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略取/誘拐の有名裁判例

DV防止法は被害者への接触等がなされないよう、配偶者が保護命令に違反した場合に罰則を定めています。
ここでは、禁止される「はいかい」にあたらないとされた裁判例と、被害者の同意がある場合の保護命令違反罪の成否について判示した裁判例をご紹介します。

DV防止法10条3項の「はいかい」には当たらないとした裁判例

裁判所名: 東京高等裁判所 事件番号: 平成28年(う)第1719号 判決年月日: 平成29年2月24日

判決文抜粋

「「はいかい」とは,理由もなく被害者の子の住居,就学する学校その他通常所在する場所の付近をうろつく行為,をいうものと解するのが相当である」
「(子や被害者への接近の目的)以外の目的で,子の通常所在する場所の付近に赴き,当該目的に必要と認められる限度で同所に所在する行為は,「はいかい」には当たらないというべきである」

弁護士の解説

被害者の子の就学する学校の校長宛ての手紙を渡す目的で来訪したことはDV防止法10条3項の「はいかい」にはあたらないとした裁判例です。
そもそも徘徊とは、目的もなくうろつくことを意味すると法案の国会審議等で説明されていたことや、DV防止法の趣旨から被害者等への接近目的以外での来訪は「はいかい」にあたらないとされました。

被害者の同意は保護命令違反罪の成立に関係がないと判示した裁判例

裁判所名: 東京高等裁判所 事件番号: 平成26年(う)第895号 判決年月日: 平成26年8月5日

判決文抜粋

「(DV防止法)は,その経緯,事情の如何を問わず,形式的に保護命令に違反すれば処罰する趣旨の規定と解すべきである」
「被害者の同意の有無は本罪の成立には関係がないと考えられ,被告人において,形式的に保護命令に違反する行為をしていると認識している以上,本罪の故意としてはそれで十分であ(る)」

弁護士の解説

保護命令に違反して妻に電話やメールをした事案で、命令違反行為につきたとえ被害者の同意があっても犯罪の成否に関係しないと判示した裁判例です。
被害者が容認していれば罪にならないとすると、被害者に意に沿わない同意を求める事態を招きかねないためこのような判断がされました。

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