- 出資法違反で警察の捜査を受けている
- 出資法違反で逮捕されるか不安
- 不起訴処分になりたい、刑事処分を軽くしたい
そのような方に向け、この記事では、出資法違反の成立要件や刑事処分を軽減するポイントを解説します。
出資法違反行為を続けると、懲役刑や高額の罰金刑を受けるおそれがあります。弁護士への相談が早ければ早いほど刑事処分を軽減できる可能性が高まります。
アトム法律事務所は多くの刑事事件を解決してきた実績があります。出資法違反でご不安な方は、下記の電話番号からお気軽にご連絡ください。

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目次
出資法とは?高金利での貸し付けは違法?
出資法とは?
出資法は、正式には「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といいます。
出資法は、貸金業者等の違法行為から経済的弱者である一般国民の財産を保護するために制定された法律です。つまり、金融業者等に刑罰を科すことで経済的弱者を保護し、経済秩序を維持することを目的としています。
この記事では、出資法の規制のうち次の4つの罪について解説します。
- 高金利罪(出資法5条)
- 出資金の受入れ制限(出資法1条)違反の罪
- 預り金の禁止(出資法2条)違反の罪
- 金銭貸借の媒介手数料の制限(出資法4条)違反の罪
高金利罪の成立要件・罰則は?
高金利罪(出資法5条1項)
金銭の貸付けを行う者が、年109.5%(うるう年は年109.8%、1日当たり0.3%)を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
上限利息を超える利息を受領し、またはその支払を要求した者も同様です。
「金銭の貸付けを行う者」とは、金銭の貸付けを行う一般私人を意味します。
個人間で1回だけ高金利でお金を貸し借りした場合も本条が適用される可能性がありますので注意してください。
業として行う高金利罪(出資法5条2項)
金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合、年20%を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
上限利息を超える利息を受領し、またはその支払を要求した者も同様です。
「金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合」とは、貸金業者による金銭貸借を意味します。
貸金業者には、貸金業法で義務づけられている登録をしていない無登録貸金業者も含まれます。
業として行う著しい高金利罪(5条3項)
金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合、年109.5%(うるう年は年109.8%、1日当たり0.3%)を超える割合による利息の契約をしたときは、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
上限利息を超える利息を受領し、またはその支払を要求した者も同様です。
高金利罪は法人も処罰される?|両罰規定
従業員等が高金利罪に当たる行為をした場合、業務主である法人・自然人も罰金刑に処せられる可能性があります(出資法9条1項)。
このような規定を「両罰規定」といいます。具体的には、以下の罰金刑が科されます。
- 高金利罪(出資法5条1項)、業として行う高金利罪(出資法5条2項)の場合
→3000万円以下の罰金刑 - 業として行う著しい高金利罪(出資法5条3項)の場合
→1億円以下の罰金刑
出資法違反(高金利罪)と利息制限法の関係は?|グレーゾーン金利問題
平成18年に貸金業規制法等改正法が成立する前は、利息制限法の上限金利(年15%~20%)と出資法5条2項の上限金利(29.20%)が一致していませんでした。
そのため、利息制限法の上限金利を超えても出資法の上限金利を超えなければ刑罰が科せられない事態が生じていました。これがいわゆる「グレーゾーン金利」の問題です。
しかも、当時は利息制限法の上限金利を超える貸付けでも「みなし弁済」規定(旧貸金業法43条)の要件を満たすと有効となっていたのです。
そのため、グレーゾーン金利での貸付けを続ける悪質な貸金業者が後を絶ちませんでした。
そこで、平成18年の改正法によって、出資法5条2項の上限金利が利息制限法の上限金利である20%に引き下げられ、「みなし弁済」規定も撤廃されました。
しかし、法改正が行われたとはいえ現在でも上限利率の不一致が完全になくなったわけではありません。
出資法の場合、貸金業者の上限金利は元本額にかかわらず年20%です(出資法5条2項)。一方、利息制限法の上限金利は、①元本10万円未満の場合は年20%、②元本10万円以上100万円未満の場合は年18%、③元本100万円以上の場合は年15%です(利息制限法1条)。
そのため、②と③のケースで上限金利の不一致が生じる可能性があるのです。
例えば、元本90万円の場合、年利19%だと利息制限法違反なので超過分は民事上無効です。この場合、債務者は貸金業者から超過分利息の支払請求されても応じる必要はありません。しかし、出資法には抵触しないので貸金業者は刑罰の対象にはならないのです。
もっとも、利息制限法の上限金利を超える利率での貸付けは行政処分の対象になります。行政処分は、登録取消しや営業停止など重い処分が下される可能性もあります。
出資法と利息制限法の関係をまとめると以下になります。
条件 | 出資法の規制 | 利息制限法の規制 | 賃金業法の規制 |
---|---|---|---|
年利が109.5%を超える場合 | 刑事罰有り(5条1項,3項) | 超過分利息の支払いが無効 | 行政処分の対象 |
年利が20%を超える場合 | 刑事罰有り(5条2項) | 超過分利息の支払いが無効 | 行政処分の対象 |
元本10万円以上100万円未満で年利が18%を超えるが20%以下 | 刑罰の対象外 | 超過分利息の支払いが無効 | 行政処分の対象 |
元本100万円以上で年利が15%を超えるが20%以下 | 刑罰の対象外 | 超過分利息の支払いが無効 | 行政処分の対象 |
※参考資料
金融庁「貸金業法の基本」
出資法のその他の規制とは?
ここでは、出資金の受入れ制限違反の罪、預り金の禁止違反の罪、金銭貸借の媒介手数料の制限違反の罪をご紹介します。
出資金の受入れ制限(出資法1条)違反の罪
出資法1条は、不特定かつ多数の者に対し、後日出資の払い戻しとして出資金の全額もしくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金を受け入れることを禁止しています。
違反した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます(出資法8条3項1号)。
具体的には、出資金の受け入れに際し、事業の成功・不成功を問わず、確定的に出資した元本またはそれを上回る利益配当の支払を約束する行為が禁止されます。
「出資すれば高配当を約束します」などと言って出資を募る行為等がこの典型例です。
「明示」の例としては、出資金元本の保証や、これに加えて利益配当の支払いを契約条項に記載する場合です。
「暗黙のうちに」の例としては、過去に出資金額以上を返還したケースを示しながらこの出資は安全確実であると勧誘する場合があります。
なお、出資金の受け入れ制限に違反する行為が、詐欺罪にも該当する場合、詐欺罪のみ成立します(出資法8条4項)。
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・『詐欺罪での逮捕』を弁護士が解説|被害者と示談すると刑事罰が軽くなる?
預り金の禁止(出資法2条)違反の罪
出資法2条1項は、業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならないと規定しています。
つまり銀行や信用金庫など法律の定めがある金融機関などを覗き、預金や貯金を預かったり、定期的に積立金を預かったりするような業務をしてはならないという規定です。
違反した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます(出資法8条3項1号)。
より詳しく法律の規定を見てみると、まず「他の法律に特別の規定のある者」の典型例は、銀行や信用金庫などの金融機関です。これらの金融機関は預り金をしても法律違反になりません。
「預り金」とは、不特定かつ多数の者からの金銭の受け入れであって、次に該当するものをいいます(出資法2条2項)
- 預金、貯金又は定期積金の受け入れ
- 社債、借入金その他いかなる名義をもってするかを問わず、上記①と同様の経済的性質を有するもの
「業として」とは、反復継続の意思をもって預り金をすることを意味します。必ずしも営利目的は必要ではありません。
貸金業者以外の一般人も反復継続の意思をもって預り金をすれば、本罪で処罰される可能性があります。
金銭貸借の媒介手数料の制限(出資法4条)違反の罪
出資法4条1項は、金銭貸借の媒介を行う者が、媒介に係る貸借金額の100分の5を超える手数料による契約又は受領を行うことを禁止しています。
違反した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます(出資法8条3項1号)。
金銭貸借又はその保証を媒介する者がその媒介に関し受ける金銭は、名目のいかんを問わず手数料とみなされます(出資法4条3項)。
例えば、礼金や調査料名目でも媒介に関わるものと認められる限り、手数料とみなされます。
出資法違反が刑事事件化した場合の流れ
出資法違反での逮捕~起訴までの流れ

出資法違反の疑いで逮捕されると警察署に連行され取り調べを受けます。
証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがある場合、逮捕に引き続き勾留されます。逮捕後は、検察官が起訴・不起訴を判断するまで最長23日間拘束される可能性があります。
拘束期間が長引けば仕事や私生活に多大な支障が生じるおそれがあります。このような事態を防ぐには、弁護士に早期に相談して刑事事件化を回避することが重要です。
もし逮捕されてしまった場合は、逮捕直後から接見できる私選弁護士を呼ぶのがおすすめです。私選弁護士であれば、早期釈放に向けた弁護活動にいち早く取り組むことが可能です。
逮捕後の流れや私選弁護士のメリットについて、詳しくは関連記事をご覧ください。
関連記事
・逮捕されたら|逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説
・「弁護士をつけるなら私選弁護士?国選弁護士?メリットを徹底比較」
出資法違反(高金利罪)で重要な情状とは?
出資法違反(高金利罪)の起訴・不起訴や刑罰の重さを決める際、主に以下の事情が重視されます。
- 高金利の背景
- 高金利の程度
- 利子受領の有無
- 受領の態様
- 債務者に対する利息支払の催促状況
- 高金利によるトラブル発生の有無
- 同種前科の有無
- 示談の有無
なお、高金利で貸し付ける業者は無登録で営業しているケースが多いです。その場合、貸金業法違反の罪にも問われ、刑事処分が重くなることが予想されます。
出資法違反で弁護士に依頼するメリット
早期の示談成立が期待できる
出資法違反では示談成立が重要です。示談には次の5つのメリットがあります。
- 刑事事件化の回避
- 逮捕の回避
- 早期釈放の実現
- 不起訴処分の獲得
- 刑事処分の軽減(執行猶予付き判決の獲得、罰金額の減額など)
示談交渉は、自分で進めると新たなトラブルを招く可能性があるため、刑事弁護の経験豊富な弁護士に依頼するのがおすすめです。専門的第三者である弁護士が関与することで、示談に応じてもらいやすくなるメリットがあります。
弁護士は、被害者の処罰感情が少しでもやわらぐよう誠意をもって対応します。そして、被害者の許し(宥恕)を得た示談が成立するよう全力を尽くします。宥恕付き示談によって、不起訴や刑罰が軽減される可能性は高まります。
もし示談成立が困難な場合は、被害弁償だけでも受け取ってもらえるよう交渉します。示談は被害者の許しを得ることに重きを置きますが、被害弁償は経済的損害の回復を目的とする点で違いがあります。被害弁償の事実も、被疑者・被告人に有利に考慮されます。
出資法違反の事実を争う主張ができる
出資法違反の疑いで自宅等が捜索された場合、警察は貸付台帳や出納帳を押収します。検察官が被疑者を出資法違反で起訴するには、個々の貸付行為が犯罪に当たることを証拠により裏付けなくてはならないからです。
ご相談者様が出資法違反の事実を否定する場合、弁護士は証拠の内容を精査し、貸付日数や利率が特定できていない点等を主張します。
また、取調べの適切な対処法もご説明します。取調べで不用意な発言をすると、後で供述調書の内容を否定するのは非常に困難です。弁護士のアドバイスにより、不利な供述調書をとられるリスクは低下します。
これらの弁護活動の結果、不起訴処分となる可能性が高まります。
少年事件にも迅速に対応
アトム法律事務所では、少年事件にも迅速に対応いたします。ご家族が出資法違反事件に関与し今後が不安な方は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。