2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
「小遣い稼ぎのつもりだった」「メルカリで本物として売れば高く売れると思った」 その軽い気持ちが、取り返しのつかない事態を招くかもしれません。
偽物ブランド品の販売は「罪」になります。具体的には商標法違反に問われ、「10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金」が科される極めて重い犯罪です。
さらに、相手を騙して金銭を受け取った場合は詐欺罪にも問われる可能性があります。
「知らなかったと言えば許される」と思っているなら、それは大きな間違いです。警察は販売サイトの履歴や仕入れルートを徹底的に捜査します。
最悪の場合、ある日突然警察が自宅に来て逮捕されることもあるのです。
この記事では、偽物ブランド品の販売がどのような罪になるのか、メルカリ・ヤフオクにおける偽物販売リスク、そして警察沙汰になる前に取るべき具体的な対処法を解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
偽物ブランド品の販売は商標法違反の罪になる
メルカリやヤフオクなどの販売サイトで、偽物ブランド品を販売すると、商標法違反に問われる可能性が高いです。
商標法違反とは?
商標法違反とは、自社製品と他社製品を識別・区別するための表示やマークである「商標」を侵害する犯罪です。
無断でブランドロゴを使用したり、本物を模造して類似商品を作ったりして偽物のブランド品を販売すると、商標法違反の罪に問われます。
商標法違反に問われる例
- メルカリやヤフオクで偽物ブランド品を販売した
- 偽ブランド品と認識したうえで輸出入した
- 偽ブランド品を販売目的で所持していた
- 高級ブランドに酷似したロゴを無断で使用し販売した
- 商標登録された有名キャラクターを用いた商品を販売した
ただし、あくまで「登録された分野(指定商品)」での使用に限られるため、似たマークを使っていても、全く別のジャンルの商品であれば直ちに犯罪になるとは限りません。
商標法違反した場合の刑罰
個人が商標権を侵害した場合の刑罰は「10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらの併科」です(商標法78条)。
また、法人の代表者や従業員が、法人として模倣品を輸入・販売した場合には、上記の罰則に加えて法人に対しても「3億円以下の罰金」が科される可能性があります(商標法82条1項1号)。
注意が必要なのは、「実際に売れたかどうか」は関係ないという点です。メルカリやヤフオクに出品中であれば、売れる前であっても「販売目的の所持」として検挙されるおそれがあります。
この場合でも、「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」という重い刑罰が科されるおそれがあります(商標法78条の2)。
商標権侵害の刑罰まとめ
| 個人 | 法人 | 準備行為 | |
|---|---|---|---|
| 拘禁刑 | 10年 | - | 5年 |
| 罰金 | 1,000万円 | 3億円 | 500万円 |
| 併科 | あり | - | あり |
偽物ブランド品の販売は商標法違反以外にも問われる罪がある
メルカリやヤフオクなどのサイトで偽物ブランド品を販売すると、商標法違反以外の罪に問われる可能性も生じます。具体的な刑罰は詐欺罪、不正競争防止法違反、意匠法違反などです。
詐欺罪が成立する可能性
偽のブランド品を本物だと偽って販売し、購入者がこれを本物と信じて購入した場合には、詐欺罪が成立します(刑法246条1項)。
詐欺罪の刑罰は、「10年以下の拘禁刑」です。
詐欺罪については『詐欺罪は初犯でも実刑?懲役の平均・執行猶予の割合もわかる解説』の記事もあわせてご確認いただくと理解が深まるでしょう。
商標法違反と詐欺罪の両方の罪に問われることも
状況によっては、商標法違反と詐欺罪の両方の罪に問われることもあります。
たとえば、偽ルイヴィトンを「新品本物」と偽り販売し、購入者が本物と誤信して購入したケースです。
この場合は偽ブランド品を販売していることから商標法違反に加え、偽物を正規品と偽って購入者を欺き、金銭を交付させたとして詐欺罪が成立します。
商標法違反と詐欺罪が両方成立すると、数罪の併合として処理され、重い方の法定刑を基準に1.5倍まで加重される可能性があります(詐欺10年以下→最大15年以下相当)。
もっとも、これは「科し得る上限」が上がるという話であり、実際の量刑は被害額、点数・回数、組織性、反復継続性、前科前歴などを総合考慮して決まります。
不正競争防止法違反になる可能性
本物そっくりな偽のブランド品もしくは本物に類似している偽のブランド品を販売・出品・海外で購入して仕入れするなどをした場合、ケースに応じて不正競争にあたります(不正競争防止法2条1項1号、2号、3号)。
これらを事業目的として行い、不正な利益を得る目的で行っていたときなどには、「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科」となる可能性があります(不正競争防止法第21条2項1号から3号)。
関連記事
・不正競争防止法違反とは?会社のデータ持ち出しは営業秘密侵害罪?
意匠法違反・著作権法違反になる可能性
偽物のブランド品を販売・譲渡する行為は、場合によって意匠法違反・著作権法違反に該当する可能性もあります。
意匠法違反と著作権法違反の刑罰は、「10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金」です(意匠法69条、著作権法119条)。
メルカリなどのフリマアプリでの偽物販売も商標法違反になる?
「メルカリなどのフリマアプリの個人売買なら大丈夫では?」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、メルカリなどのフリマアプリで偽物ブランド品を販売した場合も、商標法違反の罪に問われます。
販売経路がフリマアプリであるかどうかは、罪の成否に影響しません。偽物と知りながら出品・販売した時点で、個人であっても商標法違反として捜査対象になり得ます。
また、フリマアプリでは出品履歴・取引履歴・登録情報がサービス側に記録されているため、警察が捜査に着手した場合には販売者の特定が容易です。
フリマアプリでの転売が商標法違反になるケース
メルカリやヤフオクなどの販売サイトでは、一般の市場に流通する商品を転売する行為が横行しています。
本物をそのまま転売する行為については商標権侵害に問われることはありませんが、状況によっては転売が商標法違反となる可能性はあるでしょう。
転売行為で商標法違反となる可能性があるケースは次の通りです。
- 無断で第三者が商標を付けた偽物を転売する行為
- 一般の市場で販売する予定にないサンプル品・不良品を入手して不正に転売する行為
- 一般の市場に売られている本物を改造して転売する行為
安易な転売行為は商標法違反になる可能性があるので注意してください。
メルカリで正規品の確証なく販売した場合はどうなる?
メルカリでは、「購入時のレシート写真がないもの」「シリアルナンバーの写真がないもの」「購入経路が不明確なもの」は、正規品として確証のない商品として出品が削除されることがあると明記しています。
(メルカリ「偽ブランド品、正規品と確証のないもの(禁止されている出品物)」より参照)。
出品が削除されるだけでなく、刑罰が科される可能性のある違法行為です。確証のない商品は安易に販売しないようにしましょう。
メルカリで偽物だと知らずに売った場合でも罪になる?
実際に偽物や模造品をメルカリなどのフリマサイトで売りはしたものの、それが正規品だと知らなかったという場合、犯罪の故意がなかったとして、原則罪に問われることはありません。
ただし、警察や検察といった捜査機関からすれば、本当に偽物や模倣品であることを知らなかったどうかは不明であるため、商標法違反の故意があったものとしてまず疑われることになるでしょう。
そのため、実務上は偽物や模倣品を販売したという事実のみで警察の捜査が入り、逮捕されてしまう可能性もあります。
逮捕されれば長期にわたり身体拘束が行われ、たとえ将来的に不起訴や無罪になったとしても日常生活に大きな影響が生じるおそれもあります。
なお、刑事罰を受けなくても、ブランド側から民事上の損害賠償を請求されるリスクは残ります。
商標法違反・偽物販売の罪が発覚したらどうなる?
商標法違反等の発覚までの流れ
偽物を販売する罪が発覚するきっかけ
- 購入者からの通報
- 出品サイトの監視による発見
- ブランド企業の模倣品対策部門による発見 など
模倣品や偽物のブランド品の販売はバレないと思っている方も多いです。しかし、実際には色々なルートで発覚し、検挙に至るケースも数多くあります。
まず偽のブランド品の購入者や出品サイトのことを知った一般の消費者等は、インターネット上の申告フォーム等により運営事業者やブランド品の商標権を有する企業等に通報をすることができます。
運営事業者であれば、商品の販売を停止するなどの対応にとどまる場合もあります。
しかし、商標権を有する企業の知るところとなった場合、警告書が送付されてくるにとどまらず、不法行為に基づく損害賠償請求に加えて、警察に被害届を出すことも想定されます。
また、実際に騙されたことを知った消費者が、警察に通報・被害届を提出するケースも考えられます。
いずれにせよ事件を把握した警察は、出品サイトに登録された情報などから販売者を特定し、検挙に向けて捜査を開始します。
発覚後の刑事手続きの流れ

商標法違反は、起訴するにあたって被害者の同意(告訴)が必要な親告罪ではありません。
そのため、偽物のブランド品を事業などの目的で取り扱っていることが警察の知るところとなれば、捜査を開始する可能性があります。
商標法違反の場合には、他にも偽物のブランド品を所持しているのではないかと疑われることから、家宅捜索が行われる可能性は高いでしょう。
ある日、突然警察が自宅に来て、任意同行を求められたり、逮捕されたりする可能性も十分に考えられます。
ただし、逮捕は必ずされる訳ではありません。逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に逮捕される可能性があります。
逮捕されると、勾留決定が出るまでの約3日間は弁護士にしか会えず、勾留されることになれば最長で20日間も身体を拘束されます。
その後、起訴されて有罪判決が下された場合には、刑罰を受けることになり前科がついてしまいます。

警察から呼び出された・任意同行を求められた場合の対処法
警察から「話を聞きたい」と呼び出されたり、自宅への訪問時に任意同行を求められたりするケースがあります。
この段階はまだ逮捕前であり、応じるかどうかは原則として本人の意思に委ねられています。
ただし、任意だからといって無視したり、不誠実な対応を取ったりすると、逮捕の口実を与えてしまうおそれがあります。
一方で、準備なく取り調べに応じてしまうと、不用意な発言が不利な証拠として記録されるリスクもあります。
呼び出しを受けたら、取り調べに応じる前にまず弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば、取り調べへの対応方法をアドバイスしたり、捜査機関との窓口になったりすることができます。
商標法違反が初犯の場合はどうなる?
商標法違反が初犯の場合、必ずしも実刑判決になるわけではありません。事案の内容によっては、不起訴処分や執行猶予付き判決となる可能性があります。
処分の結果に影響する主な事情は次の通りです。
- 被害の規模(販売店数・金額・期間)
- 組織的な犯行かどうか
- 反省の態度や再犯防止に向けた取り組み
- 前科・前歴の有無
なお、商標法違反の場合、被害者はブランドオーナーであることが多く、示談交渉のハードルは高い傾向にあります。
一方で、偽物を本物と偽って販売したことによる詐欺罪が成立している場合は、購入者との示談が成立することで不起訴を目指せる可能性があります。
いずれの場合でも、早期に弁護士に相談し、検察官への意見書提出などの弁護活動を進めることが、処分を軽くするためには重要になります。
偽物を販売する罪で早期解決を目指すなら示談を検討する
偽物を販売した場合、相手方との示談によって不起訴を目指せる可能性もあります。
示談とは、事件の加害者が被害者に謝罪し、被害者から許しを得て和解の合意をすることです。

弁護士を間に入れることで、被害者との連絡が取りやすくなったり、示談の条件交渉を進めやすくなったりします。
示談の進め方について詳しくは『刑事事件の示談の流れ│加害者が示談するタイミングや進め方は?』の記事をご覧ください。
商標法違反の解決を目指すなら弁護士への相談を
偽物のブランド品をメルカリやヤフオクなどで出品・販売することは、様々な法令違反のリスクを伴います。事案の特殊性から、自分の気づかないうちに通報されて捜査が開始されているおそれもあります。
偽物のブランド品を販売してしまった場合や、急に逮捕されてしまった場合には、早期に刑事事件に強い弁護士を依頼することをおすすめします。
弁護士は逮捕・勾留の回避、不起訴処分の獲得、実刑の回避といった側面から依頼者を支援することができます。
弁護士相談の主なメリット
- 逮捕・勾留の回避を目指す対策を立てられる
- 不起訴処分の獲得を目指す対策を立てられる
- 実刑の回避を目指す対策を立てられる
日常生活への影響を最小限に抑えるためにも、まずは弁護士への相談を検討して下さい。
商標法違反事件で弁護士に相談するべきか迷われている場合は、『商標法違反の弁護士相談|商標法違反での弁護活動・弁護士費用』の記事もあわせてご覧いただくことをおすすめします。
アトムの解決事例(商標法違反)
ここでは、過去にアトム法律事務所が取り扱った商標法違反事件について、プライバシーに配慮したかたちで、一部ご紹介します。
商標法違反(不起訴)
こちらは、偽物販売への関与を疑われた事案です。弁護士が警察を説得し、解決に導きました。
ネットオークションでの偽物販売を疑われた事案(不起訴)
中国から仕入れた偽ブランドのスマホケースをネットで販売。なお、数年にわたって同種の犯行を重ね、数十万円程度の利益を得ていた。商標法違反の事案。
弁護活動の成果
検察官に意見書を提出した結果、不起訴処分となった。
商標法違反(事件化せず)
こちらは、偽物のブランド品を販売した事案です。弁護士が示談交渉を行う等して、解決に導きました。
偽物の腕時計を販売した事案(事件化せず)
偽物のブランド品を販売したとされるケース。警察の捜査は進展せず未解決のままでしたが、被害者と思われる人物から突然、電話があった。詐欺、商標権侵害の事案。
弁護活動の成果
被害者と宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。刑事事件化することなく事件終了となった。
偽物販売と商標法違反でよくある質問
Q.偽物ブランド品販売の時効は何年?
偽物販売に関する時効(公訴時効)は、「実際に売れたかどうか」や「問われる罪名」によって期間が異なります。
最長で7年間は責任を追及される可能性があります。
偽物ブランド品販売の時効
| 行為 | 該当する主な罪 | 公訴時効期間 |
|---|---|---|
| 偽物を販売し、相手に渡した | 商標法違反(78条) 詐欺罪 | 7年 |
| 出品したが、売れなかった | 商標法違反(78条の2) 不正競争防止法違反 | 5年 |
Q.偽物ブランド品の購入・所持も商標法違反?
偽物のブランド品を個人で使用する目的で、購入・所持する行為であれば商標法違反とはなりません。
ただし、偽物のブランド品を販売目的で所持する行為は商標権侵害とみなされるため、商標法違反になります(商標法37条6号)。
単に偽物のブランド品を所持しているだけでは他人の商標の侵害とはいえませんが、販売目的であれば侵害行為と評価されます。
販売目的で偽物を所持する場合も、商標権侵害の準備行為として、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(同法78条の2)。
販売目的の所持かどうかは、販売・出品したことがあるかどうか、所持する偽物ブランド品の数量、購入方法や購入回数などから判断されることになります。
注意!個人使用の目的で個人輸入する場合
個人で使用する目的で海外から偽物を個人輸入した場合、税関で没収・廃棄されます。
個人輸入を装って、偽物を販売目的で輸入するケースが多いため、個人輸入についても規制が強化されています。
また、頻繁に偽のブランド品を購入してフリマアプリで販売を繰り返すなどした場合、販売目的だと判断されて罪に問われる可能性があるでしょう。
Q.商標を用いた類似サービスや類似商標もアウト?
登録された商標を用いて類似する製品・サービスを提供する行為、または類似する商標で類似する製品・サービスを提供する行為は、みなし侵害行為として商標権を侵害する違法行為です(商標法37条)。
また、これらの準備行為をした場合も同様に違法行為となります。
みなし侵害行為をした場合は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金またはその両方が科される可能性があります(同78条の2)。
具体的には、ブランドのロゴをもじった商品やパロディ商品の販売、商品の包装紙や容器に商標を付ける行為、他者の商標を無断で利用した商品を販売するために所持する行為などが該当します。
よくある例
有名ブランドXに似たロゴの入ったポーチを、ネットオークションで販売した。出品の際にブランドXの名前は出していなかったが、ブランドX風の商品として人気があった。
Q.会社(法人)が商標権を侵害すると刑罰はどうなる?
個人で商標権を侵害した場合よりも、会社(法人)が行うとさらに刑罰が重くなります。
法人の業務として、法人の代表者や従業者等が商標権を侵害する行為をした場合、行為者に「10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはそれらの併科」の刑罰が科されることに加え、法人に対して「3億円以下の罰金刑」が科されます(商標法82条1項1号)。
商標法は、商標権の権利者の信用維持を目的とするため、違反した法人には重いペナルティが課されています。
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