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住居・建造物侵入の有名裁判例

住居・建造物侵入罪は窃盗、強盗など様々な目的をもって犯されることが多いです。
ここでは、「侵入」の意義や、これにあたる具体例として参考となる判例をご紹介します。

「侵入」の意義および立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合に建造物侵入罪の成立を認めた判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 昭和55年(あ)第906号 判決年月日: 昭和58年4月8日

判決文抜粋

「(「侵入」とは、)他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいう」
「管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であつても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、(略)管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは(建造物侵入)罪の成立を免れない」

弁護士の解説

労働運動のため多数のビラを貼付する目的で郵便局局舎内に立ち入った事案で、建造物侵入罪の成立を認めた判例です。
「侵入」とは、管理権者の意思に反して立ち入ることをいい、管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、立ち入り拒否の意思が明示されていなくとも、建造物侵入罪が成立するとされました。

暗証番号を盗撮する目的でした営業中の銀行支店出張所への立入りは建造物侵入罪にあたると判示した判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 平成18年(あ)第2664号 判決年月日: 平成19年7月2日

判決文抜粋

「現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で,現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり,そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから,その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても,建造物侵入罪が成立するものというべきである」

弁護士の解説

銀行への立ち入りが他の利用客と外観上同じでも、暗証番号盗撮目的での立ち入りは管理権者たる銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるとして、建造物侵入罪が成立するとされました。
一般に立入りが許容されている場所への平穏公然な立入りについても、建造物侵入罪が成立し得るというわけです。

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