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横領事件に詳しい弁護士に相談|業務上横領は示談で逮捕を回避できる?

横領事件の弁護士
  • 会社のお金を横領してしまった
  • 逮捕まで時間の問題かもしれない
  • 横領で逮捕されたときの対応方法は?

横領事件を起こしてしまい、上記のような不安や疑問をお持ちの方は、なるべく早い段階で弁護士に相談してください。

横領事件は被害額が多額で、事件解決まで長い時間がかかりやすい事件です。刑事事件に詳しい弁護士であれば、会社に発覚する前の対応方法やその後の穏便な解決方法など、状況に応じた適切なアドバイスが可能です。

このページでは、警察対応だけでなく、会社対応の方法まで、横領事件のポイントを整理しています。特に、横領事件解決の鍵となる示談については詳しい解説を加えています。

示談を弁護士に任せるメリットは何か、自分で行うとリスクがあるのか、この点についても解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。

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横領事件は逮捕される?逮捕されない?

横領事件で逮捕される確率は13.6%?

横領事件の被疑者8,825人のうち逮捕された人員は1,202人

2019年の『検察統計年報』によると、既済となった横領事件(単純横領罪・業務上横領罪・遺失物横領罪のすべてを含む)の被疑者8,825人のうち逮捕された人員は1,202人ということがわかるので、横領事件で逮捕される割合はおよそ13.6%であると言えます。
(参考:2019年検察統計年報『罪名別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員』)

しかし、横領事件の9割近くが刑罰の軽い遺失物横領罪で占められているため、刑罰の重い業務上横領罪に限ると逮捕される割合は13.6%よりも高くなると推測できます。

逮捕された被疑者のほとんどは勾留されている

勾留とは

逮捕に引き続き行われる比較的長期の身体拘束です。

横領罪で逮捕された1,202人のうち、1,099人が勾留請求をされています。
その結果、1,063人(約97%)には勾留が認められ、36人(約3%)には勾留が認められませんでした。
(参考:2019年検察統計年報『罪名別 既済となった事件の被疑者の勾留後の措置,勾留期間別及び勾留期間延長の許可,却下別人員』)

このことから、横領罪で逮捕された場合はほとんどのケースで勾留請求がなされ、勾留請求がなされた場合はほぼ勾留の許可が下りてしまうことがわかります。

勾留された被疑者の6割近くは勾留期間の延長がなされている

さらに、勾留された1,063人のうち616人は勾留期間延長の請求がなされています。その結果、616人のうち615人の勾留期間の延長が認められています。
このことから、勾留された後はおよそ6割の割合で勾留期間延長の請求がなされることになり、勾留期間延長の請求がなされた場合はほぼ確実に延長の許可が下りてしまうことがわかります。

なお、勾留期間は原則10日間ですが、延長された場合は最長20日間勾留されます。
そのため、勾留や勾留延長を阻止して仕事や日常生活に支障が出ないようにしたい、という場合は、弁護士に依頼して事件の早期解決を図ることをおすすめします。

実際に逮捕・勾留・釈放される具体的な流れについては『逮捕されたら|逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説』をご覧になればおわかりになるかと思いますので、気になる方はぜひご参考になさってください。

3つの横領(単純横領、業務上横領、遺失物等横領)

刑法を見ると、横領の事件には3つのパターンが明記されています。①単純横領罪(252条)、②業務上横領罪(253条)、③遺失物等横領(254条)です。

単純横領(刑法252条)

1 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

例えば、友人から保管を任せられたお金を自分のもとして使い込むというケースが単純横領罪にあたります。

業務上横領(刑法253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

会社で経理の仕事をしている人が、会社のお金を自分のものにしようと自分の口座に移す行為は、業務上横領の典型例です。

遺失物等横領(刑法254条)

遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

道で拾った財布を交番に届けず、自分のものにしてしまうと、遺失物横領の罪が疑われます。

横領の中では業務上横領が最も重い犯罪

業務上横領における「業務」とは社会生活上の地位に基づいて、反復継続して行われる事務のことです。毎日行う仕事をイメージしておきましょう。業務上横領は、毎日行う仕事で他人から委託を受けて預かった物を、自分の物にした場合に成立する犯罪です。

横領の中で、業務上横領が最も重い犯罪です。刑罰は「十年以下の懲役に処する」と規定されています。
他の横領も弁護士に相談すべき犯罪ですが、業務上横領は早い段階で弁護士に弁護活動を依頼すべき必要性が高い犯罪といえます。
逮捕を回避できるケースなのか、逮捕されたら早期釈放が望めるのか、まずは刑事事件に詳しい弁護士に意見を求めましょう。

横領の種類

業務上横領単純横領遺失物横領
懲役10年以下5年以下1年以下
弁護士早い段階で必要必要必要

横領事件で逮捕されると刑事裁判になる?

横領事件は逮捕され得る犯罪です。逮捕され刑事処分で「起訴」されると刑事裁判を受けることになります。

会社員が会社の財産を横領した事件では、会社が被害届を出すか検討します。
そのとき、会社の方針として必ず被害届を出すとしている場合には、捜査機関に被疑者として扱われる可能性が高まります。
会社に発覚する前、被害届が出される前、どの段階でもよいので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

逮捕される、逮捕されないに関わらず、被疑者という立場になると、何らかの刑事処分を受けることになります。不起訴になれば、刑事裁判を受けることなく事件は終了し、前科もつきません。
横領で逮捕されると、勾留される可能性も十分にあり、起訴され裁判を受けることも想定する必要が出てきます。

業務上横領で弁護士に依頼するメリットとは?

弁護士が横領した本人に代わって会社と示談をする場合には、会社の中の誰を相手に話を進めるべきか、会社の対処方針を確認しつつ慎重に行います。同種の示談経験があればあるほど、適切かつ迅速な会社対応をすることが期待できます

業務上横領事件の場合、被害者である会社に被害弁償を済ませ、示談を成立することができれば逮捕される可能性は低くなります

業務上横領で弁護士に依頼するメリットとは?

弁護士が会社と円滑に示談して逮捕を回避

業務上横領事件の場合、被害者である会社に被害弁償を済ませ、示談を成立することができれば逮捕される可能性は低くなります。

会社が捜査機関にまだ被害申告をしていない段階であれば、示談をすれば会社の処罰感情が緩和されて被害申告をされずに済むケースが多いです。

通常、業務上横領の場合は被害申告がされていなければ捜査機関に事件が発覚しません。事件が発覚していなければ逮捕されることもないので、捜査機関に被害申告がされる前に示談をするのがベストなタイミングと言えます。

捜査機関に被害申告がなされたとしても、示談を諦めるべきではありません。被害者である会社に被害届の取り下げや告訴状の取り消しをしてもらうことを条件に示談をすれば、事件化されない可能性が高まります。事件化されなくなれば逮捕される理由や検察官送致される理由が無くなります。

しかし、示談をしても事件化されて送致されてしまったり、送致後に示談が成立するケースも中にはあります。そのようなケースであっても示談をすることは無駄ではありません。示談をした事実が被疑者にとって有利に働き、勾留の回避や不起訴へ繋がる可能性が高まるからです。

弁護士が示談交渉を行うメリット

弁護士本人
示談交渉交渉しやすい難しい
示談成立早期成立時間がかかる
内容不備のない示談が可能不完全になる恐れあり

弁護士が語る「業務上横領の示談交渉」の実際

横領の中で最も重い業務上横領の事件について、示談のリアルをお伝えしたいと思います。業務上横領の事件で、弁護士に相談に来られるタイミングは様々ですが、会社に発覚する前に相談されるケースも一定数あります。

しかし、会社と示談をしてできる限り穏便に解決したいと考えていても、横領をした当事者が示談を申し出ても許してもらえるとは限りません。むしろ、話がこじれて告訴されるということも考えられます。

業務上横領事件は、示談をして被害者の被害回復を図ることがとても大切です。ただ、会社と示談をする場合には、その関係者が複数いることも多く、個人相手に示談をする場合とは勝手が異なります

そのため、弁護士に依頼して会社との示談交渉をスムーズに進める方法がおすすめです。

弁護士を依頼して示談交渉をするメリットについては『刑事事件で示談をすべき5つの理由|示談金の相場も紹介』で詳細に解説しているため、ぜひご参考になさってください。

業務上横領の弁護活動で不起訴を目指す

業務上横領事件では、逮捕回避のための活動が重要になります。逮捕されると、勾留という一定期間の身体拘束の危険が生じるため、逮捕は回避したいものです。

そして、それと同じくらい重要な弁護活動として、不起訴処分を獲得するということがあります。業務上横領罪で起訴されると、事件の内容次第では初犯でも実刑判決がありえます。不起訴で事件を終了させるために、弁護士は示談交渉に力を入れていくことになります。

そして、起訴された後のことを考えると、刑事裁判で執行猶予を獲得することも重要なゴールとなります。

業務上横領罪は最も重い刑罰で「懲役10年」が想定されています。弁護士の公判活動では、懲役3年以下の判決となるよう目指していきます。3年以下の懲役刑であれば、執行猶予が付される可能性があるからです。3年を超えると法律上、執行猶予がつくことはありません。

被害弁償金の支払いは示談の必要条件?

横領事件では、示談により被害者に被害弁償をして被害回復を図ることが大切です。

被害弁償は、横領によって手に入れた金額を賠償することです。会社のお金100万円を使い込んだのであれば、100万円の支払いは示談の必要条件と考えてよいでしょう。
ただ、それは示談の十分条件ではないことに注意が必要です。
例えば、横領事件の真相を探るため、社内調査に費用がかかったのであれば、その調査費や人件費も示談金に含め考える必要がでてきます。

弁護士が示談交渉を行う際には、被害者である会社が納得できる条件とは何か、支払うべき適正な金額はいくらかを見極めます。

示談は双方の合意に基づき事件を解決する方法です。依頼者の利益を考慮しつつ会社の納得がえられる落としどころを見つけます。
立件されている場合には、示談成立の事実を警察や検察官に報告し、不起訴を求める意見書を提出します。

横領事件の相談は刑事事件に詳しい弁護士に相談する

横領事件はいつ弁護士に連絡すればいい?

横領事件を起こし今後のことが心配な方は、すぐに弁護士にご相談ください。
まだ会社に事件が発覚していないタイミングであれば、会社対応について専門家からアドバイスを受け行動するようにしましょう。

横領が会社に発覚してしまっていても、弁護士が迅速に弁護活動を始めることで示談を締結する可能性を高くすることが可能です。

横領事件の相談は刑事事件に詳しい弁護士に相談する

事態を挽回しようとして闇雲に動くことは得策ではありません。会社にことを打ち明ける場合、誰を窓口にするべきかを考え、話す内容も事前に整理しておく必要があります。

逮捕されてしまうと、身動きはとれなくなります。逮捕に続き、勾留されると数日間は自宅に帰ることができません。逮捕される前に、弁護士相談を受け、逮捕された後のことについてもアドバイスを受けておくことが望ましいです。

逮捕後は連日のように警察の取調べが行われます。誤った受け答えをして不利益を被らないためにも、事前に逮捕後のことを想定しておくことが有益です。

逮捕後には弁護士に接見に来てもらう

もし、横領で逮捕された場合には、すぐに弁護士に接見(面会)に来てもらいましょう。警察にどのような取調べを受けているのか、弁護士は状況を把握しながら今後の対応策を具体的に示します。弁護士の接見では、接見室において警察官などの立会人を排除して、完全に一対一の状態で法律相談をすることができます。

事件のことを安心して相談できるので、逮捕後はまず弁護士を呼ぶことが大切です。このとき、事前に頼れる弁護士に依頼しておけば、その弁護士を呼ぶことができます。

まだ弁護士をつけていない場合には、当番弁護士の接見を求めてください。当番弁護士は、自分で弁護士を選ぶことはできませんが、一回に限り、無料で接見に来てもらうことができます。その弁護士に、引き続き弁護を依頼することもできます(私選弁護士として契約をすることになります)。

私選弁護士・当番弁護士・国選弁護士の違いやそれぞれの長所などについては『逮捕されたらすぐに呼ぶべき弁護士とは|弁護士費用と連絡方法』で詳細に解説しています。ぜひご参考になさってください。

横領事件は弁護士のサポートが必須

これまで見てきたように、横領事件では示談が解決の鍵を握ります。それと同時に、警察や検察の対応も進める必要がでてきます。起訴されれば裁判での立証活動が求められます。これらは、横領した本人が自分で行うことは難しいため、法律の専門家である弁護士のサポートが必須です。

特に、示談は客観的な視点が求められます。弁護士は横領した本人の味方であると同時に、法律家として両者の主張を整理し、妥当な落としどころを見つける役割も担います。

無理に自分で判断せず、まずは専門家の意見を仰ぐところからはじめましょう。弁護士は、専門的な知識と示談の解決経験をもとに、早期解決を図ります。

まとめ

横領事件は、単発のものから数年にわたり継続的に行われるものまであります。被害者に発覚するまで時間がかかったり、警察が事件を把握してから捜査に時間を要するものあります。

示談を検討するころには、すでに事件発生から多くの時間が経過しており、そのことがまた示談の難易度を高めることにもなります。

逮捕回避、不起訴獲得を考えるには、できるかぎり早い段階で弁護士に相談することがポイントです。横領事件で不安をお持ちの方は、今すぐ弁護士相談をご検討ください。

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※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。

岡野武志弁護士

監修者情報

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

第二東京弁護士会所属。ご相談者のお悩みとお困りごとを解決するために、私たちは、全国体制の弁護士法人を構築し、年中無休24時間体制で活動を続けています。