
ご家族や大切な方が逮捕・勾留後に起訴された――。そんな深刻な状況の中、「高額な保釈金を用意できない」と頭を抱える方は少なくありません。実は、経済的に厳しい方でも保釈を実現できる制度があります。それが、「保釈支援協会」の保釈金立替制度です。
この記事では、保釈支援協会とはどのような団体か、保釈金立替制度を利用する際の流れ、さらに「保釈金を借りる」他の選択肢との違いについて、分かりやすく解説します。制度を正しく知ることで、今すぐ取れる行動が見えてくるはずです。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
保釈支援協会とは?経済的に保釈が難しい人を支える団体
一般社団法人日本保釈支援協会(通称:保釈支援協会)は、経済的な理由で保釈が難しい被告人やその家族を支援する団体です。2004年に設立され、代表理事は弁護士が務めています。
本来、保釈制度は「逃亡や証拠隠滅のおそれがない被告人」に対して、裁判までの間を社会で過ごす自由を保障する大切な制度です。しかし、保釈には通常150万~300万程度の保証金が必要とされ、経済的に余裕がない人は保釈を断念したり、やむを得ず高金利の業者から借金をするケースもありました。
こうした状況を改善するため、保釈支援協会では以下の支援を行っています。
- 保釈に関する手続きの助言や指導
- 保釈金の立替
同協会は、被疑者・被告人の基本的人権を守ることを目的とし、保釈制度の実効性を高める役割を担っています。経済的な事情で保釈をあきらめる人を減らすことで、より公平な刑事司法の実現を目指しています。
保釈支援協会の保釈金立替制度とは?仕組みと流れ
保釈支援協会は、経済的な理由で保釈金を用意できない人のために、保釈金の全額または一部を立て替える支援制度を提供しています。
保釈金立替制度を利用すれば、最大500万円までの保釈金を借りる(立て替えてもらう)ことができます。
以下は、この制度を利用する際の基本的な流れです。
保釈金立替制度を利用する流れ
- 申込
被告人の関係者が協会のウェブサイトやFAXで申込書を提出します。 - 審査
協会が申込人や担当弁護士に連絡し、事件内容などを確認。 - 契約
審査通過後、申込人の本人確認書類を提出し、担当弁護士を通じて立替契約を締結します。 - 書類送付
担当弁護士が協会に「立替金取扱確認書」や「保釈許可決定通知」などの4つの書類をFAX・メールします。 - 手数料振込
申込人が協会指定の口座に手数料を振込。入金確認後、協会が立替金を担当弁護士の口座に送金します。 - 返還
裁判終了後、裁判所から返還された保釈金を、担当弁護士を通じて協会に返還します。
保釈金立替制度の利用条件は?金利は?
誰が利用できる?
保釈金立替制度を利用できるのは、被告人の家族・親族・友人・知人・同僚などの関係者です。被告人本人は利用できません。
また、制度を利用するためには、担当弁護士に書類を提出してもらう必要があります。保釈金を用意することが難しく、保釈金立替制度を利用したい場合には、担当弁護士に相談してから申込するとスムーズでしょう。
審査の内容・期間は?
保釈金立替制度を利用するには、まず協会による審査を受ける必要があります。審査では、事件の内容や前科の有無、被告人の生活状況などが確認されます。結果は早ければ30分程度で出ることもあります。
審査に通れば、保釈金の全額を立て替えてもらえる可能性がありますが、事件の内容や過去の前科などによっては、一部自己資金の負担を求められることもあります。なお、自己資金で納めた保釈金も、保釈中に逃亡や証拠隠滅などの禁止行為をしなければ、裁判終了後に裁判所から返還されます。
金利はかかる?
保釈金の立替にあたっては、金利(利息)はかかりません。ただし、手数料として「事務手数料一律5,500円(税込)」と「立替手数料」が必要です。立替手数料は、立替金の金額によって変動します。
これらの手数料は、返還されるものではありません。
立替手数料の金額
立替金額 | 2か月立替時の手数料(税込) |
---|---|
50万円まで | 13,750円 |
100万円まで | 27,500円 |
150万円まで | 41,250円 |
200万円まで | 55,000円 |
250万円まで | 68,750円 |
300万円まで | 82,500円 |
350万円まで | 96,250円 |
400万円まで | 110,000円 |
450万円まで | 123,750円 |
500万円まで | 137,500円 |
※2025年5月28日時点の金額。内容に変更がある場合があります。
保釈金を借りる方法:他の選択肢との比較
保釈金を準備する手段として、保釈支援協会のほかにも「金融機関から借入」「親族・知人から借りる」といった選択肢が考えられます。
保釈金を準備する手段の比較
項目 | 保釈支援協会 | 金融機関から借入 | 親族・知人から借りる |
---|---|---|---|
手段 | 弁護士経由で手続きがスムーズ | 即日融資などスピード重視 | 柔軟な対応が可能 |
メリット | 金利なし | 手続きが早く、すぐに資金確保 | 融通が利きやすい |
デメリット | 審査があり、一部自己資金の準備が求められるケースも | 金利が高く、返済負担が重い場合も | 人間関係に悪影響が出る可能性 |
保釈支援協会は、「社会的に認められた制度である上、手数料はかかるが高額な金利がかからない」安心感があります。一方で、「金融機関での借り入れ」や「親族・知人から借りる」よりも審査などで時間がかかる可能性があります。
そもそも保釈金とはどんなもの?
保釈金とは保釈の際に預けるお金
そもそも保釈金(保釈保証金)とは、事件が起訴された後も身柄拘束が続いている被告人を釈放するために、裁判所に一時的に預ける金銭のことです。基本的に預けた保釈金は返ってきます。
保釈はただ保釈金を預ければ成立するものではなく、弁護人等が保釈請求を行い、裁判官の許可を得る必要があります。つまり、保釈で釈放されるためには、裁判官による保釈の許可と保釈金の納付が条件になります。
保釈金は、被告人の出頭を保証するためのもので、「保釈金が没収されないように出頭しよう」と被告人に心理的圧力をかける効果があります。
そこで、被告人が支払える範囲内でありながら、没収されると困る金額が保釈金として決められるのです。
保釈の制度や具体的な申請手続きについて詳しくは『保釈申請の流れ。保釈条件と必要な保釈金は?起訴後の勾留から解放』の記事が参考になりますので、あわせてご覧ください。
保釈金を支払うメリットとは?
保釈金を払うメリットは、決められた金額を納付すればすぐ釈放されることでしょう。
対象になる被告人は逮捕以降ずっと身柄拘束が続いていることが大半になります。保釈が許可され、保釈金を支払えば外に出られるので、被告人の精神的メリットは大きいです。
また、保釈金を払って釈放されれば、裁判所の出頭要請に応じることを条件に、日常生活を送ることができるので、仕事や学校にも復帰できます。
さらに、起訴されている状況なので、来るべき裁判に向けて弁護人と十分に打ち合わせができることも保釈金を払う大きなメリットになります。
保釈支援協会の利用に関するよくある質問
Q.家族が逮捕されました。制度を利用すれば釈放されますか?
家族が逮捕された場合、すぐに「保釈」で釈放されるとは限りません。保釈は、起訴された後に裁判所が認めた場合に限り利用できる制度です。
つまり、逮捕直後やまだ起訴されていない段階では、保釈の申し立て自体ができず、保釈金立替制度などの支援も使えません。
一方で、起訴された後も身柄が拘束されたままであれば、保釈の申請が可能となり、保釈金立替制度などを利用して釈放の可能性を高めることができます。
簡単に言うと、保釈金立替制度が使えるのは「起訴後も身体拘束が継続している場合」だけという点がポイントです。
Q.保釈金立替制度は金融機関から借入があっても利用できる?
金融機関の借入や信用情報(いわゆる「ブラックリスト」状態)は審査に影響しません。この制度は、金融機関による融資とは性質が異なるため、一般的なローンのような信用審査は行われないからです。
利用できるかご不安な方は、保釈支援協会に一度相談してみることをおすすめします。
まとめ:まずは弁護士に相談を
保釈支援協会の保釈金立替制度は、経済的な理由で保釈金の用意が難しい方にとって、非常に心強い支援制度です。
「保釈金を借りる方法」で迷われている方は、保釈支援協会の利用は現実的かつ信頼性の高い選択肢の一つです。一人で悩まず、まずは担当弁護士に相談しましょう。
アトム法律事務所は、起訴された後の事件では無料相談が可能です。裁判に向けて、既に依頼している弁護士の弁護方針が適切かどうか、セカンドオピニオンとしての相談も受け付けています。
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先生のおかげで落ち着いて、希望をもって、裁判に臨めました。

(抜粋)保釈までの先生のとってくださった対応の早さなど、私も本人も大変おどろかされ、また、先生のご尽力に大変感謝した次第です。落ち着きもとりもどし希望がもて、裁判に望む事が出来たと申しておりました。無事裁判を終え、今は人生の再起に向けて積極的に活動しております。本当に良い弁護士さんに出会えたことが私共の次の人生の糧となっております。
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