
- 「酔った勢いでキスをしてしまい、慰謝料を請求されている」
- 「SNSで知り合った女性に同意なくキスをして警察に被害届を出されてしまった」
- 「路上で見ず知らずの女性に無理やりキスをして、強制わいせつで後日逮捕された」
このような場合、できるだけ早く弁護士のサポートを受けて、トラブルを解決をする必要があります。
無理やりキスをしてしまった場合に必要な慰謝料の相場は、50万円程度です。
今回の記事では、無理やりキスをしてしまった場合における慰謝料と示談成立に向けた動きについて、解説していきます。無理やりキスをしてしまってお悩みの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。
目次
無理やりキスをすると、強制わいせつ罪の恐れあり
相手の同意を得ないまま無理やりキスをすると、強制わいせつ罪(刑法176条)が成立する可能性があります。
強制わいせつ罪とは
強制わいせつとは、暴行または脅迫を利用してわいせつな行為に及ぶことです。
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6ヶ月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
刑法176条
ここでの「暴行」は殴る・蹴るといった行為のみを指しているわけではありません。
「反抗を抑圧する」程度の力の行使だけであっても、暴行とみなされます。
たとえば、強く体を押さえつける、押し倒して抵抗できないようにする、といった行為も暴行になります。
では、「わいせつな行為」とはいったい何なのでしょうか?
最高裁判所の示すところによるとわいせつ行為とは、「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,一般人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する」行為をいいます(最高裁昭和26年5月10日判決)。
つまり、自身が性欲を満たすための行為、そして客観的に見て、性的に羞恥心を生じさせるような行為となります。
具体的には、胸を触る、陰部に触れる、キスをする、などの行為です。
なお暴行の程度が強く、相手が怪我をしてしまった場合には「強制わいせつ致傷罪」が成立し、より重い罪に問われる可能性もあります。
無理やりキスの3パターン
無理やりキスをしてしまうと、上述の強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
ここでは、強制わいせつとみなされる可能性のあるケースをご紹介します。
①明らかに同意のない無理やりなキス
背後から抱きついて無理やりキスをしたり、顔や腕を押さえつけてキスをしたりすると、逮捕される可能性が高くなります。
当然ですが、キスをしてしまった時の状況や相手との関係性などを総合的に踏まえたうえで、わいせつ性は判断されます。
とはいえ、相手が同意しているような素振り(全く抵抗してこない、腕を回してキスに応じてくる・・・など)がない限りは、強制わいせつ罪が成立する可能性が高くなりますので、ご注意ください。
②キスをしたが同意があると思っていた
相手も自分に対して好意を持っていると思い込んで同意を得ずにキスしてしまうような場合でも、逮捕される可能性は残っています。
もちろん相手が同意をしていると判断できる態度を見せていて、それが証拠として残っている場合には、逮捕される可能性は低くなります。
ですが、相手が一切抵抗してこなかった場合でも、抵抗しなかったのではなく、恐怖心やパニックで抵抗できなかったのだと反論されてしまうと、強制わいせつ罪が成立する恐れがあります。
相手が明示的に同意していない場合には、トラブルに発展する可能性があることに注意が必要です。
③暴行も脅迫もなくただキスだけ
すでに確認した通り、強制わいせつは、暴行・脅迫を用いたわいせつな行為です。では、暴行も脅迫も用いないでキスをした場合はどうなるのでしょうか。具体的に以下の二つのケースで考えていきます。
相手の隙をついて一瞬だけキスをしたケース
このケースでは暴行も脅迫も使っていません。例えば、振り向きざまにキスをしてしまったという状況や、相手が何かに集中して注意力が欠けているときにキスをしてしまった状況などが考えられます。
こうしたケースであっても「強制わいせつ」とみなされる場合があります。「相手の意に沿わないキス」それ自体が暴行とみなされる可能性があるからです。
もっとも、大体の場合には腕を掴んだり頭を押さえつけたりしていることが想定されますので、真の意味でキスだけをするというのは、かなり稀なケースとなるでしょう。
泥酔した相手が意識を失っているときにキスをしたケース
相手が泥酔している状況では、暴行・脅迫など使わずともわいせつ行為をはたらくことが可能です。しかし、暴行・脅迫がないからといって、罪に問われないわけではありません。
この場合には、準強制わいせつ罪という、別の罪に問われる可能性が高くなります。
1.人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
刑法178条
したがって、相手が泥酔、熟睡、失神などで正常な判断ができない状況でキスをした場合も、強制わいせつ罪と同じだけの罰が科されることとなります。
無理やりキスをした証拠がなくても、捕まってしまう?
無理やりキスをした証拠がない場合でも、被害者からの被害届を警察が受理して捜査が開始されれば、捜査の過程で逮捕される可能性が無いわけではありません。
自分では証拠が無いと考えていても、防犯カメラの映像や周囲の目撃者の証言が見つかり証拠として採用される可能性があります。
また、被害者が友人・知人に被害を相談しているメールやラインなども証拠になってしまう場合があります。
被害者の証言以外の客観的証拠が本当に一切存在していなければ逮捕される可能性は低いですが、証拠がないと思い込んでいると、想定外のタイミングで警察に逮捕されたり呼び出しを受けることもあり得ます。
被害者から被害届を出すという連絡を受けた場合には、示談締結に向けた対応をするべきです。
またいきなり警察から連絡を受け、被害届が提出されているのが分かったタイミングでも、迅速に弁護士まで相談してください。
無理やりキスをした場合の示談について
強制わいせつの法定刑は6か月~10年の懲役刑です。罰金刑はありません。
そのため、起訴されて刑が確定してしまうと、執行猶予がつかない限りは刑務所での懲役となります。
そこで、無理やりキスをしてトラブルに発展してしまった場合には、示談を締結することで、刑事事件化したり起訴されたりすることを回避できるかどうかが大きなポイントです。
示談とは
刑事事件における示談は「被害届を取り下げる」「加害者を許す」(宥恕事項)ことなどを約束することで、不起訴処分を得られる可能性が上がる、非常に重要な意味を持っています。
示談を成立させることで逮捕される可能性を下げ、既に逮捕されている場合には釈放の可能性を上げることができます。
だからこそ、無理やりキスをしてしまい、強制わいせつ罪で逮捕される可能性がある場合には、迅速に示談に向けての動きをとることが重要です。
示談についての詳細は、『刑事事件で示談をすべき5つの理由|示談金の相場も紹介』のページもご覧ください。
示談は弁護士に任せることが望ましい
示談でトラブルを解決しようと思っても、ご自身で被害者と交渉するには困難が生じることが多いです。
わいせつ事件という性質もあり、加害者とはなるべく接触したくないし連絡先も知らせたくない、と考える被害者の方が多いからです。そのため、加害者自らが交渉のテーブルにつくことすら難しくなってしまいます。
ですが、示談を成立させなければ懲役刑が確定してしまうかもしれない・・・。
そこで、加害者の代わりとなって示談成立に向けたサポートを弁護士が行います。
強制わいせつ事件は性質上、弁護士への相談が必要不可欠ですので、お気軽にアトムの弁護士までご相談ください。

無理やりキスしてしまったときの慰謝料の相場
無理やりキスをしてしまったときの慰謝料の相場は、事件の性質や状況にも左右されますが、相場は50万円程度となっています。
悪質性が高い場合には100万円以上の示談金が必要となる場合も過去に実例として存在します。
ですが、必ずしも相場の金額を用意すれば示談となるという訳ではありません。被害者の感情や交渉の進め方などで、金額は増減します。
あくまで提示した示談金額に被害者が納得しないと示談は成立しないので、被害者感情に配慮しつつ適切に交渉を進める必要があります。
加害者本人はもちろん、弁護士であっても被害者との交渉経験が十分にないと難しいので、刑事事件の加害者弁護の経験が豊富なアトムの弁護士にご相談ください。
慰謝料と示談金の違い
慰謝料とは、被害者側が被った精神的な損害に対して支払われる金銭です。
示談金とは、慰謝料やその他損害賠償金を含めて、被害者から許してもらうために支払う全ての金銭を指します。
示談金の中に慰謝料が含まれているというイメージですね。
慰謝料が大きくなればなるほど、示談金も膨れ上がることになります。
慰謝料 | 示談金 | |
---|---|---|
意味 | 精神的苦痛に対して支払われる金銭 | 示談を締結するために支払われる金銭の全て |
内容 | 慰謝料のみ | 慰謝料怪我の治療費壊れた物の損害賠償など |
無理やりキスをして加害者になってしまったら、弁護士に相談を!
「無理やりキスをしてしまい、警察に被害届を提出されてしまった・・・。」
「もしかしたら、これから逮捕・起訴されるかもしれない・・・。」
このような不安を抱えている方は、迅速に示談成立を目指しましょう。
起訴される前に被害届の取り下げを示談内容に入れ込むことができれば、刑事裁判を防ぐことができます。
なぜ弁護士に相談??
示談交渉を進めやすくするため、弁護士へ相談しましょう。弁護士であれば、ケースに合った適切な慰謝料や示談金の相場が分かります。
また加害者自らが示談を申し入れるのは、被害者の心理的なハードルが高くて難しい側面があります。
反省の姿勢をアピールするためにも不適切といえるでしょう。
弁護士へ相談することで、口封じや脅迫と捉えられて逮捕されてしまう危険を避けることができ、スムーズに示談交渉を進めることができます。
示談が不成立だと、強制わいせつ罪が成立する可能性がある
無理やりキスをしてしまったにも関わらず、示談交渉に向けた動きをとらないままでいると、後日逮捕・起訴される可能性が高くなります。
後日逮捕される場合としては、主に以下のような状況が考えられます。
- 証拠となる動画や画像などを撮られていた
- 監視カメラの映像や犯行現場周囲の目撃者の証言が証拠となってしまう
これら以外でも、後々になって証拠が出てきて訴えられてしまうことも十分にあり得るでしょう。
そして、それからいくら謝っても「では、なぜすぐに謝らなかったのか」と問われてしまいかねません。
示談が不成立となり、強制わいせつ罪が確定してしまうと、懲役刑が科されます。強制わいせつは6か月~10年の間での懲役刑が法で定められており、罰金刑は定められていません。
もちろん、執行猶予がついていなければ刑務所に入ることとなります。
今後の生活のことを考えても、これは避けたいところですよね。
無理やりキスをしてしまった心当たりのある方は、弁護士へ相談し、示談交渉に向けたアクションを早急にとるようにしましょう。
アトム法律事務所の所属弁護士は、示談成立の実績豊富!
ここまでを通じて、無理やりキスをしてしまった場合には、以下の二点がお分かりいただけたかと思います。
- 強制わいせつ罪として逮捕・起訴される可能性があること
- 被害者との示談成立のためには、弁護士への相談が非常に重要になること
アトム法律事務所の所属弁護士には、無理やりキスをした場合など強制わいせつ事件での示談成立、執行猶予獲得実績が多数あります。
少しでも不安を抱えている方は、早急な解決のためアトム法律事務所までお気軽にご連絡ください。