2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
お子様が刑事事件を起こしてしまい、逮捕や補導をされたと連絡を受けたとき、保護者の方はどうすればいいのでしょうか。
少年事件において、お子様の更生と将来を守るためには、一刻も早く弁護士(付添人)によるサポートを受けることが重要です。しかし、そこで同時に頭をよぎるのが「弁護士費用」の悩みだと思います。
「私選弁護士に頼むと高額な費用がかかるのでは?」 「国選弁護人と何が違うの? 費用に見合う効果はある?」 「もし費用が払えない場合はどうすればいい?」
この記事では、そんな保護者の方の切実な疑問にお答えするため、少年事件の弁護士費用の相場や料金の仕組みについて、わかりやすく解説します。
※なお、当記事で記載の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、民法上の成人(民法第4条)とは異なります。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
少年事件の弁護士費用の相場
少年事件の弁護士費用の相場は50~200万円程度です。
私選弁護士に依頼する場合、料金は法律事務所によって異なりますが、着手金、成功報酬金、弁護士が出張した場合の日当や、郵送代等の実費などの費用が発生します。
少年事件の弁護士費用の内訳
| 費目 | 費用相場 | 内容 |
|---|---|---|
| 法律相談料 | 5千円~1万円程度/30分~1時間程度 | 依頼前に相談する際の費用 |
| 初回接見 | 数万円 | 被疑者との初回の面会にかかる費用 |
| 着手金 | 20~60万円程度 | 弁護士に依頼する際に必要な費用 |
| 報酬金 | 20~100万円程度 | 事件が成功した場合や示談の成立にかかる費用 |
| 日当 | 数万円/1回 | 接見などの出張費等 |
| 実費 | 1万円程度 | コピー代・郵送料等 |
| 合計 | 50~200万円程度 | – |
それぞれの費目の内容を詳しく見ていきましょう。
法律相談料
法律相談料は、当初に弁護士に相談したときにかかる費用です。
相場としては30分~1時間ほどで5,500円~11,000円(税込)程度ですが、「初回のみ」や「30分のみ」など条件により無料相談に応じてくれる事務所もあります。
また、相談時に付添人活動を依頼すると相談料が免除される事務所もあります。そういった事務所を利用すれば相談料はかかりません。
着手金
着手金とは、弁護士に少年付添人活動を依頼したときに発生する費用で、事務所によって大きく異なります。
相場としては20万円~60万円程度です。以下のように「事件内容」によって異なる着手金額を設定している事務所もあるので、参考にしてみてください。
- 自白事件か否認事件か
- 単独犯か共犯者がいるか
- 重大事件か軽微な事件か
- 身柄拘束されているか在宅事件か
一般的に事件が複雑で長期化が予想される場合には、着手金が高額になる傾向があります。
また、1審で出された審判に対して抗告する場合、追加で着手金が発生するのが一般的です。金額は20万円~50万円程度となる事務所が多いでしょう。
成功報酬金
報酬金は事件が解決したときに発生する費用です。通常は少年審判の結果が出たときに支払う必要があります。
金額も結果に応じて異なるのが一般的です。報酬金は着手金以上に事務所によって大きく取扱いが異なるケースも多いので、依頼前にしっかり確認しておいてください。
【成功報酬金の一例】
- 軽微な在宅事件で審判不開始や保護観察処分となった場合…10~40万円程度
- 身柄事件で審判不開始や保護観察処分となった場合…30~60万円程度
- 否認事件で審判不開始や不処分となった場合…50~100万円程度
- 検察官へ逆送されて刑事裁判となった場合…100~200万円程度
上記はあくまで目安なので、実際には弁護士に費用体系を確認してみてください。
実費
弁護士に付添人活動を依頼すると「実費」がかかるケースもあります。
実費とは交通費や裁判所へ払う郵便切手の費用、記録の謄写費用など「実際に発生する費用」です。弁護士に依頼せず保護者が対応するときにもかかります。さほど大きな金額にはならないのが一般的ですが、どういった費用負担が生じるのかは依頼時に確認しておきましょう。
日当
日当は、弁護士が出張したり裁判所に出頭したりするときに発生する費用です。
- 現場検証に出掛けた
- 鑑別所に接見に行った
- 調査官と面談をした
- 少年審判に出頭した
このような場合に、日当がかかる可能性があります。相場は半日で1~3万円、1日で3~5万円程度です。
ただし、日当が発生する条件や金額は依頼する事務所によって大きく異なりますし、中には日当がかからない事務所もあるので、契約前にしっかり確認しておくとよいでしょう。
少年事件にかかる弁護士費用はケースによって大きく異なる
少年事件の概要
少年事件は、犯罪行為をしてしまった未成年や犯罪行為をするおそれの高い少年(虞犯少年・ぐはんしょうねん)を保護し更生させるための手続きです。男子でも女子でも同じように「少年」と表記されます。
通常の刑事事件とは異なり、少年事件では少年に「刑罰」を与えません。更生できるように保護司をつけて観察したり、少年院へ送致して教育を施したりするのが原則です。
未成年が万引きや痴漢、詐欺などの犯罪行為をすると「非行少年」として逮捕される可能性があります。その後は家庭裁判所へ送られて「審判」が行われ、少年には保護観察や少年院送致などの処分を言い渡される流れになります。
何の対処もせずに放っておくと少年院送致の処分が下り、数か月~数年間は少年院での生活を余儀なくされる可能性も高くなってしまいます。
少年事件における弁護士の役割
少年事件で少年の権利を守り、適切な処遇が得られるよう活動する弁護士を「付添人」といいます。
付添人は、少年が不当な取扱いを受けないように取り調べへの助言を行い、家庭環境や学校での状況を調査したうえで更生に向けた支援を行います。
また、少年が反省し再び同じ過ちを犯さないよう、専門家や家族と連携しながら改善策を整え、家庭裁判所に対して最適な処遇を求めて意見書を提出するなど、少年の立ち直りに向けて総合的にサポートを行う役割を担っています。
少年事件に強い弁護士の詳細を知りたい方は『少年事件に強い弁護士に相談|アトム法律事務所』の記事をご覧ください。
少年付添人の弁護士費用はケースによって異なる
少年付添人にかかる弁護士費用は、ケースによって大きく異なり一律ではありません。依頼する法律事務所によっても異なりますし、審判の結果によっても変わってくるからです。
国や弁護士会が費用を負担してくれることも
直接保護者が弁護士と契約する場合とは異なり、「国費」で少年事件の弁護士費用を出してくれる「国選付添人制度」もあります。
また、国選付添人制度を利用できない場合に弁護士会が弁護士費用を支援してくれる「少年保護事件付添援助制度」を利用できるケースもあります。こういった制度を利用できれば、保護者や少年に費用負担が発生しない可能性もあるのです。
このように、少年事件の弁護士費用は依頼する事務所や制度によって大きく異なるので、パターン別に理解しなければなりません。
以下でそれぞれの少年事件の弁護士費用の相場をご説明していきます。
国選付添人制度とは
以上は私選で少年事件の弁護士を選任した場合の費用ですが、国が弁護士費用を負担してくれる「国選付添人制度」があります。
国選付添人制度を利用すると、基本的には利用者に費用負担が発生しません。
適用できるのは「保護者や少年に資力が乏しく」かつ「少年が以下に該当する罪を犯した疑いのあるケース」です。
国選付添人の対象事件
- 死刑又は無期若しくは長期3年を超える拘禁刑に当たる罪
具体的には殺人、傷害、詐欺、窃盗、恐喝などの犯罪行為で逮捕された場合などに国選付添人を選任できる可能性があると考えましょう。
ただし国選付添人をつけるかどうかは最終的に家庭裁判所が判断するので、必ずつけてもらえるとは限りません。選任が認められなかった場合には、自費で私選の付添人を選任しましょう。
少年保護事件付添援助制度とは
国選付添人制度に似た制度として「少年保護事件付添援助制度」もあります。
これは弁護士会が少年事件の弁護士費用を支援してくれる制度です。
上記のように、国選付添人を選任できる罪名は限られているので、すべての少年が国費で付添人をつけてもらえるわけではありません。
そこで国選付添人の対象にならない場合、弁護士会が弁護士費用を支援してくれる可能性があるのです。
少年保護事件付添援助制度を適用したい場合には、地元の弁護士会や法テラスへ連絡をしてみてください。
私選か国選付添人(援助制度)どちらがおすすめ?
少年事件で付添人をつけるときには、自費で弁護士に依頼するか国選付添人・弁護士会の援助制度を利用するか迷う方も少なくありません。
以下でそれぞれのメリットとデメリットをお知らせします。
私選付添人のメリット
依頼するとすぐに活動を開始してもらえる
私選の付添人を選任すると、すぐに付添活動を開始してもらえます。即時に接見に行って少年と会って安心させ連絡役になれますし、調査官との面談も早期に設定できて被害者との示談交渉もスムーズに進めるなど、可能な限り軽い処分を目指せるでしょう。
少年事件を得意とする弁護士を選べる
私選で付添人を選任すると、少年事件を得意とする弁護士を選べます。日頃から少年事件を多く取り扱っている弁護士に依頼すれば、有利な結果を得られる可能性が高まるでしょう。少年との接見(面会)や被害者との示談交渉もスピーディに進み、保護者や少年にストレスがかかりにくくなります。
私選付添人のデメリット
高額な弁護士費用がかかる
私選付添人のデメリットはやはり弁護士費用です。反対に言うと、費用さえ用意できるなら国選や弁護士会の援助制度より私選の方が良い結果を得られる可能性が高くなるでしょう。
特に否認事件、重大事件の場合、依頼者が弁護士を選べない国選や援助制度よりも弁護士を選べる私選付添人を選任すべきと考えます。
国選付添人や援助制度のメリット
費用負担がない、少ない
国選付添人や弁護士会の援助制度の場合、費用負担は発生しません。発生するとしても極めて少額になります。
国選付添人や援助制度のデメリット
すぐに活動を開始してもらえない
国選付添人や弁護士会の支援制度を適用してもらいたい場合には、申請をして許可してもらわねばなりません。その間にタイムラグが発生してしまいます。
また選任された弁護士が即時に動いてくれるとも限りません。時間が命の少年事件では1日の遅れも命取りとなる可能性があります。
積極的に動いてもらえない可能性がある
国選や援助制度で選任された弁護士は少年事件に強いとは限りません。片手間に刑事事件をやっているだけの人も多いですし、公益活動のためにやむなく年1、2件程度引き受けている人もいます。
そんな弁護士に依頼しても、お子さんのために積極的に動いてもらうのは難しいでしょう。
選任してもらえるとは限らない、費用負担が生じるケースも
国選付添人の選任を希望しても、必ず選任してもらえるとは限りません。
また状況によっては後に費用負担が生じるケースもあります。
以上のような事情を考慮すると、子どものために最善の対応を尽くしたいなら弁護士費用を負担してでも私選の付添人を選任すべきといえるでしょう。
アトム法律事務所の解決事例(少年事件)
少年事件(盗撮)
高校生の盗撮事件
高校生の少年が、駅ビルの女子トイレに侵入し、個室内をスマートフォンで盗撮した事案。
弁護活動の成果
謝罪を尽くした結果、宥恕(ゆうじょ)*付きの示談が成立。意見書を提出する等して、少年審判を回避(審判不開始)。
示談の有無
あり
最終処分
審判不開始
少年事件(窃盗)
高校生の万引き事件
高校生の少年が、コスメを万引きした事案。
弁護活動の成果
被害店舗からは賠償拒否されたものの、代金相当額を供託した。少年審判を回避(審判不開始)。
示談の有無
なし
最終処分
審判不開始
当事務所では自白事件、否認事件をとわず少年事件に積極的に取り組んでいます。少年審判だけではなく抗告や逆送事件、刑事裁判にも対応しています。
お子様が刑事事件を起こして逮捕・補導されてしまったら、一刻も早くご相談ください。
少年事件のお悩みはアトム法律事務所にご相談ください
アトム法律事務所は少年事件を解決した実績も豊富な弁護士事務所です。少年に対しても法的なアドバイスや、被害者との示談交渉をサポートし、最善の解決へと導きます。
アトム法律事務所では、弁護士相談のご予約を24時間365日いつでも受付中です。
ご依頼者様からのお手紙・口コミ評判
少年事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
不安に寄り添いながらこまめに連絡を取って頂き、依頼出来て救われました。

(抜粋)警察から息子逮捕の電話を受け、晴天のへきれきの出来事に、呆然としてしまいました。何をどうしたら良いのか?全くわからず、弁護士先生に依頼できたことが、大きな救いとなりました。不起訴が確定するまで、息子の不安に寄り添い、こまめに本人とラインや電話で連絡を取って下さった事、深く感謝申し上げます。
不安で動揺している中、冷静・迅速に対応して頂きました。

(抜粋)この度は息子の事件にご尽力下さいまして、ありがとうございました。突然の事でとても不安で、動揺しておりましたが、冷静に対応して下さり、また太田先生におかれましてはすぐに動いて下さいまして、検察や相手の方への示談の交渉など、いろいろと対応して頂きまして、不起訴処分になりました。本当に感謝しております。息子も今回の事を重く受け止め、深く反省をし、改めて先生に感謝しております。太田先生ありがとうございました。
お子様の少年事件の今後の流れ、学校対応などでお悩みの方は、ぜひこの機会にアトム法律事務所の弁護士相談をご活用ください。
詳しくは、下記窓口までお問い合わせください。お早目のご連絡お待ちしております。

