
- 「海外で買った偽ブランド品を正規品と偽って転売したら違法?」
- 「自作の商品に高級ブランドのロゴを貼ったら罪になる?」
昨今、安易な気持ちで偽ブランド品を売ってしまい、あとから商標法や刑法、不正競争防止法に違反したとして刑罰などを受けてしまう方が非常に多くなっています。
この記事では、どのような場合に商標法や刑法に違反したとされてしまうのか、これらに違反した場合にどうなってしまうかなどについて対策も含めて解説していきます。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。
目次
偽ブランド品販売は商標法違反になる!
商標権とは?
商標とは、自社製品と他社製品を識別・区別するための表示・マークのことを言います。
会社や個人事業主が特許庁に申請(出願)をし商標を登録した場合、申請した会社等にはその商標を独占して使用することができる商標権という権利が保障されます。
商標の種類には、色々なものがあります。具体的には、文字、記号、図形、文字と記号・文字と図形の組み合わせ、立体、音、動き、ホログラム、色彩、位置です。
例えば高級ブランド品のロゴや特有の図柄などは、商標の代表的な一例です。
商標権の効力が及ぶ範囲とは?
商標権の効力の範囲としては、特許庁に申請して登録を受けた分野の商品・サービスに対して及びます。
商標権の効力の内容は、主に自社製品の商品を独占的に使用することができる点(商標法第第25条)、また、他人・他者が登録商標を使用、もしくは登録商標に類似したマーク等を使用した場合に、その使用を禁止させる点にあります(商標法第36条等)。
商標法に違反したらどうなるの?
有名ブランドのロゴを使用する等した模倣品をフリマサイト等で販売した場合、商標法第78条に違反することになります。
有罪となれば、当該行為を行った者に対しては、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの両方を同時に科される可能性があります。
会社など法人の代表者や従業員が、法人として模倣品を輸入したり、販売した場合には、商標法第82条1項1号により、上記の罰則に加えて、法人に対しても、3億円以下の罰金刑が科される可能性があります。
実際に販売をした場合に限らず、メルカリやヤフオクで出品し購入や落札はされなかったといった場合であっても、商標法違反に問われます。
この場合、商標権侵害の準備行為のために商標侵害品を所持したとして商標法第37条2号に違反し、同法第78条の2が適用されます。
罰則としては5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはこれらの両方を同時に併科される可能性があります。
模倣品だと知らないで販売したらどうなる?
確かに模倣品を売りはしたものの、模倣品だと知らなかったという場合ではどうなるのでしょうか。
この場合、犯罪に故意が無かったとして原則として罪に問われることはありません。
ただ警察などの捜査機関からすれば、本当に模倣品であることを知らなかったどうかについてはわからず、まずは商標法違反の故意があったものとして疑ってかかることになります。
そのため、実務上は模倣品を販売したという事実のみで警察の捜査が入り、逮捕されてしまう可能性もあります。
逮捕されれば長期にわたり身体拘束が行われ、たとえ将来的に不起訴や無罪になったとしても日常生活に大きな影響が生じるおそれもあります。
商標法違反以外に問われ得る罪とは?
詐欺罪が成立する可能性
偽のブランド品や偽物だと疑われるような品を本物だと偽って販売し、購入者がこれを本物のブランド品と信じて購入した場合には、刑法第246条1項の詐欺罪が成立します。
この場合には、10年以下の懲役となる可能性があります。
不正競争防止法違反になる可能性
本物そっくりの偽ブランド品もしくは本物に類似している偽ブランド品を販売・出品・海外で購入して仕入するなどをした場合、ケースに応じて、不正競争(不正競争防止法第2条1項1号、2号、3号)にあたります。
これらを事業目的として行った場合など、不正な利益を得る目的で行なっていたときなどには、不正競争防止法第21条2項1号から3号までの規定により、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれらが併科される可能性があります。
模倣品販売の時効は何年?
偽ブランド品の販売等に関する公訴時効(検察官が起訴できなくなる時効)は、それぞれ次のとおりです。
まず、商標法第78条に該当する場合には、一番最後に商標権を侵害したときから7年間です。また、模倣品を出品し購入や落札はされなかったといった場合の時効は、最後に商標権を侵害したときから5年間です。
また詐欺罪においては、公訴時効は詐欺行為が終わったときから7年となります。
不正競争防止法違反は、違反行為をしたときから5年です。
これらは、刑事訴訟法250条2項で規定されています。
商標法や刑法等に違反したらその後はどうなる?
商標法違反等の発覚までの流れ
模倣品や偽ブランド品の販売はバレないとお思いの方も多いです。しかし実際には色々なルートで発覚し、検挙に至るケースも数多くあります。
まず偽のブランド品の購入者や出品サイトを知った一般の消費者等は、インターネット上にある申告フォーム等により運営事業者やブランド品の商標権を有する企業等に通報をすることができます。
運営事業者であれば、商品の販売を停止するなどの対応を取られるにとどまる場合もあります。しかし、商標権を有する企業の知るところとなった場合、警告書が送付されてくるにとどまらず、不法行為に基づく損害賠償請求をするのに合わせて、警察に被害届を出すことも想定されます。
また、商品を購入し実際に騙されたことを知った消費者については、警察に通報し被害届を出したりすることも考えられます。
いずれにせよ事件について把握した警察は、出品サイトに登録された情報などから販売者を特定し、検挙に向けて捜査を開始します。
発覚した後の刑事手続きの流れ
商標法違反は、起訴するにあたって被害者の同意(告訴)が必要な親告罪ではありません。
そのため、偽ブランド品を事業などの目的で取り扱っていることが警察の知るところとなれば、捜査を開始する可能性があります。
商標法違反の場合には、商品を取り扱っているという特殊性から、他にも偽ブランド品を所持しているのではないかと疑われます。このことから、家宅捜索が行なわれる可能性は極めて高いです。
ある日突然に警察が自宅にくるというようなことも十分に考えられるわけです。
また家宅捜索の際には、任意同行を求められることや、逮捕が行われる可能性もあります。逮捕されてしまえば、勾留決定がでるまでの約3日間は弁護士以外には会えず、勾留されるとなれば、それから約20日間も留置される可能性があります。
その後、起訴されて有罪判決が下された場合には、前述した刑罰等を受ける可能性があります。
早期に弁護士に相談すべき
ご紹介してきたとおり、偽ブランド品をヤフオクやメルカリなどで出品したり販売することは、様々な法令違反のリスクを伴います。
事案の特殊性から、自分の気づかないうちに通報されて捜査が開始しているおそれもあります。
もし偽ブランド品を販売してしまった場合や、急に逮捕されてしまった場合には、早期に刑事事件に強い弁護士を依頼したほうが良いです。
弁護士は逮捕・勾留の回避、不起訴処分の獲得、実刑の回避といった側面から依頼者の方を支援することができます。
日常生活への影響を最小限に抑えるためにも、まずは弁護士への相談を検討して下さい。