迷惑防止条例違反となる行為は、痴漢や盗撮などが典型例です。
迷惑防止条例はその他にも、ダフ屋行為やつきまとい行為など、刑法などでは規制されていない迷惑行為を処罰しています。
迷惑防止条例違反に該当する行為をした場合も、刑法を犯した場合と同じく、逮捕されたり刑罰が科されたりする可能性があります。
刑法などで規制されている犯罪同様、迷惑防止条例に違反した場合も弁護士に相談して被害者対応などを進める必要があるのです。
この記事では、迷惑防止条例違反になる行為、違反したときの刑罰などを解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
迷惑防止条例違反に該当する行為とは
迷惑防止条例とは?
迷惑防止条例は各都道府県などの自治体が定めている、公衆に対する迷惑行為を禁止する条例です。
多くの自治体では「「公衆」に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」が正式名称となっています(東京都や大阪府など)。
基本的には、公共の場所又は公共の乗物で行われる迷惑行為が迷惑防止条例違反となります。
「公共の場所」は道路や公園、「公共の乗物」は電車やバスなどを指しています。
公共の場所:道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場など
公共の乗物:汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機など
迷惑防止条例違反①痴漢
東京都の迷惑防止条例では、痴漢は以下のように定められています。
公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
東京都迷惑防止条例5条1項1号
駅や電車の中で、衣服の上から人の身体に触ると痴漢となります。東京都の条例違反だと、痴漢に対しては「6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。
痴漢の常習犯の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。
なお、衣服の中を触ったり、体をしつこく撫でまわすように触ったりすると、不同意わいせつ罪に問われる可能性もあります。不同意わいせつ罪の法定刑は「6か月以上10年以下の拘禁刑」です。
不同意わいせつについての詳細は『不同意わいせつ罪とは?逮捕されたらどうなる?強制わいせつ罪との違いを解説』をご覧ください。
痴漢 | 不同意わいせつ | |
---|---|---|
主な態様 | 衣服の上から触る | 衣服の中を触る |
刑罰 | 6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(非常習) | 6か月以上10年以下の拘禁刑 |
法規 | 迷惑防止条例 | 刑法176条 |
*衣服の上から触る痴漢の場合であっても、羽交い絞めにする、キスをするなど行為態様が悪質である場合は、不同意わいせつ罪に問われる可能性があります。
また従来、膣に指を入れる行為は痴漢の一種として強制わいせつ罪(現 不同意わいせつ罪の前身)で処罰されてきましたが、今後は不同意性交等罪(旧強制性交等罪に相当する重い罪)で処罰されるようになります。
アトムを選んだお客様の声
先生からの親切なアドバイスを基に自信をもって活動出来ました。
(抜粋)今回の一連の動きの中で先生には大変親切なアドバイスを頂き感謝しております。先生のアドバイスの基に自信をもって活動できた事に本当にありがたい限りです。
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迷惑防止条例違反②盗撮
東京都の迷惑防止条例では、盗撮は以下のように定められています。
次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
東京都迷惑防止条例5条1項2号
撮影を終えてデータが残っている場合には、もちろん迷惑防止条例違反になります。しかし、データが残っていなくとも、撮影機器を設置したり盗撮するためにスマホなどをスカート内に差し向ける行為も迷惑防止条例違反となります。
迷惑防止条例違反に該当する盗撮をすると「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。
カメラ設置のみで実際に撮影しなかった場合には「6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
しかし2023年7月、盗撮を全国一律で処罰する「撮影罪」が導入されたため、盗撮に迷惑防止条例が適用されるケースは減少していくと見込まれます。撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金刑です。盗撮未遂も処罰対象になります。
2023.7.12まで | 2023.7.13から | |
---|---|---|
盗撮(撮影あり) | 条例違反 | 撮影罪の既遂 |
カメラ設置のみ | 条例違反 | 撮影罪の未遂 |
*具体的な行為の内容、事件の時期、捜査機関の見立てなどによって犯罪名は変わります。盗撮事件のお悩みがある場合、弁護士相談などを活用してみてください。
アトムを選んだお客様の声
先生の説明通り、早期の示談締結と不起訴を取ってもらえました。
(抜粋)担当していただいた、成瀬先生はもとより事務の方においても親身になって対頂きました。……本当に心強かったです。相談後の流れ等もまさにおっしゃる通りの流れでありお蔭様で早期示談成立と不起訴を獲得して頂き示談金においても可能な限りの配慮をしてもらったと思います。
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迷惑防止条例違反③その他
痴漢と盗撮以外にも、東京都の迷惑防止条例では、次のような行為も禁止されています。
迷惑防止条例違反になる行為(東京都の場合)
- つきまとい行為
- ダフ屋行為
- 不当な客引き行為
- 粗暴行為・ぐれん隊行為
- 押売行為
- ピンクビラ等配布行為
つきまとい行為
特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的で、次のいずれかを行うことをいいます。
- つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
- その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
ダフ屋行為
チケットを転売目的で購入したり転売したりすることをいいます。「ダフ」という言葉は、「チケット」=「フダ」を逆に読むことに由来するといわれています。
不当な客引き行為
公共の場所において、不特定の者に対し、異性による接待をして酒類を伴う飲食をさせる行為の提供について、客引きをすることなどをいいます。いわゆる「キャッチ」行為がこれに該当します。
迷惑防止条例違反で逮捕されたら?
迷惑防止条例違反で逮捕される可能性
迷惑防止条例違反は、どのような行為であるかによって、逮捕される可能性が変わります。
痴漢や盗撮などを常習的に繰り返している場合や、ストーカー規制法にも抵触するおそれのあるつきまとい行為などでは、逮捕の可能性が高くなるでしょう。
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逮捕された後の流れ
迷惑防止条例違反で逮捕された場合であっても、逮捕後の流れは通常の刑法犯と同じです。
逮捕後は48時間以内に警察で取り調べが行われ、処分なく釈放されるか検察に送致されるかが決まります。送検後は24時間以内に検察で取り調べが行われ、勾留されるか釈放されるかが判断されます。
検察が裁判所に対して勾留請求を行い、認められると10日間の勾留が始まります。勾留は捜査の必要に応じてさらに最大10日延長される可能性があります。
その後は検察によって起訴か不起訴が判断され、起訴された場合は刑事裁判へと進みます。
迷惑防止条例に違反したときの刑罰
東京都の迷惑防止条例に違反すれば、最も重い場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます(常習として盗撮行為を行ったような場合が該当します)。
このほか、痴漢行為・盗撮行為(撮影を終えなかった場合)・覗き行為などの場合には6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科され、つきまとい行為などの場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
違反行為 | 法定刑 |
---|---|
盗撮(常習) | 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
盗撮(撮影した場合) | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
盗撮(撮影を終えなかった場合) | 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
痴漢(常習) | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
痴漢 | 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
卑わいな言動 | 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
つきまとい行為 | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
※都道府県ごとに異なる場合があります
拘留:1日以上30日未満の間、身体を拘束する刑罰
科料:千円以上1万円未満の金銭を支払わされる刑罰
迷惑防止条例違反に関するよくある質問
痴漢は迷惑防止条例違反?不同意わいせつ罪?
公共の場所・乗物以外での痴漢行為での場合には、不同意わいせつ罪が適用されるでしょう。
迷惑防止条例で禁止される行為であっても、態様によっては別の罪名で処罰される可能性があります。行為の態様や行為を行った場所などによっては、条例違反にとどまらず、より重い犯罪となることも考えられます。
盗撮は迷惑防止条例違反?撮影罪?
盗撮は、2023年7月13日以降は、性的姿態撮影等処罰法で定める「撮影罪」が適用されます。撮影罪が導入される前の盗撮事件であれば迷惑防止条例違反となるケースもありますが、迷惑防止条例が適用されるケースは少なくなっていくでしょう。
適用される法律を正確に知ることは容易ではありませんので、不安がある場合にはご自身で判断するよりも法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
インターネットでのチケット転売は迷惑防止条例違反?
インターネット上でのチケットの売買は、迷惑防止条例違反ではありません。インターネットは迷惑防止条例で取り締まることのできる「公共の場所又は公共の乗り物」に該当しないからです。
しかし別途、チケット不正転売禁止法違反で処罰される可能性があります。同法の法定刑は「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金」です。態様によっては懲役と罰金が併科されることもあります。
迷惑防止条例違反の初犯は不起訴になる?
迷惑防止条例違反は初犯であれば、弁護士をつけて正しい被害者対応などを進めていけば、不起訴の可能性が高くなります。
しかし弁護士をつけて被害者対応や警察対応をしなければ、逮捕勾留によって起訴・不起訴の判断が下るまで最大23日間身柄を拘束され、仕事を失ったり学校を退学になったりするおそれもあります。
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迷惑防止条例違反で弁護士に依頼するメリット
被害者との示談が成立させやすくなる
盗撮行為・痴漢行為・つきまとい行為といった被害者がいる犯罪の場合には、示談を成立させることが重要です。
そして、示談を行う際には、事案に応じた適正な示談金額を提示するとともに、加害者の刑事責任を許すという宥恕文言を示談書に盛り込んでもらうことも必要となります。
被害者と事件解決のための示談条件を交渉するのは、加害者本人では難しいケースが多いです。そもそも被害者が連絡先を教えてくれない場合もあるでしょう。
しかし弁護士であれば捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手し、双方にとって納得のできる条件で示談を成立させられる可能性が高くなります。
なお、ダフ屋行為・客引き行為といった被害者がいない犯罪の場合であっても、弁護士のアドバイスは必要になることが多いです。
弁護士は状況に応じて、被疑者とともに謝罪文を作成したり、家族などに身元引受書を作成してもらったりして、検察官に不起訴を求めていきます。
示談できなくても別の方法で不起訴を目指す
なお、被害者が示談に応じてくれず起訴されてしまったような場合であっても、弁護士は可能な限り不起訴を目指します。
加害者が深く反省していることなどを検察に理解してもらえれば、たとえ示談ができなくとも不起訴になる可能性はゼロではありません。
具体的には、被害者との交渉経緯を検察に伝えたり、供託や贖罪寄付をしたりして、処罰の必要性がないと訴えることが多いです。
起訴されるとどうなる?
日本の裁判の有罪率は99.9%ですから、起訴されてしまうと、ほぼ間違いなく前科が付いてしまいます。
罰金刑や執行猶予付きの判決であれば、ひとまずは刑務所に入らなくても済みますが、有罪判決である以上、前科が付くことには変わりありません。
また、裁判は平日の日中に行われますので、裁判を受けるために仕事や学校を休む必要も出てきます。
逮捕・勾留・起訴を回避して不起訴処分を獲得する可能性を上げるためにも、迷惑防止条例違反で検挙された場合、弁護士への速やかな相談をお勧めします。
逮捕を阻止できる可能性が高くなる
痴漢行為・盗撮行為・覗き行為・客引き行為など、迷惑防止条例で禁止される行為からもお分かりかと思いますが、迷惑防止条例違反で検挙される場合には現行犯逮捕されるケースが多いです。
しかし、そうではなく、自分の知らないうちに捜査が進んでいて、突然、警察から呼出しを受けて後日逮捕されるケースもあり得ます。
逮捕前に呼び出された段階で弁護士が介入できれば、逮捕を阻止できる可能性が高くなります。
弁護士は警察に対して、呼出しの用件は何か、被疑者と参考人どちらの立場で呼び出されているのか、出頭から逮捕に移行する可能性はあるのかなどを聞き出します。
本当に出頭する必要があるのかどうかも含めて判断することができるのです。
出頭する必要がある場合でも、示談や被害弁償の必要を行う予定であることを伝え、逮捕せずに在宅のままで捜査をするように交渉することも可能です。
また、指定された呼出しの日時に仕事などで出頭できない場合でも、弁護士から出頭できない理由と別の候補日時を連絡し、指定日時に出頭しないことを理由に逮捕しないよう申し入れ、不当な逮捕を阻止することもできます。
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