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DVの有名裁判例

不同意わいせつ罪は施行されてまだ間もないため、ここでは旧強制わいせつ罪・旧準強制わいせつ罪の判例を掲載します。

強制わいせつ罪の裁判例:「暴行又は脅迫」の程度について

裁判所名: 大審院 事件番号: 大正13年(れ)第1586号 判決年月日: 大正13年10月22日

判決文抜粋

「刑法第百七十六條前段ニ所謂暴行トハ相當ナ理由ナク他人ノ意思ニ反シ其ノ身體髪膚ニ力ヲ加フルノ謂ニシテ固ヨリ其ノ力ノ大小強弱ヲ問フコトヲ要スルニ非ズ」

弁護士の解説

旧刑法176条「強制わいせつ罪」における「暴行又は脅迫」の程度は、「被害者の意に反する」といった程度のもので足りるとされています。
裁判例において「力ノ大小強弱ヲ問フコトヲ要スルニ非ズ」と判示されたのもこの趣旨であると解されます。
具体的には殴る蹴るはもちろんのこと、着衣を引っ張る、体をおさえるといった行為の他、不意に股間に手を差し入れるなどわいせつ行為自体が暴行行為として認められているものなども挙げられます。

強制わいせつ罪の裁判例:接吻についてもわいせつな行為に該当し得る

裁判所名: 東京高等裁判所 事件番号: 昭和31年(う)第2640号 判決年月日: 昭和32年1月22日

判決文抜粋

「(接吻が)行われたときの当事者の意思感情、行動環境等によつて、それが一般の風俗道徳的感情に反するような場合には、猥裂な行為と認められることもあり得る」

弁護士の解説

条文中の「わいせつ行為」について、具体的には陰部に手を触れる、陰部や乳房を弄ぶ、自己の陰茎を押し当てるなどといった行為が挙げられます。
さらに接吻も裁判例の通りわいせつ行為に該当します。
衣服の上から身体に触れた態様の場合、単に触れるだけでは足りず弄んだというような態様が必要とされます。
もっとも、単に触れただけの態様でも迷惑防止条例など他の犯罪によって処罰される可能性が高いです。

準強制わいせつ罪の裁判例:被害者が錯誤していた態様の事案

裁判所名: 東京高等裁判所 事件番号: 昭和55年(う)第300号 判決年月日: 昭和56年1月27日

判決文抜粋

「「抗拒不能」とは(略:社会一般常識に照らし)具体的事情の下で身体的または心理的に反抗の不能または著しく困難と認められる状態」
「全裸になつて写真撮影されることもモデルになるため必要である旨の発言等は(略)抗拒不能に陥らせるに十分」

弁護士の解説

プロダクションの実質経営者が、モデル希望の女子学生に対しモデルになるには必要などと言って全裸にさせて写真撮影したりわいせつ行為等をしたという事案につき、準強制わいせつ罪の成立を認めた裁判例です。
泥酔、睡眠状態に乗じたり、させたりして行われたわいせつ行為について、準強制わいせつ罪が成立するのは議論をまたないかと思います。
それに加えこの裁判例のように錯誤によっても抗拒不能になったとされ、有罪となるケースもあるのです。

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