交通事故を起こして検察庁から呼び出しを受けたという方に向けて、「これだけは押さえておきたい点」をまとめています。検察庁で何を聞かれるのか、それにはどう答えたらよいのか、不安は尽きないと思います。のちに不利な立場に立たされないよう、取調べの前には専門家である弁護士に助言を求めておくことがおすすめです。
検察庁から呼び出しを受けると、実際に指定された日までは数日時間があります。その間に弁護士に相談し、シュミレーションをしてから取調べにのぞむようにしましょう。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
交通事故で検察庁から呼び出しを受ける意味とは?
交通事故は、はじめは警察が事件を認知し、捜査を始めますが、後に事件は検察官に引き継がれます。そのため、検察庁から呼び出しがあったということは、事件が警察から検察官に引き継がれたあとの段階になっているということを意味します。
交通事故には逮捕事件と在宅事件がある
交通事故の事件は、逮捕される事件と在宅事件として捜査が展開されるものの2種類があります。逮捕されるケースには、交通事故現場で現行犯逮捕されるものと、逮捕後に釈放され、在宅捜査に切り替えられるものが考えられます。一方で、最初から最後まで在宅事件として取り扱われるケースもあるでしょう。
警察から検察に事件が引き継がれることを、「送致」と呼びます。逮捕されずに在宅事件として送致されるものを、マスコミでは書類送検と呼ばれています。
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加害者(被疑者)は警察・検察官から呼び出しを受ける
加害者が捜査機関から呼出しを受ける時は、警察と検察庁(検察官)の2パターンが考えられます。検察庁から呼び出しがあるときには、送致された後です。送致されると、検察官が捜査の指揮をとり、どのような刑事処分が妥当かを検討します。このとき、検察官は証拠を集めるために警察に指示して現場の確認を行ったり、加害者(被害者)の取調べを行います。
警察での取調べと検察庁での取調べは、複数回行われることが通常です。警察や検察官の前で話した内容は、のちに裁判の中で証拠として使われる可能性があるため、受け答えには慎重に応じる必要があります。ここで供述調書に署名したものは、あとで覆すことが容易ではありませんので、自信のない回答は控えた方がよいでしょう。回答に困ることがあれば、すぐに弁護士に相談してアドバイスをもらってください。
検察庁からの呼び出しに応じないとどうなる?
交通事故を起こし、明らかに自分が加害者(被疑者)になっているとき、呼び出しに応じないという行動は逮捕の危険を高めます。呼び出しが来た時点では在宅捜査になっていても、呼び出しに応じないとなれば、逃亡のおそれがあるととらえられて逮捕に踏み切られる可能性があるのです。
もし、呼び出しに対して日程が調整できないなどの理由がある場合には、その旨を説明して別日に調整しなおしてもらうなどの対応が望ましいです。呼び出しに対して無視をするなどの不誠実な対応は、不利な立場に立たされるおそれがあるので、おすすめできません。仮に自分で説明するのが難しい場合には、弁護士に代わりに説明してもらうなどの方法を検討してください。
交通事故で検察庁から呼び出しを受けたらすべきこと
交通事故は弁護士に相談して解決を図るべき
交通事故で検察庁から呼び出しを受けたとき、まずすべきことは弁護士への相談です。交通事故の加害者(被疑者)となったとき、様々な不安が頭をよぎると思います。
「どのような刑事処分を受けることになるのか」
「少しでも刑事処分が軽くなるようにするにはどうすればよいのか」
「会社への報告はどうすればよいか」
「前科はつくのだろうか」
など、今後のことを考えると心穏やかではいられません。こんなとき、弁護士に相談することで、一つ一つを解決していくことができます。自分のとるべき行動がはっきりわかると、徐々に不安も小さくなるため、できる限り早めに弁護士相談をお勧めします。
インターネットで情報収集することも重要ですが、ネット上の情報のすべてが正しいわけではありません。刑事事件は誤った行動が大きな不利益につながることもありますので、直接弁護士に問い合わせをされることが賢明といえます。
被害者対応(示談)で注意すべきこと
検察庁から呼び出しを受けたということは、送致され、検察官が事件の詳細を精査している段階です。交通事故の事件を起訴するか不起訴にするかは、検察官が検討しますので、検察官の心証が固まる前に被害者対応を行う必要があります。とはいえ、交通事故の被害者対応は、被害者の怪我の程度や事故当時の状況などを勘案し、慎重に行わなければいけません。中でも、死亡事故のケースでは、ご遺族の心の整理がつかない間に無理に示談の話をするのは控えるべきです。
弁護士は、検察官から被害者や遺族の状況を確認しつつ、もっとも適切なタイミングで謝罪や示談の対応を行います。場合によっては、加害者加入の保険会社とやりとりをして、被害弁償の進捗を確認し、十分の被害者のケアが行われているかをチェックすることも大切です。被害者対応は、刑事処分に影響することであり、適時適切に行っていくことが重要です。
検察官の刑事処分が「起訴」だったら
交通事故事件で、検察官の刑事処分が起訴だった場合は、すぐに裁判の準備を始めなければいけません。刑事事件は、起訴されると約1ヶ月前後で第一回公判の期日が設定されます。すぐに弁護士と証拠を整理し、どのような主張を行うかを検討する必要があります。
刑事裁判では、執行猶予を目指すことが重要です。懲役刑となると、刑務所に入ることになりますので、仕事を失ったり社会的信用を失うなど大きなダメージが予想されます。執行猶予付き判決となれば、もとの生活を維持することができますので、メリットは大きいといえます。執行猶予を獲得するために、早めに弁護士に相談して裁判に備えることが大切です。
交通事故で不起訴を目指すなら弁護士に相談を
不起訴を目指すなら弁護士に相談すべき
交通事故事件で、不起訴処分を目指すことは、前科を回避する意味で重要です。不起訴になれば、裁判を受けることがありませんので、前科をつけずに事件を終わらせることができます。不起訴処分となるためには、事故直後から弁護士にサポートしてもらい、検察官に意見を申し入れてもらう必要があります。
「在宅事件になっているから重い処分にはならないだろう」というのは、大きな間違いです。逮捕されたか在宅事件かという点は、刑事処分と直接の関係はありません。検察官が起訴・不起訴を決めるまでに、急ぎ弁護士に被害者対応などの弁護活動を進めてもらってください。
検察庁からの呼出しは、弁護士の助言を聞いてから対応!
検察庁から呼び出しがあれば、すぐに弁護士相談を受けてください。取調べでは、どのようなことが聞かれるか、それに対してどのような受け答えをすべきか、事前に整理しておくことが望ましいです。
自分は冷静に対応できると思っていても、取調べ時の空気に飲まれ、言われるがままに調書にサインしてしまう可能性もあります。
事前に弁護士とシュミレーションをしておくことで、呼び出し当日の対応も落ち着いて行うことができます。交通事故の解決実績が豊富な弁護士を味方につけておけば、取調べ内容もおおよそ見当がつくため、十分な事前準備が可能です。
早期解決(不起訴獲得)には弁護士相談が必須
在宅事件だからと安心はせず、検察庁から呼び出しがあったという場合には、すぐに刑事事件に詳しい弁護士までお問い合わせください。早い段階で弁護士に相談することで、被害者対応にも時間的な余裕が生まれます。また、捜査機関の動きも読みやすくなりますので、弁護活動としてとれる選択肢が広がります。
不起訴を目指し、早期解決を図るには、専門家の助言は有意義です。検察庁からの呼び出しが封書で送られてきたという方は、弁護士相談の際に、その封筒もご持参ください。一人で悩まれている方は、まずは交通事故の加害者対応を行っている法律事務所へお電話・メールにてご連絡ください。弁護士は、きっとあなたの心強い味方になります。