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占有離脱物横領の時効は何年?早期に弁護士に相談するメリットとは

占有離脱物横領

落とし物を持ち帰ってしまった
財布を置き引きしてしまった

このような行為は、占有離脱物横領罪に問われる可能性があります。刑罰は、1年以下の懲役、または10万円以下の罰金、もしくは科料です。

占有離脱物横領の時効は3年ですが、時効を迎える前に検挙されるケースも少なくありません。

ただし、占有離脱物横領は、被害者との示談が成立することで、前科を回避できる可能性があります。

この記事では、占有離脱物横領に該当する行為、刑罰、時効を待つリスク、示談を弁護士にまかせるメリットなどをわかりやすく解説します。

占有離脱物横領の時効には刑事と民事がある

ここでは、占有離脱物横領の定義、刑罰、行為、時効を確認します。

占有離脱物横領罪とは?

定義

占有離脱物横領罪(せんゆりだつぶつおうりょうざい)は、遺失物、漂流物、その他占有を離れた他人の物を横領した場合に成立する犯罪です(刑法254条)。

刑罰

占有離脱物横領罪の刑罰は、1か月以上1年以下の懲役、または1万円以上10万円以下の罰金、もしくは科料(1,000円以上1万円未満の納付)のいずれかです。

(遺失物等横領)
第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法254条

行為

いわゆる「置き引き」や「ネコババ」は、占有離脱物横領になる可能性があります。

占有離脱物横領になる行為の例

  • 置き引き(誰かの忘れ物を持ち帰る)
  • 余分にもらったお釣りをネコババした
  • 放置自転車に乗った

占有離脱物横領になる行為の具体的としては、誰かがベンチやトイレなどに忘れた財布やバッグなどを、自分のものにしてしまう行為があげられます。これは、いわゆる「置き引き」です。

そのほかにも、おつりを本来の会計額よりも多くもらったのに後で気付いたにも関わらず返却しないネコババや、私有地に乗り捨てられた自転車を無断で処分する等の行為は、占有離脱物横領罪に問われる可能性があります。

占有離脱物横領の罪に問われる可能性のある行為や、窃盗罪などとの違いについては『遺失物横領で逮捕されることはある?早期に弁護士に相談を』の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。

占有離脱物横領における刑事の時効

占有離脱物横領事件をおこしてしまった方が気になる時効は、公訴時効(こうそじこう)でしょう(刑事訴訟法250条参照)。

公訴時効とは、平たく言えば、刑事事件を処罰する期限のことです。

つまり、犯行が終わった時点から一定の期間を過ぎた場合(=公訴時効を過ぎた場合)は、起訴がゆるされなくなります。刑事裁判が開かれなくなるため、刑事罰を科されたり、前科がついたりする可能性はなくなります。

占有離脱物横領の場合は刑事訴訟法250条の規定の「長期5年未満の懲役もしくは禁錮または罰金にあたる罪」に該当し、公訴時効は3年になります。

時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年

刑事訴訟法250条

占有離脱物横領における民事の時効

なお、時効には刑事事件とは別に民事上のものがあります。占有離脱物横領は民法709条が定める不法行為にあたるため、被害者は加害者に対して賠償請求をする権利があります。

ただしこの賠償請求権にも時効が存在します。被害者が加害者を知った時点から3年、事件が発生した時点からは20年というのが民事事件の時効であり、この期間を経過すると支払いの義務がなくなります。

占有離脱物横領で時効を待つリスク

ここまでは占有離脱物横領罪の概要と、その時効についてみてきました。それでは、占有離脱物横領の罪を犯してしまった場合、その後の対応はどのようにすべきなのでしょうか。

占有離脱物横領で時効を待つリスクとは?

占有離脱物横領は立件されることが少ない比較的軽微な罪ではありますが、その時効が成立するのを待つことは賢明な判断とはいえません。

占有離脱物横領は現行犯逮捕されることは稀ですが、その後の捜査で証拠が見つかり後日逮捕されるケースがあります。特に商業施設や公共の場における置き引きの場合、犯行の様子が防犯カメラに記録され、そこから逮捕に繋がることが考えられます。

逮捕された時点で何もせず時効を待っていたとなれば、反省の態度が見られないとしてそのぶん刑事処分も厳しいものとなることが予想されます。

時効になる前に捕まる割合

犯罪白書によると、2023年度、占有離脱物横領(遺失物等横領)について、捜査機関が認知した事件数は13,789件でした。

検挙件数は、警察が一通り捜査を終えた事件数をいいますが、9,845件あり、検挙率は68.3%と高めでした。

認知件数検挙件数検挙率
2023年13,879件9,485件68.3%
2022年12,335件8,84271.7%
2021年11,746件9,05677.1%

ちなみに、刑事事件全体でみると、検挙率が38.3%でした。このことからも、占有離脱物横領は、時効前に検挙されてしまうケースが多いことがわかります。

令和6年犯罪白書第1編/第1章/第1節/11-1-1-2表 刑法犯 認知件数・発生率・検挙件数・検挙人員・検挙率(罪名別)」より数値を抜粋のうえ、編集しました。

占有離脱物横領の前科を回避するには?

占有離脱物横領による逮捕、前科を回避するには、時効が成立するのを待つのではなく、できる限り早い段階で被害者と示談を締結することがポイントです。

占有離脱物横領は示談の成立により、不起訴処分を得られたり、事件化を防げる可能性が高いです。

不起訴処分になれば、前科を回避できる

不起訴処分になれば、刑罰をうけることも、前科がつくこともありません。

占有離脱物横領事件をおこしてしまった場合でも、不起訴処分を獲得できる可能性はあります。

刑事事件の流れ

不起訴処分とは、「刑事事件の裁判をしないで、事件を終わりにする」という検察官の決定のことです。

処罰の必要性が低い場合、検察官は、起訴猶予(きそゆうよ)という理由で、不起訴処分を出してくれます。

起訴猶予とは

現在の日本の刑事裁判では、約99%有罪になるといわれており、無罪を目指すのは非常に難しい側面があります。

そのため、前科を回避するには、不起訴処分を目指すことが最も有効な手段です。

示談で、不起訴処分の可能性が高まる

占有離脱物横領は、被害者の方との示談が成立することで、不起訴になる可能性が高まります。

被害者の方がいる犯罪では、早期に被害者対応をおこなうことが最も重要です。

まずは、横領した金品の返還・弁償をしっかりと行いましょう。そして、被害者と示談書を締結しましょう。

また、占有離脱物横領を二度と繰り返さないために、自分でできる対策を考えたり、家族の協力体制を整えることも、不起訴の可能性を高める事情になります。

不起訴を目指すには、検察官が「起訴するほどではない」と判断しやすい事情をできるだけ多くそろえる必要があるのです。

示談は、弁護士に相談してまかせる

示談の流れ

被害者との間に示談を締結するためには、弁護士によるサポートが欠かせません。

逮捕されてから起訴される前の身柄拘束が続く期間は最大で23日間ですが、起訴が決定された後で示談が成立しても、後から不起訴とすることはできないため、示談交渉はその間に行う必要があります。そのため、できる限り早い段階で弁護士に相談することが大切になってきます。

逮捕されている場合、加害者本人は示談交渉はできず、また逮捕されていない場合であっても加害者と被害者が直接示談交渉を行うことは困難です。そのため、示談交渉の際は弁護士を間に立てることが必要となります。

占有離脱物横領の解決事例

こちらでは、過去にアトム法律事務所で取り扱った占有離脱物横領事件について、プライバシーに配慮したかたちで一部ご紹介します。

(1)路上での占有離脱物横領

放置自転車の遺失物横領(不起訴処分)

駅近くの路上に無施錠で放置されていた自転車に乗車したところ、警察官の職務質問にあい、そのまま連行されたケース。占有離脱物横領の事案。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴

(2)店舗での占有離脱物横領

財布の遺失物横領(不起訴処分)

パチンコ店で落ちていた長財布をカバンに入れて持ち帰ったとされるケース。後日パチンコ店に再び出向いた際に待機していた警察官に捕まり連行された。遺失物横領の事案。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。検察に送致されることなく事件終了となった。

示談の有無

あり

最終処分

不送致

(3)コンビニでの占有離脱物横領

携帯電話の遺失物横領(不起訴処分)

コンビニのイートインスペースに置き忘れられていた携帯電話や財布を拾った。窃盗から占有離脱物横領に変更された事案。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。その結果、不起訴処分となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴

占有離脱物横領は時効を待つより弁護士相談を

まとめの一言

占有離脱物横領は、他人の落とし物、忘れ物、失くし物を置き引き・ネコババした場合に成立する可能性があります。

占有離脱物横領の公訴時効は3年で、刑事事件のなかでは短いほうですが、時効前に検挙される事案も多いです。

占有離脱物横領事件をおこしてしまい、将来、逮捕や検挙の不安をお持ちの方は、時効を待つよりも、弁護士相談を優先しましょう。

刑事事件に強い弁護士に相談すれば、示談による早期解決の可能性が高まります。

アトムの弁護士の評判・依頼者の声

ご依頼者様からのお手紙・口コミ評判

刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。

不安なときも親切に対応していただき、示談にすることが出来ました。

ご依頼者様からの感謝のお手紙:占有離脱物横領事件:(不安なときも親切に対応していただき、示談にすることが出来ました。)

このたびは先生にはいろいろとお世話になり、ありがとうございました。被害者様に謝罪することがきちんと出来て、示談が出来ました。本当に感謝しております。いろいろと不安がありましたが、親切に先生、事務員の〇〇様、〇〇様にも対応していただき、ありがとうございました。

再出発のチャンスを頂き、心から感謝しております。

ご依頼者様からの感謝のお手紙:占有離脱物横領事件:(再出発のチャンスを頂き、心から感謝しております。)

貞先生、事務所のみなさま、本当にありがとうございました。先生方には私が犯しました行為の弁護をしていただき、再出発のチャンスを与えていただき、心から感謝しております。今後は自分自身の罪を常に忘れず、日々いろんな方への感謝を忘れず、誠実にこれからの人生を歩んでいきます。この度は本当にありがとうございました。

アトムの弁護士相談:24時間予約受付中

アトム法律事務所では現在、占有離脱物横領(加害者側)の弁護士相談のご予約を24時間365日受付中です。

  • 占有離脱物横領を示談で解決したい
  • 占有離脱物横領で警察から呼び出しがあった など

くわしくはお電話でオペレーターにおたずねください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了