メンズエステ店で施術スタッフに対しわいせつ行為をした場合、どのような犯罪が成立するでしょうか。また、それは逮捕される可能性があるのでしょうか。ここでは、実際に弁護士が法律相談で受けた事例をもとに、メンズエステ店でのわいせつ事件を解説しています。
逮捕を回避する方法、被害者との示談で注意すべき点についても解説していますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。また、家族がわいせつ事件で逮捕されたという場合でも、こちらの記事をご覧いただき、弁護士までお問合せください。
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目次
メンズエステでわいせつ行為をしたら刑事事件になる?
メンズエステでのわいせつ行為は何罪になるか
メンズエステは、男性向けのエステティックサロンのことを指します。瘦身や脱毛などの美容を目的としたエステだけでなく、リラクゼーションをサービスにしたサロンも一般的にはメンズエステに含まれます。女性スタッフが男性客に対して施術する中で、男性客がわいせつ行為に及びトラブルになるケースがあるのです。
例えば、施術スタッフである女性の下着に手を入れ、臀部(尻)や陰部を触る行為や、胸部に触れる行為が考えられます。この場合、女性スタッフに対する不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)が成立する可能性があります。
さらに、女性スタッフに対して無理やり性交渉を求め、強姦(レイプ)した場合には、不同意性交等罪(旧強制性交等罪)に問われることになりかねません。
不同意わいせつ罪は刑法176条に規定されていて、「6か月以上10年以下の拘禁刑」が法定刑です。不同意性交等罪は刑法177条に規定される犯罪で、「5年以上の有期拘禁刑」が法定刑となっています。
法定刑を見ると、どちらも重い罪だといえるでしょう。
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わいせつ行為をして警察に被害届を出されたら
メンズエステ店で施術スタッフに対してわいせつ行為をした場合、警察に被害届が出されるおそれがあります。被害者であるスタッフが警察に駆けこんだり、店側が110番通報をして店舗に警察が呼ばれることもありえます。わいせつ行為で被害届が出されると、警察に逮捕される可能性も否定できません。
不同意わいせつ罪として被害届が警察に出されると、警察は被害者と加害者双方から事情を聞き、捜査を進めます。加害者を逮捕して身体拘束をした状態で捜査を展開することもあり、その場合にはすぐに自宅に帰ることが難しくなるでしょう。また、在宅捜査として、逮捕せずに捜査を進める可能性もあります。この場合は、普段の生活に大きな支障はなく、警察から呼び出しがあれば適宜それに応じて取調べを受けることになります。捜査の進展によっては、途中で逮捕に踏み切られることもあるため、在宅捜査だからといって安心できるものではありません。
メンズエステ店が警察に通報する場合
女性店員が男性客にわいせつ行為をされた場合、女性が店に相談し、店が警察に通報することもあります。その場合でも、あくまで被害者は施術をした女性スタッフになるため、警察は被害者女性から聞いた情報を中心にして事件を取り扱うことになるのです。また、わいせつ事件を機に、女性スタッフが恐怖で出勤できなくなったり店を辞めてしまうことがあれば、店側は損害を被ったとして加害者の客に対して民事上の責任追及をすることが考えられるところです。
メンズエステ店が警察に通報し、警察の捜査に協力するときには、店は加害者に関する情報提供をすることがあります。店が把握している顧客情報に電話番号や住所があれば、警察が加害者逮捕を行うまで時間を要しないことが予想されます。
メンズエステ店でのわいせつ行為で逮捕されたら
性的暴行犯として逮捕されたら釈放を求める動きを
メンズエステでスタッフに性的暴行を加えて逮捕されたときは、どのような対応が望ましいでしょうか。まず考えるべきは、早期釈放への動きです。逮捕されると自分自身は身動きがとれませんので、家族や友人に弁護士を警察署に派遣してもらう必要があります。または、当番弁護士の派遣を要請し、すぐに法律相談を受けることが大切です。
刑事事件に詳しい弁護士に弁護を依頼し、検察官や裁判官に対して身体拘束をする必要がないことを説明してもらいましょう。そして、勾留という長期間の身体拘束を避けるよう働きかけてもらいます。勾留が決まったとしても、裁判所に勾留という判断が誤っていることを指摘する手続もあります。弁護士には、釈放に向けた活動をすぐに開始してもらい、一日も早く日常生活を取り戻すことを考えましょう。
メンズエステ店の被害者と示談をして早期解決を
わいせつ行為の被害者と示談をして、事件の解決を図ることも大切です。特に、逮捕された場合では、被害者と示談をすることで早期釈放が期待できます。示談は、当事者同士が話し合いにより裁判外で民事上の事件を解決する方法です。加害者は被害者に示談金を支払い、事件について許しを得ます。
示談金は事案により異なります。わいせつ行為の悪質性や被害者の精神的な苦痛によっても左右されるものです。一般的に、被害者が同意できないような状況でわいせつ行為や性交等をした場合、示談金が100万円を下回るケースは少なく、300万円前後になることも多いです。慰謝料に加え、被害者が病院へ通院することになったのであれば、その治療費も示談金に含めて検討する必要があります。
わいせつ事件の示談は必ず弁護士に相談を
また、わいせつ事件での示談で重要なことは、示談を自分でしようとせず弁護士に依頼するということです。被害者が存在する事件は、示談によって事件を終わらせるという意味では、共通しています。しかし、その中でも、わいせつ事件はとりわけ繊細な被害者対応が求められます。わいせつ事件の被害者は心に一生の傷を負い生きていくことになるため、その心情には最大限の配慮が必要です。
謝罪と被害弁償の趣旨であっても、被害者は加害者から接触されることに恐怖や不快感を覚えることがほとんどです。そのため、被害感情を酌んだ対応をする意味でも弁護士に示談を任せることが賢明といえます。さらに、捜査機関からすると、加害者が被害者に接触する行為は、被害者の口封じや証拠隠滅を疑うものです。捜査機関に不利な扱いを受けないためにも、加害者やその家族が被害者に接触することは避けるべきといえます。
メンズエステでのわいせつ事件を弁護士に相談する理由
理由①不起訴処分で前科を回避する
メンズエステでのわいせつ事件は、刑事事件になったときには不起訴を目指すことが大切です。逮捕された場合でも、在宅捜査となった場合でも、最終的に検察官は起訴か不起訴を決めます。刑事処分が「起訴」となれば、その後は刑事裁判へと手続きが進められていきます。刑事裁判は公開の法廷で行われるもので、事件の内容によってはマスコミなど報道機関に取り上げられるリスクも高まるでしょう。
不起訴処分を得ることができれば、それで事件は終了となります。不起訴処分では前科がつきませんので、その意味でも大きなメリットがあるといえます。不同意わいせつ事件や不同意性交等罪の事件では、法定刑が拘禁刑しか用意されていません。
ですので、起訴され有罪になれば刑務所に入る可能性が高まります。検察官の終局処分で不起訴を狙うためには、刑事事件に詳しい弁護士にサポートを依頼することが大切です。
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理由②刑を軽くするための活動ができる
起訴されてしまった場合は、刑事裁判に向けた準備を始める必要があります。刑事裁判ではどのような証拠を裁判所に提出するか、証人はどうするか、被告人質問の内容など、検討事項がたくさんあります。判決で執行猶予を獲得することができれば、刑務所に入ることなく日常生活に戻ることが可能です。ですので、執行猶予を得るためには何が必要かを考え、提出する証拠を検討することとなります。
弁護士であれば裁判を行うこと自体、特別な活動というわけではありません。しかし、刑事裁判は一歩間違えれば刑務所行きが確定してしまうため、経験豊富な弁護士に依頼するほうが安心感があるといえるでしょう。
理由③逮捕を回避する方法も検討できる
メンズエステ店でのわいせつ事件で、まだ事件化されていないケースでは、すぐに弁護士に相談する必要性が高いです。店に警察に通報されたり、被害者が警察に被害申告を行えば、警察が捜査を開始し逮捕に踏み切ることも考えられます。しかし、まだ警察が事件を知らない間に、被害者と示談をすることで刑事事件化を避けることも可能です。
示談は当事者が合意して事件を解決する手段であり、仮に示談をしているにもかかわらず被害者が警察に被害届をだした場合には、示談書の存在は加害者に有利な証拠としてはたらきます。早期解決をするためにも、事件を起こした場合はすぐに弁護士までお問合せいただき、法律相談を受けていただくことをおすすめします。