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略取/誘拐の有名裁判例

略取・誘拐は身代金やわいせつ目的、親権の争いの果てになされることがしばしばあります。
ここでは、親権者による子の略取について未成年者略取罪の成立を認めた判例をご紹介します。
また、被害者の釈放による刑の減軽を定める刑法228条の2の「安全な場所」の意義について参考となる判例もご紹介します。

別居中の親権者による略取につき未成年者略取罪の成立を認めた判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 平成16年(あ)第2199号 判決年月日: 平成17年12月6日

判決文抜粋

「被告人が親権者の1人であることは,その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情である」
「(本件略取行為は)家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することもできない」

弁護士の解説

本件は別居中の妻の元にいる自身の子を保育園送迎の機会に連れ去った事案につき、未成年者略取罪で有罪となると判示した裁判例です。
本件については「行為態様が粗暴で強引なものである」「被害児童が2歳の幼児であること」等事件態様が検討され、社会通念上許容されないと判断されました。

解放による刑の減軽を定める刑法228条の2の「安全な場所」の意義について判示した判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 昭和53年(あ)第1407号 判決年月日: 昭和54年6月26日

判決文抜粋

「「安全ナル場所」というのは、被拐取者が安全に救出されると認められる場所を意味するものであ(る)」
「具体的かつ実質的な危険にさらされるおそれのないことを意味し、漠然とした抽象的な危険や単なる不安感ないし危惧感を伴う(だけで直ちに)安全性に欠けるものがあるとすることはできない」

弁護士の解説

身の代金目的略取等罪においては、被害者を「安全な場所」に釈放した場合に刑法228条の2で刑が減刑されます。
「安全」とは具体的かつ実質的な危険にさらされるおそれのないことを意味すると判示した判例です。
安全か否かは、場所の位置、状況、解放の時刻、方法、被拐取者を復帰させるため犯人の講じた措置の内容、被拐取者の年齢、知能程度、健康状態など諸般の要素を考慮して判断されます。

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