰金は、実務上30万円~50万円程度が相場です。そして、示談が成立して不起訴になれば、罰金を払うことも前科がつくこともありません。
盗撮は、適切な弁護活動によって罰金刑にとどめたり、不起訴処分を獲得できたりするケースの多い刑事事件です。
一方で、常習性が高い場合や同種の前科がある場合には、拘禁刑が選択されることもあります。
罰金刑や不起訴処分を目指すには、有利な情状を揃える必要があります。有利な情状としては、被害者との示談成立、更生の意欲があること、再犯を防止する対策を実行していることなどがあげられます。
しかし、示談交渉や再犯防止策については、ご自身では対応が難しいケースも多いでしょう。
盗撮事件の知識・経験が豊富な弁護士に相談することで、被害者との示談条件の調整や、性的な行動上の問題の改善に向けた医療機関の紹介など、事件解決に向けた全力サポートを受けることができます。
アトムの評判・盗撮事件のご相談者の声
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。
アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
盗撮及び暴行を示談で解決、本当に感謝しております。

今回盗撮及び暴行を担当していただき無事に示談という形で解決していただきました。暴行の被害者様は保安員の方だったので、私は正直なところ諦めていたのですが、説得のおかげで改心することを条件として示談してもらえました。最初は弁護士の方に依頼するか迷っていたのですが、しっかりとした今までの経験をもとに話しをしてくださり本当に感謝しております。
被害者様との示談も成立、やり直す機会を得られました。

(抜粋)最初、事件を起こしてしまったあと近所の弁護士事務所に相談したときはただ起訴されて刑が執行されるまでを説明されただけで、もうこのまま起訴されるのを待つしかないのかと諦めかけていたところ、インターネットでアトム法律事務所様を見つけ、駄目元で相談したところ、即被害者様との示談交渉の道を提示していただき、大変安堵いたしました。結果、無事被害者様との示談も成立し、また社会でやり直す機会を与えていただいたこと、感謝の言葉もございません。
初回30分無料相談・予約受付は24時間・全国対応
アトム法律事務所は、2008年の発足当初から刑事事件を扱ってきた実績があります。盗撮事件の解決実績も豊富です。
アトム法律事務所では、24時間・全国対応の相談予約窓口を開設しています。
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