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死亡事故での解雇はやむを得ない?会社への対処方法を弁護士が解説

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もしも死亡事故を起こしたら、会社を解雇されてしまうのでしょうか?

確かに死亡事故は重大です。ご本人だけではなくご家族の生活や人生にも大きな影響が及びますし、加害者が懲役や禁錮などの有罪判決を受けてしまうケースも少なくありません。

しかし死亡事故を起こしたからといって解雇できるとは限らず、不当解雇として「無効」になる可能性もあります。

今回は死亡事故で解雇が有効になるケースと無効になるケース不当解雇されたときの対処方法刑事事件への対応について弁護士が解説します。

死亡事故を起こして不安を感じている方やご家族の方はぜひ参考にしてみてください。

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死亡事故を起こすと会社を解雇される可能性がある!

死亡事故を起こすと、重大な責任が生じます。

刑事責任としても「自動車運転処罰法」違反となって刑罰を適用される可能性が高くなりますし、被害者の遺族へ損害賠償をしなければなりません。社会的にも大きな責任を問われるでしょう。

会社員の方は「解雇」されるケースもあるので要注意です。

就業規則では「懲戒解雇」が規定されている

多くの会社の就業規則では、以下のような場合に「懲戒解雇」できると規定されています。

2週間以上の無断欠勤

標準的な就業規則では「長期間の無断欠勤」が懲戒事由とされているので注意してください。

死亡事故を起こすと、多くの場合その場で「現行犯逮捕」されます。そのまま警察へ連れて行かれて逮捕勾留されれば、会社に出勤するのが難しくなってしまうでしょう。

そうなると、無断欠勤が続いて会社に死亡事故を知られ「懲戒解雇」される可能性が高まります。

長期の無断欠勤を回避するためには、勾留を防ぎ早期の身柄釈放を目指すことが特に重要です。

有罪判決が確定した

死亡事故を起こすと、起訴されて刑事裁判となり、懲役や禁錮、罰金などの刑罰を科されるケースが少なくありません。多くの企業の就業規則では、「有罪判決が確定した」ときに懲戒解雇できると定めています。特に禁錮以上の刑罰を適用されると解雇される可能性が高まるので注意しましょう。

ただし死亡事故を原因とする解雇は必ずしも有効とは限りません。

死亡事故で解雇が有効になる条件は?

死亡事故を起こした場合、どのような場合に解雇が有効となるのでしょうか?

解雇の有効性判断基準

法律上、解雇が有効となるには以下の条件を満たす必要があります(労働契約法16条)。

  • 解雇の客観的合理的理由

「解雇されてもやむをえない」といえるほどの客観的合理的な理由が必要です。

経営者側による恣意的な解雇、他の従業員と比べて成績が悪いといった程度の理由による解雇は認められません。

  • 解雇の社会的相当性

解雇が社会的に相当であることが必要です。解雇を避けるために他の手段を尽くしてもなお解雇が避けがたいといった経緯や適切な解雇手続きを踏む必要があります。

懲戒解雇の場合

懲戒解雇の場合にも解雇の客観的合理性と社会的相当性が求められ、従業員の起こした問題行動が「解雇もやむをえない」といえるほどのものでないと認められません(労働契約法15条)。

従業員の行動に対して解雇が重すぎる場合には懲戒解雇は無効となります。

死亡事故で解雇が有効となるかどうかの指標

死亡事故を起こした場合に解雇が有効となるかどうかについては、以下のような事情を考慮して判断されると考えましょう。

①事故態様

加害者の過失が高く事故態様が悪質であれば解雇が有効となる可能性が高まります。

たとえば飲酒運転、ひき逃げ、危険運転などの悪質な事情があれば、解雇されやすいでしょう。

②事故によって会社にどの程度の迷惑をかけたか

事故が全国的に報道されるなどして会社の信用を大きく毀損し、取引停止などの損害を与えたら解雇が有効となる可能性が高くなります。

③従業員の業務内容

従業員の業務内容も解雇の有効性に影響します。たとえばバスやタクシーの運転手など「ドライバー職」の方であれば、解雇が有効になりやすいでしょう。そうではなく営業や事務などの仕事の方の場合、解雇できない可能性が高まります。

④従業員の地位

従業員の地位が高い、信用を重視する役職などの場合には解雇される可能性が高くなります。一般的な平社員の場合、解雇は無効になる方向へ傾くでしょう。

⑤有罪判決を受けたかどうか

事故を起こしても有罪判決を受けなければ基本的に懲戒解雇は有効になりません。たとえば「不起訴処分」となれば「解雇理由はない」と判断されやすくなります。

⑥判決の内容

有罪判決を受けたとしても、内容によって解雇の有効性が変わる可能性があります。たとえば実刑判決であれば解雇されやすいといえますし、略式手続で罰金刑になった場合には解雇されにくいでしょう。

⑦長期無断欠勤したか

死亡事故を起こすと、逮捕勾留されて長期にわたる身柄拘束が続くケースも少なくありません。その間、会社に連絡をせずに2週間以上放置すると、懲戒解雇される可能性が高まります。解雇を避けるには、早めに会社に連絡を入れて「無断欠勤」を避けましょう。

死亡事故で不当解雇となる場合

死亡事故を起こして解雇されても「不当解雇」として無効になりやすいのは以下のような場合です。

きちんと出社して仕事をしていた

死亡事故を起こしても必ず逮捕勾留されるわけではありません。長期の身体拘束を受けずに、ほとんど休まずにきちんと出社して通常通り業務をこなしていたなら、解雇理由は見当たらないでしょう。単に「事故を起こした」というだけで解雇されたら不当解雇になる可能性が高いといえます。

会社にほとんど影響が及んでいない

死亡事故を起こしても、世間的に話題にならず会社の信用も毀損されなかった場合、解雇理由とまではいいにくいでしょう。たとえ有罪判決を受けたとしても、解雇が無効になる可能性は十分にあります。

逮捕(不起訴処分になった)されただけで解雇された

死亡事故を起こして逮捕されたら、即解雇されるケースがあります。しかし、逮捕されただけで即解雇となるのは不当な解雇である可能性があります。

人身事故を起こしても「有罪判決」がでなければ罪は確定しません。逮捕されても不起訴処分や無罪になれば、「罪を犯したこと」にはならないのです。

逮捕されて不起訴処分となったのに解雇されたら不当解雇となる可能性が極めて高いといえます。

死亡事故を起こした場合の会社への対処方法

もしも死亡事故を起こしてしまったら、解雇を避けるためにどうすればよいのでしょうか?

具体的な対処方法は身柄拘束(逮捕・勾留)されたかされなかったかで異なるので、分けて解説します。

身柄拘束されない場合

犯罪にあたる行為をしたとしても、証拠隠滅や逃亡のおそれがない限りは逮捕・勾留をすることはできません。そのため、たとえ死亡事故を起こしたとしても必ず逮捕・勾留されるわけではなく、在宅捜査となる場合があります。

関連記事

在宅事件の流れを解説|逮捕される刑事事件との違いは?

死亡事故を起こしても逮捕勾留されなかった場合には、普段通り出社して仕事をしましょう。

刑事事件になっても会社に通知されるわけではありません。マスコミ報道もされず噂にもならず、会社に知られなければ解雇トラブルも起こらないでしょう。

後は保険会社や弁護士に依頼して被害者と示談交渉を行い刑事事件にも適切に対応していけば、会社員としての地位は守られます。

身柄拘束された場合

問題になるのは逮捕勾留されて身柄拘束が続くケースです。無断欠勤が続くと判決が出ていなくても解雇される可能性があるので、以下のように対処しましょう。

早めに会社に連絡を入れる

無断欠勤を続けると懲戒解雇が有効になりやすいので、勾留が長期化しそうなら早めに会社へ連絡を入れてください。逮捕されたご本人は自分で連絡できないので、ご家族が連絡する必要があります。

ただし、このとき不適切な対応をすると社内で問題となり、かえって解雇などの不利益な処分を呼び込んでしまう可能性もあるので注意してください。

もしもご家族での対応が難しければ、刑事弁護人に依頼して弁護士から連絡を入れましょう。弁護士が対応すれば会社も不用意に解雇しにくくなり、ご本人の地位が守られやすくなります。

なお、ご家族が本人と面会できるようになるのは勾留が決まった後です。勾留が決まるまでの逮捕から3日間はご家族でも本人と面会することはできません。その間は弁護士を通じてしか、本人が外部と連絡を取るすべがありませんので「本人の状況を知りたい」「必要な連絡を取りたい」という場合は弁護士に接見(面会)を依頼することをおすすめします。

被害者と示談交渉を進める

身柄拘束されない場合ももちろんですが、身柄拘束されるとなおさら被害者との示談交渉が重要です。

被害者との示談が成立すると、刑事事件で有利な事情として斟酌してもらえます。「不起訴処分」にしてもらえる可能性が高くなるでしょう。そうなったら勾留は終了して解放してもらえるので、従来のように出社できるようになります。

また不起訴処分になれば刑事裁判にならないので有罪判決を受ける可能性は0になり、前科もつきません。就業規則の懲戒事由に該当しなくなり、解雇の心配が消えるのです。

死亡事故を起こしたら、できるだけ早めに被害者の遺族と連絡をとり、示談交渉を進めましょう。

示談交渉を進める際の注意点

死亡事故で遺族と示談交渉を進めるときには、加入していた任意保険会社が対応するケースが多いでしょう。その場合、話し合い自身は全面的に保険会社に任せることになります。

ただし謝罪や葬儀への参列などには最低限対応しなければなりません。適当な対応をすると遺族の怒りを買って情状が悪化し、重い処分が適用されるリスクが高まるので注意してください。

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交通事故加害者が謝罪する正しいマナー、トラブル防止方法を弁護士が解説!

刑事弁護人に依頼する

死亡事故を起こしたら、できるだけ早めに刑事弁護人をつけましょう。

現行犯逮捕されて勾留されたら、ご本人は警察の留置場において1人で過ごすことになり、大変心細い思いをします。不自由な生活を強いられ、高圧的に取り調べを受ければ不利益な供述もしてしまうでしょう。

また刑事弁護人が示談交渉を代理すると、保険会社任せにするよりスムーズに示談をまとめられるケースも多々あります。会社への連絡やマスコミ対応も任せられるので、不利益を最小限度にとどめられるでしょう。

弁護士を選ぶときには「刑事事件に積極的に取り組んでいる弁護士」に相談してみてください。交通事故被害者対応が得意だからといって加害者の刑事事件に強いとは限りません。

まとめ

死亡事故を起こしたとしても、解雇が有効とは限りません。不当解雇されたら弁護士に依頼して無効にできる可能性があります。

不利益を最小限度にとどめるため、事故を起こしたら早めに刑事弁護人を選任し、アドバイスを受けて被害者との示談交渉を進めましょう。

アトム法律事務所では刑事事件にも交通事故にも積極的に取り組んでいます。お困りの方がおられましたらお早めにご相談ください。

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