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暴行の有名裁判例

暴行罪といえば、人を殴ったり蹴ったりすることが典型例ですが、暴行の態様はさまざまです。
ここでは、自動車による追跡行為や、人に塩を振りかける行為が暴行にあたるとされた裁判例をご紹介します。

自動車による追跡行為が被追跡車両の乗員に対する暴行に当たると判示した裁判例

裁判所名: 東京高等裁判所 事件番号: 平成12年(う)第1025号 判決年月日: 平成12年10月27日

判決文抜粋

「被告人が被告人車両でA車両を追跡した行為は、(略)AやA車両の同乗者の負傷を伴う交通事故を引き起こす危険性が極めて高いものであったと認められる」
「そして、このような追跡行為は、それ自体A車両の乗員の身体に向けられた不法な有形力の行使、すなわち暴行に当たると解するのが相当である」

弁護士の解説

暴行罪にいう「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいい、人の身体に向けられたものであれば足り、必ずしも身体に直接接触する必要はないとされています。
本件では、胸倉を掴んで恫喝し、その後逃げ去った被害者車両を自身の車両で執拗に追いかけた行為について、当初行った直接的暴行と脅迫的言辞、追跡の態様、車両の大きさ等の事実を総合して判断し、暴行にあたるとされました。

食塩を数回ふりかけた行為が暴行にあたると判示された裁判例

裁判所名: 福岡高等裁判所 事件番号: 昭和46年(う)第77号 判決年月日: 昭和46年10月11日

判決文抜粋

「刑法第二〇八条の暴行は、人の身体に対する不法な有形力の行使をいうものであるが、右の有形力の行使は、所論のように、必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受忍すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当するものと解すべきである」

弁護士の解説

暴行罪は「暴行し傷害するに至らなかったときに刑罰を科す」と規定されていますが、「暴行」それ自体は傷害の結果発生に至る性質のものである必要はないとされています。
本件は、会社内で対立していた被害者に対し被告人が塩を振りかけた事案で、これは暴行であるとされました。
暴行として認められるには、少なくとも相手の五官に直接間接に作用して不快ないし苦痛を与える性質のものであることが必要とされています。

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