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中学生・高校生の子どもが被害届を出されたら?親が知っておくべき対応と注意点

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子どものトラブルについて「被害届が出された」と知らされたとき、親はどう対応すべきなのでしょうか。

特に、お子さんが中学生や高校生である場合、「警察はどう動くの?」「学校や進学、就職に影響はあるの?」「家庭では何をすべき?」など、多くの疑問や不安が湧いてきます。

この記事では、「中学生・高校生が加害者として被害届を出された場合」の流れや影響、親としてできる対応をわかりやすく解説します。

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1. 中学生・高校生の事件と被害届

被害届とは?

被害届とは、被害者が、警察等に対して、被害に遭ったことを知らせる書面のことです。

被害届が出されたら、捜査機関が事件を調べ、加害者を突き止める可能性が出てきます。

中学生高校生が加害者となる事件でも、被害届が出される可能性はあります。

被害届を出されたら少年事件になる!

中学生・高校生が加害者になる事件は、一般の刑事事件とは異なり、「少年事件」として扱われることになります。

少年事件とは、20歳未満の未成年者がおこした事件のことです。

日本では「少年法」により、20歳未満の未成年には、保護処分による教育を重視した特別な制度が用意されています。

少年事件刑事事件
対象・少年(20歳に満たない者)・成人
・一部の少年
目的教育罪の制裁
処分保護処分刑事処分(刑罰)

2. 中学生・高校生が被害届を出された後の流れ

中学生や高校生がおこした少年事件について、被害届が出された後の主な流れは、以下のとおりです。

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(1)警察・検察の捜査・調査

警察・検察の捜査(調査)では、被害者や関係者からの聞き取りなどが行われます。

加害者となった中学生・高校生も、取り調べを受けます。

取り調べで聴取された内容は、供述調書にまとめられます。

捜査・調査の過程で、必要な場合は、学校に連絡が入ることもあります。

中学生の補導

14歳未満の場合、警察の調査の過程で、補導されることがあります。

補導とは、主に警察が、非行行為をした少年を一時的に保護することです。警察は、少年に助言したり、学校や保護者、関係機関に連絡を入れたりします。

中学生・高校生の逮捕

14歳以上の場合、捜査の過程で、逮捕される可能性もあります。

逮捕されたら、最大3日間、留置所で生活しながら取り調べを受けます。

その後、勾留や勾留に代わる観護措置に移行し、身体拘束が続く可能性もあります。

一般的にみて、初犯かつ軽微な事案では逮捕に至ることはあまり多くありません。

ただし、重大な事案では、逮捕されることもあります。

(2)児童相談所・家庭裁判所への送致等

14歳未満の場合は、児童相談所へ送られます。14歳以上の場合、家庭裁判所へ送られます。

触法少年

触法少年(14歳未満で、罪にあたる行為をした少年)がおこした事件は、児童相談所に送致・通告されます。

その後、児童福祉上の措置がとられたり、家庭裁判所に送致されたりします。

また、触法少年の場合、警察の触法調査で、事件終結となることもあります。

犯罪少年

犯罪少年(14歳以上20歳未満の少年)がおこした事件は、家庭裁判所へ送致されます。

(3)家庭裁判所の調査

中学生・高校生の事件が家庭裁判所に送致された後は、家庭裁判所調査官が、子どもの生活環境・反省の程度・再犯の可能性などを調べます。

調査結果は、少年審判の判断資料となります。

(4)家庭裁判所の少年審判

中学生・高校生の事件について家庭裁判所の調査が終わったら、必要に応じて少年審判(少年に対する裁判のようなもの)が開かれます。

少年の処分は、この少年審判で決まります。

少年の処分

  • 保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
  • 検察官送致(逆送)
  • 都道府県知事または児童相談所長送致
    など

なかには、調査の過程で、非行事実がないことが判明した場合や、少年の要保護性(再び非行に走る危険性)がなくなったと判断される場合もあります。

この場合には、処分を告知されずに終了します。

処分が出されない場合

  • 審判不開始の場合
  • 不処分の場合
    など

3. 中学生・高校生の被害届と前科・前歴

多くの保護者が気になるのは、「被害届を出されたら、うちの子の将来に傷がつくのでは?」という点でしょう。

ここでは、中学生・高校生が事件をおこした場合、前科になるのか、何かしら記録が残ってしまうのか、少年事件の記録が子どもの将来にどんな影響があるかなどを解説します。

前科
被害届のみつかない
保護処分つかない
逆送後に起訴つかない
逆送後に起訴され、刑事裁判で有罪が確定つく

被害届の提出だけなら「前科」にならない

まず大切なのは、被害届を出されただけでは「前科」(ぜんか)にならないということです。

前科とは、刑事裁判で有罪判決が確定した場合を指します。

通常の少年事件では、「前科」がつかないことが多いです。少年事件の場合、被害届を出された後、警察等の捜査を終え、家庭裁判所で少年審判で保護処分が出されることが多いですが、この「保護処分」は前科になりません。

なお、前科がつくと、資格や海外渡航などの法律上の制限をうけます。また、周囲に知られることで、事実上の不利益をこうむることがあります。

被害届が提出だけでも「前歴」になる

被害届が出されただけの場合でも「前歴」(ぜんれき)が残る可能性はあります。

前歴とは、事件の捜査・調査をうけた履歴のことです。

前歴には、逮捕歴、補導歴、非行歴、保護処分歴などが含まれます。

前歴がついても、法律上の制限や不利益を受けることはありません。

前歴は、原則として、外部に公表されません。

中学生・高校生の非行歴の報告義務

ただし、前歴を、学校・就職先への報告すべきかどうかは、ケースバイケースです。

進学や就職に影響を与えないよう、少年法に強い弁護士と協力し、適切な対応を取ることが重要です。

被害届が出されて「前科」になる場合

中学生・高校生で前科がつく可能性がある場合は、被害届が出された後に、少年審判に移行し、そこで検察官送致(逆送)が決定されたケースです。

検察官送致(逆送)になる事件には、たとえば、以下のようなものがあります。

検察官送致(逆送)になる例

  • 16歳以上20歳未満の時、故意の犯罪行為で、人を死亡させた場合
    例)殺人罪、傷害致死罪
  • 18歳以上20歳未満の時、死刑、無期の懲役・禁錮、または短期1年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯した場合
    例)現住建造物放火罪、強盗罪、不同意性交等罪

検察官送致(逆送)になった後は、検察官に起訴される可能性が高いです。

令和5年度、検察官送致(逆送)事件は1,541件あり、このうち1,511件(約98.1%)が起訴されています。また、起訴された事件のうち、1,505件は特定少年(18歳、19歳)の事件です(『令和6年犯罪白書第3編/第3章/第2節/1 検察庁での処理状況3-3-2-1表 逆送事件 検察庁処理人員(罪名別、処理区分別)」より)。

起訴されたら、刑事裁判になります。

日本の刑事裁判で有罪が確定する割合は約99%といわれています。

刑事裁判の流れ

検察官送致(逆送)になった場合、起訴される可能性は高いです。

その結果、刑事裁判になり、前科がついてしまう可能性も高いといえます。

【コラム】書類送検とは?

「書類送検」という言葉を耳にするかもしれません。

書類送検とは、警察が事件の書類を検察や家庭裁判所に送ることです。

書類送検された事件も、起訴(在宅起訴)されることはあります。

起訴後に、裁判で有罪が確定すれば、前科になります。

在宅事件の流れ

4.中学生・高校生は被害届が出されたら示談をする?

示談とは?被害届が取下げになる?

被害者との「示談」はトラブル解決や処分軽減に向けた大きな一歩となります。

示談とは、被害者と加害者が話し合い、和解の合意をすることです。

示談とは

示談では、加害者から被害者に対して、損害賠償やお詫びなどを行います。

被害届が出された後の示談

示談交渉の結果、被害者が被害届を取り下げてくれることもあります。

被害届が出される前でも示談は可能

被害届が出される前でも、示談は可能です。

この場合、示談では、被害届を出さないことを約束してもらえる可能性があります。その結果、警察に事件が発覚せずに、早期解決となることもあります。

示談の効果

示談は、被害者の被害回復などの効果があります。

そして、結果として、中学生・高校生の処分の軽減につながる効果も期待できます。

示談の効果(一例)

  • 被害者の被害回復につながる
  • 被害者の処罰感情が緩和される
  • 子どもの反省や更生への姿勢が評価されやすくなる

→家庭裁判所の処分・決定が軽くなる可能性がある

示談の進め方

中学生・高校生の事件で被害届が出された場合でも、示談交渉は、弁護士に依頼するのが望ましいです。

少年事件の示談を弁護士に依頼するメリット

  • 被害者の連絡先を入手しやすい
  • 示談交渉しやすくなる
  • 適切な内容で示談できる

被害者の連絡先を入手しやすい

弁護士に少年事件の示談を依頼することで、被害者の連絡先を入手しやすくなる可能性が高いです。

被害者の連絡先を知るには、警察や検察に取り次ぎを頼むことになりますが、少年自身や少年の家族では、教えてくれないことが多いです。

一方、弁護士がつけば、警察や検察が被害者の同意を得て、弁護士だけに情報を教えてくれることも少なくありません。

示談の流れ

また、捜査機関がどうしても被害者の連絡先の取次をしてくれなくても、少年審判で入手した資料から、弁護士が連絡先を調べ、示談交渉を始められるケースもあります。

示談交渉しやすくなる

弁護士に少年事件の示談を依頼することで、示談交渉しやすくなる可能性が高いです。

被害者の連絡先をもともと知っている場合でも、加害者側が直接連絡をとることは、控えたほうがよいです。

少年側から直接連絡を取る場合、捜査機関からは「お礼参り」や「証拠隠滅」を疑われ、逮捕の可能性を高めるリスクがあります。

また、被害者は、恐怖や怒りから犯人と直接連絡を取ることに抵抗があるため、示談交渉できないリスクも高いです。

弁護士であれば、被害者の感情に配慮しつつ、適切な対応をとりながら、示談交渉を進められる可能性が高いです。

適切な内容で示談できる

弁護士に少年事件の示談を依頼することで、適切な内容で示談できる可能性が高いです。

示談では、示談金やその他の示談条件を交渉する必要がありますが、加害者本人から申し出た場合、感情的な話し合いになるリスクがあります。

弁護士であれば、少年事件の実務を踏まえた法的観点から、提案をおこなうことができ、被害者の納得を得られやすいです。

また、弁護士であれば、法的に不備のない示談書を作成することもできます。示談書は、示談成立の証拠になります。示談書があれば、当事者間での紛争の蒸し返しを防ぐことができるとともに、裁判所に示談成立を主張できるようになります。

5. 弁護士への相談と「付添人」の役割

少年事件では「付添人(つきそいにん)」という制度があります。これは、少年に代わって権利や意見を主張し、適切な手続きをサポートする人のことです。

多くの場合、弁護士が付添人になります。

付添人の主な役割

  • 少年の言い分が正しく伝わるように援助する
  • 家庭裁判所での手続きをサポート
  • 家庭環境の改善提案や再発防止策の提示
    など

中学生・高校生の事件が発覚したら、早めに信頼できる弁護士に相談しましょう。

6. 被害届を出された後、家庭でできる対応と親の責任

中学生・高校生の親の対応

子どもがトラブルに関わったとき、家庭での支えや環境改善は、非常に大切です。

親としてどのようなことをしたらよいか悩んだら、少年事件に強い弁護士に聞いてみてください。

親ができることの例

  • 子どもとしっかり話し合い、反省を深めさせる
  • 生活態度や交友関係を見直す
  • 学校やカウンセラーと連携し、精神的サポートを行う
  • 必要に応じて家庭での再発防止策(スマホや外出などのルール見直し)を講じる

中学生・高校生の親の責任

民事的に「親の監督責任」が問われることもあります。

民法上、賠償責任を負わない子どもは12歳以下が目安にはなります。ですが、子どもが13歳以上であっても、事実上、親が肩代わりして賠償金を支払わなければならないケースは多いです。

特に暴力や器物損壊などで損害賠償請求を受けた場合、親がその責任を事実上負わなければならない可能性があるため、注意が必要です。

7.中学生・高校生が被害届を出されたら、まずは冷静な対応を

まとめの一言

中学生や高校生が事件をおこしてしまい、被害届が出された場合、まずは冷静になって今後の対応を考えましょう。

被害届が出されたからといって、いきなり有罪になったり、子どもの将来が大きく閉ざされたりするわけではありません。

中学生・高校生の事件には、少年法が適用され、子どもの「保護」や「更生」が重視されます。

中学生高校生の親ができることは、まずは子どもの事件に真剣に向き合うことです。そして、示談や環境調整を進める必要があります。

そのためには、中学生や高校生の少年事件に詳しい弁護士が必要になることもあるでしょう。

まずは冷静に状況を把握し、一人で抱え込まず、早めに弁護士にご相談ください。

アトムの弁護士の解決事例

こちらでは、過去にアトム法律事務所が取り扱った少年事件について、プライバシーに配慮したかたちで、一部をご紹介します。

中学生の傷害事件(審判不開始)

中学生が、元交際相手に暴力をふるい、怪我を負わせた事件。事件発生から3か月後に逮捕されたため、保護者がご相談にいらした。


弁護活動の成果

受任後、ただちに裁判所と交渉し、逮捕後の勾留を阻止。早期釈放を実現。

元交際相手と同じ学校に通っていたため、転校を提案。その他、家庭環境の調整をサポートし、結果、審判不開始で事件終結となった。

示談の有無

なし

最終処分

審判不開始

高校生の盗撮・下着泥棒(少年院送致)

高校生が、公園の女子便所に侵入し、用便中の女性の姿を盗撮のうえ、児童ポルノを製造した事案。ほかに、他人の住居に侵入し、下着泥棒をした事案も2件も少年審判にかけられた。その他、余罪多数。中学生のときに、少年審判歴あり。


弁護活動の成果

受任後、被害者らに謝罪と賠償を尽くし、3件中2件で示談が成立。残りの1件については、被害者から「少年の処遇に有利な意見書」を取得。

示談の有無

あり

最終処分

少年院送致

アトムの弁護士の評判・口コミ

刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。

立ち直るきっかけを作ってくれてありがとうございました。

ご依頼者様からの感謝のお手紙:刑事事件の依頼者(※少年事件に限らない「立ち直るきっかけを作ってくれてありがとうございました。」)

まず、夜中の遅くにでも電話対応してくださったことがありがたかったです。そのおかげでいろいろとスムーズに事を運べることができました。いつも親身になっていただき、そして、迅速に対応していただけたこと、大変感謝しております。本人も「立ち直るきっかけをつくっていただけたこと、本当にありがたく思っております。」と申しており、アトム法律事務所さんに出会えたことに感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。

弁護士さんの迅速な対応と言葉に励まされました。

ご依頼者様からの感謝のお手紙:刑事事件の依頼者(※少年事件に限らない「弁護士さんの迅速な対応と言葉に励まされました。」)

早々に対応して下さり、ありがとうございました。弁護士さんの言葉に、とてもはげましを受けました。

アトムの弁護士相談:24時間ご予約受付中

アトム法律事務所では現在、24時間365日、弁護士相談のご予約を受付中です。

警察沙汰になった少年事件については、初回30分無料で弁護士相談を実施中です。

  • 中学生の息子が警察に逮捕された
  • 高校生の娘が少年審判を受けることになった
    など

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了