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「詐欺罪での逮捕」を弁護士が解説|被害者と示談すると刑事罰が軽くなる?

詐欺被害者と示談

詐欺事件で逮捕された場合の、その後の流れや釈放の可能性について弁護士が解説します。詐欺罪は刑事事件の中でも、重い刑罰が予定されている犯罪です。詐欺事件は、逮捕後の被害者対応がとても大切です。被害者と示談することで、刑事罰を軽くすることができるケースもあります。

「振り込め詐欺」や「オレオレ詐欺」など、特殊詐欺と呼ばれる事件では、逮捕直後から弁護士が入るケースが多いです。詐欺事件は、逮捕後、警察の取り調べや裁判が長期化するケースも珍しくありません。詐欺で逮捕されると、被害者との示談交渉を迅速におこなう必要があります。逮捕されると身動きが取れなくなるため、弁護士と家族のサポートが重要になります。

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【弁護士解説】詐欺罪の逮捕後の流れと釈放のタイミング

詐欺罪の逮捕後の流れは?

逮捕の流れ

詐欺罪で逮捕されると、その後の流れは刑事手続きのレールに乗り行われていきます。詐欺罪での逮捕は、逮捕直後に「勾留」という段階に入る可能性が高いです。「勾留」が決まると、10日間は警察署で寝泊りをすることになります。その後、延長されると、さらに最大で10日間の身体拘束が行われます。

逮捕されてから、最大で23日間は自宅に帰れないということになります。その後、起訴された場合には、勾留が継続する可能性があります。起訴後勾留は、まず2ヶ月間行われ、その後は1ヶ月ごとに更新されていきます。起訴後勾留が行われると、警察署や拘置所で生活をしながら裁判を受けることになります。

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勾留とは|勾留の手続と釈放される方法

詐欺罪での逮捕、釈放されるタイミングは?

詐欺罪で逮捕された場合、釈放のタイミングは様々です。ただし、詐欺事件では警察での取り調べ段階(捜査段階)で釈放されることは少ないといえます。

起訴された後であれば、保釈という手続きで釈放される場合が考えられます。ただし、詐欺事件の内容によっては、釈放が望めないケースもあります。

詐欺事件で共犯者がいる場合、共犯者の取り調べ状況や裁判の進捗も考慮要素になるため、判決まで釈放されないという場合もあります。

どのタイミングで釈放を目指すことが現実的か、弁護士と相談することが大切です。事件の内容、示談の進捗、共犯者の刑事手続きの段階によっては、早期釈放が検討できるかもしれません。

詐欺罪で逮捕されたら、まず弁護士に相談する

ご家族が詐欺罪で逮捕されてしまった場合、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。刑事事件は逮捕されたあと、法律に基づいて手続きが行われていきます。各手続きには厳格な時間の制約があります。警察の取り調べも逮捕直後から始まりますので、不利益を回避するために防御策を検討しておく必要があります。

刑事事件は民事事件と異なり、手続きの流れが速いです。警察に逮捕された後は、48時間以内に検察官に事件が引き継がれます。その後は24時間以内に「勾留」という長期の身体拘束をすべきかが検討されます。この中で、誤った対応をして挽回不能になってしまわないために、弁護士に助言を求めることが大切です。

詐欺事件で執行猶予を獲得するには示談が必須?

詐欺事件で被害者との示談が重要なワケ

詐欺罪の刑事罰は「十年以下の懲役」とされており、罰金刑は予定されていません。「十年以下の懲役」ということは、「1ヶ月以上、10年以下の懲役」を意味しています。詐欺事件は一発実刑も十分あり得る重大犯罪です。

詐欺罪は被害者がいる犯罪ですので、被害者対応を適切に行わずして、刑事罰が軽くなることは望めません。示談の中で、被害者に真摯に謝罪し、被害弁償を尽くすことはとても重要なことです。被害者が示談を受け入れてくれることで、裁判で執行猶予付き判決になる可能性が高まります。

懲役刑の場合、「懲役3年以下」でなければ、執行猶予がつくことはありません。詐欺罪では、判決で懲役3年を超えることもあり、その場合は、法律上執行猶予はありえないことになります。一方で、示談をして懲役3年以下となれば、執行猶予の可能性がでてきます。

詐欺罪の刑罰や量刑について詳しくは『詐欺罪の刑罰|初犯でも実刑?執行猶予?』の記事もご参照ください。

詐欺罪の示談あり/なし比較

示談あり示談なし
被害者の許しもらえるもらえない
不起訴可能性高い可能性低い

詐欺事件で被害者と示談する方法

詐欺事件では、逮捕・勾留によって身柄を拘束されるケースが多いため、自身で示談交渉を行うことは望めません。そのため、弁護士を通じて被害者との示談を進めていくことになります。

被害者との示談交渉は刑事弁護の中でも特にデリケートな活動です。弁護士の豊富な経験や、弁護活動への意欲が、被害者の許しを得られるかどうかを左右します。そのため、示談を望むのであれば、国選弁護人ではなく刑事事件を得意とする私選弁護士に依頼をすることを強くおすすめします。

詐欺罪の示談の成立率

詐欺事件などで、加害者が逮捕されたとしても、自動的に騙し取られたお金が返ってくるわけではありません。示談や被害弁償といった形で加害者側から自主的に返還されなければ、お金を返してもらうためには民事上の請求をする必要があります。

通常は、被害者にとっては少しでも被害回復されることが優先事項になりますので、加害者側からの示談の申し出には応じてもらえる可能性が高いです。

もっとも、示談では単なる被害弁償だけでなく、被害者からの宥恕(「許す」という意味)が得られるかどうかが大きなポイントになります。詐欺の被害者は一度だまされる経験をしていますので、当然ですが、加害者の謝罪や反省を容易には信用しません。

特に詐欺未遂のような、被害が発生していない事件では、被害者の処罰感情から示談が困難なケースも少なくありません。また、保険金詐欺のような、企業相手の詐欺では、法人として示談に応じないという対応をとっていることもあります。

このように、詐欺事件の示談交渉で被害者の納得と許しを得ることは容易ではなく、徹底的に被害者感情に寄り添った真摯な謝罪をすることが求められます。

アトム法律事務所が詐欺事件で示談交渉を行った110件のうち、示談が成立したのは88件(80%)でした。

詐欺事件の示談金、相場はいくら?

詐欺事件の相場として、示談金がいくらになるかは、事件により事情が異なるため一概にはいえません。通常、被害弁償として、詐欺でだまし取った分の支払いは最低限求められます。

詐欺が未遂に終わり実際の被害が生じていない場合でも、事件を許してもらうために示談は必要です。一般的に被害者に与える精神的苦痛の程度が強い、盗撮や痴漢での示談金相場が30~50万円程度であることも踏まえれば、詐欺未遂の示談金の相場としては10~20万円程度が目安となるでしょう。

もっとも、示談金がいくらになるかは、示談交渉の中でお互いの合意で決まるものです。弁護士は、被害感情に配慮しながら妥当な示談金になるよう交渉活動を行います。

アトム法律事務所の実績によると、示談が成立した詐欺事件88件の中で最も成立回数の多かった金額は50万円です。

詐欺罪の示談、被害者が複数いる場合には?

被害者が複数いる場合には、基本的にそれぞれの被害者全員と示談をする必要があります。

振り込め詐欺などの組織的な詐欺では、示談金に必要な総額が大きくなり、被害金全額を一人で返金するのが現実的ではないことも多く、示談交渉に時間がかかることも想定されます。

共犯者がいるケースであれば、それぞれの加害者についた弁護士が足並みを合わせつつ、少しでも被害者に返金できるよう共同で示談交渉を進めることも少なくありません。

全額の被害弁償ができないとしても、できる限り誠意ある対応を心がけて弁護士と相談しながら対応を検討していく必要があるでしょう。

「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」は初犯でも起訴される?

「振り込め詐欺」の「かけ子」は初犯でも起訴されうる

振り込め詐欺やオレオレ詐欺の「かけ子」は、初犯でも逮捕され起訴される可能性が高いです。「かけ子」は、だます相手方に電話をかける役割の者を指します。振り込め詐欺やオレオレ詐欺は、通常、組織だって犯罪が行われます。「かけ子」は被害者と直接会話をするため、被害者の印象にも残りやすいです。

振り込め詐欺の「かけ子」をしていて逮捕された場合、逮捕後すぐに釈放されたり不起訴で事件が終了することは珍しいといえます。初犯であっても、何件の事件に関わっていたか、被害者の被害額の大きさなども考慮され、起訴されるケースがあります。その場合、できるだけ早く弁護士に示談交渉を尽くしてもらい、執行猶予の獲得を目指すことになります。

「振り込め詐欺」の「受け子」は初犯でも起訴されうる

だました相手方から金銭を受け取る「受け子」の場合でも、初犯だからといって起訴されないことはありません。「受け子」も犯罪の重要な役割を担っており、起訴される可能性が十分にあるといえます。「いい仕事があるから協力しなか」と誘われて、犯罪の一端を担ってしまうのです。

「振り込め詐欺」の被害者には、高齢者が狙われることが多いです。お金の工面が必要となった息子を助けたいという親心を利用した犯罪で、悪質性が高いとされています。被害金額が多額にのぼることも多く、初犯であることが加味されても、厳しく刑事責任の追及がおこなわれます。

受け子とかけ子の違い

受け子かけ子
役割金銭を受け取る電話をかける
起訴可能性あり可能性高い

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振り込め詐欺の受け子で逮捕されたら|特殊詐欺の相談は弁護士へ

詐欺で起訴されないために

詐欺事件で起訴されないためには、弁護士による刑事弁護が必須です。詐欺事件では多くの場合、起訴されてしまいます。その中で、捜査機関のミスや冤罪を主張するには、証拠に基づき法律を使い正しく主張することが求められます。また、取り調べの中で不合理な否認をしないことも気をつけなければいけません。早期釈放を求めるためにも、逮捕直後の段階で、弁護士にサポートを依頼することが重要です。

詐欺事件の中でも、振り込め詐欺のように、組織だった犯罪の場合は真相解明に時間を要します。警察の取り調べが数か月に及ぶこともあり、逮捕や起訴が複数回にわたって行われることもあります。各段階で適法な手続きが行われているか、法律の専門家がチェックする必要もあり、弁護士の果たす役割は大きいといえます。

詐欺罪での逮捕は警察で面会できない?家族面会と弁護士接見の違い

家族と面会できない「接見禁止」とは

詐欺罪で逮捕された場合、警察で家族や友人と面会できない可能性があります。特に、詐欺事件に共犯者がいる場合には、妻や子であっても面会が許されないことが予想されます。この面会禁止の処分を「接見禁止」といいます。事件関係者間の口裏合わせを防止するため、外部との接触を断たれる処分が行われます。

接見禁止は、逮捕後の勾留(長期間の身体拘束)が決まるタイミングで、同時につけられます。勾留中、家族や友人と面会できなくなると、学校対応や会社対応にも支障が生じます。また、精神面でも不安定になりやすい状況となるため、心身の不調を訴える人もいます。

逮捕後の家族と弁護士の違い

家族弁護士
面会できないできる
示談交渉難しいスムーズ

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接見禁止とは?|逮捕後の接見禁止とその対応策について解説

「接見禁止」でも弁護士は接見できる

面会が許されない場合でも、弁護士であれば面会をすることが可能です。法律上、弁護士との面会(接見)は、逮捕された者にとって、特に重要な権利として扱われています。警察で取り調べを受けるとき、人権がしっかり守られるために法律の専門家である弁護士からの助言は重要です。

学校への説明や仕事関係者との連絡も、弁護士を通じて行うことができます。急に身動きが取れなくなると、各所で影響がでてきます。弁護士は、法的なアドバイスだけでなく、生活上支障がでていることについても、相談にのってくれます。弁護士による接見は、深夜であっても土日であっても、行うことが可能です。

国選弁護士と私選弁護士

詐欺事件で逮捕された後、弁護士をつけるには2つの方法があります。①国選弁護人制度の利用と、②私選弁護士の選任です。国選弁護人制度とは、資力がない人でも等しく弁護人を付けることができるよう、国が主体となって運営している制度です。私選弁護士の選任は、自分で弁護士を選び、依頼し、弁護人として付ける場合のことを言います。

詐欺罪の弁護活動の経験が豊富で、示談に詳しい弁護士を選びたい場合は、私選弁護士をつけることになります。国選弁護人制度では、弁護士を選ぶことができません。私選弁護士であれば、弁護士の実績などを考慮して選ぶことが可能です。特に詐欺事件の場合は、被害者対応や刑事裁判の経験に注目して弁護士を選任することをお勧めします。

詐欺で逮捕されたら、刑事事件に詳しい弁護士までご相談ください

弁護士のサポートを受けるメリット

詐欺の疑いで逮捕されたとき、弁護士による弁護活動は、早ければ早いほどよいです。刑事事件に精通した弁護士にサポートを求めることで、①早期釈放の可能性が高まる、②不起訴や執行猶予の獲得が目指せる、③被害者との示談を進めることができる、というメリットがあります。詐欺事件の弁護士相談は『詐欺事件の弁護士相談|詐欺加害者のための無料相談窓口の探し方』の記事も併せてごらんください。

家族との連携で弁護士面会を急ぐ

詐欺事件で逮捕されると、その後の勾留において接見禁止が付される可能性があります。捜査機関の取り調べでは、緊張のあまり冷静に判断し回答できなくなることもあります。不利な状況を少しでも回避するために、すぐ弁護士に面会に来てもらう段取りをつけておくことが望ましいです。

家族でなくても、友人や信頼できる人に弁護士を依頼してもらうことができます。逮捕されたら、まずは、弁護士への相談、弁護士面会を優先して考えるようにしましょう。

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岡野武志弁護士

監修者情報

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

第二東京弁護士会所属。ご相談者のお悩みとお困りごとを解決するために、私たちは、全国体制の弁護士法人を構築し、年中無休24時間体制で活動を続けています。