前科・前歴があると、就職で不利になったり、会社を解雇されたりするなど、私生活に支障をきたすことがあります。
いざ就職しようとしても、面接が通らず、企業になかなか雇用してもらえないという声もあります。
前科がある場合には、ポイントを押さえた就職活動をすることが大切です。
ここでは、弁護士が前科と就職の関係について詳しく解説しています。前科アリの就職活動で注意すべきポイントについても紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
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前科・前歴があっても就職するためのポイントとは!?
前科・前歴があるからといって、就職は不可能ではありません。
しかし、企業が求人を出す場合、前科・前歴のある人を大歓迎することはないでしょう。
むしろ、企業の信用や秩序を維持するために、前科・前歴のある人の採用はなるべく避けようとする企業が多いはずです。
前科・前歴を持つ人が就職しようとする際、どのようなことに気を付けるべきか、法的な立場から弁護士が解説していきます。
そもそも前科がどういうものか知りたい方は『前科について解説|前歴との違いや前科の影響とは』の記事をご覧ください。
逮捕歴に関しては『逮捕歴とは?何故バレる?逮捕歴があると不利益になる?』の記事で解説しています。
賞罰欄がなければ、前科・前歴を書く必要はない
一般的に、賞罰欄のない履歴書に前科の情報を書く必要はありません。
しかし、指定の履歴書で賞罰欄があるのに「前科なし」と嘘を書くと、経歴詐称として解雇される原因になる可能性があるので注意が必要です。
また、過去に受けた有罪判決以外の犯罪歴(逮捕歴など)については前科ではなく前歴となります。前歴については、履歴書の賞罰欄があっても書く必要はありません。
履歴書の賞罰欄にいう「罰」とは一般に確定した有罪判決(いわゆる「前科」)を意味するから、使用者から格別の言及がない限り同欄に起訴猶予事案等の犯罪歴(いわわゆる「前歴」)まで記載すべき義務はないと解される。
マルヤタクシー解雇事件 昭和60年9月19日 仙台地裁判決
質問されない限り、前科・前歴は言わなくてOK?
面接官から質問されない限り、前科・前歴は自発的に言わなくても問題ありません。
前科・前歴は重大な個人情報です。特段の必要がなければ、面接で賞罰の有無を聞いてくる企業はほとんどないでしょう。
ですが、もし採用面接で前科・前歴について質問されてしまったら嘘をつくのはリスクです。面接の場で嘘をついて「特にないです」と答えると、経歴詐称として解雇される原因となる可能性があります。
また、特に転職の場合に前科を隠していると、前職を辞めた理由の説明に困ってしまうのも事実でしょう。例えば、刑務所に入っていた期間があるような場合には、経歴のブランクをどう説明するのかを考えなければなりません。
前科がある場合には、これらの点をクリアできるような面接対策を行うことが重要です。
対策方法としては、就職・転職の支援をしているエージェントの利用がおすすめです。自分では思いつかなかった効果的なアドバイスがもらえる場合もあります。
前科・前歴があって面接が不安なときは、エージェントの利用を検討してみてください。
事件の報道がネットにある場合は弁護士に削除依頼を
企業が応募者の身辺調査を行い、前科・前歴について警察などから情報を入手することはできません。前科・前歴は重大な個人情報であり、企業が調べようとしても、公的機関が開示することはないからです。
そのため、企業は逮捕報道などの公開された情報をもとに、応募者からヒアリングをすることになるでしょう。
つまり、ネット上に逮捕記事や情報が載っていなければ、企業が応募者の前科・前歴を知ることはかなり難しくなるのです。
実名報道の記事や情報がネットに残ってしまっている場合には、ネット記事の削除を弁護士に依頼してください。ネット記事の削除請求は、弁護士が代理で行うことで迅速な対応が期待でき、スムーズに削除ができるケースが多いです。
また、現在もトラブルの渦中にいる刑事事件の加害者の方は、可能であれば事件後ではなく、刑事事件と並行してネット記事の対策を行うことが望ましいです。
刑事事件が報道される基準について詳しく知りたい方は『刑事事件が報道される基準やリスク、実名報道を避ける方法を解説』の記事をご覧ください。
資格が必要な仕事には要注意|欠格事由をチェックする
就職先によっては、資格(免許)が必要とされることもあります。そのとき、前科が影響して資格の取得ができないため、その職につくことができない場合があります。資格の取得前に、前科が「欠格事由」に定められていないか確認しておくことが大切です。例えば、医師、教員、税理士がその典型例です。
資格をもって働いていたけれど、前科がついたことで「欠格事由」に該当し、資格を失うということもあります。転職時に伏せておくことが、反対に不自然になる場合もあります。そのときには、就職を希望する企業に、事前に事情を説明しておくことが望ましいでしょう。
前科が欠格事由である資格 | 前科が欠格事由でない資格 | |
---|---|---|
一定以上の前科がつくと | 資格の停止や取消し | 資格に影響なし |
具体例 | 医師、教員、税理士 | 美容師、自動車整備士 |
関連記事
・医師・歯科医師に前科がついたら免許剥奪・取消?特有のリスクと逮捕の関係
・教員が逮捕されたら前科がつく!?前科がついた場合免許はどうなる?
入社後に前科・前歴がバレたらクビ?企業が調べる方法とは
前職の企業経由で前科・前歴がバレるのか?
前職の企業経由で前科・前歴の情報が渡されてしまう可能性は低いと考えられます。
仮にそのような問合せが入り、前職の企業が回答してしまうと、勝手に個人のプライバシー情報を暴露したということになり問題になるからです。
入社後に前科・前歴がバレるとクビになる?
賞罰欄のない履歴書を提出し、面接でも前科・前歴について質問がなく黙っていたが、入社後になってバレて懲戒解雇を言い渡されてしまった・・・!
このようなケースでは、懲戒解雇されてしまったとしても、裁判で争えば解雇を無効にできる可能性があります。
解雇は、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ、解雇権の濫用として無効となるからです(労働契約法16条)。
しかし、一度解雇されてしまうと、同僚の間で噂が立つなど、会社に居づらくなってしまう可能性が高いです。
法律的には解雇が無効となっても、会社を自主退職しなければならないような状況に陥ってしまうケースはあり得ます。
ブログや掲示板からも前科・前歴がバレる?
自分から就職先に申告しなくても、前科がバレてしまうときがあります。それは、過去に報道された事件の内容が掲示板やブログに残っていたり、炎上したりしている場合です。
ネットニュースは、記事を一定期間掲載した後に非公開にしますが、ブログや掲示板などに記事が残り続けてしまい、会社に前科・前歴がバレてしまうこともありえます。
ネットで情報が拡散されているときには、一刻も早く弁護士にご相談ください。専門家に相談することで、就職活動を円滑に進められる可能性が高くなります。
刑の執行から時間が経つと、前科が消える?
過去に確定した有罪判決はなくならないため、前科が消えることはありません。
ですが刑法では、刑の執行から一定の期間が経過すると「刑の言渡しの効力」が消滅すると定められています。
禁錮以上の刑の執行を終えてから、罰金以上の刑を10年間受けなかった場合、「刑の言渡しの効力」が消滅します。罰金以下の刑の執行を終えてから、罰金以上の刑を5年間受けなかった場合も同様です(刑法34条の2)。
禁錮以上の刑の執行後 | 罰金以下の刑の執行後 | |
---|---|---|
条件 | 罰金以上の刑に処されない | 罰金以上の刑に処されない |
必要期間 | 10年 | 5年 |
「刑の言渡しの効力」が失われると、履歴書の賞罰欄に前科を記載する必要や、面接で前科について答える必要はなくなります。
既に刑の消滅した前科といえどもその存在が労働力の評価に重大な影響を及ぼさざるをえないといつた特段の事情のない限りは、労働者は使用者に対し既に刑の消滅をきたしている前科まで告知すべき信義則上の義務を負担するものではないと解するのが相当であり、使用者もこのような場合において、消滅した前科の不告知自体を理由に労働者を解雇することはできない
マルヤタクシー解雇事件 昭和60年9月19日 仙台地裁判決
前科の影響を受けずに就職する方法|就職率があがる3つの選択
1.就職支援の活用と履歴書の書き方
前科があり就職が困難でお困りの場合、各種相談窓口を活用することをお勧めします。法務省の公式ホームページで紹介されている「コレワーク」という矯正就労支援情報センターや、ハローワークでの情報収集は有益です。また、履歴書の書き方や面接の受け方を工夫することで、就職率アップを目指すことができます。
最近では、各地で犯罪歴のある人を対象に、前科があっても社会復帰ができるよう就労支援をしているNPO団体があります。そうした活動に賛同する企業もあります。手当たり次第に就職活動をするのではなく、そうした機関を活用することも就職成功への第一歩といえます。
2.資格を取得して信用度を高める
資格を取得して信用度を高めることで、就職できる可能性を高めることができます。このとき、前科があることで、取得することができない資格があることに注意する必要があります。国家資格の場合、前科を欠格事由に定めていることが多いです。
民間資格では、前科の有無が問われないものも多く存在します。民間資格でも、一定の知識水準があることを客観的に証明できる証拠になることがあり、積極的に資格取得を検討することをおすすめします。知識や技能の有無を重視する仕事では、資格の有無が前科の有無よりも重視されることがあります。
3.企業に雇用されないという選択
前科の有無に左右されない働き方の一つに、「企業に雇用されない」という選択肢もあります。最近では、ココナラやクラウドワークスといった、自分の知識や技術を販売することが出来るプラットフォームが注目を浴びています。こうした場所で自分の店を構えるという方法も就職を考えるうえで選択肢の一つになるでしょう。
前科・前歴は、その人の経歴の一部であることに違いありません。しかし、前科・前歴があることで必要以上に評価が悪くなることがあります。企業に雇われて働くという選択の他にも、様々な可能性を考えておくことは社会復帰に必要なプロセスといえるでしょう。
まとめ
刑事事件の前科・就職が心配なら弁護士に相談
前科がついてしまうと、就職や仕事などに支障が出る可能性があります。そのため、刑事事件の加害者になっている場合には、すぐに弁護士まで相談してください。
弁護士の活動により、前科がつく可能性を低くすることができます。
既に前科がついてしまっている方は、この記事でご紹介した面接対策を実践してみてください。
逮捕報道が出てしまっている場合には、ネット記事の削除を弁護士に依頼することが非常に有効です。
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アトムを選んだお客様の声
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のお客様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
先生はいつも一生懸命に迅速に行動して下さいました。
(抜粋)先生にはいつも一生懸命に迅速に行動して下さいました。そして丁寧に接して頂き、分からない事もすぐに質問して分かりやすく説明して下さいました。ありがとうございます。先生にお願い出来た事、本当に良かったと思っております。ありがとうございました。
会社を辞めずに済んだこと、本当に感謝しています。
(抜粋)逮捕・報道に関する意見書を警察署に出して頂き、おかげで、逮捕も報道もされずにすみました。逮捕されなかったので、まわりに事件をしられずに仕事も通常に通うことができました。会社を辞めずに済んだこと、本当に感謝しています。これからは、事件を深く反省し、真面目に生きていこうと思っています。
刑事事件の起訴・判決には期限があります。そのため刑事事件の解決はスピードが重要です。
早期の段階でご相談いただければ、あらゆる対策に時間を費やすことができます。
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前科をつけたくない、今後の就職への影響が不安という場合は、すぐにでも対策を弁護士に相談すべきです。
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