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クレプトマニアこそ相談先に弁護士を選ぶ!弁護士だからできる活動内容

クレプトマニア

「自分では原因が分からないけれど窃盗を繰り返してしまう」

そんな悩みを抱えた方は「クレプトマニア(窃盗症)」という病気の可能性があります。クレプトマニアの方にとって必要なのは処罰ではなく適切な治療。

この記事では、クレプトマニアの特徴や治療方法、刑事裁判で弁護士が主張するポイントなどをわかりやすく解説します。

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クレプトマニア(窃盗症)とは?

クレプトマニアの診断基準は?

ここでは、アメリカにおける精神疾患の診断基準「DSM-5」の中から、クレプトマニアの診断基準をご紹介します。

DSM-5によるクレプトマニアの診断基準

  • A 個人的に用いるものでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される
  • B 窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり
  • C 窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感
  • D 盗みは怒りまたは報復を表現するためのものでもなく、妄想または幻覚に反応したものでもない
  • E 盗みは、素行障害、躁病エピソード、または反社会的人格障害ではうまく説明できない

個人的に用いるためだとクレプトマニアではない?

DSM-5の診断基準Aは、「個人的に用いるものではない」窃盗をクレプトマニアの一つの基準として定めています。

では、窃盗の被害品を自分で食べたり使ったりすると、クレプトマニアには該当しないのでしょうか?

裁判例の中には「自分が用いるために万引きしているのでクレプトマニアでに該当しない」と判断しているものもあります。

しかし、クレプトマニアかどうかは行動全体から判断すべきであり、盗品の扱いのみで結論を出すのは間違いだという意見もあります。

クレプトマニアの診断には、医師など専門家による診断が不可欠です。少しでも心当たりのある方は、専門家の診断を直接受けることを強くおすすめします。

アトム法律事務所には協力関係にある医療機関が複数あります。ご希望者にはご紹介可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

クレプトマニアの治療方法は?

クレプトマニアのような依存症では、処罰がさらなるストレスを生み、依存行動を繰り返す原因になります。

こうした負のループを断ち切るには、以下のような適切な治療を継続することが非常に大切です。

  • 専門的な医療機関に通院する
  • 病院でカウンセリングを受ける
  • グループミーティングに参加する

クレプトマニアの原因の一つに脳疾患があると言われています。脳の回復を図るためには、専門的な医療機関への通院が不可欠です。

通院を始めたら、医師に自分のことをすべて正直に話すのが治療の第一歩です。

ここでのポイントは、決して自分をよく見せようとしないことです。クレプトマニアの背景には、うつ病や摂食障害などが隠れていることが多いと言われています。これらの病気について話すのは勇気のいることだと思います。しかし、その勇気が今後の人生を変える大きな鍵になります。

専門家の治療と同時に、同じ悩みを抱えた人同士のグループミーティングにもぜひ参加してみてください。ここでは意見や反論はしません。お互いの体験談を傾聴することがクレプトマニアの回復に効果があると言われています。

クレプトマニアの回復には家族の協力が重要

クレプトマニアの回復にはご家族の協力が欠かせません。

「協力」とは「監視」のことではありません。監視され続けると、ご本人はストレスを抱える一方で逆効果です。

大切なのは、ご家族にも勉強会などに参加してもらい、クレプトマニア(窃盗症)に対する理解を深めてもらうことです。その上で、本人が買い物に行くときは必ず家族に同伴してもらうルールを徹底しましょう。それが当たり前になると、ご本人がストレスを抱えるおそれはなくなります。

ご家族との関係が悪化しており、改善が難しいという方も多いと思います。

そんな方は、ぜひ弁護士を頼ってください。弁護士は、クレプトマニア(窃盗症)で悩むご本人とご家族の橋渡し役になります。

ご家族との協力関係がしっかりと築けると、再犯のおそれがなくなったと評価され刑の減軽にもつながります。

クレプトマニアが刑事事件を起こしたらどうなる?

クレプトマニアが起訴される可能性は?

クレプトマニアの方が万引きで逮捕されると警察署に連行されます。逮捕・勾留後に、起訴される可能性が高いです。 

「万引きなら示談すれば起訴されないのでは?」と思うかもしれません。

たしかに、窃盗罪は財産犯なので、示談によって被疑者が不起訴処分となる可能性は高くなります。

しかし、クレプトマニアの場合、同種の前科・前歴が多数あるケースが少なくありません。この場合、たとえ示談や被害弁償を行ったとしても、それだけで不起訴処分の獲得可能性を高めるのは難しいでしょう。

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クレプトマニアに執行猶予がつく可能性は?

クレプトマニアの方が起訴された場合、累犯(るいはん)に当たるがどうかが執行猶予の可能性を左右します。

累犯とは、一定期間内に犯罪を繰り返し、再犯(刑法56条)や三犯以上(刑法59条)に当たる者をいいます。

再犯(刑法56条1項)に当たる典型例は、「懲役に処せられた者がその執行を終えた日から5年以内にさらに罪を犯し、有期懲役に処せられる」ケースです。

累犯に当たる場合、執行猶予がつく可能性は原則としてありません(刑法25条1項)。

【具体例】

前刑の執行終了日が2016年12月1日、今回万引きしたのが2021年8月1日、刑の言渡し日が2021年11月1日で有期懲役に処せられる場合、執行猶予はつきません。

なお、例外的に、累犯であっても、判決言渡し日が刑の執行終了から5年経過している場合は、執行猶予がつく可能性はあります。

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クレプトマニアが執行猶予中に窃盗したらどうなる?

クレプトマニアの方が執行猶予中に再び窃盗を行った場合、実刑になる可能性が非常に高いです。実刑になると、前刑と今回の刑期を合わせた期間、刑務所に行かなければなりません。

もっとも、「再度の執行猶予」(刑法25条2項)がつく可能性もゼロではありません。再度の執行猶予について詳しくは関連記事をご覧ください。

次に挙げる裁判例(神戸地判令和2年12月8日)では、クレプトマニアの治療を行っていること等が有利に考慮され再度の執行猶予が付されました。

執行猶予中の万引きで再度の執行猶予が付された事例

事件の概要
万引き窃盗で2度罰金刑に処せられた上、執行猶予付き懲役刑に処せられた被告人が、その執行猶予期間中に再び万引きに及んだ事例。
判決
懲役1年執行猶予4年の保護観察付き有罪判決
量刑上有利に考慮された事情
・被告人は、神経性無食欲症を背景にして、万引き行為に対する衝動を十分に制御できない傾向を有しており、犯行動機形成過程に上記傾向の影響があった
・事実を認め反省の情を示している
・犯行後、専門の医療機関に通って治療プログラムを受けている
・配偶者が治療プログラム実施を支援している
・被害弁償に向けて誠意を尽くした

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クレプトマニアで起訴されたら弁護士が主張すること

窃盗を繰り返している方が起訴された場合、弁護士は、「クレプトマニアという精神障害であること」「クレプトマニアの治療を継続する意思があること」を主張します。これらの主張が認められると刑の減軽につながる可能性があります。

クレプトマニアという精神障害であることを主張する

精神障害により責任能力が減退した「心神耗弱」の状態だったと認められれば刑が減軽されます(刑法39条2項)。もっとも、クレプトマニア(窃盗症)であることを理由に心神耗弱が認められる可能性は実務上低いです。

しかし、クレプトマニアであることが刑を軽くする一事情として考慮される可能性はあります。なぜなら、精神障害を理由に本人を非難できる程度が低くなるからです。

したがって、クレプトマニアの方の裁判で、弁護士は医師の意見書や精神鑑定書を裁判所に提出します。場合によっては、診断した医師本人に裁判で証言してもらう可能性もあります。

関連記事『なぜ責任能力がないと無罪?精神障害による犯罪と精神鑑定の関係』では刑事責任能力と精神障害の関連を詳しく解説中です。刑事責任能力がないと判断されると、無罪だったり、不起訴処分になったりする可能性があります。刑事責任能力とは何か、なぜ無罪になるのかは関連記事を参考にしてください。

クレプトマニアの治療を継続する意思があることを主張する

クレプトマニアの裁判で特に重要なのが、再犯のおそれがないと説得的に示すことです。

そのために、弁護士は、ご本人が現在適切な治療を受けており、今後も治療を継続する強い意思があると主張します。早期に治療を開始するため、治療を目的として保釈を申請するのも一つの方法です。

さらに、家族も治療を支援していると裁判で証言してもらうケースもあります。弁護士は、家族のサポートによって再犯防止の生活環境が整ったと主張します。

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保釈を弁護士に依頼する|刑事事件に強いアトム法律事務所

クレプトマニアの弁護ならアトム法律事務所へ

専門の医療機関につなげご本人をしっかりサポート

アトム法律事務所では、協力関係にある専門機関が複数あり、安心して受診していただけます。カウンセリングをご希望の方にはそちらをご紹介しています。

また、ご本人・ご家族のお話からクレプトマニア(窃盗症)が疑われる方には、弁護士が専門医療機関の受診をおすすめしています。

クレプトマニアであることについて裁判で有利に主張

医師など専門家がクレプトマニアだと診断した場合、意見書を作成してもらいます。

弁護人はその意見書を検察官や裁判官に提出し、ご本人に有利な結果となるよう主張します。

具体的には、精神障害により非難の程度が低下する、社会内で治療を継続する必要性が高いと主張します。

最終的にこれらの主張が認められると、執行猶予判決や刑の減軽につながる可能性が高くなります。

クレプトマニアの治療を続けながら示談も進める

クレプトマニアの窃盗事件でも、通常の窃盗事件と同様、被害者との示談が重要です。示談は刑事弁護の経験豊富な弁護士に依頼するのがおすすめです。

ただし、クレプトマニアのケースでは、同一店舗で犯行を繰り返している場合も多く、示談を拒否される可能性も大きいです。

その場合でも、被害弁償を申し出たり、謝罪文だけでも受け取っていただけるよう、弁護士が粘り強く弁護活動を続けます。

たとえ示談が成立しなくても、真摯に反省し示談成立に向けて努力をしたという事情は量刑上有利に考慮されます。

クレプトマニアでお悩みの方へ弁護士からメッセージ

「自分では原因が分からないけれど窃盗を繰り返してしまう」

このような悩みをお持ちのご本人・ご家族は、出口の見えないトンネルをさまよっているようなお気持ちだと思います。でも決して諦めないでください。その苦しみの原因は病気の可能性があります。そして、その病気は治療可能なものです。

アトム法律事務所の弁護士は、クレプトマニアの方を適切な治療へつなげます。これから長く続く人生を穏やかに過ごせるよう弁護士が全力でご本人とご家族をサポートします。一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了