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強制わいせつ罪で被害届を提出されたら?刑事手続きの流れを解説

強制わいせつ 被害届を提出された

2023年7月13日、強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」に改正されました。

「あのときの自分の行為を理由に、強制わいせつ罪の被害届が提出されるかも」

このような不安を抱えた方のために、この記事では、強制わいせつ罪で被害届が提出された後の流れや被害届の提出を防ぐ方法を詳しく解説します。

強制わいせつ行為をした場合、被害者への速やかな謝罪と賠償が不可欠です。適切な被害者対応が、結果的に加害者にとって有利な事情にもなります。

この記事を読めば、今あなたがとるべき対応がわかります。ぜひ参考になさってください。

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強制わいせつ罪で被害届が提出された後の流れは?

被害届は捜査のきっかけになる

被害届は、強制わいせつ罪の捜査が始まるきっかけになります。ただし、実際に捜査を開始するかどうかは捜査機関の判断次第です。

捜査が開始されると、警察官が証拠収集に乗り出します。

強制わいせつの場合、被害者に被害状況を質問する事情聴取を中心に、防犯カメラ映像の解析、DNA鑑定などが実施されます。

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被害届を取り下げてもらう方法|取り下げ可能な期間・示談金相場は?

強制わいせつ罪で逮捕された後の流れ

強制わいせつ罪で逮捕されるケースは、通常逮捕と現行犯逮捕の場合が考えられます。

通常逮捕は、事件発生後に逮捕状をもった警察官が自宅にやってくることが多いです。一方、電車内における痴漢事件などでは現行犯逮捕されるケースもあります。

通常逮捕でも現行犯逮捕でも、逮捕後の流れは同じです。下の図をご覧ください。

逮捕後、被疑者は警察署に連行され取り調べを受けます。逮捕後48時間以内に警察から検察庁に事件が送致されます。

送致後24時間以内に検察官が勾留請求するかどうか判断します。勾留が決定した場合、起訴・不起訴が判断されるまで逮捕から最大23日間拘束されます。

勾留は、主に逃亡や証拠隠滅のおそれの有無によって決められます。勾留延長は、捜査を継続しなければ起訴・不起訴が判断できない場合に認められます。

逮捕後の刑事手続きの流れ

刑事事件の流れ

なお、逮捕されなかったり、逮捕後釈放された場合、在宅事件として扱われるケースもあります。

在宅事件になると、被疑者は普段どおり自宅で生活できます。ただし、捜査は続きます。警察や検察から呼び出しがあれば、素直に応じる必要があります。最終的に検察官が起訴・不起訴を判断します。

在宅事件には逮捕のようなタイムリミットがありません。したがって、終局処分が出るまで事件が長期化する可能性があります。

捜査の進捗状況や処分の方向性など、わざわざ連絡がくることはありません。これらの情報を確認したければ、弁護士に依頼して捜査機関に問い合わせるのがおすすめです。

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在宅事件の流れを解説|起訴率は低い?逮捕される刑事事件との違い

強制わいせつ罪で逮捕・勾留される可能性は?

強制わいせつ罪は、逮捕・勾留される可能性が高い犯罪です。

具体的な数字で見てみましょう。

2020年検察統計年報によると、強制わいせつ罪の身柄率は55.0%(2,146件/3,903件)です。刑法犯全体の身柄率35.3%(68,849件/194,806件)と比べると、強制わいせつ罪は逮捕されるおそれが高いことがわかります。

さらに、逮捕された強制わいせつ事件のうち92.7%(1,989件/2,146件)で勾留が認められています。この数字から、強制わいせつ罪は、身体拘束が長期化する可能性が高い犯罪だとわかります。

身体拘束が長引けば、仕事や学校生活に大きな影響が及びます。

こうした事態を防ぐには、逮捕自体を避けることが何より効果的です。そのためには、早期の示談と被害届を提出しない合意を得ることが重要です。

強制わいせつ罪で起訴される可能性は高い?

強制わいせつ罪は、起訴される可能性が比較的高い犯罪です。

具体的な数字で見てみましょう。

2020年検察統計年報によると、強制わいせつ罪の起訴率は33.9%(1,226件/3,621件)です。これに対し、刑法犯全体の起訴率は22.3%(104,274件/466,730件)にとどまります。

日本の裁判では、起訴されてしまうと約99%もの割合で有罪になってしまいます。有罪になれば前科がつき、就職等の面で様々な不利益を被ります。

しかも、強制わいせつ罪は、法定刑が「6月以上10年以下の懲役」と規定され罰金刑がありません(刑法旧176条)。つまり、有罪になれば執行猶予がつかない限り、必ず刑務所に行かなければいけないのです。

これらの不利益を避けるには、不起訴になることが非常に重要です。

強制わいせつ罪で不起訴になるには?

検察官は、強制わいせつ罪の起訴・不起訴を判断する際、以下の事情を重視します。

強制わいせつ罪の起訴・不起訴を決める際に重視される事情

  • 被害者の年齢、性別、知能や精神の発達の程度
  • 暴行・脅迫の態様・程度
  • わいせつ行為の内容
  • 被害者やその家族に与えた肉体的・精神的被害の大きさ
  • 示談の有無
  • 被害者の処罰感情
  • 同種前科・前歴の有無
  • 常習性
  • 再犯のおそれ

この中で、加害者の事後的対応として重要なのが「示談」と「被害者の処罰感情」を低下させることです。

なぜなら、示談が成立して被害者が積極的に処罰を希望していない場合、あえて起訴する必要性が低下するからです。

もし被害者の処罰感情が強く示談成立が困難な場合でも、加害者が真摯に反省していることを検察官に伝えることで不起訴の可能性は上がります。

具体的には、謝罪文の作成や、加害者自身が示談金を用意した事実などを検察官に丁寧に報告することがポイントです。さらに、加害者の家族が更生に向けて協力する意思を表明していれば、再犯のおそれを下げる事情として有利に考慮されます。

強制わいせつ罪の被害届に関するQ&A

Q.強制わいせつ罪の被害届に期限はある?

A.期限はありません。ただし、公訴時効にかかる場合があります。

強制わいせつ罪の被害を届け出る方法には、被害届と告訴状があります。

最近では、性犯罪被害者相談電話や性犯罪被害110番といった相談窓口を通じ、警察官に直接相談するケースもあります。

被害届は、被害を受けた事実を警察に届け出る書面です。処罰を求めるものではありません。被害届が受理されても捜査が始まるとは限りません。

告訴状は、被害者が、捜査機関に対し被害事実を申告するとともに、犯人の処罰を求めるものです。告訴が受理されると必ず捜査が開始されます。

強制わいせつ罪の場合、被害届も告訴状も提出期限はありません。ただし、公訴時効が経過してから被害を届け出ても起訴はできません。

以下の表は、主な性犯罪の公訴時効期間をまとめたものです。公訴時効は「犯罪行為が終わった時」からスタートします(刑訴法253条)。

ご自身で「強制わいせつ行為をした」と考えていても、行為態様や怪我の有無等によって、別の犯罪が成立する可能性があります。時効が気になる方は弁護士に相談することをおすすめします。

主な性犯罪の公訴時効期間(刑訴法250条2項)

罪名公訴時効期間
強制わいせつ罪(現不同意わいせつ罪)12年
強制わいせつ致傷罪(現不同意わいせつ致傷罪)20年
強制性交等罪(現不同意性交等罪)15年
強制性交等致傷罪(現不同意わいせつ罪)20年

※2023年の制度改正により、強制わいせつは7年から12年、強制性交は10年から15年に公訴時効が延長されました。

Q.強制わいせつは被害届や告訴状が提出されなければ起訴されない?

A.被害届や告訴状が提出されなくても起訴される可能性があります。

もともと、強制わいせつ罪は告訴がなければ起訴できない親告罪でした。

しかし、2017年に刑法が改正され、強制わいせつ罪は、告訴がなくても起訴できる非親告罪になりました。

したがって、被害届や告訴状が提出されなくても、強制わいせつ罪で起訴される可能性があります。

もっとも、性犯罪は被害者のプライバシー保護が特に重視されることに変わりありません。

そのため、現在でも強制わいせつ罪を起訴するかどうかは、被害者の心情や処罰意思を確認した上で決められています。

したがって、強制わいせつ罪が非親告罪となった現在でも、示談の有無が起訴・不起訴に大きく影響します。強制わいせつ罪の初犯で示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性は大きいでしょう。

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強制わいせつの弁護を依頼するメリット

最大のメリットは示談成立の可能性が高まること

強制わいせつ罪の弁護は、弁護士に依頼することを強くおすすめします。弁護士に依頼する最大のメリットは、示談成立の可能性が高まることです。

強制わいせつ罪は示談の成否が起訴・不起訴を大きく左右します。さらに、示談が成立すれば、逮捕回避、早期釈放、執行猶予など、様々な面で加害者に有利に考慮されます。

性犯罪では示談を拒否されることも少なくありませんが、弁護士が相手であれば交渉に応じてもらいやすくなります。

また、被害者の連絡先不明なケースでも、弁護士から検察官に問い合わせることが可能です。

強制わいせつ罪の示談では、接近禁止条項を組み入れるなど被害者の気持ちに配慮した工夫も行います。

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逮捕回避が期待できる

強制わいせつの事実を仕事関係者や友人などに知られないようにするには、逮捕を防ぐのが最も効果的です。

そのためには、弁護士に依頼の上、早期に示談を成立させるとともに、被害届を提出しない合意を得ることが重要です。

逮捕前に弁護士を選任する唯一の方法は、私選弁護士に依頼することです。国選弁護人は勾留決定後からしか活動できません。

逮捕回避は時間との闘い。事件を起こしてからいかに早く弁護士に依頼するかが、その後の人生を左右します。

早期釈放が期待できる

身体拘束が長引けば、強制わいせつ罪で逮捕された事実を仕事関係者に知られる可能性があります。そうなれば、解雇のおそれも出てきます。

このような事態を避けるため、いち早く弁護士に依頼して早期釈放を目指しましょう。

この場合も、やはり私選弁護士がおすすめです。私選弁護士であれば逮捕直後から示談交渉を開始できます。

弁護士は、示談交渉と同時並行で被疑者に有利な事情を集めます。

例えば、同居家族の協力を得て身元引受書を提出します。また、被疑者が被害者と面識がないため釈放されても接触が不可能であるといった事情を検察官や裁判官に説明します。

書面の提出だけでなく、検察官や裁判官と対面して、被疑者に有利な事情を説得的に主張します。

不起訴が期待できる

弁護士は、示談交渉の中で、加害者に有利になる事情を一つでも多く獲得できるよう最善を尽くします。

具体的には、被害者の許し(宥恕)を得られるよう努めます。さらに、被害届を取り下げてもらうよう被害者にお願いします。

宥恕条項付き示談書と被害届取下書を併せて提出することで、不起訴処分となる可能性は大きく高まります。

執行猶予が期待できる

強制わいせつ罪で起訴されると公判廷で裁判を受けます。有罪になると、執行猶予がつかない限り必ず実刑になります。

そのため、強制わいせつ罪で起訴が見込まれる場合、執行猶予獲得のための弁護活動も欠かせません。

執行猶予獲得のためにも示談が非常に重要です。初犯者の場合、示談が成立していれば執行猶予になる可能性は高いでしょう。

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アトム法律事務所ではこれまで数多くの強制わいせつ事件を解決してきました。

  • 宥恕条項付き示談を成立させ、刑事事件化を防いだ事例
  • 宥恕条項付き示談の成立に加え、被害届取下書を獲得し不起訴となった事例

この他にも強制わいせつで不起訴となった事例が多数あります。詳しくは以下のリンクをご覧ください。アトムで実際に取り扱った157件の事例をもとに、強制わいせつ事件の統計をご紹介しています。

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