
2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
不同意わいせつ罪とは、相手の同意なしに、身体を触る・キスをするなどのわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です(刑法176条)。
2023年7月13日、改正刑法が施行され、不同意わいせつ罪の適用が始まりました。
不同意わいせつ罪の法定刑は、6か月以上10年以下の拘禁刑です。
この記事では、不同意わいせつ罪の構成要件、刑罰、逮捕後の流れ、旧法(強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪)との違いなどを解説します。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
不同意わいせつ罪とは?
不同意わいせつ罪とは、相手の同意なしに、身体を触る・キスをするなどのわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です(刑法176条)。
法律上は、婚姻関係の有無を問わず、一定の手段や事由により、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し、または全うすることが困難な状態」にさせ、またはその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした場合に成立するとされています。
2023年の刑法改正により新設された罪で、従来の「強制わいせつ罪」および「準強制わいせつ罪」が統合され、構成要件が大幅に拡張されていることが特徴です。
不同意わいせつ罪の構成要件(1)相手の「同意」がないこと
不同意わいせつ罪の構成要件として、相手の「同意」がないことが挙げられます。
同意がないわいせつ行為の代表例としては、暴行・脅迫を用いてわいせつを行う場合や、睡眠時やアルコールの影響で相手の意識がない状態でわいせつなどを行う場合などが挙げられます。
分類すると、不同意わいせつ罪の類型は、次の3パターンあります。
不同意わいせつの3類型
- 被害者が「同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態」にある場合に、わいせつな行為をする(刑法176条1項)
- 被害者が「わいせつな行為ではないと誤信」、または「人違い」をしている場合に、わいせつな行為をする(刑法176条2項)
- 被害者が「13歳未満」、または「13歳以上16歳未満で、行為者が5歳以上年長である」場合に、わいせつな行為をする(刑法176条3項)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
同意しない意思の形成・表明・全うが困難な状態でのわいせつな行為
被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全う」することが困難な状態にある場合、またはそのような状態にさせた場合に、わいせつな行為をしたときは、不同意わいせつ罪に該当します(刑法176条1項)。
相手が同意しない意思の形成、表明、全うが困難になる状態の原因として、条文には、8つの事情が例示されています。
同意しないの形成、表明、全うが困難な状態とされる8つの例
- 暴行または脅迫
- 心身の障害
- アルコールまたは薬物の影響
- 睡眠その他の意識不明瞭
- 同意しない意思の形成・表明・全うのいとまがない
- 予想と異なる事態との直面に起因する恐怖または驚愕
- 虐待に起因する心理的反応
- 経済的または社会的関係上の地位にもとづく影響力による不利益の憂慮
(1)暴行または脅迫
殴るなど暴力をふるって無理やり胸を触ったり、「抵抗したら殺すぞ」と脅して、体を触ったりする行為は、不同意わいせつ罪に問われます。
殴る・蹴るなどの暴力以外にも、被害者の体を押さえつけて抵抗できないようにするだけでも、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
改正前の刑法では、強制わいせつ罪に該当する行為です。
(2)心身の障害
わいせつ行為の相手が心身に障害を持っていると、不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いです。
相手が精神障害を持っていたり、身体に障害を持っていたりする場合、わいせつ行為に同意する能力がないとみなされやすいためです。
改正前の刑法では、準強制わいせつ罪に該当する行為です。
(3)アルコールまたは薬物の影響
飲酒により酩酊状態になっている相手に対するわいせつ行為や、薬物の影響で意識が朦朧としている状態の相手に対するわいせつ行為も、不同意わいせつ罪に問われます。
「相手も酔っていて乗り気だった」「何度も食事しているのでキスくらいはできると思った」など、アルコールなどが絡む不同意わいせつの事件は誰でも起こしてしまうおそれがあります。
しかし、アルコールなどの影響がない時点で同意を得なければ、不同意わいせつ罪が成立する可能性があるので、注意が必要です。
改正前の刑法では、準強制わいせつ罪に該当する行為です。
(4)睡眠その他の意識不明瞭
睡眠時に相手の許可なくわいせつ行為をすると、不同意わいせつ罪に問われます。
不同意わいせつ罪はカップルや夫婦間であっても成立するおそれがあります。パートナーだからといって相手が寝ているときにわいせつ行為をすると、相手の被害感情によっては刑事事件化する可能性もあるでしょう。
改正前の刑法では、準強制わいせつ罪に該当する行為です。
(5)同意しない意思の形成・表明・全うのいとまがない
不意打ちでわいせつ行為を行い、相手に抵抗するだけの時間がなかったと判断されれば、不同意わいせつ罪が成立します。
相手から明確な拒否も抵抗もなかったので、加害者としては同意があったと思っていても、嫌だというだけの余裕と時間がないようなケースも十分考えられるでしょう。
(6)予想と異なる事態との直面に起因する恐怖または驚愕
いわゆる「フリーズ状態」にある相手に対してわいせつ行為を行った場合も、不同意わいせつ罪が成立します。
被害者が予想外の事態に直面したり、予想を超える事態に直面したことから、自分の身に危害が加わるかもしれないと考えたり、驚くなどして、平静を失った状態が該当します。
たとえば、いきなり二人きりになって性的行為を提案されて驚きすぎて嫌だと言えなかったり、断ったら危害を加えられるかもしれないと考えて拒否できなかったりするようなケースが考えられるでしょう。
(7)虐待に起因する心理的反応
DVやモラハラ、過去に受けた虐待などの影響で、抵抗しても無駄だと被害者が考えている場合、同意能力がないと判断されるため、不同意わいせつ罪が成立します。
実際に虐待などを受けた場合だけでなく、虐待を目の当たりにしたため恐怖心を抱いている状態なども含みます。
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(8)経済的または社会的関係上の地位にもとづく影響力による不利益の憂慮
経済的上下関係、社会的上下関係を利用し、相手が従わざるを得ない状況でわいせつ行為に及ぶと、不同意わいせつ罪が成立します。
被害者が表面上は同意していたとしても、行為を断った場合の不利益を考えて同意したようなケースを取り締まるために、改正刑法では要件が明記されました。
「経済的関係上の地位」の例としては、債権者と債務者や取引先と取引関係のある者などで、「社会的関係上の地位」とは、たとえば、教師と学生、上司と部下などが挙げられます。
上司からわいせつ行為を持ち掛けられた際に、部下の側が「断ったら降格させられるのでは」「断ったら辞めさせられるのでは」などと憂慮して従うような場面では、自分の意思でわいせつ行為に同意したとはいえないとして、不同意わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。
刑法(176条1項)をみる
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
刑法176条1項
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
誤信・人違いを利用したわいせつ行為
わいせつな行為ではないと誤解させる、人違いをさせる(又はそのような誤解等に乗じる)ことで、わいせつな行為をした場合、不同意わいせつ罪に問われます。
たとえば、被害者が医療行為だと思っていた行為が実はわいせつ目的の行為だったり、恋人やパートナーだと思っていた相手が別人だったりした場合が該当します。
刑法(176条2項)を見る
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
刑法176条2項
16歳未満に対するわいせつ行為
相手が13歳未満の場合
わいせつな行為の相手が13歳未満の場合、相手が同意していたとしても、不同意わいせつ罪が成立します。
そのため、小学生との性的な行為は原則として、同意の有無にかかわらず、不同意わいせつ罪として処罰対象となります。
相手が13歳以上16歳未満で、行為者が5歳年上の場合
わいせつな行為の相手が13歳以上16歳未満で、行為者(犯人)が5歳年長の場合、相手が同意していたとしても、不同意わいせつ罪が成立します。
年齢差が5歳未満の場合には、同意があれば不同意わいせつ罪にはなりません。
たとえば、15歳の中学生と19歳の大学生が同意の上でわいせつ行為をした場合、年齢差が4歳になるため、不同意わいせつ罪は成立しないことになります。
16歳、17歳へのわいせつ行為
16歳や17歳の高校生と同意の上でわいせつ行為をした場合には、不同意わいせつ罪には該当しません。ただし、各都道府県の条例違反になる可能性が高いです。
刑法(176条3項)を見る
十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
刑法176条3項
不同意わいせつ罪の構成要件(2)わいせつな行為
不同意わいせつ罪は、相手の同意なく、「わいせつな行為」をした場合に成立します。わいせつな行為をしたという犯罪事実が必要です。
わいせつな行為とは、判例では「性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」と定義されています(最高裁判所昭和32年3月13日判決・刑集第11巻3号997頁)。
具体例としては、抱き着く、胸を揉む、お尻を触る、陰部をなでる、キスをする、自分の性器を触らせるなどの行為になります。
必ずしも身体に触れる必要はなく、裸にして写真を撮る行為などもわいせつな行為に含まれます。
不同意わいせつ罪の刑罰
刑罰は6か月以上10年以下の拘禁刑
不同意わいせつ罪の刑罰は、6か月以上10年以下の拘禁刑です。
ただし、不同意わいせつ罪にあたる行為をする機会に、被害者に怪我を負わせたり、死亡させたりした場合は、不同意わいせつ等致死傷罪に問われます(刑法181条1項)。
不同意わいせつ等致死傷罪の刑罰は、無期または3年以上の拘禁刑です。
拘禁刑と懲役との違いは?
拘禁刑とは、犯罪をおこした者が、刑事施設に収容される刑罰の一種です。一般社会から隔離して、改善更生のために必要であれば、刑務作業をしたり、指導が実施されたりします。
拘禁刑は、2025年に施行予定の改正刑法により新設されます。それまでは、条文上の拘禁刑は懲役として扱われますが、施行後は、懲役刑と禁錮刑はなくなり、拘禁刑に一本化されます。
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不同意わいせつは未遂犯も処罰される
不同意わいせつ罪は、未遂犯も処罰対象になります(刑法180条)。
たとえば、相手の同意がないにもかかわらず、無理やり押さえつけてキスをしようとしたが、結果としてキスに至らなかった場合でも「不同意わいせつの未遂」として刑事責任を問われる可能性があります。
実際の処罰の有無や刑の重さは、行為の具体的内容や状況、被害者の供述などによって大きく左右されます。未遂とはいえ、重大な性犯罪の一つとして扱われる可能性が高いでしょう。
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不同意わいせつ罪で逮捕されたら
不同意わいせつ罪は逮捕されやすい?
不同意わいせつ罪は比較的逮捕されやすい犯罪です。2023年の検察統計によると、不同意わいせつ罪で検挙された事件のうち約59%で被疑者が逮捕されています(検察統計「罪名別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員」)。
過去にアトム法律事務所で扱った不同意わいせつ事件で逮捕された割合は約65%でした(アトム法律事務所「不同意わいせつ事件の統計」より)。
いずれにせよ、2人に1人以上が逮捕されていることからも、逮捕されやすい犯罪といえます。
不同意わいせつで逮捕された後の流れは?

不同意わいせつ罪が逮捕される場合、現行犯逮捕、後日逮捕の両方が考えられます。
現行犯逮捕、後日逮捕いずれにしても、警察に逮捕された後は、48時間以内に検察官に事件が引き継がれることになります(検察官送致)。
そして検察官によって留置の必要性があると判断された場合は、勾留が請求されます。
その後、裁判官によって勾留が決定された場合は、原則10日間身体拘束が続きます。勾留延長の場合は、さらに10日間以内の身体拘束手続きが実施され、逮捕から数えると最長で23日間留置場などで生活しなければなりません。
その後、検察官によって起訴/不起訴が決定され、起訴された場合は刑事裁判を受けることになり、有罪/無罪が確定します。
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不同意わいせつの逮捕を防ぐための方法
不同意わいせつでトラブルになった場合、逮捕を防ぐためには、「被害者との示談を迅速に完了させて被害届を取り下げてもらう方法」が効果的です。
不同意わいせつ罪について被害者と示談をするには、弁護士を仲介させる必要があるでしょう。
性犯罪の被害者の場合、加害者本人と連絡をとってくれないことも多いため、第三者である弁護士の存在が非常に重要となります。
また被害者の連絡先を知らない場合、捜査機関が被害者との仲介をしてくれるときもありますが、そのようなときでも「弁護士にのみ被害者の連絡先を教える」という条件がつくことが多いものです。
まずは不同意わいせつ罪の示談交渉について、安心して任せられる弁護士を見つけてください。
なお、警察が事件を認知する前であれば、自首することで逮捕を回避し、最終的な刑事処分を軽くすることができる場合もあります。
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不同意わいせつ罪と強制わいせつ罪の違い|改正ポイントを解説
不同意わいせつ罪と強制わいせつ罪の主な違いは、構成要件の変更・拡大、公訴時効の延長、性交同意年齢の引き上げの3点です。
不同意わいせつ罪の改正ポイント
- 構成要件の変更・拡大
- 性交同意年齢の引き上げ
- 公訴時効の延長
(1)構成要件の変更・拡大
従来の強制わいせつ罪の条文には、「暴行または脅迫」を手段としたわいせつ行為が処罰対象となる旨が規定されていました。
一方、新設された不同意わいせつ罪の条文では、被害者が「同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態」におちいることが、犯罪成立の要件として規定されています。
不同意わいせつ罪の要件は、改正前の強制わいせつ罪の要件である「暴行・脅迫」と、改正前の準強制わいせつ罪の要件である「心神喪失・抗拒不能状態」が組み合わされたものになっています。
旧刑法(176条、178条1項)を見る
(強制わいせつ)
刑法176条、同178条1項
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
(2)性交同意年齢の引き上げ
今回の刑法改正で、これまで13歳と定められていた性交同意年齢が16歳に引き上げられました。
性交同意年齢が16歳となったことにより、16歳未満とのわいせつ行為については、たとえ互いに同意していたとしても、原則処罰されることになります。
なお相手の年齢が13歳以上16歳未満の場合、自分が相手よりも5歳以上年長であるときに限り、処罰対象となります。
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(3)公訴時効の延長
今回の刑法改正に併せて刑事訴訟法も改正され、性犯罪関連の時効が延長されました。
公訴時効とは、犯罪終了から一定期間が経過した場合、起訴されなくなるという制度です。
不同意わいせつ罪の公訴時効は12年です(刑事訴訟法250条3項3号)。刑事訴訟法が改正される前の強制わいせつ罪の公訴時効は7年でした。したがって改正法によって公訴時効が5年間長くなったことになります。
なお、わいせつな行為をする機会に、被害者を負傷させた場合、不同意わいせつ等致傷罪に問われます。こちらについても公訴時効が延長されています。
従前の強制わいせつ等致傷罪の公訴時効は15年でした。一方、新法の不同意わいせつ等致傷罪の公訴時効は20年とされたので、改正法によって公訴時効が5年長くなったことになります。
公訴時効の延長
- 強制わいせつ 7年
→不同意わいせつ 12年 - 強制わいせつ等致傷 15年
→不同意わいせつ等致傷 20年
被害者が18歳未満の場合は、18歳になるまでの期間が時効に加算
なお、犯罪行為終了時点で被害者が18歳未満の場合には、被害者が18歳になるまでの期間が時効期間に加算されます。
たとえば12歳の児童を被害者とする不同意わいせつ事件をおこした場合、公訴時効期間12年のほかに、被害者が18歳になるまでの日数(6年)が公訴時効期間に加算されることになります。
そのため12歳の児童を被害者とする不同意わいせつ事件については、公訴時効が完成するまで18年(12年+6年)かかります。
不同意わいせつ罪に関するよくある質問
Q.不同意わいせつ罪はいつから適用される?
不同意わいせつ罪が適用されるのは、2023年7月13日以後のわいせつ事件からです。
不同意わいせつ罪が適用される時期
- 2023年7月13日から
不同意わいせつ罪 - 2023年7月12日まで
強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪
Q.不同意わいせつと不同意性交等の違いは?
相手の同意を得ずにわいせつな行為ではなく、性交等をした場合は不同意性交等罪が成立します。
「性交等」には、性交(膣への陰茎挿入)、口腔性交、肛門性交が含まれます。膣・肛門への陰茎以外の挿入(例:指)も、「性交等」に該当します。
不同意わいせつと不同意性交等罪の違い
不同意わいせつ罪 | 不同意性交等罪 | |
---|---|---|
行為 | 同意なくわいせつな行為をすること | 同意なく性交等をすること |
例 | ・抱き着く ・体を触る ・キス | ・膣・口・肛門に陰茎を挿入 ・膣・肛門に陰茎以外を挿入 |
刑罰 | 6か月以上10年以下 | 5年以上20年以下 |
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・不同意性交等罪とは?構成要件・旧強制性交等罪との違い、罰則をわかりやすく解説
撮影罪(性的姿態等撮影罪)
相手の同意を得ることなく、性的姿態を撮影する行為を処罰する撮影罪が新設されました(性的姿態撮影等処罰法)。
性的姿態とは、胸や尻などの性的な部位や、性的な部位を隠すために着用している下着、わいせつ行為・性交中の様子などを指しています。
撮影罪に該当するような性的姿態等の撮影を行った場合、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処される可能性があります。撮影罪の新設前は各自治体の条例違反で処罰されており、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が一般的な法定刑でした。
そのため、撮影罪の新設によって、盗撮行為が厳罰化されたといえます。
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面会要求等の罪
そのほか16歳未満の者に対する面会要求等の罪(刑法182条)が新設されました。
16歳未満の子どもに対して(あるいは自分が相手より5歳以上年長である場合に、相手が13歳以上16歳未満の子どもに対して)、わいせつの目的で面会等を要求した場合、面会要求等の罪が成立します。
面会要求等の罪
- 威迫・偽計・誘惑・反復・利益供与などの手段を使って、わいせつ目的を有する面会要求をすること
1年以下の懲役または50万円以下の罰金 - 面会を要求した結果、実際にわいせつの目的で会うこと
2年以下の懲役または100万円以下の罰金 - 性交等をする姿、性的な部位を露出した姿などの写真・動画を撮影して送信するよう要求すること
1年以下の懲役または50万円以下の罰金
Q.不同意わいせつの容疑がかけられたらどうすればいい?
検察官や裁判官は、過去の事件を参考にして、起訴や有罪の判断をします。
犯罪の構成要件の規定の仕方が変わったとしても、従来の裁判例の考え方を大幅に変えることはできません。
不同意わいせつ罪で捜査を受けた場合は、法律の専門家である弁護士に相談してください。
刑事事件の解決実績が豊富な弁護士に相談をおこないましょう。そして、ご自身の不同意わいせつ事件の見通しを立てて、早期に対応していく必要があります。
アトムの解決事例(職場でのわいせつ行為も不起訴処分)
同僚女性に対し、職場の更衣室で抱きついたりキスをしようとした。被害者が被害届を提出し、警察から呼び出しを受けていた。不同意わいせつの事案。
弁護活動の成果
被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。その結果、不起訴処分となった。
Q.不同意わいせつ罪の不起訴率は?
過去、アトム法律事務所があつかった強制わいせつ事件(現 不同意わいせつ事件)の不起訴率は約78%です(アトム法律事務所「不同意わいせつ事件の統計」より)
不同意わいせつ罪は、初犯(前科・前歴なし)であり、深く反省している場合、不起訴になる可能性があります。
反省を示す事情としては、被害者の方との示談や、再犯防止策への取り組みなどがあげられるでしょう。
不起訴の事情(一例)
- 示談成立
- 再犯防止策への取り組み(性依存症の治療をおこなう、再犯防止のための環境調整をおこなう、家族が監督するetc.)
アトムの解決事例(不法侵入と不同意わいせつで逮捕も不起訴獲得)
泥酔して飲食店のスタッフルームに侵入し、被害者女性の乳房を触ったり舐めるなどした。建造物侵入および不同意わいせつの事案。
弁護活動の成果
被害者と宥恕条項付きの示談を締結。その結果、不起訴処分となった。
公園で女性にわいせつ行為を働いたが、示談成立で不起訴処分となった事例
公園のベンチに座っていた被害者女性に抱きつき、服の上から胸を触った後、直接胸を触った。警察が会社に訪問するも依頼者は不在であり、後に自ら警察に連絡をし、警察署に出頭。不同意わいせつの事案。
弁護活動の成果
裁判官に意見書を提出したところ、勾留請求が却下され、早期釈放を実現した。被害者に謝罪と賠償を尽くして示談を締結し、不起訴処分となった。
Q.準不同意わいせつ罪は存在しない?
準不同意わいせつという規定は刑法には存在しません。
不同意わいせつ罪は、改正前の強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪が統合された罪です。
不同意わいせつ罪でお悩みの方へ
最後に一言
不同意わいせつ罪は、2023年7月13日から施行されています。
不同意わいせつ罪は、同意しない意思の形成・表明・全うが困難な状態にある相手や、わいせつではないと誤信している相手、人違いをしている相手に対して、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
表面上は同意がある場合でも、相手が16歳未満の場合、不同意わいせつ罪になるケースもあります。
刑罰は6か月以上10年以下の懲役で、罰金刑はありません。
日本の刑事事件は、起訴されれば、約99%有罪になるといわれています。
不同意わいせつ事件で刑罰や前科を避けるためには、不起訴を目指す必要があります。
不同意わいせつ罪は、被害者の方との示談成立によって、不起訴になる可能性がある刑事事件です。
不同意わいせつ罪で家族が突然逮捕された、不同意わいせつ事件を自分がおこしてしまったなど、お悩みの方は今すぐ刑事事件に強い弁護士に相談をおこない、今後の対応を考えましょう。
アトムのご依頼者様の声
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
二度と同じ過ちを繰り返さない様、罪を償っていきたいと思います。

この度は大変お世話になりました。自分のした事がとんでもない事であるのに気づき、今回アトム法律事務所の庄司先生に弁護活動を依頼した結果、不起訴になりました。被害者様には非常に申し訳なく思っており、今後も二度と同じ過ちをしない事で罪をつぐないたいと思っています。本当にありがとうございました。
分かりやすい状況説明や警察・検事へのご対応、細やかなアドバイスのおかげで日常に戻れました。

この度は主人の事件にご尽力頂きありがとうございました。夜遅くでの対応でも早期に対応して頂き感謝しています。今後どうしたらよいのか不安でいっぱいでしたが、私達が置かれている状況を分かりやすく説明して頂き、警察や検事への対応等、細かなアドバイスして頂いたおかげで今の日常があります。略式起訴になり罰金という形となりましたが、アトム法律事務所の方々がいなかったらと思うと、どうなってしまっていたのだろうととても怖いなと思います。1日も早く解決してほしかったので、ありがとうございました。お陰様で日常を取り戻すことができました。
アトムの弁護士相談:24時間受付中
アトム法律事務所は設立当初から刑事事件をあつかっており、不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪)の解決実績も豊富です。
被害者の方との示談交渉についても、誠意をもってあなたの謝罪の気持ちをお伝えし、示談成立にむけて尽力します。性的犯罪の再発防止についても、刑事弁護人の視点から、必要な対策を提示することもできます。
また、不同意わいせつのえん罪事件では、不同意わいせつ罪の構成要件に該当しないことを主張するなど、検察官や裁判官を説得する弁護活動をおこないます。
一度、アトム法律事務所の弁護士に、あなたの不同意わいせつ罪のお悩みを相談してみませんか。
アトム法律事務所の相談予約受付窓口は、24時間365日、土日祝日、深夜、早朝いつでもお電話可能です。
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警察に被害届を出された、警察から呼び出しを受けた、家族が警察に逮捕されたなど早急に対応すべきケースで、是非ご活用ください。