判決文抜粋
「満員電車内の痴漢事件においては,(略:物的証拠が得られない場合も多いので)特に慎重な判断をすることが求められる」
「犯罪の証明が十分でないとして,被告人に対し無罪の言渡しをすべきである」
痴漢の事案には数多くの有名な裁判例があります。
ここでは痴漢事件の判断のあり方について判示された、ある有名な痴漢冤罪事件の裁判例を見ていきます。
また、痴漢で有罪となった後、職場を解雇された原告が解雇の取り消しを求めたという民事裁判についても紹介します。
「満員電車内の痴漢事件においては,(略:物的証拠が得られない場合も多いので)特に慎重な判断をすることが求められる」
「犯罪の証明が十分でないとして,被告人に対し無罪の言渡しをすべきである」
防衛医大教授痴漢冤罪事件として有名な痴漢冤罪の裁判例です。
「被害者が車内で積極的な回避行動をとっていない」等といった不自然な点について言及され、結果として無罪となりました。
痴漢事件の裁判のあり方について、「痴漢事件は被害者の供述が唯一の証拠となるケースも多いため慎重に判断する必要がある」と判示されました。
「控訴人は(略:以前にも複数回痴漢をはたらいている点、鉄道職員である点等に鑑み)懲戒解雇という最も厳しいものとなったとしても,それはやむを得ないものというべきである。」
「退職金の全額を不支給とすることは,経済的にみて過酷な処分(略)本来支給されるべき退職金のうち,一定割合での支給が認められるべきである。」
痴漢行為をはたらき有罪となった原告が、勤務先の鉄道会社から言い渡された懲戒解雇の無効を主張し、退職金の支払いを求めた裁判です。
結論としては、「原告は本来痴漢を撲滅する側の鉄道職員であるという点」「痴漢行為を過去何回も繰り返している点」などに鑑み、懲戒解雇は正当とされました。
ただ、退職金を全額不支給にするのは適当ではないとされ、退職金の3割の支払いが命じられました。
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