ご家族や友人が勾留されており、保釈して欲しいとお悩みの方へ。
この記事を読めば、保釈がなぜ重要なのか、保釈を弁護士に依頼すべきかどうか、保釈を依頼した場合に弁護士は何をしてくれるのかがわかります。
是非この記事を参考に、刑事事件に強い弁護士に相談をして、早期の身柄解放を実現しましょう。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
弁護士解説|保釈の基礎知識
保釈という制度を知る
保釈とは、犯罪を疑われて勾留されている人が、起訴された後に、保釈金の支払いを担保として、刑事裁判が終了するまでのあいだ一時的に身体拘束から解放される制度をいいます。
つまり、保釈金とは、逃亡せずに裁判を受けることを保証するために裁判所に預けるお金ということです。保釈が認められたとしても無罪放免になるわけではなく、裁判で最終的に有罪となれば刑罰が科されます。
保釈中は一定の条件を守らなければなりませんが、条件を破らなければ保釈金は後から返還されます。保釈の具体的な手続きについては『保釈申請の流れ。保釈条件と必要な保釈金は?起訴後の勾留から解放』の記事で詳しく解説しています。
なお、逮捕されてから起訴されるまでの身体拘束中(最大で23日間)は保釈制度の利用はできません。あくまで保釈は起訴された後の制度です。
逮捕された後の刑事事件の流れを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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保釈の状況|どれくらい保釈は認められる?
保釈は、逃亡や罪証隠滅のおそれが低い場合に認められ、近年は被告人勾留を受けた事件の30%以上で保釈が認められています。
次に、罪名ごとの保釈率を確認してみましょう。重大犯罪などでは保釈率が低くなりますが、主な罪名の保釈率は以下の通りです。
罪名 | 保釈率 |
---|---|
わいせつ,強制性交等 | 42.8% |
傷害 | 33.9% |
脅迫 | 34.6% |
窃盗 | 20.8% |
詐欺 | 50.8% |
大麻取締法 | 75.7% |
覚醒剤取締法 | 29.9% |
自動車運転死傷処罰法 | 51.8% |
都道府県条例 | 39.7% |
保釈が認められるかどうかは、個別事情にも左右されます。また、上記のデータの中には、そもそも保釈の申請をしていない事件、起訴後すぐに保釈された事件、保釈はされたが裁判終了近くまで認められなかった事件、など様々なものが含まれています。
そのため、個別の保釈の見込みについては、弁護士相談で確認することをおすすめします。
保釈金の相場は?
保釈金の相場は、一般的には起訴されている事件1件につき150~200万円ほどです。明確な基準はなく、裁判所の裁量によって決定されます。
保釈金は、逃亡せずにきちんと裁判を受けることを約束させるための金銭ですので、「被告人にとって没取されたくない金額」である必要があります。
そのため、本人の経済力によって保釈金の額は大きく変わることがあります。そのほか、重大犯罪であるかどうか、逃亡の可能性、家族の資力、弁護士が提示した金額なども参考に金額が決定されます。
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保釈金の相場はいくら?返ってくる?保釈金が用意できない時の対応
保釈期間中の注意事項|保釈条件
裁判所から保釈が許可される場合、ほとんどのケースで保釈条件が付されます。
主な保釈条件は以下の通りです。
- 裁判所から呼び出しを受けたら必ず出頭する
- 住居の移転や3日以上の旅行をする際は必ず裁判所に許可を取る
- 弁護人を通さずに被害者と連絡を取ってはいけない
- 共犯者や被害者といった事件関係者に会いに行ってはいけない
違反した場合、保釈が取り消され、保釈保証金も没取されることがあるので、必ず保釈条件を遵守して生活するよう心がけましょう。
なぜ保釈制度があるの?保釈の意義・メリット
保釈制度がある理由は、①起訴後は適正な裁判のために拘束しておく必要性が比較的小さいことと、②拘束の継続によって被告人が受ける不利益が大きいことにあります。
①判決前の身柄拘束は裁判の準備|推定無罪の原則
近代刑事訴訟の大原則に「推定無罪の原則」があります。推定無罪とは、裁判で有罪が確定するまでは、犯罪者として取り扱われないというものです。
推定無罪によれば、有罪判決までは身柄を拘束されないことが原則です。しかし、それでは逃亡や罪証隠滅をされてしまうと、刑事訴訟本来の目的である適正な刑事裁判が実現できなくなってしまいます。
そこで、逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合など一定の条件に限って犯罪の疑いがある人を拘束できるとするのが逮捕・勾留のルールです。つまり、判決前は、悪いことをしたから捕まっているのではなく、裁判をするための必要な準備として身柄拘束をされているのだといえます。
そして、起訴された後は、警察・検察による十分な捜査活動も終わり刑事裁判の準備が整っている状況ですので、拘束の必要性は起訴前よりも小さくなっています。
そのため、保釈制度によって、逃亡や罪証隠滅のおそれが小さい場合には、身柄の解放を認めているのです。
②被告人の社会生活の維持と防御活動
犯罪に対しては、適正な刑事処分や刑罰が科されるべきであって、それ以上の不当に大きな不利益を被告人が受けることが望ましいとはいえません。
しかし、裁判が終わるまでの長期間拘束されることで、仕事を解雇になり、家庭を失うことになれば、たとえ無罪判決や執行猶予判決を受けても社会復帰は難しくなってしまうでしょう。
実刑が免れないとしても、保釈によって自由な時間が得られることで、身辺整理や服役の準備ができるようにもなります。
また、刑事裁判を適正に行うためには、被告人の防御活動も十分になされなければなりません。しかし、拘束を受けたままでは、裁判に向けた準備や弁護士との入念な打ち合わせも困難です。
そのため、保釈制度は被告人にとって極めて重要な制度といえます。
保釈手続きにおける弁護士の役割
保釈の手続きは以下の流れで進みます。
- 弁護士の保釈請求
- 検察官の意見
- 裁判官の保釈決定
保釈の決定は、弁護士と検察官の主張をふまえて裁判官が判断を行う、いわば小さな裁判です。そのため、弁護人の果たす役割は非常に大きいといえます。
弁護士の役割①保釈請求
保釈の請求は、通常は弁護士が裁判所に保釈請求書を提出して行います。
被告人の配偶者や、直系親族、兄弟姉妹などが請求することもできますが、一般的には弁護士が請求します。
弁護士は、起訴前から、保釈時期の見込みや保釈金の額、保釈条件などを本人や家族と打ち合わせを行います。また、保釈が認められるべき事情を集め、説得的な資料を作成するなど保釈請求の準備をします。事前に保釈請求する旨を検察官や裁判所にあらかじめ伝えておくこともあります。
そして、起訴後や第一回公判後など保釈の可能性が発生した段階ですぐに身柄を解放できるよう保釈請求書を提出します。
弁護士はこのように、保釈が通るためのバックアップを保釈請求をする前から行います。
弁護士の役割②検察官の意見
保釈請求書が提出されると、裁判所は検察官の意見を聞きます。
検察官は、保釈を認める「相当」、保釈すべきでないとする「不相当」、裁判所に任せる「しかるべく」のいずれかの意見を出します。もっとも、検察官も拘束の必要性がないと考えているのであればそもそも勾留請求をしていないので、通常は不相当の意見が出されます。
弁護士は保釈をスムーズに進めるため、事前に検察官に保釈請求書の内容を送り、意見を早く出してもらうとともに、「相当」または「しかるべく」の意見が得られるように検察官と交渉します。
なお、検察官の意見書は、保釈についての判断が出た後、裁判所に閲覧を申請することができます。
弁護士の役割③裁判官の保釈決定
裁判所は保釈請求書と検察官の意見をもとに、保釈を決定します。
弁護士は、検察官の意見書が裁判所に送付された後に、裁判官と面談することができます。そこで、逃亡や罪証隠滅のおそれがないこと、仕事や家族のことや生活状況から保釈の必要性が強いことを説得的に主張します。
また、保釈金額や保釈の条件についても裁判官に意見を述べて、保釈が得られるように最大限努めます。
特に、面談時には検察官の意見書は閲覧できないため、裁判官がどういった事情に懸念を示しているかを、適切に把握し効果的な主張をすることは弁護士の力量が問われるポイントでしょう。
保釈の決定は、当日ではなく保釈申請から1~3日後に出されることが多いです。
保釈が決定されると、弁護士は保釈保証金を裁判所に納付し、その後1~2時間で被告人の身柄は解放されることになります。
弁護士が保釈を検討する際のポイント
保釈は、弁護士に依頼したからといって、必ずしも認められるものではありません。しかし、刑事事件に精通した弁護士はその豊富な経験から、保釈が認められるためのポイントを熟知しています。
3種類の保釈|権利保釈・裁量保釈・義務保釈
保釈には、次の3種類があります。
- 権利保釈
一定の除外事由に当たらない限り認められる保釈 - 裁量保釈
個別の事情を検討して裁判所の裁量によって認められる保釈 - 義務保釈
勾留が不当に長引いたときにしなければならない保釈
権利保釈が認められないのは以下のケースです(刑事訴訟法89条)。
権利保釈の除外事由
- 死刑、無期、短期1年以上の懲役・禁錮に該当する罪を犯した
- 死刑、無期、長期10年を超える懲役・禁錮に該当する罪の前科がある
- 常習として、長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した
- 罪証隠滅のおそれがある
- 被害者等に危害を加えるおそれがある
- 氏名または住所が明らかでない
本来、保釈の請求があれば、上記の除外事由に当たらない限り、権利としての保釈を認めなければならないはずです。しかし、実務上は「証拠隠滅のおそれ」が安易に認定されてしまい、裁判所が権利保釈を認めることはほとんどありません。
そのため、裁量保釈が認められるかどうかが一番のポイントになります。義務保釈が検討されることは通常ありません。
裁量保釈が認められるためのポイント
裁量保釈については刑事訴訟法90条に規定があります。
裁量保釈
裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。 (刑事訴訟法90条|e-Gov)
裁量保釈を認めてもらうため弁護士は様々な事情を多角的に検討し、保釈の必要性・相当性を実質的に主張していくことになります。
保釈の必要性としては、例えば、長期の拘束をされると解雇や家庭崩壊のおそれがあること、病気の治療の必要があり勾留に耐えられないことなどがあげられます。被告人本人のみならず、家族や関係者へ実害が生じうることも有効な説得材料となります。
保釈の相当性としては、家族や仕事など相当の社会的立場があり逃亡のおそれがほとんどないこと、罪を認めていて罪証隠滅の意思がないこと、などが挙げられます。
身元引受人と制限住居の選定
保釈を認めてもらうためには、身元引受人が必要です。また、保釈期間中の制限住居も指定され、許可なく別の場所で暮らすことはできなくなります。
身元引受人を誰にするのか、制限住居をどうするのかは弁護士とよく相談しながら準備しなければなりません。
身元引受人は、被告人の行動を監督する立場になりますから、基本的には同居をしている人がなります。したがって、制限住居も、身元引受人の住居が指定されることが通常です。
家族が多いですが、被告人の監督ができれば、同棲中の恋人や、ルームシェアをしている友人、保釈中の同居を約束してくれる知人や職場の上司なども可能です。
なお、同居は絶対の条件ではないので、被告人が一人暮らしだとしても、身元引受人を立てることで保釈が認められることもあります。もっとも、同居していないことに懸念を示す裁判官も少なくありませんので、「保釈中は実家の親がマンスリーマンションを借りて被告人と同居する」等の対応も可能であれば検討すると良いでしょう。
他に誰も適切な人がいなければ、現場の判断で弁護士が身元引受をするケースもあります。
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保釈が却下された場合の弁護士の対応
保釈が却下された場合、弁護士は準抗告(または抗告)として不服申立てをすることができます。
保釈についての判断が出た後は、検察官の意見書を閲覧することもできますので、どのような意見を受けて保釈却下の判断に繋がったのかを検討し、重点的に反論することで、改めて保釈が許可されることも少なくありません。
また、保釈却下後に、保釈が却下された理由がなくなったり、保釈を認めるべき新たな事情が生じた場合には、再保釈請求をすることもできます。
保釈を弁護士に依頼する
国選弁護人は保釈をしてくれる?
国選弁護人も保釈の請求をすることはできます。
しかし、国選弁護人は国からもらえる報酬が低いため、保釈を獲得するための粘り強い弁護活動を期待通りに行ってくれるとは限りません。ある程度最低限の弁護活動になってしまうのやむを得ない部分もあり、積極的に保釈を得るための活動をしない弁護士がいることも事実なようです。
また、国選弁護人の場合、刑事事件の経験がほとんどない、または専門外である弁護士が付く可能性もあります。
保釈の可能性を高めるためには、刑事事件に精通していて、熱心な弁護活動をしてくれる私選弁護士に依頼をすることが望ましいでしょう。
保釈を依頼する際の弁護士費用
通常は、保釈請求のみを依頼するわけではなく、刑事弁護を依頼し、弁護活動全体の中で保釈についても検討することになります。
弁護士費用は、主に着手金と報酬金からなりますが、合計で100~200万円ほどが相場になります。保釈が必要な事件など、逮捕・勾留されている事件や、起訴されて裁判になる事件では費用が比較的高くなることが一般的です。
報酬金は、無罪や執行猶予の獲得といった最終的な刑事処分だけでなく、多くの弁護士事務所では保釈の獲得などの弁護活動の成果ごとに発生します。弁護士に依頼する際は見積もりを出してもらい費用の内訳をしっかりと確認することが重要です。
保釈金は弁護士費用とは別途用意する必要がありますが、保釈金の立替払いなど保釈支援をしている団体の利用や、保釈保証書を発行している団体もありますので、用意が難しい場合は弁護士に相談してみてください。
保釈に強い弁護士の選び方
保釈を認めてもらうためには、裁判官に説得的な主張を行う必要があり、保釈申請の経験やノウハウの蓄積が大きく影響します。そのため、刑事事件を注力して扱っている弁護士に依頼するようにしてください。
弁護士事務所のホームページに記載してある、取り扱い分野や刑事事件の実績が参考になります。
そして、刑事事件の弁護士選びでもうひとつ大切なポイントは、対面相談をすることです。弁護士との信頼関係がなければ刑事事件を乗り切ることは困難です。弁護士を直接見て、説明が丁寧か、信頼ができそうか、などご自身との相性も含めて確認してください。
アトム法律事務所の無料相談
アトム法律事務所は刑事事件に注力する法律事務所としてこれまで数多くの刑事事件を取り扱ってきました。そのため、保釈についても確かな経験とノウハウの蓄積があります。
- 保釈をして欲しい・保釈できるのか聞きたい
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