名誉毀損罪で訴えられたり逮捕されたりするケースは、ネット上で誹謗中傷をしてトラブルになるケースが圧倒的に多いです。
誹謗中傷、名誉毀損をしてしまったら、逮捕される前に弁護士へ相談してください。最近では、芸能人などの著名人をネットで誹謗中傷してしまい、名誉毀損罪で逮捕されたケースも多く見られます。
この記事では、名誉毀損罪の成立要件と刑罰、逮捕される可能性などについて解説します。
名誉毀損を早期に解決するために必要となる示談成立のポイントもご紹介していますので、最後までお読みください。
「つい軽い気持ちでネットに誹謗中傷を書き込んでしまった」というときでも、警察が捜査に動き出せば逮捕される可能性が出てきます。
「この程度のことなら大丈夫」と考えるのではなく、すぐに弁護士までご相談されることをおすすめします。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
名誉毀損に強い弁護士とは?
名誉毀損に強い弁護士はどんな弁護士?
名誉毀損事件に強い弁護士は、刑事事件の解決実績豊富な弁護士といえるでしょう。
名誉毀損罪の成立要件を熟知しており、検察官に反論をだせる弁護士が名誉毀損事件に強い弁護士です。
また、刑事事件の手続きの流れを熟知しており、適切なタイミングで必要な弁護活動ができる弁護士も頼りになります。
名誉毀損に強い弁護士の見つけ方は?
知人からの紹介や弁護士会への問い合わせによっても、弁護士を探すことはできますが、必ずしも刑事事件の解決を得意とする弁護士ではないケースも多いものです。
名誉毀損事件に強い弁護士、刑事事件に強い弁護士を見つける方法として、インターネット検索が考えられます。「名誉毀損 弁護士」「刑事事件 弁護士」などのキーワードで検索をおこなうと、候補となる弁護士事務所が見つかるでしょう。
名誉毀損の弁護士費用は?
名誉毀損の弁護活動を弁護士に依頼する場合、気になる点が弁護士費用です。
弁護士費用は、弁護士事務所ごとに異なります。
弁護士事務所のホームページで確認できることもありますが、個別の事件でどのような費用がどのくらい発生するのかについては、弁護士相談の際に直接確認しておくのがよいでしょう。
名誉毀損罪とは?
名誉毀損罪とは?
名誉毀損罪は、公然と「事実」を摘示し、社会的な評価・名誉を傷つけた場合に成立する犯罪です。刑法230条に規定されています。まずは条文を確認しておきましょう。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法230条1項
名誉毀損罪の成立要件
名誉毀損罪の成立要件
①公然性があること
②「事実」を摘示していること
③人の名誉を毀損したこと
名誉毀損罪における公然性とは、「不特定多数の人の目に触れる状態であること」を指しています。路上で見かける掲示板やネット上の掲示板が公然性を備えた場所の例です。
名誉毀損罪における事実とは、「真偽を判断することができる具体的な内容」のことです。「過去に何度も不倫をしている」「整形ばかりしている」など、具体的な「事実」を摘示することで、人の社会的評価を貶めると名誉毀損罪が成立します。
一方、「信用できない人間だ」「不誠実だ」など抽象的な表現は、名誉毀損罪における「事実」には該当しないため、名誉毀損罪は成立しません。
ただし、名誉毀損の内容が公共の利害に関する事実で、専ら公益目的のために行われたことであり、真実だと証明できれば名誉毀損罪の違法性はなくなります。
名誉毀損罪の刑罰
名誉毀損罪の法定刑は「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」です。初犯で被害者と示談が成立しているなどの事情があれば、不起訴になる可能性もあります。
ですが、悪質な誹謗中傷などで被害が大きい場合には、懲役刑で刑務所に入ることもあります。
名誉毀損罪と侮辱罪との違い
名誉毀損罪とよく似た犯罪に、侮辱罪があります。
刑法231条(侮辱罪)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
侮辱罪は刑法231条に規定された犯罪で、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者」が処罰対象です。名誉毀損では事実の摘示が成立要件に求められますが、侮辱罪では事実の摘示がない場合に成立するものとされています。たとえば、「気持ち悪い奴」「犯罪者顔」などが侮辱的な表現になるでしょう。
誹謗中傷が脅迫罪や業務妨害罪に該当する場合もある
脅迫罪は、刑法では以下のように規定されています。
刑法222条(脅迫罪)
1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
脅迫罪は「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者」が処罰対象になります(刑法222条)。
具体例としては、「家を燃やしに行く」「職場に不倫の写真をばらまいてやる」などが考えられます。ネット掲示板によくこのような書き込みが見られますが、内容によっては名誉毀損になったり侮辱罪や脅迫罪になりかねません。
自分が書いた内容がどのような犯罪になるかは、法的な判断が必要になりますので、弁護士に問い合わせることをおすすめします。
また、ネットで嘘の内容を書いて店舗の営業を妨害したり、店内で騒ぎ立ててレジでお金を投げつけるなどの行為をすると、業務妨害罪に問われる可能性もあるでしょう。刑法第233条および234条には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑罰も規定されています。
関連記事
・「訴えるぞ」「警察に言うぞ」は脅迫罪になる言葉?構成要件や時効を解説
・脅迫に強い弁護士に相談したい。弁護士の選び方と弁護士費用がわかる
・業務妨害罪での逮捕の流れと弁護士依頼のメリット!威力業務妨害・偽計業務妨害とは?
名誉毀損で逮捕される可能性|匿名で誹謗中傷しても逮捕される?
名誉毀損罪が成立しやすいケースとは
名誉毀損罪が成立するケースとして最も多いのは、ネットに書き込んだ誹謗中傷のコメントや投稿が相手の社会的評価を毀損する場合です。
誰もが閲覧できるネット掲示板で、会社の上司への誹謗中傷を書いたり、恨みをもっている相手の悪口を書くと、名誉毀損になる可能性があるのです。
「不倫をしている」「詐欺集団の一員だ」など、それが真実であるか嘘の内容であるかは問われません。なお、掲示板だけでなく、TwitterやYouTubeでの発信も、公然性の要件を満たします。
ネットでの誹謗中傷は法的に問題のない表現から深刻な名誉毀損にあたるものまで、様々あります。自分が他人の誹謗中傷・悪口を書き込んでしまった場合には、すぐに弁護士まで相談するべきです。
書き込んだ後に不安になり削除したからといって、すでに警察が証拠を保全している場合も考えられます。早めに弁護士からアドバイスをもらい、今後の対策を考えましょう。
名誉毀損で逮捕される可能性
誹謗中傷をした結果、相手の健康状態が悪化したり自殺に追い込まれたりした場合には、悪質な犯行として名誉毀損罪で逮捕される可能性が高まります。
名誉毀損罪は、互いに誹謗中傷を投稿し合っていたり、名誉毀損の度合いが弱かったりする場合には、逮捕されるケースは少ないといえるでしょう。
具体的にどのような誹謗中傷であれば逮捕につながるのか、加害者自身で判断することは難しい場合が多いため、今後の警察の動きや対応が不安であれば、弁護士に相談してください。
匿名のネット投稿でも特定・逮捕される?
ネット上で誹謗中傷のコメントなどを匿名で投稿した場合でも、その内容が名誉毀損に該当するときには、警察が犯人を特定し、逮捕される可能性があります。
または、被害者が弁護士を使って情報開示請求を行い、その上で警察に告訴をする流れも考えられます。
匿名で投稿した、匿名アカウントで書き込んだからといって、足がつかないと思うのは誤りです。基本的には、ネットで書き込んだときの接続情報(IPアドレスなど)がそのサイトに記録されており、それをたどることで誰が名誉毀損をしたかを割り出すことができます。
この手続きは、法改正も行われており、よりスピーディに犯人特定ができるように整備が進められています。
名誉毀損で逮捕された後の流れ
名誉毀損で逮捕された場合、逮捕に続き勾留される可能性も否定できません。警察に逮捕されたあとは検察官に事件が引き継がれ、勾留すべきか検討されます。
勾留されると10日間は拘束され、さらに延長されれば10日を限度として勾留が継続しまうのです。そして、最終的に検察官による起訴か不起訴の処分が行われます
名誉毀損罪の慰謝料相場|被害者と示談する方法は?
名誉毀損の加害者が支払う慰謝料相場は?
名誉毀損の慰謝料の相場は50万円前後といわれています。
しかし慰謝料は、被害者の精神的苦痛に対して支払う被害弁償のことを指します。事案により被害者が受けた苦痛の大きさは異なるため、それを金銭に換算することは容易ではありません。
10万円の慰謝料で納得する被害者もいれば、50万円が相当なケースもあります。名誉毀損の被害により、被害者は通院を余儀なくされるほどの精神的ダメージを負ったり、仕事に行けなくなり失職に追い込まれるケースも少なくありません。そうなれば、実損害に加えて慰謝料の額も大きくなることが想定されます。
名誉毀損で被害者と示談する方法とは
示談とは、裁判外で当事者同士が話し合いにより事件を解決する方法です。名誉毀損の加害者側としては、「被害者が加害者を許し刑事処罰を望まない」という宥恕条項を盛り込んで示談を成立させることが目標となります。
刑事事件の示談を不備なく成立させるためには、誠意を込めて被害者に謝罪をし、慰謝料や通院費などを含めた、事件解決のための金額を示談金として支払うことが多いです。
しかし、加害者から被害者に示談を申し入れ、交渉を直接行うべきではありません。
名誉毀損の当事者同士では、事件に関する互いの認識がズレているような場合に、再び口論になりやすく、冷静に示談条件を調整できなくなることが多いからです。名誉毀損の被害者によっては、加害者と直接連絡を取りたくない、会いたくないと考えることもありえます。
名誉毀損の加害者が、被害者と示談を成立させたい場合には、刑事事件に強い弁護士に依頼するケースが一般的です。
弁護士であれば、感情的にならずに交渉を進め、加害者の経済状況や事件の悪質性などを踏まえた最適な示談を成立させる可能性が高くなるでしょう。
名誉毀損で示談を成立させたアトムの事例
ネット上での名誉毀損(不送致)
この事例を詳しく見る
ネットでの誹謗中傷の事案。依頼者はインターネットの掲示板に同級生の子供の実名を出し、侮辱したとされる。名誉毀損の事案。
弁護活動の成果
依頼者の意向に沿い顧問としてアドバイスを行った他、意見書や添付資料等の作成に協力した。刑事事件化することなく事件終了となった。
示談の有無
あり
最終処分
不送致(刑事事件化せず終了)
名誉毀損を弁護士に依頼するメリット3つ
ネット上で誹謗中傷などを行い名誉毀損の加害者となった場合、弁護士に依頼することで、「逮捕や身柄拘束の回避」「被害者と示談して不起訴」「執行猶予など刑罰が軽くなる」といった効果が期待できます。
(1)逮捕回避に向けた弁護活動(早期釈放)
名誉毀損事件を起こしてしまったときは、すぐに弁護士に相談されることをおすすめします。逮捕前の段階にあっては、被害者と示談をして事件化を阻止したり、在宅捜査のまま事件が進行するよう捜査機関に働きかけることが大切です。弁護士は、警察や検察官の動きを見ながら、逮捕回避に向けた弁護活動を行います。
また、逮捕されてしまった場合には、早期釈放を目指すことが必要です。弁護士は、被疑者が勾留されないように、検察官や裁判官に意見を申し入れます。もし、勾留されてしまったとしても、裁判所に勾留の判断が誤っていることを主張する不服申立てをすることができます(これは「準抗告申立て」といいます。)。こうした活動は高度な法的知識と弁護活動の経験が求められるため、刑事事件を得意とする弁護士にサポートを求めることが望ましいといえます。
(2)名誉毀損の被害者との示談(不起訴の獲得)
名誉毀損が刑事事件になってしまった場合は、すぐに被害者対応をして、不起訴処分を求める活動が必要です。被害者がいる犯罪では被害者の告訴取消しが刑事処分に影響します。捜査が尽くされると、検察官が起訴か不起訴を決めます。ここで「起訴」が選択されると、公開の法廷で刑事裁判を受けることとなり、有罪になれば前科がついてしまうのです。
一方、不起訴処分となれば、事件はそこで終了となるため前科がつくことはありません。前科がつくことを回避する意味でも、不起訴処分を目指す活動は重要です。被害者との示談は不起訴の可能性を高めるため、最も力をいれなければならない弁護活動となります。
(3)刑を軽くするための弁護活動(執行猶予の獲得)
起訴されて刑事裁判になることが決まった場合には、公判に向けた対策を行います。名誉毀損は、懲役、禁錮、罰金の三種類が刑罰として用意されています。判決で懲役や禁錮になる可能性も否定できません。ここで執行猶予がつけば、刑務所に入ることはなく、普段の生活に戻ることができます。
少しでも刑を軽くするためには、公判までに様々な活動をしておく必要があります。被害者との示談はもちろん、同じ犯罪を繰り返さないように監督者を設けたりすることも、再犯防止策としては有効です。刑事裁判の経験豊富な弁護士に相談し、執行猶予獲得に向けた公判準備を進めることが大切です。