2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
- 未成年の息子が強制わいせつ事件を起こしてしまった
- 未成年が強制わいせつで逮捕される可能性はある?
- 未成年が強制わいせつをしたらどんな処分になる?
未成年者が強制わいせつをした場合でも、逮捕される可能性はあります。また、逮捕後は家庭裁判所への送致・少年審判へと手続きが進み、事案によっては重い処分につながるおそれがあります。
一方で、早期に弁護士へ相談し適切な対応をすることで、逮捕の回避や処分の軽減につながる可能性があります。
前科がつかないからといって少年事件を軽く考えることは禁物です。将来を守るためにも、一刻も早い行動が重要です。
この記事では、未成年者が強制わいせつ事件で逮捕される可能性や逮捕された後の流れ、強制わいせつ罪の処分について説明します。
未成年のお子さんが強制わいせつ事件で捜査を受けたり、逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士にご相談ください。
なお、当記事で記載の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、民法上の成人(民法第4条)とは異なります。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
強制わいせつ罪ってどんな犯罪?未成年でも逮捕される?
未成年者が強制わいせつ事件を起こした場合、たとえ未成年者でも逮捕されることはあります。
強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者と、13歳未満の者に対し、わいせつ行為をした者を処罰する犯罪です。法定刑は6か月以上10年以下の拘禁刑です。
わいせつ行為とは、性欲を刺激・興奮または満足させ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいいます。
たとえば、陰部に手を触れる行為、キス、裸にして写真を撮る行為などがわいせつ行為に該当します。
陰部や乳房を着衣の上から触れた場合は、単に触れるだけでは足りず、着衣の上からでも「もてあそんだ」といえるような態様であることが必要です。
着衣の上から女性の臀部を手のひらでなで回す行為がわいせつ行為に当たると判示した裁判例があります(名古屋高判平成15年6月2日判時1834号161頁)。
未成年者(少年)の場合、刑法の刑罰がそのまま適用されるわけではなく、少年法に基づく保護処分が原則となります。
強制わいせつ罪になるケース
| 被害者が13歳未満 | 被害者が13歳以上 | |
|---|---|---|
| 暴行・脅迫あり | 強制わいせつ | 強制わいせつ |
| 暴行・脅迫なし | 強制わいせつ | 淫行など |
なお、2023年7月の刑法改正により、強制わいせつ罪は不同意わいせつ罪に改称され、要件も大きく変わりました。
詳しくは『不同意わいせつ罪とは?構成要件や強制わいせつ罪との違い、刑罰を分かりやすく解説』の記事をご覧ください。
未成年が強制わいせつで逮捕されたら?少年事件の手続きの流れ
未成年者の起こした事件は少年事件と呼ばれ、成人とは異なる流れの手続きになります。この手続きの中で、未成年者は性別にかかわらず「少年」と呼ばれます。
ここでは、14歳以上20歳未満の少年が事件を起こしたことを前提に、逮捕後の流れを解説します。なお、14歳未満の少年(触法少年)の場合は手続きが異なる点に注意が必要です。

未成年が強制わいせつで逮捕されるパターン
強制わいせつ罪で逮捕されるパターンは、現行犯逮捕と通常逮捕の2種類があります。

まず、犯行を目撃された場合などは現行犯逮捕される可能性があります。現行犯逮捕は、裁判官が発付する逮捕状がなくてもすることができます。また、一般人でも現行犯逮捕ができます。
次に、逮捕状に基づく通常逮捕というパターンがあります。この場合、防犯カメラの映像や被害者の身体に残された遺留物などから犯人が特定されます。
そして、警察官が自宅にやってきて逮捕される流れになることが多いです。
どちらの場合も、最寄りの警察署に連行され、取り調べを受けた後、留置場に収監されることになります。逮捕期間は最大72時間です。これを超えて捜査の必要があるときは、勾留されることになります。
勾留・勾留に代わる観護措置とは?
勾留とは、逮捕に引き続いて行われる身体拘束処分です。勾留期間は原則10日間ですが、最大20日間まで延長される可能性があります。
また、少年事件の場合、勾留に代わる観護措置がとられることもあります。この場合、少年鑑別所に収容されることが多いです。勾留に代わる観護措置の期間は10日間で、延長はありません。
成人の刑事事件と少年事件の違い
| 成人の刑事事件 | 少年事件 | |
|---|---|---|
| 身体拘束の種類 | 勾留 | 勾留 or 勾留に代わる観護措置 |
| 期間 | 原則10日(最大20日) | 勾留:同左/観護措置:10日間 |
| 収容先 | 留置場・拘置所 | 留置場・少年鑑別所 |
家裁送致後の少年事件の流れ
勾留または勾留に代わる観護措置の期間が終了すると、犯罪の嫌疑が不十分な場合を除いて、少年事件はすべて家庭裁判所に送致されます。
これは、不起訴になる場合がある通常の刑事事件との大きな違いです。少年事件は、少年の更生を目的としているため、このような扱いになっています。
家庭裁判所に送致された後は、大まかに言うと(1)観護措置→(2)調査→(3)少年審判という流れになります。
より具体的な少年事件の流れについては『少年事件の流れは?逮捕から家庭裁判所・審判・処分まで弁護士がわかりやすく解説』の記事で詳しく解説しています。
(1)観護措置
家庭裁判所は、審判を行うために必要があるとき、観護措置をとることができます。強制わいせつのような性非行の場合、性的嗜好や発達上の問題を調査するため、観護措置がとられる可能性があります。
観護措置がとられると、少年鑑別所に収容されます。期間は原則として2週間ですが、さらに延長されることも多く、実務上は約1か月となることが多いです。
観護措置がとられず、在宅で手続きが進む場合はすぐに釈放されます。
(2)調査
家庭裁判所では、法的調査と社会調査が行われます。法的調査とは、非行事実の有無等に関する調査、社会調査とは少年が将来再び非行に至る可能性(要保護性)に関する調査をいいます。
社会調査では、家庭裁判所調査官が主に少年や保護者と面接をして、非行の動機・交友関係・家庭環境等を調べます。
そして、少年と少年を取り巻く環境の問題点を明らかにし、再非行を防止するための方法を検討します。
調査の結果、審判不開始となると釈放されます。審判不開始になる理由として多いのは、家庭・学校・交友関係の調整などが行われ、再非行の見込みがなくなったと認められる場合です。
強制わいせつ事件を起こしてしまった場合、早期に釈放されるためには、裁判官に「再非行の見込みがなくなった」と認めてもらう根拠を示すことが重要です。
そのためには、示談の成立や専門治療機関への通院計画を立てることがポイントになります。
(3)少年審判
審判開始が決まると、審判廷で審理手続きが行われます。少年審判は非公開とされています。この点は、原則公開される刑事裁判との大きな違いです。
少年審判には少年と保護者は必ず呼び出されます。また、付添人(多くは弁護士)が出席することができます。
裁判官は、非行に至った経緯や再非行を防ぐ具体策について少年に質問します。また、保護者にも質問し、再非行防止への協力を促します。
さらに、付添人も少年や保護者に質問し、裁判官に対して再非行のおそれがないことを説明します。
審理が終了すると、裁判官は次の4つのうちいずれかの処分を言い渡します。
- 保護処分
・保護観察
・少年院送致
・児童自立支援施設等送致 - 検察官送致
- 不処分
- 知事または児童相談所長送致
未成年の強制わいせつ事件で最も多い処分
わいせつ事件における少年の終局処分のうち、保護処分が最も高い割合を占めています。そのうち保護観察と少年院送致が主な内訳となっています。
保護観察は、少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察官や保護司が支援を行い、少年の改善更生を図る制度です。保護観察になると、日常生活を送ることが可能になります。
少年院送致は、生活指導・教科教育・職業補導等を施すことにより、再び非行を行うことがないよう教育する施設への収容処分です。
児童自立支援施設等送致は、不良行為をなす児童等に対し必要な指導を行い、自立を支援する施設への送致です。
強制わいせつ事件を起こした場合、処分を少しでも軽くするには、社会内で更生できる根拠を具体的に示すことが必要です。
そのためには、早期に弁護士に依頼し、家庭で少年が立ち直る環境を整えることが非常に重要になります。
少年院送致になるのはどんな場合?
少年院送致になりやすいのは、以下のような事情がある場合です。
- 被害が重大・被害者が複数いる
- 常習的・計画的な犯行である
- 示談が成立していない
- 家庭環境に問題があり、社会内での更生が見込めない
- 過去にも非行歴がある
一方、処分を軽くするためには、社会内で更生できる環境が整っていることを具体的に示すことが重要です。
処分が軽くなる事情の一例
- 被害者との示談が成立している
- 専門治療機関への通院計画を立てている
- 保護者が監護に協力することを約束する
- 学校から継続的な受け入れを約束する
これらの準備は、弁護士と連携して早期に取り組むことが大切です。
未成年の強制わいせつ事件で前科はつく?14歳未満の場合は?
未成年の強制わいせつ事件で前科・前歴はつく?
少年事件では、原則として前科はつきません。少年審判は刑事裁判ではないため、有罪判決を受けるわけではなく、保護処分を受けても前科として記録には残りません。
ただし、前歴はつきます。前歴は一般に公開されるものではありませんが、捜査機関の記録に残るため、将来また事件を起こした際に考慮される場合があります。
なお、16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合などに、検察官送致(逆送)となると、成人と同様に刑事裁判を受け、有罪となれば前科がつきます。
強制わいせつ罪の場合は通常、逆送にはなりにくいですが、事案の悪質性によっては例外もあります。
前科がつかないからといって、少年事件を軽く考えることは禁物です。保護処分・前歴・退学処分など、少年の将来に影響する事態は十分に起こり得ます。
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14歳未満(触法少年)が強制わいせつをした場合
14歳未満の少年は触法少年と呼ばれ、刑事責任を問われません。そのため、警察に逮捕されることはありませんが、警察の調査を受けた後、児童相談所に通告または送致されるという流れになります。
児童相談所が対応を検討し、必要に応じて家庭裁判所に送致されることもあります。家庭裁判所では、14歳以上の少年と同様に調査・審判が行われ、保護処分が言い渡される場合があります。
逮捕はされないものの、公的機関の介入を受けることには変わりありません。影響を最小限に抑えるためにも、早めに弁護士へご相談ください。
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未成年の強制わいせつ事件を弁護士に依頼するメリット
未成年者が強制わいせつ事件を起こした場合、いち早く弁護士に依頼することが重要です。弁護士に依頼すれば、逮捕を食い止めたり、身体拘束からの早期釈放が期待できます。
また、退学処分を阻止し、少年の更生に向けて全力でサポートします。以下では、少年事件を弁護士に依頼する具体的なメリットを解説します。

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逮捕を回避する
強制わいせつ事件の場合、被害者との間で示談が成立すれば逮捕の可能性は低下します。さらに、被害者が被疑者を許すという宥恕の意思を示している場合、身体拘束の可能性はさらに低下します。
性犯罪の示談交渉では、被害者への非常に繊細な配慮が必要です。刑事弁護のプロである弁護士に依頼し、まずは被害者の苦しみを理解するところから始めましょう。
そして、自分の行為を真摯に反省したうえで、被害者の心情に十分配慮しながら示談を進めましょう。
被害者の連絡先がわからない場合でも、弁護士であれば、検察官や警察に被害者の連絡先を問い合わせることができます。
検察官等は被害者の意向を確認し、被害者の了解が得られれば弁護士に連絡先を教えるという流れが一般的です。
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被害者との示談は必要?示談のポイントと注意点
示談とは、被害者と加害者が話し合い、被害弁償や謝罪の条件について合意することです。

少年事件における示談は、以下の点で非常に重要な意味を持ちます。
- 逮捕・勾留を回避できる可能性が高まる
- 家庭裁判所での調査・審判において、処分が軽くなる可能性がある
- 被害者に誠意を示すことで、宥恕(許し)を得られる可能性がある
ただし、示談交渉には注意が必要です。被害者への直接連絡は、二次被害や心理的負担を与えるおそれがあり、かえって状況を悪化させることがあります。
また、示談金の相場や合意内容の適切な設定には専門知識が必要です。
示談交渉は、必ず弁護士を通じて行うことをおすすめします。弁護士が間に入ることで、被害者との信頼関係を築きながら、適切な条件での合意を目指すことができます。
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勾留や観護措置を回避する
逮捕されてしまった場合でも、弁護士は示談交渉を進め、勾留されないよう検察官や裁判所に働きかけます。
勾留された場合でも、準抗告という不服申立手続により、一日も早く釈放されるよう活動します。
また、弁護士は観護措置を阻止するためにも全力を尽くします。具体的には、性犯罪専門治療機関への通院を少年が約束していることや、保護者が通院に協力すると約束していることを書面で主張します。
これらの事情は、社会内で少年が更生するための環境が整っていることを示すものです。社会内での更生が期待できる場合、重い処分は見込まれなくなり、裁判官は観護措置をとりづらくなります。
観護措置がとられてしまった場合でも、観護措置決定の取消や観護措置決定に対する異議申立てという手続きを行うことも可能です。
退学・停学処分を回避する
退学処分や停学処分を避けるには、事件のことを学校に知られないようにすることが重要です。そのために弁護士は、警察や家庭裁判所から事件のことを学校に伝えないよう働きかけます。
また、学校が事件について知った後であっても、弁護士は少年が心から反省し更生に向けて必死に努力していることを説明します。
少年に更生の機会を与えるために退学処分・停学処分を思いとどまってほしいと説得します。
付添人として少年の更生をサポートする
弁護士は少年審判における付添人として活動します。具体的には、少年と面会を重ね、非行の原因と具体的な解決策を共に考えます。
家庭環境に問題があれば、家族とも話し合いを重ね、保護者にも非行の原因について理解を深めてもらい、今後少年をしっかりと監護していく意欲を引き出していきます。
また、専門治療機関を見つけ具体的な通院計画を立てるなど、少年の更生に必要なサポートを積極的に行います。
弁護士は、審判までにこれらの準備を行い、少年が更生へ向けて確実に歩み出していることを裁判官や家庭裁判所調査官に伝えます。
書面での報告だけでなく、直接面会して少年の処分が適切に行われるよう裁判官に説得します。
審判当日も、付添人だからこそ引き出せる少年の良い面が裁判官に伝わるよう、独自の視点で質問を投げかけます。
弁護士は、付添人として少年に常に寄り添い、更生をしっかりサポートします。
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