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ひき逃げの時効は7年、10年?パターンごとの時効期間や対処方法を解説

ひき逃げの時効は7年、10年?パターンごとの時効期間や対処方法を解説

ひき逃げ事故は重大な刑事罰を科せられる可能性の高い犯罪です。被害者が死亡してしまうケースも少なくありません。

被害者や遺族へ損害賠償を支払う義務が生じることはもちろんし、「すぐに通報してくれれば早く治療できて助かったかもしれないのに」という怒りから厳しい処罰も求められるでしょう。

ひき逃げ事件も「時効」が適用されるので、長い月日が経過すると賠償請求されなくなったり処罰を受けなくなる可能性はあります。

今回はひき逃げ事件の時効をパターンごとに紹介し、加害者が取るべき対応を解説します。

ひき逃げ(救護義務違反)とは

ひき逃げとは、人身事故を起こした加害者が被害者を救護せずに逃げてしまう犯罪です。

交通事故を起こしたら、加害者は必ず現場で被害者を救護し周辺の危険を除去しなければなりません(道路交通法72条1項前段)。こうした救護義務を果たさずに加害者が立ち去ると、救護義務違反として重い処罰を受けます。

ところが実際には、事故を起こしてしまったことで気が動転してしまい、救護義務を果たさずにその場を離れてしまう加害者も少なくありません。また、もしかしたら人身事故を起こしてしまったかもしれないと思いつつも、信じたくない気持ちからその考えを否定し、動物やモノにぶつかっただけだと解釈してそのまま走り去ってしまうケースもあります。

このような加害者が救護義務違反をせずに立ち去る交通事故全般を「ひき逃げ」や「ひき逃げ事故」といいます。ひき逃げには被害者がけがをした場合も死亡した場合も含まれますが、被害者が死傷しなかった場合(物損事故)にはひき逃げ事故になりません。

ひき逃げについてより詳しく知りたい方は『ひき逃げ事件を弁護士が解説』のページもご覧ください。

ひき逃げの時効は2種類

ひき逃げには「時効」が適用されます。時効は大きく分けて刑事事件の時効と民事上の賠償責任についての時効の2種類があるので、以下でみてみましょう。

公訴時効(刑事事件の時効)

1つ目は「公訴時効」とよばれるものです。これは「加害者を起訴して刑罰を与えるための時効」です。公訴時効が完成すると加害者を起訴することができなくなるので処罰されません

公訴時効は「刑事事件の時効」と考えるとわかりやすいでしょう。

刑事事件になぜ時効があるか

刑事事件に時効がある理由はいくつかありますが、大きな理由としては時間の経過とともに正確な証拠を集めることが困難になり、正しい裁判を行うことができなくなってしまうことが挙げられます。また、実際上も、証拠資料を保管し、人員を投入し、捜査体制を永遠に維持し続けるにはどうしても限界が生じるでしょう。

しかし、 犯罪被害者や遺族の声の高まりや、古い証拠からであっても正確に犯人を特定できるような科学技術の進歩に伴い、殺人などの「人を死亡させた罪であつて死刑に当たる罪」 については2010年に公訴時効が廃止されました。

ただしひき逃げについては、時効廃止の要望も強くあるものの、他の犯罪との均衡などの観点から時効廃止には至っていません。

民事損害賠償の時効

被害者やその遺族はひき逃げによって生じた損害を加害者に賠償請求することができますが、この民事損害賠償にも時効があります。

ひき逃げで生じる様々な損害

  • 治療費
  • 休業損害
  • 入院付添費
  • 交通費
  • 介護費用
  • 慰謝料
  • 逸失利益

こういった賠償金の請求権には「民事の時効」が適用されます。ひき逃げの損害賠償の時効は、基本的に「交通事故発生と加害者を知ったときから5年」です(民法724条2号)。

※ 2020年4月1日改正。2020年3月31日以前の事故については、「交通事故発生と加害者を知ったときから3年」です。

被害者がひき逃げ犯人を知らない限り時効が進行しないので、交通事故後3年や5年が経過しても必ずしも責任を免れることはできません。

ひき逃げで成立する犯罪

時効期間は成立する犯罪によって変わってきます。ひとくちに「ひき逃げ」といってもその態様によって成立する犯罪に違いがありますのでまずは「ひき逃げ」で成立する犯罪を確認しましょう。

「ひき逃げ」で成立する犯罪には、道路交通法違反の罪と、自動車運転処罰法違反の罪の2種類があります。

道路交通法違反

救護義務や警察への報告義務、飲酒運転禁止や制限速度などの運転者の義務違反についての罪は道路交通法に定められています。救護義務違反(ひき逃げ)はこちらに含まれます。

加害者の運転が原因で相手を死傷させた事故では、救護義務違反の罰則は「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」です(道交法72条1項前段、117条2項)。

自動車運転処罰法違反

不注意によって交通事故を起こし、被害者を死傷させてしまったことについて成立する犯罪です。主に以下の2種類の犯罪類型があります。無免許の場合はさらに重い罪が科せられます。

過失運転致死傷罪

一般的な不注意によって交通事故を起こし、被害者を死傷させたときに成立する罪です。刑罰は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金刑」とされています。

危険運転致死傷罪

故意とも同視できるほどの悪質な過失や故意によって交通事故を起こし、被害者を死傷させたときに成立する罪です。被害者がけがをした場合と死亡した場合とで刑罰が異なります。

被害者がけがをした場合…15年以下の懲役
被害者が死亡した場合…1年以上の有期懲役

道路交通法違反と自動車運転処罰法違反の関係

不注意による事故で人を死なせてしまい、さらに救護義務も怠る(=ひき逃げをする)と、過失運転致死傷罪と救護義務違反の罪が両方成立します。

この場合両者は併合罪と呼ばれる関係になり、重い罪の長期1.5倍の刑(罰金の場合は両方の罪の合計)が科されます。

過失運転致死傷のひき逃げの例

過失運転致死傷罪:「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金刑」
救護義務違反:「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」

↓ 両方が成立すると刑は…

過失運転致死傷のひき逃げ:「15年以下の懲役または200万円以下の罰金」

ひき逃げの公訴時効

公訴時効は「人を死なせたかどうか」と「法定刑の重さ」によって刑事訴訟法250条でその期間が定められています

ひき逃げ事故の公訴時効は「被害者が死亡したかケガをしたのか」「加害者に過失運転の罪が成立するのか危険運転の罪が成立するのか」によっても大きく異なるため、ケースごとに正しく計算しなければなりません。

被害者が死亡した場合

加害者の運転によって被害者を死亡させたひき逃げ事件の公訴時効期間は以下のとおりです。

罪名法定刑公訴時効
過失運転致死罪7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金10年
危険運転致死罪1年以上(20年以下)の有期懲役20年
救護義務違反10年以下の懲役又は100万円以下の罰金7年

加害者に過失運転致死罪が成立する場合には公訴時効は10年、危険運転致死罪が成立すると公訴時効は20年。救護義務違反そのものの時効はどちらにしても7年間にとどまります。

たとえば、過失運転致のひき逃げでは、7年が経過すると救護義務違反については公訴時効が成立しますが、10年経過するまでは過失運転致死罪の責任を問うことはできます。

被害者が死亡しなかった場合

罪名法定刑公訴時効
過失運転致傷罪7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金5年
危険運転致傷罪1年以上(20年以下)の有期懲役10年
救護義務違反10年以下の懲役又は100万円以下の罰金7年

たとえば、過失運転致のひき逃げでは、5年が経過すると過失運転致傷罪については公訴時効が成立しますが、7年経過するまでは救護義務違反の責任を問うことはできます。

無免許運転の場合

無免許運転の場合、刑罰が加重されるため公訴時効期間も延長されます

罪名法定刑公訴時効
過失運転致罪(無免許)10年以下の懲役7年
過失運転致罪(無免許)10年以下の懲役 10年
危険運転致罪(無免許)6月以上(20年以下)の有期懲役 20年
危険運転致罪(無免許) 1年以上(20年以下)の有期懲役 20年

救護義務違反(ひき逃げ)の時効と交通事故自体の時効は違うことに注意

ひき逃げ事件では「ひき逃げの時効(救護義務違反の時効)」と 「交通事故の時効」 が異なることには注意が必要です。

ひき逃げの時効は7年で成立しますが、その後も過失運転致罪や危険運転致傷罪の時効は成立しません。数年間はこれらの罪で起訴される可能性があります。

特に危険運転致死罪が成立すると、公訴時効は20年となり非常に長期になります。ひき逃げをしたまま罪を免れようと思っても、厳しい状況といえるでしょう。

実際に死亡事故の検挙率は100%に近くなっており極めて高いので、逃げ切るのは困難な状況です。

ひき逃げしてしまったときの対処方法

もしもひき逃げをしてしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか?

自首する、任意出頭する

ひき逃げをしたら、警察へ自首するようお勧めします

自首とは犯罪が発覚する前に犯人が自ら捜査機関へ罪を申告すること。ひき逃げが明るみになる前であれば、自首によって刑罰を減軽してもらえる可能性が高くなります。自首が成立すると、刑罰が任意的に減軽されることになっているためです。

一方、ひき逃げの犯人であることが明らかになっていると自首は成立しません。その場合でも、任意で出頭したことによって情状が良くなる効果を期待できるので、逮捕される前に出頭しましょう。

時効の成立を待つのはおすすめできない

ひき逃げした場合、隠れたまま公訴時効を待とうと考える方もいるかもしれません。 確かに自首や任意出頭せずに時効が成立したら処罰を受けずに済みます。しかし時効の成立を待つのは得策とはいえません。

犯罪白書(令和元年版)によれば、ひき逃げの検挙率は2018年には60.8%、なかでも死亡事故の検挙率は97.7%です。近年はドライブレコーダーの需要も高まっており、ひき逃げの検挙率は年々上昇を続けています。逃げることは賢明ではありません

また、いつ何時警察に逮捕されるかわからない状態になるので、何年もの間隠れて生活しなければならないのは大変です。ある日突然警察がやってきて逮捕されてしまうリスクと隣り合わせの生活になります。人生の貴重な期間をおびえながらの生活に費やしてしまうのは大きな損失となるでしょう。

そして、逃げた場合には逮捕されたときの情状も悪くなり、より重い刑罰を科される可能性が高くなります。

時効の成立を期待するよりも自ら罪を申告することが、誠実な対応といえますし、自身が受ける不利益も最小限で済む可能性が高いです

弁護士へ相談する

「パニックになり事故現場から走り去ってしまった」
「もしかしたらひき逃げをしてしまったかもしれない」

このようなお悩みで、どうすればよいか迷っているなら、まずは弁護士に相談してみてください。

自首のメリットやデメリットを教えてもらえるので、本当に自首して良いものか正しく判断できます。自首する際にも弁護士に同行してもらえますし、そのことで「確実に自首した」証拠を残し、刑の減免を受けやすくする効果も期待できるでしょう。

被害者との示談交渉や刑事弁護も依頼できて、結果的に最も良い方向で解決できる可能性を大きく向上させられます。

刑事事件の被疑者(容疑者)が可能な限り不利益を小さくするには、法律的な知識と刑事弁護のスキルを持った弁護士に対応してもらうことが極めて重要といえるでしょう。

事故を起こしたくて起こす人はまずいませんし、とっさの事故では冷静かつ適切に対応することはなかなか難しいものです。人間ですから弱い心もあります。逃げてしまいたくなることもあるでしょう。

しかし、起こしてしまった事故や被害者とはしっかりと向き合わなければなりません。弁護士はそのためのサポートをすることができます。一人では向き合うことが難しくても、心強い味方がいればそれだけで違うでしょう。アトム法律事務所の弁護士はあなたの絶対的な味方です。

当事務所では、刑事事件の加害者への刑事弁護に非常に熱心に取り組んでいます。ご相談内容が他に漏れる心配はありません。ひき逃げで被害届を出され取り調べや呼び出しを受けた方はもちろんのこと、まだ発覚していない方からのご相談も受け付けています。不安な毎日から解放されるためにも、まずは一度お気軽にご相談ください。

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