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不同意わいせつ(旧強制わいせつ)で示談する方法と示談金相場

不同意わいせつで示談

「わいせつ事件の被害者と示談をしたいが話すらできない…」
「示談をしようにもわいせつ事件の示談金相場がわからない…」
「周囲に知られず穏便に解決したい」

不同意わいせつ(旧強制わいせつ)事件は、被害者と示談ができなければ厳しい処分が予想されます。

しかし、加害者自ら被害者と交渉を行うのは現実的ではありません。弁護士を通じて誠心誠意、謝罪と反省の気持ちを示す必要があります。

この記事では、わいせつ事件で示談をする意義や示談の流れわいせつ事件の示談金相場などについて解説しています。

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不同意わいせつ(旧強制わいせつ)における示談とは?

不同意わいせつ事件で示談する意義

刑事事件の示談には、反省の気持ちを示すため、主に示談金を支払って被害者の損害を賠償するという条件で、 被害者の許しを得たり、被害届を取り下げてもらったりして、事件について当事者間で解決をするという意義があります。

そもそも、不同意わいせつ罪とは「相手が同意できないような状況でわいせつな行為を行うこと」です。不同意わいせつ罪は2023年7月13日以後のわいせつ事件に適用され、2023年7月12日以前のわいせつ事件では強制わいせつ罪が適用されます。

不同意わいせつ罪の定義や、旧法である強制わいせつ罪との違いなどについて詳しくは『不同意わいせつ罪とは?逮捕されたらどうなる?強制わいせつ罪との違い』の記事をご覧ください。

不同意わいせつ罪の法定刑は「6か月以上10年以下の拘禁刑」となっており、罰金刑のない重たい犯罪ですが、示談が成立すれば不起訴となることも少なくありません

事件について当事者間で解決がなされ、被害者の許しも得ているということであれば、刑事罰を与える必要性は大きくないと判断されるため、寛大な刑事処分を得られる可能性があるのです。

示談を行う場合の流れ

不同意わいせつ事件をはじめ、刑事事件で示談交渉を行う場合、主に以下のような流れで示談は進められていきます。

示談の流れ

  1. 被害者に示談の意向を伺う
  2. 示談交渉をはじめる
  3. 示談が成立する

通常、捜査機関は加害者に被害者の連絡先を教えることはありません。もっとも、弁護士が介入すれば、捜査機関から被害者に連絡先を弁護士限りで開示していいかどうかを確認してもらえるでしょう。

捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手できれば、弁護士は謝罪の意を伝えつつ、被害者に示談の意向を伺います。

被害者が示談に応じてくれるようであれば、示談金の具体的な金額などについて話し合いを行います。特に、示談を通じて「被害者からの許し(宥恕)」が得られているかどうかは、刑事処分への影響を左右するので重要です。

示談の内容に双方が合意できれば示談書にまとめて署名・捺印をいただき、話し合った期日までに示談金を支払います。捜査機関には、不起訴処分を求めるために、示談が成立した事実を報告します。

不同意わいせつ事件の示談金相場

わいせつ事件の示談金相場は50万円

アトム法律事務所が取り扱った強制わいせつ事件や不同意わいせつ事件で、示談が成立した165件の示談金相場は50万円でした。

アトムの統計より(示談件数は被害者ごとに集計)

もっとも、わいせつ事件の示談金相場は、被害の程度や行為態様の悪質さ、当事者の関係など、個別の事情により左右されます。示談金が500万円以上となったケースもあり、一概にいえるものではありません。

示談金の額はあくまで当事者間の合意で決まるものですので、被害者が納得していれば相場より安い金額で示談できる場合もありますし、被害感情が大きければ相場より示談金が高くなる場合もあります。

また、被害者が複数いる場合にはそれぞれの被害者と示談する必要がありますので、そのぶん示談金が必要になります。

示談金が安すぎると引上げ交渉されたら?

わいせつ事件の被害者は大きな恐怖を味わっているので、一般的な相場の金額では安すぎると感じて引上げ交渉されることがあるでしょう。

請求を受けた示談金の金額が妥当かどうかは弁護士に相談して確認してください。

弁護士なしで示談交渉する場合、事件化や前科を回避するために過大すぎる示談金の請求を飲んでしまうこともあります。もちろん、加害者が犯したことの責任は重大なので、被害者に対する誠意を精いっぱい見せる必要があるのは大前提ですが、あまりに法外な示談金を支払う必要まではありません。

示談金も大事だが被害者に納得してもらうことが重要

示談は被害者に拒否されればできません。

そのため、被害者感情に最大限配慮しながら謝罪と賠償を尽くして、被害者の許しを得なければわいせつ事件の示談はうまくいきません。

加害者が自ら示談を提示したとしても、納得してもらうことは困難なケースが多いです。

その点、弁護士は良い意味で第三者ですので、冷静かつ客観的に示談成立のための行動をすることができます。弁護士を介して適切かつ真摯に示談を進めることで被害者に応じてもらえる可能性が高まります。

被害者側にとっても、わざわざ民事訴訟を提起しなくとも被害弁償や慰謝料の支払いを受けられるというメリットが示談にはあります。

示談金が上手くいかない場合

最終的に示談を拒否されてしまったり、過大すぎる請求を被害者から受けてしまった場合でも、示談交渉を真摯に試みたことは、本人の反省の意思の表れとして評価されます。

そのためにも、 示談の経過や事情を検察官に伝える弁護士の役割は大きいものとなります。

不同意わいせつ事件で示談が重要な理由4選

不同意わいせつ(旧強制わいせつ)事件で示談が重要な理由は主に4つあります。

わいせつ事件で示談が重要な理由

  1. 刑事事件化や逮捕を阻止できる
    被害届を取り下げてもらえる
    民事上の賠償関係も解決する
  2. 逮捕・勾留後も示談で早期釈放される
  3. 早期の示談で前科回避・不起訴を目指せる
  4. 示談成立で刑事処分の軽減が期待できる

それぞれどのように重要なのかみていきましょう。

(1)早期示談でわいせつ事件の刑事事件化や逮捕を阻止

警察沙汰になる前にわいせつ事件の被害者と示談をすることで、刑事事件化自体を防ぐことができる可能性があります。すでに被害届が出されてしまったとしても、早期の示談によって逮捕されるリスクを最小化することが期待できます。また、被害者から民事訴訟を起こされることもなくなります。

強制わいせつの解決事例

依頼者自宅内において、当時未成年の妻の連れ子の就寝中に服を脱がせるなどした事案。依頼者の妻が犯行に気が付き離婚に至り、刑事事件化前に依頼を受けたケース。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。刑事事件化せず事件終了となった。

(2)わいせつ事件の逮捕・勾留後も示談で早期釈放

被害者との示談は、早期釈放の結果にもつながります。逮捕・勾留で被疑者の身柄を拘束するには、逃亡や証拠隠滅の恐れがある、という理由が必要です。示談が成立するということは、本人が深く反省し逃亡や証拠隠滅の恐れがないことの表れになります。

強制わいせつの解決事例

徒歩で通行中の被害者女性に対し、自転車で追い越しざまに胸を触った強制わいせつの事案。複数の余罪で逮捕された。


弁護活動の成果

身柄解放のための活動を行い早期釈放を実現。被害者に謝罪と賠償を尽くして示談を締結し、全件につき不起訴処分を獲得。

(3)早期の示談でわいせつ事件の前科回避・不起訴を目指せる

わいせつ事件で前科がつくかどうかは、検察官が事件を起訴するか不起訴にするかでおおよそ決まります。被害者と示談を結ぶことができれば、検察官が不起訴の判断をする期待が持てます

ただし、被害者との示談はなるべく早めに成立させる必要があります。検察官はいったん起訴した後で、それを取り下げて不起訴に変えてはくれません。検察官が起訴を決定する前に、被害者から許しを得てわいせつ事件の被害届を取り下げてもらうなどの、スピーディーな対応が重要です。

強制わいせつの解決事例

複数の女子児童の胸を触りその様子を動画撮影したというケース。強制わいせつ、児童買春・児童ポルノ禁止法違反、迷惑防止条例違反の事案。余罪あり。


弁護活動の成果

被害者全員と宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。立件された全ての事件について不起訴処分となった。

関連記事

不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の不起訴獲得のポイントは?裁判を回避した実例は?

(4)示談成立でわいせつ事件の刑事処分の軽減が期待できる

起訴されてしまった場合でも、示談が成立していれば、執行猶予により、実刑を回避できる可能性が高まります。示談によって、加害者本人が深く反省しわいせつ事件の被害者に謝罪と償いを尽くしたことを示せば、刑事裁判の判決において加害者に有利に事情として考慮してもらえます。

示談が間に合わず起訴されてしまった場合でも、刑事処分を軽くするために示談は有効です。不起訴で終わる場合と違い、執行猶予つき判決では、前科はついてしまいます。しかし、実刑で刑務所に入ることを回避できれば、クビや退学を回避して、社会復帰をスムーズに進められる可能性が高まります。

強制わいせつの解決事例

被害者女性の足に抱きついて舐めたり、近隣女性の部屋に侵入して自慰行為などをしたケース。強制わいせつ、暴行、住居侵入および器物損壊の事案。同種余罪複数あり。


弁護活動の成果

保釈が認容され早期釈放が叶った。被害者に謝罪と賠償を尽くし、一部の被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。執行猶予付きの判決を獲得した。

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強制わいせつ罪の判決は懲役何年?執行猶予はつく?余罪で量刑が重くなる?

不同意わいせつ事件と示談のよくある疑問

Q.わいせつ事件の示談をすべきタイミングは?

示談の成立は、逮捕前から判決が出るまでのどのタイミングであっても重要です。

とはいえ、刑事事件ではできるだけ早い段階で問題を解決することが、最善の結果をもたらします。

また、示談交渉には時間が必要な場合もあります。当初は処罰感情が強く示談を拒否していた被害者であったが、時間が経つことで示談に応じてもらえるようになった、という例も少なくありません。

示談交渉のできる十分な時間的猶予を確保するためにも、わいせつ行為をしてしまったのであれば、弁護士のアドバイスを聞きつつ、すぐにでも示談について検討することをおすすめします。

また、当初は処罰感情が強く示談を拒否している被害者であっても、時間が経つことで示談に応じてもらえるということも少なくありません。

Q.わいせつ事件の示談交渉は弁護士に依頼すべき?

示談交渉は弁護士に依頼するのが適切です。加害者と被害者が本人同士で示談をするケースも存在しますが、すべきではないですし、そもそも示談しようがないケースもあるでしょう。

示談はあくまで当事者同士の自由な合意で決まるものなので、その方法に決まったルールや手続きはありません。しかし、適切に示談ができなければせっかく示談をしても解決に至らないおそれがあります。

なぜ、示談交渉を弁護士に依頼すべきなのかは、「被害者の連絡先を知らない場合」「被害者の連絡先を知っている場合」「逮捕・勾留されている場合」に分けて、それぞれ解説します。

被害者の連絡先を知らない場合

そもそも示談交渉は、被害者と連絡を取ることができなければしようがありません。警察や検察が被害者の連絡先を加害者に教えることはまずありませんから、連絡先がわからない場合、示談は弁護士を通して行う必要があります。

依頼を受けた弁護士は捜査機関を通じて被害者に示談の打診をします。 被害者としても、 加害者に連絡先を知られないのであればということで、 弁護士相手の交渉には応じてくれることも多いです。

被害者の連絡先を知っている場合

たとえ連絡が取れるとしても、わいせつ事件で傷ついている被害者は、加害者との接触を強く拒否する傾向にあります。

そこで無理に示談をしようとすれば被害者への不法な働きかけ(=罪証隠滅のおそれ)として評価され、逮捕・勾留されるリスクを上げたり、脅迫罪や強要罪など別の犯罪が成立する可能性もあります。

本人同士の示談では適切な金額で示談ができなかったり、不備のある示談しかできずせっかく示談をしても解決に至らないおそれもあります。弁護士を通じて適切に示談をすることが重要です。

また、成立した示談の成果を適切に検察官等に伝えて、処分交渉をすることも弁護士であれば効果的にすることができます。

本人と被害者の示談交渉の可否

連絡先知っている連絡先知らない
逮捕なし交渉できる
※弁護士いるとスムーズ
交渉難しい
逮捕あり交渉難しい交渉難しい

逮捕・勾留されている場合

逮捕・勾留されている状況では、ご自身で示談交渉をすることは事実上不可能ですから、弁護士に依頼する必要があります。弁護士との接見(面会)を通じて依頼や打ち合わせをします。

1日も早い釈放を目指すのであれば、示談交渉はもちろんのこと、捜査機関や裁判官への働きかけも同時並行でスピーディーに行える弁護士に依頼することが大切です。

逮捕勾留中に弁護士に示談を依頼する方法としては、以下の4つがあります。

逮捕・勾留中の示談方法

  • 逮捕前から依頼している弁護士がいれば、捜査機関に伝えて呼んでもらう
  • 外部のご家族などが弁護士に依頼する
  • 当番弁護士を呼んで私選弁護士として委任する
  • 勾留後の国選弁護士へ依頼する

当番弁護士は、逮捕後に無料で1度だけ弁護士が面会してくれる制度で、弁護士のツテがなかったとしても「弁護士を呼んでください」と言えば呼んでもらうことができます。
ただし、無料なのは1回の面会のみですので、弁護活動を依頼するためには、面会時に有償で契約する必要があります。また、弁護士を選ぶことはできませんので、必ずしも刑事事件に慣れていたり、相性の良い弁護士が来てくれるとは限りません。

国選弁護士は、弁護士がいない場合に勾留後に国が原則無償で弁護士をつけてくれる制度です。 国選弁護士は、示談を含めた弁護活動一般を行ってくれますが、当番弁護士と同様に弁護士を選ぶことができない点と、勾留後しか依頼できない(勾留を防ぐための早期の弁護活動ができない)点、報酬の関係から必要最低限の弁護活動以上のきめ細やかなサポートが期待しにくい点がデメリットになります。

また、 基本的には国選弁護士を依頼できるのは資力が50万円以下の場合ですので、国選弁護人をつけるケースでは十分な示談金の用意が難しい可能性もあります。

各弁護士による示談のしやすさ

当番弁護士国選弁護士私選弁護士
活動時期逮捕後勾留後いつでも
専門分野選べない選べない選べる
示談刑事専門外だと難しい刑事専門外だと難しい積極的に対応可能

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不同意わいせつ事件に強い弁護士の見分け方

わいせつ事件の経験豊富な弁護士|解決実績で判断

わいせつ事件をできるだけ良い形で解決するためには、刑事事件に熟知している必要があります。

弁護士にはそれぞれ、専門的に取り扱っている分野があり、全ての弁護士が刑事事件に精通しているわけではありません。そのため、私選弁護士を依頼する際には刑事弁護に注力している弁護士事務所に依頼をした方が良いでしょう。

示談という被害者対応を含めると、法律知識だけでなく、示談の実践経験がどれだけあるかが弁護士の力量を示す尺度になります。被害者感情に寄り添いつつ適切に示談を成立させるためには、弁護士の経験、人柄、交渉力が重要になってきます。

経験豊富な弁護士を探すためには、事務所ホームページ等で公開されている刑事事件の解決実績を確認するのが有効です。

迅速な対応ができる弁護士|対応地域も要確認

弁護士を選ぶ上で、対応の早さはとても重要です。

特に身体拘束されている事件では刑事事件は時間の制約も厳しく、迅速に対応してくれることも頼れる弁護士の必須要素だといえます。いくら刑事弁護に精通したベテランでもスケジュールが埋まっていては意味がありません。

また、本人と面会する際や、刑事事件の裁判など警察署や裁判所へ弁護士が出張することも良くあります。迅速かつ小回りの利く対応を可能とするためには、遠方の法律事務所への依頼はあまり適切ではないでしょう。対応地域を決めている事務所もあります。捜査警察から近い事務所を選ぶことは、出張費用など弁護士費用を抑える効果もあります。

信頼できて相性の良い弁護士|無料相談を活用

弁護士と依頼者との関係で最も重要なのはお互いの信頼関係です。

弁護士からみれば当たり前でそれほど重要ではないことであっても、依頼者にとっては大きな心配事だということもあります。刑事事件という不安な状況の中で、不明な点や不安をすぐに聞いてもらえる弁護士に依頼することは、心の安定につながります。

まずは対面での法律相談を活用し、説明が丁寧か、信頼ができそうか、などご自身との相性も含めてご確認ください。初回の法律相談は30分~1時間程度で5,000円~10,000円(+税)ほどが相場となっていますが、無料相談を実施している場合もあります。

不同意わいせつ事件の示談を弁護士に相談

不同意わいせつ(旧強制わいせつ)事件では、被害者が大きな恐怖を感じていることから、加害者が直接、示談を行うことはできません。

弁護士であれば、加害者の代わりに示談交渉を進められる可能性が高まるばかりか、適正な金額の示談金となるよう交渉したり、被害届の取り下げを取付け、刑事事件化や逮捕の回避に尽力してくれるでしょう。

わいせつ事件を起こしてしまったら、弁護士にすみやかに相談するようにしてください。

アトム法律事務所は、わいせつ事件をはじめ、さまざまな性犯罪に関する刑事弁護に注力してきました。

ご家族がすでに逮捕されてしまっている場合や、警察に呼び出しを受けているような場合、弁護士による無料相談が受けられます。

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アトム法律事務所 所属弁護士