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傷害事件を起こしたら解雇?会社対応は?逮捕の回避・不起訴を目指す方法は?

傷害事件で解雇?

傷害事件を起こしてしまい、会社を解雇されるか不安な方へ。

この記事では、傷害事件について、会社を解雇されるケース、会社対応、対処法などを解説します

他人に暴力を振るって「傷害事件」を起こしてしまったら、会社を解雇されてしまうのでしょうか?

確かに多くの企業の就業規則において「有罪判決を受けた従業員は懲戒解雇する」という規定がもうけられています。

傷害罪で有罪になったら、懲戒解雇される可能性はあるといえるでしょう。

しかし必ず解雇されるわけではありません。たとえば「不起訴」になれば、解雇理由はなくなります。

今回は傷害事件を起こしたら解雇されるのか、解雇されないためにどうすればよいのか弁護士が解説します。傷害事件でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

「傷害事件」の意味や罰則

会社員が傷害事件を起こすと「解雇」が心配です。まずは「傷害事件」とはどういったものでどの程度の罰則を受ける可能性があるのか、みてみましょう。

(1)そもそも傷害事件とは?

「傷害事件」をわかりやすくいうと「他人にケガをさせてしまった刑事事件」です。

たとえば相手を殴ったり蹴ったり突き倒したりしてケガをさせたら刑法上の「傷害罪」が成立します。その傷害罪を追及される刑事事件が「傷害事件」です。

会社の同僚や後輩、あるいは家族に腹を立てて殴ってしまった場合でも、相手がケガをしたら傷害罪になると考えましょう。

傷害罪の刑罰は「15年以下の懲役」または「50万円以下の罰金刑となっており、決して軽くはありません(刑法204条)。

(2)傷害罪と暴行罪の違い

傷害罪と暴行罪は混同されやすいのですが、異なる犯罪です。

暴行罪は「相手に有形力を行使したとき」に成立します。

つまり相手に暴行を振るったとき、ケガをしなければ暴行罪、ケガをしたら傷害罪になると考えましょう。

刑罰も当然傷害罪の方が重くなり、暴行罪の刑罰は「2年以下の懲役」もしくは「30万円以下の罰金」または「拘留」もしくは「科料です(刑法208条)。

ただし暴行罪であっても有罪判決を受ければ「前科」となり、解雇される可能性はあるので軽視してはなりません。

傷害事件で解雇されやすい4つのパターン

傷害事件を起こしたとき、解雇されやすいのは以下の4つのケースです。

傷害事件で会社を解雇されやすいパターン

  1. 長期間無断欠勤した
  2. 有罪判決を受けた
  3. 会社に多大な迷惑をかけた
  4. 企業の秩序を乱した

(1)長期間無断欠勤した

傷害事件が発覚すると、警察に逮捕されてそのまま身柄拘束が続いてしまう可能性があります。逮捕後の勾留期間は最大20日なので、その間は会社へ出勤できません。

何の連絡もせずに20日も欠勤が続くと、就業規則の懲戒事由に該当し、解雇される可能性が高くなります。

傷害罪で逮捕されたときには、必ず会社へ連絡を入れて無断欠勤にならないようにしましょう。

(2)有罪判決を受けた

傷害事件を起こして刑事責任を追及されると、最終的に有罪判決を受ける可能性があります。

略式起訴になったら公開法廷で裁かれることはありませんが、罰金でも前科は前科です。

多くの企業では、就業規則の懲戒事由として「有罪判決を受けたこと」を定めています。

傷害事件で有罪判決を受けたら、懲戒解雇される可能性があるといえるでしょう。

(3)会社に多大な迷惑をかけた

傷害事件を起こすと、全国で大々的に報道されたり取引先や地域に情報が広まったりして、企業に対する信用が失われる可能性があります。

たとえば信用を重視する業種の企業の管理職が重大な傷害事件を起こして懲役刑を受けるなど。会社に多大な迷惑をかけてしまったら懲戒解雇されるリスクが高くなるでしょう。

(4)企業の秩序を乱した

企業が運営を続けていくには、社内の秩序を維持する必要があります。

社員が傷害事件を起こして他の社員に被害が発生すると、会社内全体のモチベーションが下がって生産性が低下する可能性もあるでしょう。

たとえば職場の上司や同僚に対して暴力的な行為を続けており、注意されてもやめないなど企業秩序を乱し続けている従業員がいたら、「クビ」になりやすいといえます。

傷害事件を起こしても解雇されにくいパターン

従業員が傷害事件を起こしても、必ず解雇されるとは限りません。

会社が「解雇通知」を送っても無効と判断されるケースも多々あります。

以下のような場合には傷害事件で逮捕されても解雇されにくい、あるいは解雇が無効になりやすいでしょう。

傷害事件で会社を解雇されにくいパターン

  1. 在宅捜査になった
  2. 不起訴になった
  3. 会社にほとんど影響が及ばなかった

(1)在宅捜査になった

傷害事件を起こしても、必ず逮捕されるとは限りません。逮捕されても勾留されず、比較的早期に身柄を釈放してもらえるケースもあります。

このように被疑者在宅のまま捜査を進める方法が「在宅捜査」です。

在宅捜査になった場合、会社に傷害事件を知られないケースも多いですし、知られたとしてもあまり問題にならない可能性が高くなるでしょう。もちろん無断欠勤の問題も発生しません。

在宅捜査になったら身柄捜査(被疑者の身柄を拘束して捜査を進める方法)より大幅に解雇の危険性が低下します。

(2)不起訴になった

傷害事件を起こしても、「不起訴」になるケースは多数あります。不起訴とは、検察官が「起訴しない」と判断することです。

不起訴になったら前科はつきません。有罪判決を受けることもないので、就業規則の懲戒事由に該当しないケースが多数となるでしょう。

このことと関連しますが、傷害事件で逮捕されてもそれだけでは解雇されません。仮に解雇通知を送られても「無効」にできる可能性があります。

(3)会社にほとんど影響が及ばなかった

傷害事件で有罪判決を受けても解雇されないケースは意外とたくさんあります。

たとえば会社に知られなければ、解雇されるきっかけがありません。

職場に知られたとしても、実質的に会社に何の影響もなければ解雇事由があるとまでは判断されない可能性が高いでしょう。

懲戒事由に該当すると判断されても、降格や減給などのより軽い処分で済むケースも多々あります。

被害届を出されたら会社に知られる?

(1)傷害事件が会社に知られるとは限らない

会社員が傷害事件を起こした事実を職場に知られたら、不利益が大きくなります。

解雇も心配ですし、解雇されなくても降格処分にされたり、将来の昇進が難しくなったりするでしょう。

もしも被害者が警察に被害届を出したら、会社に通知されてしまうのでしょうか?

実は被害届を出されたからといって会社に知られるわけではありません。

被害届が出ても、警察が勤務先に連絡するとは限らないためです。

特に会社と関係のないプライベートな傷害事件であれば、会社に通知される可能性は低いでしょう。

(2)身柄拘束期間が長期化したら要注意

ただし逮捕・勾留されて身柄拘束期間が長くなると、いずれ弁解が難しくなります。家族が対応していると、会社から「なぜ出勤できないのか」と問い詰められて「傷害事件を起こした」と答えざるを得なくなるでしょう。

また職場の同僚や上司、部下などに暴行を振るったケースでは、社内に情報が広がるのは避けにくくなります。

傷害事件で有罪になっても解雇が有効とは限らない

傷害事件で有罪判決を受けたら、多くの企業では「懲戒解雇事由」に該当します。

そうなったらクビを受け入れるしかないのでしょうか?

実は有罪判決を受けたからといって、必ず懲戒解雇が有効になるとは限りません。

労働契約法上、使用者の被用者に対する「懲戒権の濫用」は禁止されています。

当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

労働契約法15条

問題行動に対して厳しすぎる処分を行うと、その懲戒処分は無効になるのです。

軽微な傷害事件を起こして罰金刑を受けたけれど、出勤もしていたし普通通りに仕事もしていて誰にも迷惑をかけていなければ、懲戒解雇までは認められない可能性が高いでしょう。

傷害事件で解雇を免れる方法

以下では傷害事件を起こしたときに解雇を免れるための効果的な対処方法をお知らせします。

(1)逮捕されたら早めに会社に連絡

傷害事件で逮捕されたら、早めに会社に連絡を入れましょう。

無断欠勤が続くとそれだけで懲戒事由に該当してしまうためです。

ただ逮捕されている本人は会社に連絡できないので、家族が対応しなければなりません。

このとき、どのような理由を告げるかが問題となります。

正直に刑事事件について話すのか、あるいは体調が悪い、親族に不幸が発生したなどというのか、さまざまな対応が考えられるでしょう。

自分たちだけで判断すると後に不利益が及ぶ可能性もあるので、弁護士に相談してから決めるようお勧めします。

(2)早期に被害者と示談する

示談とは

傷害事件で解雇や前科を避けるには、被害者との示談が非常に重要です。

傷害事件の示談とは、事件の加害者と被害者が、和解の合意をすることです。

示談の際には、多くの場合、加害者は被害者に示談金を支払います。

傷害事件の示談の効果

起訴前に示談が成立すると、不起訴処分にしてもらえる可能性が高くなります。

不起訴になれば懲戒事由には該当しないので、解雇される可能性はほとんどなくなるでしょう。

また逮捕前に示談ができれば、そもそも被害届を出されないので逮捕される可能性もほぼ0になります。

会社に知られることもなく、解雇をはじめとした不利益処分を受ける心配は不要となるでしょう。

傷害事件の示談金

傷害事件の示談金は、怪我の治療費に、慰謝料を上乗せした金額が目安になります。

傷害事件の示談の流れや示談金相場を知りたい方は、関連記事『傷害事件の示談金相場|示談の流れと不起訴を目指すメリット』を参考にしたうえで、弁護士への相談をおすすめします。

(3)刑事弁護人に対応を依頼する

示談の流れ

傷害事件を起こして解雇が心配なら、早期に弁護士に相談して刑事弁護を依頼するようお勧めします。

加害者本人やご家族だけでは、適切な対応が難しくなるためです。

たとえば会社に説明するときにも弁護士が対応したほうがスムーズですし、刑事弁護人がついていれば会社も拙速な解雇処分をしにくくなるでしょう。

被害者との示談交渉を進める際にも弁護人が対応すると話をまとめやすくなります。

刑事弁護人がいれば、示談書や嘆願書を作成して検察官へ提示し、早めに不起訴処分をするよう申し入れることも可能です。

当事務所では暴行・傷害事件の刑事弁護を数多く取り扱ってきました。職場やマスコミ対策も得意としておりますので、解雇が心配な方はお早めにご相談ください。

傷害事件の解決事例

こちらでは、過去にアトム法律事務所で取り扱った傷害事件のうち、不起訴になった事例について、プライバシーに配慮したかたちで一部ご紹介します。

(1)居酒屋での傷害事件:不起訴

居酒屋で客とケンカになりケガを負わせたが、示談成立で不起訴処分となった事例

居酒屋で居合わせた男性とトラブルに。相手の腹と足を蹴り加療約11日の打撲を負わせた。傷害罪の事案。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くして示談を締結した結果、不起訴処分となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴

(2)路上での傷害事件:不起訴

傷害で逮捕されたが、被害者との示談が成立し不起訴となった事例

路上において被害者の運転に激高し、被害者の襟首を掴んで揺さぶる暴行を加え、ケガを負わせた傷害の事案。


弁護活動の成果

被害者と宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結し、不起訴処分となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴

(3)会社での傷害事件:不起訴、解雇を回避

同僚を殴ったが、示談成立により、刑事事件化・解雇を回避した事例

職場で被害者に注意されたことに逆上し、被害者に張手をする等の暴行を行い怪我を負わせたとされるケース。刑事事件化前に受任。


弁護活動の成果

被害者と宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。
職場内の傷害事件だったが、解雇を免れた。
刑事事件化することなく、事件終了となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴

傷害事件が不起訴になった場合、会社を解雇されずに済むケースは多いです。傷害事件をおこしてしまって、会社対応のお悩みがある方は、早期に弁護士までご相談ください。

なお、もっと多くの事案をご確認されたい方は『刑事事件データベース』をご覧ください。

アトムご依頼者様からのお手紙

刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。

お手紙(1)

弁護士が会社に何度も足を運んでくれ、解雇解雇されずに済みました。

ご依頼者様からのお手紙(弁護士が会社に何度も足を運んでくれ、解雇解雇されずに済みました。)

先生 この度は本当にありがとうございました。先生には逮捕される前から相談に乗って頂き、刑事事件になる可能性があるという現実を受け入れられなかった私に対し、弁護士としての率直な意見を言って下さり、最適な行動を取れるようアドバイスしていただきました。結果的に逮捕され20日間勾留されてしまったのですが、先生の的確な判断と行動により、被害者の方とは示談が成立し、解雇されるであろうと思っていた会社にも残る事が出来ました。このような結果になったのは、逮捕後も会社と頻繁に連絡をとってくださり、何度も面会に足を運んで下さった先生のおかげです。本当にありがとうございました。

お手紙(2)

すぐの対応、会社への事情説明の同行など、心強かったです。

ご依頼者様からのお手紙(すぐの対応、会社への事情説明の同行など、心強かったです。)

先日は大変お世話になりました。初めてのことですごく不安だったのですが、相談してからすぐに接見に行っていただき家族への説明や報告もその都度詳しくしていただけたので不安な気持ちがかなり解消されました。会社への事情説明の同行も急だったにもかかわらず、快く引き受けてくださり大変心強かったです。先生ありがとうございました。

お手紙(3)

会社への対応までアドバイスして頂きありがとうございました。

ご依頼者様からのお手紙(会社への対応までアドバイスして頂きありがとうございました。)

先生、この度は私が起こしてしまった事件の弁護を迅速に且つ真摯にご対応頂きどうも有難うございました。会社への報告に対するアドバイスまで頂き、誠に感謝しております。また、何かございましたらご指導頂けますようお願い申し上げます。どうも有難うございました。

傷害事件で会社対応に悩んだら弁護士に相談

さいごに一言

傷害事件を起こしてしまった場合、会社の解雇を避けたいなら、逮捕の回避・早期釈放、不起訴の獲得、会社対応は非常に重要です。

傷害事件で不起訴を目指すには、会社内の傷害事件、プライベートでの傷害事件のいずれであっても、被害者の方との示談締結、傷害事件の再発防止などに取り組む必要があります。

傷害事件に強い弁護士は、傷害事件の早期解決、会社対応などのサポートが可能です

アトム法律事務所は、2008年創業以来、刑事事件の弁護活動に注力してきた弁護士集団です。

傷害事件の解決実績も豊富にあります。

ぜひ一度、アトム法律事務所の弁護士までご相談ください。

アトムの弁護士相談:24時間受付中

アトム法律事務所では現在、警察沙汰になった傷害事件について、初回30分無料で弁護士相談を実施中です。

  • 傷害事件をおこして逮捕された
  • 傷害事件について警察から呼び出しがあった など

くわしくはお電話でオペレーターにおたずねください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了