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ひき逃げで逮捕|ひき逃げの刑罰は初犯だとどうなるのか?前科はつく?

ひき逃げの逮捕

ひき逃げ(救護義務違反)は「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」という厳しい刑罰が科される犯罪です。
さらに、通常ひき逃げでは救護義務違反だけでなく過失運転致死傷罪なども成立しますから、より重たい刑罰になる可能性があります。

ひき逃げは通常の交通事故よりも悪質性が高く、厳しい刑事責任が問われるのです。

しかし、重大事故で逃げたケースだけがひき逃げではありません。

  • 交通事故の後に現場を離れてしまった
  • 接触がなかったと思った
  • 相手が大丈夫と言ってその場を去ってしまった

このような適切に対処すれば何事もなく解決できたようなちょっとした事故が、ひき逃げ事件となってしまうこともかなり多いのです。

では、ひき逃げをした場合、実際にどのような流れで刑事手続が進むのでしょうか。この記事では、ひき逃げすると逮捕されるのか、逮捕後の流れ、前科はつくのかという気になるポイントについて詳しく解説します。

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ひき逃げすると逮捕されるの?

「ひき逃げ」は、法律上の言葉ではありません。まずは、どのような行為がひき逃げに当たるのかご説明します。さらに、刑罰の内容、必ず逮捕されるのか、自首した場合どうなるかという点も解説します。

どのような行為が「ひき逃げ」になるの?

ひき逃げとは?

ひき逃げとは、自動車などの運転中に人身事故があった場合に、道路交通法で定められた必要な措置を講じることなく現場を離れることをいいます。

典型的には、自動車で人をひいてそのまま逃げる場合がひき逃げに当たります。さらに、自動車同士が衝突して、負傷者が出たのに放置して逃げる場合も該当します。

ひき逃げはどのような犯罪に当たるの?

ひき逃げをした場合、まず、運転者の義務を果たさなかったことについて、道路交通法の救護義務違反や報告義務違反の罪に該当します(同法第72条)。救護義務違反の法定刑は「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」、報告義務違反の法定刑は「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」です。

また、相手方を自動車の運転で怪我をさせたことについて、自動車運転処罰法の過失運転致死傷罪(同法第5条)や危険運転致死傷罪(同法第2条)などに該当します。過失運転致死傷罪の法定刑は、「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」、危険運転致死傷罪の法定刑は「15年以下の懲役(負傷)、1年以上の有期懲役(死亡)」です。

複数の罪で同時に起訴された場合、道交法違反と過失致傷罪や危険運転致死傷罪は併合罪となり、刑罰の上限が変わります

ひき逃げの刑罰

ひき逃げすると必ず逮捕されるの?

ひき逃げにより被害者が死亡したり重傷を負った場合、逮捕される可能性が高いです。
街中に設置されている防犯カメラの映像をもとに、警察が加害車両を特定することが可能だからです。

ひき逃げすると逮捕されるの?

また、被害者や目撃者が加害車両のナンバーを一部でも記憶している場合、警察の照会システムによって加害車両が特定されるケースもあります。その他にも、被害者や目撃者のドライブレコーダーから特定されることもあります。

これらの方法により、事件発生当日や翌日に警察が加害者の自宅に来て、逮捕に至ることが多いです。もっとも、被害者が軽傷の場合は逮捕されないこともあります

いずれにせよ、前科がつくことを回避したり、執行猶予や刑を軽減するために早期に弁護士に依頼することをおすすめします。

ひき逃げした場合、自首した方がいい?

事故直後、気が動転して逃げてしまってもそのまま逃げ続けることは決してしないでください。逃亡を続けるほど情状が悪くなり、刑罰が重くなるおそれが高まります。被害者の苦しみから目をそむけ生活を続けることは、加害者にとっても精神的に辛いものです。

このような事態を解消するために弁護士に相談の上、自首することをおすすめします。自首すると、裁判官の裁量によって刑が軽くなる可能性があります(刑法42条1項)。また、事案によっては、略式起訴となり罰金で済んだり不起訴となることもありえます。

とはいえ、自分一人で警察に出頭するのは勇気がいることです。事実関係を正確に説明することも一人では難しい場合も多いでしょう。弁護士に依頼すれば、警察に同行することが可能です。同行者がいるだけで精神的負担は相当軽くなります。

また、弁護士は、事前に事実関係を丁寧に聴き取り、事情聴取の際にどのように伝えるべきかアドバイスします。必要に応じて弁護士から警察に説明することもできます。

ひき逃げで逮捕された後の流れ

ひき逃げの疑いで逮捕された場合、その後の刑事手続がどのように進むのか不安ですよね。逮捕は最大3日間、起訴前勾留は最大20日間続く可能性があります。ここでは、逮捕から起訴されるまでの流れを具体的にご説明します。

逮捕 流れ

①逮捕~警察での取り調べ

逮捕されると警察で取調べを受けます取調べは警察と一対一で行われるので、精神的に厳しいものがあります。また、取調べで話した内容は供述調書という書面にまとめられますが、この書面の内容を後で「間違いだ」と認めてもらうのは非常に難しいので供述内容やどういう記載の仕方がされているかは注意する必要があります。

適切に対応するためにも、刑事事件の経験豊富な弁護士に依頼し、取り調べで何をどう話すべきか十分にアドバイスを受けることをおすすめします。

②【逮捕後48時間】検察官への送致(送検)

警察は、留置する必要があると判断した場合、逮捕から48時間以内に被疑者を検察官に送致しなければなりません。被疑者は、逮捕の翌日か翌々日に検察庁に連れて行かれ、釈放の有無が検討されることになります。

③【逮捕後72時間以内】勾留請求・勾留質問

検察官は、送致された被疑者と面談して、留置の必要があると判断した場合、送致から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければなりません。つまり、勾留請求のタイムリミットは逮捕から72時間以内(3日間以内)です。

勾留請求を受けた裁判官は、被疑者と面接して勾留するかどうか決めます。これを勾留質問といいます。全国的には勾留請求日と同じ日に勾留質問が行われることが多いようです。

④【最大10日間】逮捕後の勾留

裁判官が勾留を必要と判断すると勾留状を発付します。これを勾留決定といいます。逮捕後の勾留は原則として10日間です。

⑤【最大10日間】勾留期間の延長

裁判官が、「やむを得ない事由」があると認めるときは、検察官の請求により勾留期間を延長することができます。延長期限は最大10日間です。

⑥起訴・不起訴の決定

勾留期間が終わると、検察官は起訴するかどうかの判断を行います。ひき逃げの場合、悪質性が高いと判断され刑事裁判になる可能性が高いです。

もっとも、被害者が軽傷の場合など状況によっては略式起訴となり罰金刑で済むこともあります。また、示談が成立して被害者が加害者を許すという意思を示している場合などは、不起訴となる場合もあります。

ひき逃げで逮捕されたら、まずはどうすればいいの?

逮捕後、早期に釈放されるには弁護士に依頼することが最善の方法です。弁護士は、検察官や裁判官に勾留すべきではないという意見書を提出したり、面会して勾留しないよう説得します。

勾留された場合には、「準抗告」という不服申し立てを行い釈放に向けて活動します。

ひき逃げで逮捕されたら、まずはどうすればいいの?

さらに、起訴された場合は、保釈の申し立てを行うことで身体拘束からの解放を目指します
このように、弁護士は刑事手続きの各段階で釈放に向けて全力を尽くします。

ひき逃げで逮捕されると前科がつくのか

ひき逃げの場合、刑事裁判で有罪になった場合や、略式起訴されて罰金刑になると前科がつきます。前科がつくことを避けるには、不起訴処分となる必要があります。

ひき逃げで不起訴処分となるには示談が重要

不起訴処分となるには、一日も早く被害者に謝罪と賠償を行い示談を成立させることが重要です。では、早期に示談を成立させるにはどうすればよいのでしょう。

多くの場合、加害者は対人無制限の保険に加入していると思います。しかし、その場合でも保険会社に任せきりにせず、弁護士に依頼の上、示談交渉を行うことをおすすめします。なぜなら、保険会社による示談は進捗が遅いことが多いので、刑事処分が出るまでに成立しないおそれが高いからです。

また、保険会社による示談書には被害者が加害者を許すという文言は入っていないことが一般的です。この点でも、保険会社による示談を待っていては不十分です。

一方、弁護士は被害者の心情に十分配慮しつつ、早期の示談成立を目指して交渉を進めます。刑事弁護の経験豊富な弁護士であれば、加害者を許すという文言付きの示談書を取り交わすことも期待できます。

そして、弁護士は、検察官に対し、示談書を添付した上で起訴しないよう求める意見書を提出します。検察官が、起訴は必要ないと判断すれば不起訴となり、直ちに釈放され前科もつきません。

弁護士の示談と保険会社の示談の違い

刑事弁護士の示談保険会社の示談
示談内容刑事処分への影響大刑事処分への影響小
交渉期間即交渉で短期間治療待ちで長期間

ひき逃げの刑罰は初犯だと執行猶予や減刑となるのか?

ひき逃げは、悪質性が高いと判断され刑事裁判になる可能性が高い犯罪です。裁判になった場合、禁錮刑よりも重い懲役刑が求刑されるのが一般的です。

もっとも、前科前歴がなく、被害者が死亡していないケースでは執行猶予になる可能性も十分あります。量刑は一概には言えませんが、初犯で死亡事案でなければ、懲役1年から2年、執行猶予3年となることが多いようです。

他方、危険運転致死傷罪など悪質性が相当高い犯罪の場合、初犯でも実刑になる可能性が高いです。

裁判で重視されるのは、ひき逃げの態様、悪質性、怪我の程度や後遺症の有無といった結果の大きさです。

執行猶予や減刑となるためには、示談を成立させることが非常に重要です。被告人が真摯に反省していることや家族による監督が期待できるといった事情も量刑上有利に考慮されます。

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アトム法律事務所 所属弁護士