
「検挙」や「逮捕」という言葉はニュースでよく耳にしますが、「検挙」と「逮捕」の違いがよく分からないという方は多いのではないでしょうか。
検挙は、捜査機関が犯罪の行為者を特定し、被疑者とすることをいいます。法律用語ではなく、警察内部で主に使われる言葉です。
逮捕は、逃亡や証拠隠滅を防ぐために被疑者を強制的に身体拘束する手続きのことです。
この記事では、検挙と逮捕はどういったものか詳しく説明したうえで、検挙と逮捕の違いを解説します。

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目次
検挙と逮捕の違い
検挙とは?
検挙とは、捜査機関が犯罪の行為者を特定し、被疑者として扱うことをいいます。分かりやすくいえば、罪を犯した疑いのある人物を特定し、捜査の対象とすることです。
「検挙」は法律用語ではなく、主に警察内部で使用される言葉です。そのため、逮捕したことを検挙と表現することもあれば、取り調べを行ったことを検挙と言うこともあります。状況によってさまざまな意味で使われています。
検挙の使用例
・被疑者を特定し、捜査対象とした場合
(例:「〇〇容疑者が検挙された」=警察が罪を犯した疑いのある人物として特定した)
・被疑者が任意聴取を受け始めた場合
(例:「事件の関係者が検挙された」=警察による取り調べが始まった)
・事件が検察に送致・書類送検された場合
(例:「窃盗罪の被疑者が検挙された」=警察が事件を検察に送致した)
逮捕との違い
よく混同されるのが「検挙」と「逮捕」です。
逮捕とは、逃亡や証拠隠滅を防ぐために被疑者を強制的に身体拘束する手続きをいいます。逮捕は憲法33条や刑事訴訟法199条1項に規定されている法的な手続きです。
被疑者の立場から考えると、検挙されても必ずしも身柄を拘束されるわけではありません。しかし、逮捕された場合は、必ず警察の留置場などに一時的に身柄を拘束されるという違いがあります。
つまり、検挙は逮捕よりも幅広い意味で使用されている言葉ということです。
検挙と逮捕の違い
逮捕 | 検挙 | |
---|---|---|
定義 | 被疑者を強制的に拘束する手続き | 捜査機関が犯罪の行為者を特定し、被疑者とすること |
種類 | 後日逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕 | 取り調べ・書類送検・微罪処分・逮捕など |
摘発とは?
逮捕や検挙と似た言葉に「摘発」があります。
摘発とは、悪事などをあばいて公表することを意味します。摘発は法律用語ではありません。摘発は、犯罪事実や店舗など人物以外を対象に使用される言葉です。
たとえば、「警察が賭博店に摘発に入り多数の客を現行犯逮捕した」といった使い方をします。
刑事事件の検挙率は?逮捕の条件と流れ
罪名ごとに検挙率は大きな違いがある
令和元年における刑法犯全体の検挙率は39.3%でした(令和2年版犯罪白書)。
検挙率は「警察が発生を認知した事件のうち、どれだけの事件で被疑者が特定されたか」を表す数字です。
次の表は、令和元年における刑事事件の検挙率を罪名別にまとめたものです(令和2年版犯罪白書)。
刑法犯の中でも罪名によって検挙率に大きな違いがあることが分かります。交通違反のケースでは高い検挙率に特徴があります。
令和元年における罪名別検挙率(刑法犯)
罪名 | 検挙率 |
---|---|
殺人 | 99.5% |
暴行 | 84.4% |
傷害 | 84.9% |
脅迫 | 86.3% |
恐喝 | 79.1% |
窃盗 | 34.0% |
詐欺 | 49.4% |
令和元年における罪名別検挙率(交通違反)
罪名 | 検挙率 |
---|---|
危険運転致死傷 | 100.0% |
過失運転致死傷等 | 100.0% |

逮捕の条件
それでは、逮捕されるのはどういう場合なのでしょうか。
逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。原則的な形は通常逮捕です。
通常逮捕は、裁判官が「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」を事前に審査し、要件を満たすと判断した場合のみ許されます。裁判官は、逮捕の要件を満たす場合に限り、逮捕令状を発付します。

逮捕状が発付されると、令状を持った警察官が自宅にやってくることが多いです。連行時には逃亡防止のため手錠をかけられることが一般的です。
これに対し、現行犯逮捕は逮捕状不要です。
緊急逮捕は逮捕時に逮捕状は不要ですが、逮捕後直ちに裁判官に逮捕状を請求しなければなりません。

身柄送致、書類送検、微罪処分とは?
身柄送致、書類送検とは?
警察が捜査した事件は、原則としてすべて検察官に送致しなければなりません(全件送致主義)。送致とは、事件を引き継ぐことです。
全件送致主義は、警察の行った捜査結果をすべて検察官のもとに集め、起訴・不起訴の決定を可能にするため規定されています。また、警察の行った捜査が適切だったか検察官に審査させる目的もあります。
検察官送致の方法には、「身柄送致」と「書類送検」の2つがあります。なお、身柄送致も書類送検も法律用語ではなく、マスコミ用語です。
(1)身柄送致
身柄送致とは、被疑者の身柄を拘束した上で、捜査書類と証拠物を検察官に送致することを意味します。警察は、逮捕から48時間以内に身柄送致しなければなりません。
(2)書類送検
書類送検とは、被疑者を拘束せずに捜査書類と証拠物のみを検察官に送致することを意味します。
書類送検になるのは、逃亡・証拠隠滅のおそれがない刑事事件です。典型的には、軽微な人身事故やスピード違反などの交通違反です。
微罪処分とは?
微罪処分とは、成人の刑事事件のうち、被害結果が極めて軽微な窃盗や詐欺事件等について、検察官送致をせず警察限りで終結させる処分を意味します。
事案によっては、証拠が十分であっても、明らかに処罰が必要でない軽微なものもあります。そのような事件もすべて送致手続きをとっていては、警察の負担が過度に重くなってしまいます。そこで、微罪処分として処理することが認められているのです。
微罪処分となる事情には、以下のものがあります。
- 被害額が小さい
- 犯情が軽微
- 被害回復が行われた
- 被害者が処罰を希望していない
- 素行不良でない者の偶発的犯行
- 再犯のおそれのない窃盗、詐欺又は横領事件及びこれに準ずべき事由がある盗品等に関する事件
上記のうち「被害額が小さい」という基準は、各地域によって具体的な金額に違いがあります。おおむね2万円が目安になると言われています。
微罪処分となるには要件があり、すべての事件に適用されるわけではありません。関連記事『微罪処分の要件と流れ|微罪処分の6つの判断基準と対象事件』では、微罪処分の要件や流れについてもっと詳しく解説しています。
逮捕・検挙が不安なら弁護士に相談
逮捕や検挙が不安なら、できる限り早期に弁護士に相談することをおすすめします。
身柄拘束されてしまえば、自分で弁護士を選ぶことは困難です。そうなる前に弁護士を選任しておけば、逮捕を回避できる可能性が高まります。
早期に弁護士に依頼するメリットはこれだけではありません。ここでは具体的なメリットを詳しく解説します。
逮捕の回避
被害者がいる犯罪の場合、早期の示談成立が逮捕回避のポイントです。被害届を出さない合意を得られれば、刑事事件化を防ぐことができます。
示談交渉は弁護士に依頼するのが最善策といえます。弁護士であれば、被害者の心情に配慮しつつ、適正な金額で示談を成立させることが可能だからです。
また、被害者の連絡先が不明でも、弁護士ならば捜査機関に問い合わせできる点もメリットです。
実名報道回避
逮捕や検挙と同時に不安なのが実名報道かと思われます。実名報道を防ぐ一番の方法は、逮捕を回避することです。
もし逮捕されてしまった場合でも、弁護士を通じ捜査機関に実名報道しないよう要請することが可能です。あくまで要請であって法的拘束力はありませんが、ご本人や家族のプライバシーを守るべく、担当捜査官を説得するなど全力を尽くします。
実名報道を回避するには一刻も早く弁護士に依頼することが重要といえます。そのためには、私選弁護士がおすすめです。
私選弁護士は逮捕直後から接見できます。これは勾留決定後からしか接見できない国選弁護人にはないメリットです。
また、私選弁護士は自分やご家族が選ぶことができます。逮捕後1回だけ無料で接見に来てくれる当番弁護士制度もありますが、当番弁護士は自分で選ぶことはできません。
早期の対応をご希望の場合は、ぜひ私選弁護士にご相談ください。

早期釈放
早期釈放のポイントも示談の成立です。釈放の実現可能性を高めるには、被害者が加害者を許す(宥恕する)旨の条項を入れることも重要です。
もっとも、宥恕条項付き示談を成立させることはそう簡単ではありません。示談で最良の結果を得るには、刑事弁護の熱意と経験を併せ持った弁護士に依頼することが一番です。
アトム法律事務所の弁護士は、熱意と豊富な弁護経験、両方を兼ね備えています。早期釈放をご希望のご本人・ご家族はぜひご相談ください。
不起訴
不起訴になれば100%前科はつきません。前科がつかなければ、早期の社会復帰を図ることが可能です。
弁護士は不起訴獲得のためにも示談成立を目指します。さらに、家族による監督環境が整っていることを検察官に主張します。事案によっては、医療的支援、公的支援などを活用し、ご本人の立ち直りをサポートします。
また、不起訴になるには取り調べでの適切な対応も欠かせません。黙秘権など被疑者の権利をうまく使いながら対応する必要があります。
もっとも、黙秘権の行使にはメリット・デメリットの両方があります。ご自身に最適の対応を知るには、弁護士に依頼して個別具体的なアドバイスを得るのは一番です。
関連記事
・黙秘権って何?逮捕後に黙秘すると不利?有利になる場合とは?
執行猶予など刑の減軽
早期に弁護士に依頼すれば、起訴された場合でも執行猶予の可能性が高まります。反省の情、示談の成立、監督環境の整備といった事情は、執行猶予の判断においても有利に考慮されるからです。
アトム法律事務所の弁護士相談
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今生活ができるのは先生の熱心な対応や周りの人々のおかげです。

(抜粋)私の事件に対して、熱心に対応して頂き本当にありがとうございました。今、こうして生活できているのも先生を含め、周りの人々の助けがあったからと心から感謝しております。
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(抜粋)この度は大変お世話になりました。先生にはいつも一生懸命に迅速に行動して下さいました。そして丁寧に接して頂き、分からない事もすぐに質問して分かりやすく説明して下さいました。
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