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犯罪収益移転防止法違反で弁護士をお探しの方へ|違反例や刑罰を解説

犯罪収益移転防止法
  • キャッシュカードの譲渡を理由に犯罪収益移転防止法違反の捜査を受けている」
  • 前科をつけたくない、刑事処分を軽減してほしい」

そのような方に向け、この記事では、犯罪収益移転防止法違反の基準や刑罰を軽くするポイントを詳しく解説します。

犯罪収益防止法違反で逮捕・起訴が不安な方は、刑事事件の実績豊富なアトム法律事務所にぜひご相談ください。

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犯罪収益移転防止法とは?

犯罪収益移転防止法の目的

犯罪収益移転防止法は、正式名称を「犯罪による収益の移転防止に関する法律」といいます。犯収法と呼ばれることもあります。

この法律は、犯罪による収益がテロ行為などに利用されるのを防止するため金融機関等に対し本人確認義務を課しています。他にも新たな手法の犯罪行為に対応するため様々な規制を定めています。

また、売買された通帳等が悪用される詐欺被害が多発したことから、平成23年に犯罪収益移転防止法が改正され、通帳の不正譲渡等に係る罰則が強化されました。

通帳やキャッシュカードの譲渡・譲受けは犯罪!

犯収法28条は、 通帳やキャッシュカードを不正に譲り受けた者(1項)と譲渡した者(2項)、どちらについても1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金としています。

※併科(懲役刑と罰金刑の両方の刑罰が科されること)の可能性もあります。

「お金を借りるのにキャッシュカードや口座情報が必要と言われて郵送してしまった」というような行為が犯罪となり、警察の捜査を受けることも非常に多くあるので注意が必要です。犯収法の不正譲渡については後で詳しく解説します。

犯罪収益移転防止法第二十八条

 1 他人になりすまして特定事業者(略)との間における預貯金契約(略)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳預貯金の引出用のカード預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。

2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。 

犯罪収益移転防止法違反の場合、口座凍結される?

通帳等を譲渡してその口座が振り込め詐欺等に利用されると、被害届を受理した警察から銀行に通知が行き口座が凍結されます。

口座凍結されるとデメリットが3つ生じます。

口座凍結によるデメリット

  • 入金、引き出し、振り込みなど一切の手続が利用停止される
  • 凍結口座名義人リストが各銀行に共有され同一名義の口座が全て凍結される
  • 新規の口座開設ができなくなる

振り込め詐欺等に利用され凍結された口座は、被害者保護のための法律に基づき口座名義人の権利を消滅させる手続きがとられます。一定期間内に金融機関へ権利行使の届出を行わないと預貯金は被害者へ分配されます。

一度口座凍結されると解除するのは非常に困難です。「口座凍結されてしまった」という相談はよくある相談の一つですが、凍結解除については弁護士でもできることがほとんどありません

そのため、重要なのは、この記事にあるような犯罪の心当たりがある場合、早期に弁護士に相談して凍結前に対応することです。凍結前に取引停止や口座解約を行えば上記の3つのデメリットを防止できます。さらに、刑事事件化を防ぐ効果も期待できます。

繰り返しになりますが、ポイントは弁護士への早期の相談です。今後の人生を守るためにぜひ一刻も早く弁護士にご相談ください。

犯罪収益移転防止法違反になる不正譲渡を詳しく解説

犯収法で禁止される不正譲渡等は具体的には次の2つの場合があります。

  • 相手方に、他人になりすまして口座を利用する目的があることを知って通帳やキャッシュカード等を譲渡・交付・提供すること
  • 通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、通帳やキャッシュカード等を譲渡・交付・提供すること

不正利用の目的を知っていた場合(上記①)と知らなかった場合(上記②)に分けてご説明します。

①不正利用目的を知って通帳を譲渡した場合

相手方に、他人になりすまして口座を利用する目的があることを知って通帳やキャッシュカード等を譲渡等すると、犯罪収益移転防止法違反になります。

例えば、友人や知人から高収入が得られると勧誘されたり、SNSで返済不要の資金調達可能と勧誘され口座譲渡をもちかけられる事例があります。

これらの甘い勧誘に乗って、他人に譲渡する意図を隠して銀行口座を開設し通帳等を売却すると犯罪収益移転防止法違反になってしまうのです。

さらに、銀行に対する詐欺罪も成立する可能性があります。

判例は、通帳やキャッシュカードを第三者に譲渡する目的を隠して自分名義の預金口座の開設を申込み通帳等の交付を受けた場合について詐欺罪の成立を認めています(最高裁判所平成19年7月17日決定)

詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役で、罰金刑は規定されていません(刑法246条)。詐欺罪は思っている以上に重い犯罪なのです。

不正利用目的を知らずに通帳を譲渡した場合

相手方に、他人になりすまして口座を利用する目的があると知らなくても、通帳等を有償で譲渡等すれば犯罪収益移転防止法違反になります。暗証番号を教える場合も同様です。

具体的には以下の要件にすべて該当すると違法行為として処罰されます。

  • (1)「通常の商取引又は金融取引として行われるもの」ではなく
  • (2)「その他の正当な理由」もないのに
  • (3)「有償」で預金通帳等を譲渡すること

例えば、借金をする際、返済のため必要と言われキャッシュカードと暗証番号を相手方に送付してしまうケースは少なくありません。

この場合、ご本人は「自分はだまされてキャッシュカードを送付したのだから被害者だ」と感じるでしょう。しかし、正当な理由なく、有償でキャッシュカードを送付するという行為自体が犯罪ですから、動機の部分でだまされていたとしても被疑者として検挙されるおそれがあるのです。

裁判例
(東京高裁平成26年6月20日判決)

闇金業者にキャッシュカードを送付した者に犯罪収益移転防止法違反の罪が成立すると判断された事例。


判断の内容

(1)融資の返済や担保のためにキャッシュカードを送付する行為は、「通常の商取引又は金融取引として行われるもの」ではない

(2)被告人は相手方からメールで融資を勧誘され電話で話しただけで本名や所属先も知らないこと、契約書も交わしていないこと等から相手方がキャッシュカードを悪用しないと信頼できる状況ではなく「その他の正当な理由」もない

(3)「有償」性についても、融資を受けるという対価を得る約束で交付している以上肯定できる

この記事を読んでいる方の中には、心当たりのある方がいらっしゃると思います。

口座が犯罪に利用される前であれば刑事事件化を防げる可能性があります。被疑者になってしまう前にできる限り早く弁護士にご連絡ください。

犯罪収益移転防止法違反の捜査の流れは?

犯罪収益移転防止法違反の捜査のきっかけは?

犯罪収益移転防止法違反で捜査が始まるきっかけは大きく分けて2つです。

一つ目は、銀行が不正目的で通帳等が作成されたことに気づき警察に通報するケースです。この場合、すぐに口座凍結の措置が行われます。警察は銀行から個人情報を取得し口座名義人を特定します。

二つ目は、特殊詐欺等の捜査の中で芋づる式に検挙されるケースです。受け子などの取り調べによって口座名義人が特定されます。特殊詐欺案件では、口座名義人に詐欺の共犯として疑いがかかる可能性もあるでしょう。

犯罪収益移転防止法違反で逮捕後の流れは?

犯罪収益移転防止法違反で逮捕されると警察署に連行され、逮捕後48時間以内に検察官に送致されます。検察官が起訴・不起訴を決定するまで、逮捕から最長23日間拘束されます。

逮捕後は捜査機関の取り調べを受けます。取り調べでは、通帳やキャッシュカードを譲渡した事情や、犯罪に利用される認識の有無について厳しく追及されるでしょう。取り調べでの供述は刑事処分を決める上で重要な証拠となります。

取り調べでの不利な供述を防ぐには、できる限り早く弁護士のアドバイスを受ける必要があります。

ご家族の方は、逮捕直後から接見可能な私選弁護士にぜひご連絡ください。

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犯罪収益移転防止法違反で逮捕されない場合の流れは?

逮捕されない場合は、在宅捜査が進みます。被疑者は、警察や検察から呼び出しがあれば指定された日に出頭して取り調べを受けます。

在宅事件の場合、起訴・不起訴まで時間制約がありません。その分、最終的な処分が決まるまで不安定な立場に長期間置かれる可能性があります。

早期解決をご希望の場合、ぜひ弁護士にご相談ください。

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犯罪収益移転防止法違反における弁護士の弁護活動

ここでは、犯罪収益移転防止法違反の弁護を弁護士に依頼するメリットを解説します。

犯罪収益移転防止法違反で逮捕・起訴が不安な方は、刑事事件に強いアトム法律事務所にご相談ください。

アトム法律事務所では弁護士費用を明確化しております(詳しくは『刑事事件の弁護士費用』)。ぜひお気軽にご連絡ください。

不起訴処分獲得・刑の軽減

犯罪収益移転防止法違反で不起訴処分を獲得するには示談が重要です。不起訴処分となれば前科はつきません。

示談の相手方は特殊詐欺等の被害者です。特殊詐欺事件では、被害者が多数で被害額も多額に上るケースが少なくありません。このようなケースで示談を成立させるには刑事弁護の豊富な弁護士に依頼するのが必須です。

弁護士は、詐欺事件の概要を早期に把握し、示談の優先順位や適切な示談金額を検討します。

その上で、被害者の心情に十分配慮しながら、許し(宥恕)を得られるよう示談交渉を行います。宥恕付き示談が成立すれば、不起訴処分の可能性はより高くなります。

事案によっては、銀行との示談が必要になるケースもあります。この場合も示談交渉の経験豊富な弁護士への依頼が欠かせません。

犯罪収益移転防止法は初犯でも数十万円の罰金刑となる可能性があります。少しでも刑を軽減したい場合も早期の示談成立が重要です。示談が成立すれば、罰金額の軽減や執行猶予付き判決の可能性が高まります。

示談による不起訴処分獲得・刑の軽減をご希望の方は、刑事弁護の実績豊富なアトム法律事務所の弁護士にぜひご相談ください。

自首同行

自首は反省を示す有効な手段です。自首によって逃亡のおそれがないと判断されやすくなり逮捕の回避が期待できます。自首すると刑罰が減軽される可能性もあります(刑法42条1項)。

とはいえ、自首するには相当な覚悟が必要です。自首したとしても、通帳やキャッシュカードを送付した経緯・背景、相手とのやり取りの内容を正確に説明できるか不安な方も多いでしょう。

そのような方は、弁護士同行の上での自首をおすすめします。

弁護士は、事前に入念な取り調べのアドバイスを行って不利な供述調書の作成を防ぎます。取り調べでどう答えていいか分からなければ弁護士に質問してから答えることも可能です。

事案の内容によっては、積極的に供述して捜査協力した方が有利になるケースもあります。

取り調べ対応は非常に難しい問題です。ぜひ刑事弁護に精通した弁護士に直接ご相談ください。

さらに、弁護士は警察に対し、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを書面や口頭で説明します。弁護士が窓口になって出頭させると約束するケースもあります。

これらの弁護活動の結果、逮捕を回避できる可能性が高まります。

自首は犯罪の発覚前又は犯人が判明する前でなければ成立しません。自首するかどうか迷っている方は、今すぐ弁護士にご相談ください。

早期釈放の実現

犯罪収益防止法違反で逮捕・勾留された場合、弁護士に依頼すれば早期釈放が期待できます。

弁護士は、家族による身元引受書等の書類を提出し逃亡のおそれがないことを主張します。示談成立も早期釈放のポイントになるため、積極的に示談を進めます。

早期釈放によって仕事や学校への影響を最小限にすることが期待できます。

少年事件にも迅速対応

アトム法律事務所の弁護士は少年事件にも迅速に対応いたします。「子どもが通帳やキャッシュカードを売却してしまった」とお悩みの方は早期にご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了