痴漢をして捕まると、実名報道される可能性があります。
痴漢をして実名報道をされた方は、まずこの記事をご一読ください。きっと今後の対応について参考になる情報が見つかると思います。逮捕された直後に実名報道されると、すぐに情報はその会社関係者や近隣住民に広がってしまいます。仕事への影響だけでなく、生活環境にまで支障が生じてしまうでしょう。
痴漢事件の解決とともに、ネット記事の削除など、ネット対策についてもすぐにスタートさせることが大切です。刑事事件に詳しい弁護士とネットに強い専門家がいるアトム法律事務所だからご提案できることがあります。実名報道でお困りの方は、まず目次から気になるトピックをご覧ください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
痴漢事件を起こしたら実名報道される?
実名報道されるかどうかは報道機関の自主判断
刑事事件を報道するかどうかについて、法律による規制やルールはありません。 実名報道するかどうか、被疑者の写真を掲載するかどうかも含めて、基本的には報道機関の自主判断に任されています。そのため、実名報道を防ぐ確実な方法はありません。
犯罪報道は公共の利害に関する事実とされていることから、目的が公益を図ることにあり、内容が事実であれば、名誉棄損になることもありません(刑法230条の2)。
なお例外的に、少年事件については実名等の本人が特定できる情報の報道が少年法によって原則禁止されています。少年が痴漢事件を起こすと、成人とは異なる手続きで進められていくことになるので、詳しくは『未成年が痴漢をしたら逮捕される?前科はつく?少年事件を解説』の記事をご覧ください。
報道機関に実名報道されやすい事件とは?
報道される内容はあくまで報道機関の裁量ですので、明確な基準があるわけではありません。もっとも、実名報道されやすい事件・されにくい事件はあります。
実名報道されやすい事件
- 重大事件や公共性の高い事件
- 有名人や社会的地位の高い人が起こした事件
- 一般人の興味を引いたり話題性のある事件
特に、公共の利害に関する程度が強い事件ほど、実名での報道がされやすい傾向にあります。
痴漢事件の実名報道の実情は?
痴漢事件が特に実名報道されやすい、ということはありません。報道されている痴漢事件のうち実名報道がなされているのは2~3割といったところでしょう。
ただ、痴漢事件の背景事情として、教師や公務員という立場で起こした事件となると、社会の関心が高まる事件として実名報道される可能性が高まります。報道機関は、公益目的をもって公共の利益にかなう情報であるとして、実名報道を行うのです。
他にも、繰り返し痴漢をしていて逮捕されたというケースや、未成年ばかりを狙った痴漢など、その犯行態様に特異性が認められる場合も実名報道の可能性が高まります。
逆に一般的な会社員などが、 魔がさして初めて痴漢をして逮捕されたというような場合には実名報道までされるリスクはそれほど大きいものではありません。しかし、「普通は痴漢で実名報道されることはない」と甘く考えることは危険です。もしも、実名で報道されてしまえば仕事を辞めざるを得なくなったり生活に大きな支障をきたす危険があるのです。
痴漢報道の例
実名報道 | 職業 | 行為・手口 |
---|---|---|
あり | 県立高校教諭 | 路上で女性の体を触った疑い(条例違反) |
あり | 医師 | 走行中の路線バス内で、女性を触るなどした疑い(強制わいせつ) |
あり | テレビ局社員 | 電車内で、隣に座っていた女性の太ももを触った(条例違反) |
なし | 大学生 | 駅ホームで、女性の背後から近づいて、体を触るわいせつな行為をした(強制わいせつ) |
なし | 会社員 | 電車内で、隣に座っていた女性の下半身を触るなどのわいせつな行為をした(強制わいせつ) |
なし | 無職 | 路上で、女性の上半身を触るなどのわいせつな行為をした(強制わいせつ) |
痴漢の実名報道のタイミング
逮捕後に実名報道されることが多い|警察の公表
痴漢を逮捕した後、警察は公共性・重大性も考慮しながら、警察署長の判断でその事件を実名とともに報道機関に発表します。警察の発表を受けた報道機関は、独自取材の必要が特になければ警察の発表情報のみで記事にするかどうかを決めます。
マスコミの判断で実名を伏せて「30代男性会社員」や「団体職員の女性」などと抽象的な表現が用いられることもあります。しかし、ネットニュースをみてもわかるように、逮捕事件では実名報道されている事案も少なくありません。
事件の中には、顔写真とともに報道されるケースもあります。その場合、 逮捕の翌日(翌々日)に、警察署から検察庁に移動をするため警察署の建物から出たところを撮影した写真が使われることが多いです
実名と顔写真がネットニュースやテレビのニュースで取り上げられると、その影響はすさまじく、すぐにSNSなどでも拡散されてしまうおそれがあります。
痴漢で逮捕されなくても実名報道の可能性はある?
痴漢事件を起こし、逮捕はされなかったという場合には、実名報道はされないものでしょうか?一般的には逮捕されなかった事件で実名報道をされる可能性はかなり小さいでしょう。
特に痴漢は、客観的証拠に乏しく、冤罪が社会問題にもなっていますので、逮捕されなかった事件まで積極的に報道するということはあまり考えにくいです。しかし、実名報道の危険がなくなるわけではありません。
逮捕されず捜査を受ける事件は、在宅事件と呼ばれます。痴漢の在宅事件も、逮捕された事件と同様に検察官に引き継がれるという手続です。この引き継ぎのことを「送致」といいます。マスコミでは、在宅事件で送致されることを「書類送検」と表現することが多く、ニュースで聞いたことがある方も多いかもしれません。
逮捕されなかった痴漢事件では、送致のタイミングで報道される可能性が高いといえます。「~書類送検されました」という記載で報じられることが多いです。ここでも、実名が伏せられるケースや実名が明かされるケース、さまざまです。痴漢をしても逮捕されなかったからといって、自分の事件が公開されないとは言い切れません。捜査の対象となった以上、早めに報道対策を検討しておくことが大切です。
痴漢の実名報道にはどう対応すべきか|弁護士解説
痴漢被害者との示談で早期解決を図る
痴漢事件で実名報道されると、その影響は各所に現れます。報道対応もしながら、早く事件を解決するよう動いていきましょう。痴漢事件の解決のポイントは、被害者との示談です。被害者に対して真摯に謝罪をし、示談金を支払って許してもらうことが大切です。被害者の心情に配慮して、自分や自分の家族が示談をすることは控えなければいけません。すぐに弁護士に相談し、示談の依頼をすることが大切です。
痴漢は都道府県が定める迷惑行為防止条例違反として検挙される場合と、刑法犯である不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)として検挙される場合があります。犯行態様によってどちらになるか分かれ、刑罰の重みも異なります。痴漢は被害者に「尾を引く」精神的苦痛を与えるものであり、機械的な示談では被害感情をおさめることは難しいものです。痴漢被害者の感情に丁寧に向き合い、誠心誠意謝罪の意思をもって示談に取り組むことが大切です。
不起訴による刑事事件の終了を急ぐ|起訴回避
痴漢で逮捕されたとき、逮捕時の実名報道だけが問題ではありません。刑事処分が「起訴」とされた時や初公判のタイミング、判決の時点でも再度報道されることがあります。特に、社会が注目する事件であれば、事件が終結するまで報道機関に追いかけられるものです。刑事裁判に進展せず、不起訴で終了すれば、それ以降の実名報道の危険はなくなります。つまり、不起訴による事件終了を目指すことが、さらなる実名報道を回避する上で重要です。
不起訴を獲得するには、早い段階で弁護士に弁護活動を依頼することが大切です。被害者との示談、更生への具体的な行動、監督者の用意など、不起訴に向けて行うべきことはたくさんあります。何から始めるべきか、捜査機関への対応方法はどうすべきか、弁護士に相談しながら早期解決に向けて取り組んでいきましょう。
痴漢の実名報道を「削除」する方法とは?
痴漢の実名報道が行われた場合、もっとも注意しなければならないのはネット上に報道記事が残るという点です。テレビでの報道は一時的だと思われるかもしれませんが、多くの場合、それらもネットに残ります。
実名情報がネットに存在する以上、氏名検索でヒットして人に見られてしまう危険が否定できません。削除しなければ何年も残り続けるものもあるため、できる限り削除していくことをおすすめします。
ネット記事の削除はネット上の知識も必要になる場面が多く、専門の弁護士に意見を聞きながら慎重に対応することが求められます。
テレビで報道された内容は記事・画像・動画、あらゆるものがネットに出回ります。
また 事件に関する情報がネットに残るのは、報道機関が自身の公式サイトでアップしている場合だけではありません。個人ブロガーや情報配信活動をしているサイトでも取り上げられ、実際に報道機関が報じた以上の情報量が出回ることになります。
痴漢の実名報道は今すぐ弁護士までご相談ください
ネット炎上は実名報道から始まる|加害者が被害者になる
実名報道が行われると、それが元となり様々なサイトに取り上げられます。TwitterやFacebookなどのSNSに投稿されることもあり、瞬く間に事件記事は量産(拡散)されます。報道が行われてからわずか1~2週間で数十本の記事(投稿)がネットに現れるため、放置することは風評被害を深刻化させることになるでしょう。
痴漢加害者は、次第にネット炎上が進むにつれて被害者の立場にもなります。もちろん、報道機関が取材活動で確かな情報を得て報じるものについては正当な目的があります。しかし、その記事を取り上げ個人の感想が書き込まれたとき、そこには目を覆いたくなるような誹謗中傷が集まってくるのです。名誉毀損や侮辱といえる書き込みに対しては、毅然と対応していくことが大切です。
実名報道の対応は「事件が解決してから」では遅い
「まだ事件が解決していないからネット報道の対応ができない」「逮捕直後なので実名報道はどうすることもできない」とお考えの方は、今すぐアトム法律事務所にご連絡ください。確かに、事件の進展を見ながらネット対策をすることは大切です。しかし、捜査の進展とネット記事(実名報道の記事)への対応は、必ずしもリンクせず、状況によっては逮捕当日からネット記事の削除に動くことができるケースもあります。
ネット記事は一生残るものだと思って諦めてしまっている人も多いかもしれません。しかし、実際に逮捕報道のネットニュースを見てみると、短期間で削除されている記事が少なくありません。早期に対処・削除対応ができれば、ネット記事の影響を最小限に抑えられる可能性があるのです。
自分や自分の大切な家族がネットに晒されてしまった場合、「事件を起こしたのだから仕方ない」と諦めないでください。記事を削除したり、事件記事を人目に触れにくくする方法があります。事件に向き合うことと、家族や自分の人生を守ることは両立させることができるのです。
「刑事事件」と「ネット」に詳しい弁護士がいます
実名報道をはじめ、ネットに現れた事件関係の記事については、削除することができます。削除できないケースであっても、ウェブ上の対策をうち、風評被害を最小限にくいとめることが可能です。まずはネットに詳しい専門家に相談し、どのような対応をするべきか助言をもらうところから始めましょう。
痴漢事件の解決と、実名報道への対応は、同時に進めることができます。アトム法律事務所には、刑事事件に詳しい弁護士だけでなく、ネットに強い専門家も常駐しています。痴漢で実名報道されてお困りの際は、どうぞ迷わずにお問合せください。