判決文抜粋
「道路交通法一一九条一項七号の二に規定する酒気帯び運転の罪の故意が成立するためには、行為者において、アルコールを自己の身体に保有しながら車両等の運転をすることの認識があれば足り、同法施行令四四条の三所定のアルコール保有量の数値まで認識している必要はないとした原判断は、相当である」
酒気帯び運転ないし酒酔い運転をすると、道路交通法により処罰されます。
ここでは、酒気帯び運転における故意が問題となった判例と、酒酔い運転を理由とした免職処分が取り消された裁判例をご紹介します。
「道路交通法一一九条一項七号の二に規定する酒気帯び運転の罪の故意が成立するためには、行為者において、アルコールを自己の身体に保有しながら車両等の運転をすることの認識があれば足り、同法施行令四四条の三所定のアルコール保有量の数値まで認識している必要はないとした原判断は、相当である」
二日酔いの症状を認識しながら運転し事故を起こし、被害者に傷害を負わせた事故事案において、有罪が言い渡された裁判例です。
アルコールを自己の身体に保有しながら車両等の運転をすることの認識があれば罪は成立し、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態に達していることまで認識している必要はないとされました。
「原告を停職ではなく免職とした本件処分は,本件酒酔い運転に対する処分量定として重きに失するというべきであり,社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し,これを濫用した違法があるものと認めるのが相当である」
水産庁の職員が酒酔い運転を理由とした懲戒免職処分の取消しを求めた事案で、これを認めた裁判例です。
免職処分が職員身分を奪うものであること、走行距離が短かったこと、人損・物損事故を発生させていないこと、当初飲酒運転する意図は全く有しておらず、飲酒による一過性の精神障害により運転したこと、長期間国家公務員として勤務し懲戒処分歴を有していないこと、長期間交通違反をしていないことが考慮され、免職処分が違法と判断されました。
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