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詐欺事件で示談できると刑事罰が軽くなる?示談成功のポイントがわかる

詐欺被害者と示談

詐欺罪は刑事事件の中でも重い刑罰が予定されている犯罪で、逮捕後の被害者対応がとても大切です。被害者対応の中でも、被害者と示談が成立できているかが重要なポイントとなり、不起訴処分の獲得や刑事罰を軽くすることにつなげられるケースもあります。

また、詐欺事件で逮捕されると警察の取り調べや裁判が長期化するケースも珍しくなく、早期釈放に向けて被害者との示談交渉を迅速におこなう必要があります。逮捕されると身動きが取れなくなるため、弁護士と家族のサポートが欠かせません。

本記事では、詐欺事件で重要な鍵となる「示談」について、示談すべき理由や交渉の流れ、示談が成功するポイントについて解説していきます。

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詐欺事件で被害者との示談が重要な理由

詐欺事件で逮捕回避・早期釈放には示談が重要

詐欺事件の被害者と示談を成立させられれば、逮捕を回避できる可能性が高まります。示談が成立していれば、逮捕の要件である逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないと判断され、逮捕回避につながるのです。

また、逮捕されてしまっても、詐欺事件の被害者と示談を成立させられれば、早期釈放の可能性が高まります。逮捕と同様に、示談が成立していれば、逮捕の要件である逃亡の恐れや証拠隠滅のおそれがないと判断され、早期釈放につながるのです。

特に、逮捕された場合は、3日間つづく逮捕の後に「勾留」という段階に入る可能性が高いです。勾留が決まると、10日間は引き続き警察署で寝泊まりすることになります。さらに、勾留が延長されると、逮捕から合計すると最大23日間の身体拘束が余儀なくされ、自宅に帰れない日々が続くのです。

その後、起訴された場合には、起訴後も勾留が継続する可能性があり、警察署や拘置所で生活をしながら裁判を受けることになるでしょう。

逮捕の流れ

逮捕された場合、釈放のタイミングは様々ですが、詐欺事件では警察での取り調べ段階(捜査段階)で釈放されることは少ないといえます。

起訴された後であれば「保釈」という手続きで釈放される場合が考えられますが、詐欺事件の内容によっては釈放が望めないケースもあるでしょう。詐欺事件で共犯者がいる場合、共犯者の取り調べ状況や裁判の進捗も考慮要素になるため、判決まで釈放されないという場合もあります。

したがって、どのタイミングで釈放を目指すことが現実的か、弁護士と相談することが大切です。事件の内容、示談の進捗、共犯者の刑事手続きの段階によっては、早期釈放が検討できるかもしれません。

詐欺罪で逮捕されたら

ご家族が詐欺罪で逮捕されてしまった場合、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。警察の取り調べは逮捕直後から始まりますので、不利益を回避するために防御策を検討しておく必要があります。取り調べで誤った対応をして挽回不能になってしまわないために、弁護士に助言を求めましょう。

弁護士なら逮捕直後でも接見禁止がついても、本人との面会が可能です。アトム法律事務所では、弁護士が警察署まで面会に向かう「初回接見サービス」を行っています。早期釈放に向けて、まずは気軽にお問い合わせください。

詐欺事件で不起訴を獲得するには示談が重要

詐欺事件の被害者と示談を成立させられれば、不起訴を獲得できる可能性が高まります。示談の有無は、事件を起訴処分とするか不起訴処分とするか検討する検察官の判断に影響するからです。

詐欺事件の場合、犯行の悪質性や組織的な詐欺グループが関わっているのかなども考慮して検察官は処分を検討するので、示談が成立すれば必ず不起訴になるとは限りません。

もっとも、示談が成立していることで、詐欺で被害者に与えた損害に対する被害弁償が実施されていることや謝罪が行われていること、被害者の許しが得られているかといった処罰感情などを検察官に伝えることができ、事件によっては不起訴となる可能性があるのです。

詐欺罪の示談あり/なし比較

示談あり示談なし
被害者の許しもらえるもらえない
不起訴可能性高い可能性低い

初犯でも起訴されやすいケース

特殊詐欺といわれる振り込め詐欺の末端として動く「かけ子」や「受け子」、「出し子」の場合は、初犯であっても逮捕され、起訴される可能性が高いのが実情です。

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詐欺事件で執行猶予を獲得するには示談が重要

詐欺事件の被害者と示談が成立させられれば、裁判で執行猶予付き判決になる可能性が高まります。示談を通して、被害者に真摯に謝罪し、被害弁償を尽くす示談を被害者が受け入れてくれることはとても重要なことだからです。

詐欺罪の刑事罰は「10年以下の懲役」です。詐欺罪に罰金刑は予定されていないので、詐欺事件は一発実刑も十分あり得る重大犯罪といえます。 詐欺罪の刑罰や量刑、懲役の長さや執行猶予の可能性などについて詳しくは『詐欺罪は逮捕されたら初犯でも実刑?懲役の平均・執行猶予の割合もわかる』の記事もご参照ください。

懲役刑の場合、「懲役3年以下」でなければ執行猶予がつくことはありません。詐欺罪では判決で懲役3年を超えることもあり、その場合、法律上執行猶予はありえないことになります。一方で、示談をして懲役3年以下となれば、詐欺事件でも執行猶予の可能性がでてくるのです。

詐欺罪は被害者がいる犯罪ですので、被害者対応を適切に行わずして、刑事罰が軽くなることは望めません。

【コラム】詐欺罪の示談の成立率

詐欺事件などで、加害者が逮捕されたとしても、自動的に騙し取られたお金が返金されるわけではありません。示談や被害弁償といった形で加害者が自主的に返還しなければ、被害者から民事上の請求をされることになるでしょう。

通常、被害者にとっては少しでも被害回復されることが優先事項になりますので、加害者側からの示談の申し出には応じてもらえる可能性が高いです。

もっとも、示談では単なる被害弁償だけでなく、被害者からの宥恕(「許す」という意味)が得られるかどうかが大きなポイントになります。詐欺の被害者は一度だまされる経験をしていますので、当然ですが、加害者の謝罪や反省を容易には信用しません。

特に、詐欺未遂のような被害が発生していない事件では、被害者の処罰感情から示談が困難なケースも少なくありません。また、保険金詐欺のような企業相手の詐欺では、法人として示談に応じないという対応をとっていることもあります。

このように、詐欺事件の示談交渉で被害者の納得と許しを得ることは容易ではなく、徹底的に被害者感情に寄り添った真摯な謝罪をすることが求められます。

アトム法律事務所が詐欺事件で示談交渉を行った110件のうち、示談が成立したのは88件(80%)でした。

詐欺事件で示談する方法と示談成立までの流れ

(1)被害者に謝罪と示談を申し入れる

示談交渉をはじめるには、まず詐欺の被害者に対して謝罪し、謝罪を受け入れてくれたら示談を申し入れます。被害者の連絡先がわからない場合、連絡先を入手するところからはじめなければなりませんが、警察や検察といった捜査機関に聞いても通常は答えてくれません。

たとえ、被害者の連絡先を知っていたとしても、加害者が直接コンタクトをとるのは止めましょう。すでに詐欺の被害を受けている訳なので、加害者からの連絡は恐怖もありますし、取り合ってもくれない可能性が高いです。

弁護士に依頼しておけば、連絡先の入手から謝罪の伝達、示談の申入れを任せることができます。

(2)示談の内容を話し合う

詐欺の被害者が示談に応じてくれたら、示談金の金額を中心にさまざまな内容を話し合い、示談の内容を決めていきます。

示談金の金額に加えて、支払方法や支払い期限なども話し合います。

(3)示談内容に合意したら示談金を支払う

被害者と加害者の双方が話し合って決めた内容に合意すれば、示談は成立します。示談で決まった内容は書面(示談書)にまとめましょう。

示談書にまとめた内容どおりに、示談金を支払います。

【コラム】詐欺事件の被害者が複数いる場合はどうする?

被害者が複数いる場合には、基本的にそれぞれの被害者全員と示談をする必要があります。

振り込め詐欺などの組織的な詐欺では、示談金に必要な総額が大きくなり、被害金全額を一人で返金するのが現実的ではないことも多く、示談交渉に時間がかかることも想定されます。

共犯者がいるケースであれば、それぞれの加害者についた弁護士が足並みを合わせつつ、少しでも被害者に返金できるよう共同で示談交渉を進めることも少なくありません。

全額の被害弁償ができないとしても、できる限り誠意ある対応を心がけて弁護士と相談しながら対応を検討していく必要があるでしょう。

弁護士による活動で詐欺事件の示談が成功するポイント

被害者の連絡先を弁護士限りで入手できる

詐欺事件をはじめ、刑事事件の被害者は加害者との接触を嫌がる傾向が高く、連絡先を気軽に教えてくれないことが多いです。そのような場合でも、弁護士が活動することで連絡先の取得につながる可能性があります。

具体的には、弁護士はまず、被害者に連絡先を教えてもいいか捜査機関から聞いてくれるようお願いします。もちろん、被害者が連絡先の提供に同意してくれるかどうかは、被害者の意思に委ねられます。

被害者は「弁護士限りであれば連絡先を教えてもいい」と言ってくれる場合が多いです。弁護士が被害者に誠実に接することで、連絡先の取得につながる可能性が高まるでしょう。

加害者に代わって示談交渉を行う

そもそも、詐欺事件では、逮捕・勾留によって身柄を拘束されるケースが多いため、加害者自身で示談交渉を行うことは望めません。そのため、弁護士を通じて被害者との示談を進めていくことになるでしょう。

被害者と連絡が取れるようになれば、弁護士から被害者に示談交渉のメリットを説明し、示談交渉を申し入れます。示談が成立すれば、被害者と加害者が直接会うことなく金銭的な賠償や謝罪を行えることなどを説明するのです。

被害者との示談交渉は刑事弁護の中でも特にデリケートな活動です。弁護士の豊富な経験や弁護活動への意欲が、被害者の許しを得られるかどうかを左右します。そのため、示談を望むのであれば、国選弁護人ではなく刑事事件を得意とする私選弁護士に依頼をすることを強くおすすめします。

被害者を納得させる妥当な示談金の提案

詐欺事件の相場として、示談金がいくらになるかは、事件により事情が異なるため一概にはいえません。事件の内容や、被害者と加害者双方の事情に応じても金額は変わってきます。こういった事情に沿いながら、被害者が納得できる妥当な示談金を弁護士なら提案できるのです。

通常、被害弁償として、詐欺でだまし取った分の支払いは最低限求められる点は心得ておきましょう。また、たとえ詐欺が未遂に終わり実際の被害が生じていない場合でも、事件を許してもらうために示談は必要です。

詐欺事件の示談金の相場はいくら?

一般的に被害者に与える精神的苦痛の程度が強い、盗撮や痴漢での示談金相場が30~50万円程度であることも踏まえれば、詐欺事件の示談金の相場としては、詐欺でだまし取った金額に10~50万円程度を加えた金額が目安となるでしょう。

もっとも、示談金がいくらになるかは、示談交渉の中でお互いの合意で決まるものです。弁護士は、被害感情に配慮しながら妥当な示談金になるよう交渉活動を行います。

アトム法律事務所の実績によると、示談が成立した詐欺事件88件の中で最も成立回数の多かった金額は50万円です。

法的に問題のない示談書を作成

示談に合意出来たら、示談の内容を示談書にまとめるのが通常です。示談書の内容は主に以下の項目を記載します。

  • 加害者と被害者の氏名
  • 事件の概要(事件発生の日時・場所・内容・被害金額など)
  • 示談金の金額、支払方法、支払期限
  • 被害者の処罰感情(宥恕(許し)があるか)
  • 接触禁止条項
  • 示談内容以外に賠償義務がないこと

示談は口頭だけでも成立する性質をもっていますが、示談書にまとめておかないと認識のずれがあった場合、後のトラブルが発生しかねません。いらぬトラブルを避けるためにも、法的に問題のない示談書を作成することは重要です。

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示談状況を検察官や裁判官にも伝える

詐欺事件で起訴されないためには示談交渉を行うだけでなく、示談の状況や示談の結果を警察・検察官などの捜査機関に伝える弁護活動が必須です。示談書の写しや示談金の領収書等を捜査機関に提出して、示談が成立していることを主張し、不起訴処分を獲得できるよう努めます。

詐欺事件の中でも、振り込め詐欺のように組織だった犯罪の場合、警察の取り調べが数か月に及ぶこともあり、逮捕や起訴が複数回にわたって行われることもあるでしょう。各段階で適法な手続きが行われているか法律の専門家がチェックする必要もあり、弁護士の果たす役割は大きいといえます。

また、起訴されてしまった場合も刑の減軽や執行猶予を獲得できるよう、示談の状況や結果を裁判官にも丁寧に伝えることができるでしょう。

詐欺事件は刑事事件に詳しい弁護士にご相談ください

弁護士のサポートを受けるメリット

詐欺の疑いで逮捕されたとき、弁護士による弁護活動は、早ければ早いほどよいです。刑事事件に精通した弁護士にサポートを求めることで、「早期釈放の可能性が高まる」、「不起訴や執行猶予の獲得が目指せる」、「被害者との示談を進めることができる」というメリットがあります。詐欺事件の弁護士相談は『詐欺加害者の弁護士|詐欺に強い弁護士とは?弁護士費用や選び方がわかる』の記事も併せてごらんください。

家族との連携で弁護士面会を急ぐ

詐欺事件で逮捕されると、その後の勾留において接見禁止が付される可能性があります。捜査機関の取り調べでは、緊張のあまり冷静に判断し回答できなくなることもあります。不利な状況を少しでも回避するために、すぐ弁護士に面会に来てもらう段取りをつけておくことが望ましいです。

家族でなくても、友人や信頼できる人に弁護士を依頼してもらうことができます。逮捕されたら、まずは、弁護士への相談、弁護士面会を優先して考えるようにしましょう。

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アトム法律事務所では、弁護士相談の予約を24時間いつでも受付中です。

詐欺事件を起こして警察から呼び出されて対応に困っている、家族が詐欺事件を起こして長期間勾留されている等の場合は、いますぐお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了