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詐欺で犯罪になる行為とは?ケース別の具体例・手口一覧・刑罰

詐欺はどんな犯罪?

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

人を騙して金銭や財産上の利益を得る行為は、刑法246条の詐欺罪という犯罪にあたります。法定刑は「10年以下の拘禁刑」です。

詐欺罪には罰金刑がありません。そのため起訴されて有罪になれば、実刑か執行猶予付き判決かの違いはあっても、拘禁刑が言い渡されることになります。

もっとも、嘘をついたすべての行為が犯罪になるわけではありません。犯罪としての詐欺にあたるのは、相手に財産を差し出すことを決意させるような嘘をついた場合に限られます。

この記事では、どのような行為が詐欺という犯罪になるのかを、闇バイトや口座売却などのケース別に整理したうえで、手口の類型・刑罰・逮捕後の流れまで解説します。

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詐欺はどこから犯罪になる?

嘘をついた行為すべてが犯罪になるわけではありません。詐欺が犯罪になるかどうかの分かれ目は、「相手に財産を差し出すことを決意させるような嘘だったか」という点にあります。

単に事実と違うことを言っただけでは足りず、その嘘によって相手が財産を渡し、実際に金銭や利益が移転してはじめて詐欺罪が成立します。

犯罪になる詐欺とは?

犯罪としての詐欺にあたるのは、相手に財産を差し出すことを決意させるような嘘をつき、実際に金銭や財産上の利益を受け取った場合です。

誰かに嘘をつかれたとき、「騙された、こんなの詐欺だ」なんて思うこともあるかもしれません。

たとえば、本当は商品を売るつもりがまったくないのに、相手が「それならお金を出して買いたい」と思うような嘘をつきお金を騙し取るような行為が、犯罪としての詐欺です。

詐欺罪は、刑法第2編第37章「詐欺及び恐喝の罪」に規定されており、財物を騙し取る1項詐欺罪と、財産上の利益を得る2項詐欺罪(詐欺利得罪)の2つに分かれます。

詐欺罪(1項詐欺罪)

1 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。

刑法246条1項

お金やクレジットカードなどを騙し取る行為は、1項詐欺罪に問われます。

1項詐欺罪は、人を欺いて、財物(お金、財産的価値のある物 など)を交付させた場合に成立する犯罪です(刑法246条1項)。

1項詐欺罪の具体例

  • オレオレ詐欺の受け子が、現金を受け取る
  • 特殊詐欺の受け子が、警察官になりすまし、クレジットカードを回収する
  • 結婚するつもりがないのに「結婚資金を積み立てよう」と持ちかけ、お金を騙し取る
  • おつりを渡される際に、金額が多いと気づいていながら、そのことを告げずに受け取る
  • 定食屋でお金がないのに焼肉定食を注文して、食べた(無銭飲食) など

詐欺利得罪(2項詐欺罪)

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法246条2項

2項詐欺罪は、人を欺いて、財産上不法の利益を得たり、第三者に財産上の利益を得させたりした場合に成立する犯罪です(刑法246条2項)。

2項詐欺罪の具体例

  • お金を払うつもりがないのに、タクシーに乗車して目的地まで走らせる
  • お金を払うつもりがないのに、会計をするときに「財布を忘れたので取りに行く」と言い、店員の了承のもと店を出たが、そのまま逃げた(代金支払いを免れる) など

その行為は犯罪?詐欺になるケース・ならないケース

「自分がやったことは詐欺という犯罪になるのか」と不安を抱えて調べている方のために、実際に相談の多いケースごとに、犯罪の成否を整理します。

闇バイトで荷物や現金を受け取った(受け子)

指示役から言われたとおりに現金や荷物を受け取っただけであっても、詐欺の被害金だという認識があったと認められれば、詐欺罪の共同正犯として処罰されます。

受け子は、被害者と直接接触する役割であり、実行行為そのものを担っていると評価されるためです。

「中身が詐欺の被害金だとは知らなかった」という言い分は、報酬の高さや指示の不自然さから、認識があったと推認されることが少なくありません。

指示されてATMから現金を引き出した(出し子)

詐欺の被害金が振り込まれた口座から現金を引き出す行為は、詐欺罪の共犯、あるいは銀行に対する窃盗罪に問われる可能性があります(ATM内の現金は銀行が占有していると評価されるため)。

どの罪名になるかは、引き出しの方法や関与の時点によって変わります。

自分名義の銀行口座を売った

他人に譲渡する目的を隠して口座を開設した場合、金融機関に対する詐欺罪に問われる可能性があります。

一方、もともと自分が使っていた口座を後から譲渡した場合は、開設の時点で嘘をついていないため、詐欺罪は成立しないのが原則です。

ただしこの場合も犯罪収益移転防止法違反にあたり、その口座が特殊詐欺に使われていれば、詐欺の幇助として捜査対象になることもあります。

名義を貸して給付金や補助金を受け取った

受給資格がないことを知りながら申請すれば、名義を貸しただけであっても詐欺罪に問われます。

受け取った金銭のうち報酬として一部しか手元に残していない場合でも、犯罪の成立自体は左右されません。

借りたお金を返せなくなり「詐欺だ」と言われている

借りた時点で返済する意思があったのであれば、詐欺罪は成立しないのが原則です。

返済が滞っているだけであれば、民事上の債務不履行の問題にとどまります。

一方、最初から返すつもりがなかったと判断されれば、詐欺罪に問われます。判断の分かれ目は「借りた時点でどう考えていたか」です。

「騙すつもりはなかった」と考えている

詐欺罪の成立には、人を騙して財産を得るという認識(故意)が必要です。

ただし、故意は本人の内心の問題であるため、供述だけでは信用されにくく、報酬の額、指示のやり取りの内容、行動の不自然さといった客観的な事情から判断されます。

「知らなかった」という主張を通すには、その裏づけとなる客観的な資料を早い段階で確保しておくことが重要です。

詐欺の手口・犯罪類型の一覧

詐欺といっても、その手口は様々です。ここでは、日常的な取引のなかで問題となる一般的な手口と、組織的に行われる特殊詐欺の手口に分けて整理します。

特殊詐欺以外の犯罪類型

犯罪になる詐欺には、以下のような手口があります。

これらの行為をした場合、詐欺事件として捜査の対象となる可能性があります。

詐欺の手口(一般的な詐欺)

  • 無銭飲食
    支払う意思がないまま飲食する行為
  • 寸借詐欺
    返済する意思がないのに、少額の金銭を借りると装って騙し取る行為
  • 保険金詐欺
    事故や病気を偽装して保険金を請求する行為
  • 結婚詐欺
    結婚をほのめかして金銭を交付させる行為
  • 他人名義のクレジットカードの不正使用
    他人のカードを本人になりすまして使用し、商品やサービスを得る行為
  • 投資詐欺
    実体のない投資話で出資金を集める行為
  • 商品の取り込み詐欺
    支払う意思がないまま商品を大量に仕入れ、転売して姿を消す行為
  • 借用詐欺
    返済の意思がないまま金銭の貸付けを受ける行為
  • 訴訟詐欺
    虚偽の証拠で裁判所を騙し、勝訴判決によって財産を得る行為

なお、投資詐欺は詐欺事件として捜査されることになりますが、出資金を集める行為の態様によっては、詐欺罪と併せて出資法違反に問われることもあります。

出資法違反について詳しく知りたい方は、『出資法違反で逮捕されたら弁護士に相談!逮捕後の流れや罰則を解説』の記事をご覧ください。

特殊詐欺の犯罪類型

振り込め詐欺に代表される「特殊詐欺」には、以下のような犯罪類型があります。

詐欺の手口(特殊詐欺)

  • オレオレ詐欺
    親族や警察官、会社の上司などになりすまして電話をかけ、示談金などの名目で金銭を騙し取る行為
  • 架空料金請求詐欺
    有料コンテンツの未納料金があるという名目でSMSを送信するなどして、実際には発生していない料金を架空請求し、預金口座にお金を振り込ませる犯罪
  • 還付金詐欺
    還付金の手続等を装って電話をかけ、被害者にATMを操作させる振り込め詐欺の一類型
  • 融資保証金詐欺
    融資すると見せかけて、申込者に登録料名目で現金を送金させる振り込め詐欺
  • 交際あっせん詐欺
    不特定多数の人に、インターネットやメールで異性の照会を持ちかけて、登録料の名目でお金を騙し取る詐欺
  • 預貯金詐欺
    税務署職員や警察官等になりすまして、自宅に赴き、被害者を騙してキャッシュカードを交付させる犯罪
  • その他の手口
    金融商品詐欺、ギャンブル詐欺 など

詐欺が犯罪になる場合の刑罰

詐欺犯罪の刑罰

詐欺罪および詐欺利得罪の法定刑は、「10年以下の拘禁刑」です。

詐欺罪には罰金刑が規定されていません。そのため、詐欺罪で有罪になれば、実刑判決か執行猶予付き判決かのいずれかになります。

なお、拘禁刑が3年以下であれば執行猶予がつく可能性があります。3年を超える拘禁刑が言い渡される場合には、執行猶予をつけることができません。

関連記事

・詐欺罪は初犯でも実刑?懲役の平均・執行猶予の割合もわかる解説

未遂も犯罪になる?処罰規定は?

詐欺は未遂も処罰されます。

刑法250条が「この章の罪の未遂は、罰する」と定めており、詐欺罪にも未遂処罰規定が置かれているためです。

詐欺未遂となるのは、警察の「騙されたふり作戦」のように被害者が騙されたふりをしていた場合や、結果としてお金を騙し取ることができなかった場合などです。

これらは詐欺未遂罪という犯罪になり、逮捕されることもあります。

詐欺罪の法定刑は、未遂の場合であっても、基本的には「10年以下の拘禁刑」です。

ただし犯罪が未遂に終わった場合は、法律上の減軽(刑法43条)や酌量減軽(刑法66条)が認められることはあります。

そのため、詐欺未遂の処断刑としては、裁判官の裁量によっては刑期が短くなることもあるでしょう。

簡単にいえば、自分の意思で犯罪を途中でやめた場合(中止未遂)には必ず減軽または免除され、結果として財産を騙し取れなかった場合(障害未遂)にも刑が軽くなることがあります。

クレジットカードの不正使用も犯罪になる

1項詐欺、2項詐欺のほか、「電子計算機使用詐欺」という犯罪類型もあります(刑法246条の2)。

電子計算機使用詐欺という犯罪に該当するのは、他人名義のクレジットカード情報を無断で利用して、ネット決済をした場合などです。

電子計算機使用詐欺の具体例

  • クレジットカード決済を導入している企業の社員が、顧客のクレジットカード情報を盗用して、動画サイトの投げ銭をする
  • 盗んだクレジットカードで、ネット決済をする など

クレジットカードの不正使用が電子計算機使用詐欺という犯罪になる場合、その刑罰は「10年以下の拘禁刑」となります。

前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。

刑法246条の2

なお、店頭で他人名義のクレジットカードを提示して使用した場合は、店員を欺いて商品を交付させたものとして、通常の詐欺罪(1項詐欺罪)に問われます。

人を介さず機械的に処理される決済であるかどうかが、罪名の分かれ目です。

特殊詐欺の刑罰は重い?

特殊詐欺の受け子として「被害者から現金を受け取った」だけであれば、詐欺罪のみが成立し、犯罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」です。

一方、「被害者からキャッシュカードを騙し取り、銀行のATMで現金を引き出す」といった特殊詐欺の場合、キャッシュカードの詐欺および現金窃盗という、2つの犯罪が成立します。

このように窃盗罪・詐欺罪の両方が成立する場合は、「15年以下の拘禁刑」となります。

なお、この場合に刑罰が重くなるのは、窃盗罪と詐欺罪が併合罪として処罰されるためです(東京高判H10.12.10 東京高等裁判所(刑事)判決時報49巻1~12号87頁)。

「併合罪」の場合、成立する各犯罪の刑罰を見比べて、もっとも重い罪の法定刑の上限に、その2分の1を加えた年数が、拘禁刑の上限となります。

併合罪のうちの二個以上の罪について有期拘禁刑に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

刑法47条

詐欺罪と間違いやすい犯罪との違い

同じように他人の財産を取得する行為でも、どのような手段を用いたかによって成立する罪名が変わります。罪名が変われば、罰金刑の有無や刑の重さも変わります。

主な財産犯(詐欺・窃盗・横領など)の成立要件と法定刑

罪名成立する場面法定刑
詐欺罪相手を騙し、相手自身の意思で財産を差し出させた10年以下の拘禁刑
窃盗罪相手の意思に反して財物を持ち去った10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
単純横領罪自分が預かっていた他人の物を自分のものにした5年以下の拘禁刑
業務上横領罪仕事や業務上で預かっていた他人の物を自分のものにした10年以下の拘禁刑
背任罪任された事務に背いて本人に財産上の損害を与えた5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
恐喝罪相手を怖がらせて財産を差し出させた10年以下の拘禁刑

たとえば、火事が起きていないのに、注意を惹くためだけに「火事だ!」と嘘をつき、相手が目線を逸らしたすきに、財布を取るといった行為は、嘘をついてはいますが窃盗罪になります。

被害者が自分の意思で財布を差し出したわけではないからです。

詐欺罪には罰金刑がなく、窃盗罪には罰金刑があります。嘘をついたという行為の意味づけによって、罪名だけでなく、科される刑罰の重さも変わる可能性があります。

詐欺罪の構成要件

詐欺が犯罪として成立するためには、以下の要件がすべて満たされる必要があります。

詐欺罪の成立要件(構成要件)一覧

要件内容
欺罔行為相手に財産処分を決意させるため、重要事項について虚偽の事実を告げる行為。
錯誤欺罔行為によって被害者が事実を誤認し、真実でないことを信じ込んでいる状態。
交付行為錯誤に基づき、被害者が自分の意思で財物・財産上の利益を差し出すこと。
財物等の移転交付された財物・利益が加害者や第三者に移転すること。この時点で犯罪は既遂になります。
因果関係欺罔行為→錯誤→交付→移転が一連の流れとしてつながっていること。
故意犯罪事実の認識・認容。「人を欺いて財産を取得する」という意思が行為時に存在すること。
不法領得の意思他人の財物を自分のものとして利用・処分しようとする意思。

欺く行為(欺罔行為)と錯誤

欺く行為(欺罔行為)とは、相手に財産を差し出すことを決意させるために、重要事項について虚偽の事実を告げる行為をいいます。

嘘をつく行為であれば、どんなことでも「欺く行為」にあたるというわけではありません。

商品に特別な効用があると信じ込ませたり、返済する意思がないのに借金を申し込んだりする行為が「欺く行為」にあたります。

そして、その嘘によって被害者が事実を誤認し、真実でないことを信じ込んでいる状態を「錯誤」といいます。

詐欺罪が成立するためには、被害者が欺罔行為によって実際に「騙された状態」になっていることが必要です。

たとえば、加害者が嘘をついたとしても、被害者がその嘘を見抜いていた場合には、錯誤が生じていないため、詐欺罪は既遂とはなりません(詐欺未遂罪が成立する可能性はあります)。

また、錯誤は欺罔行為と因果関係がなければなりません。被害者がもともと勘違いしていただけで、加害者の嘘とは関係なく誤信していたような場合には、詐欺罪の錯誤とは認められない可能性があります。

具体的には、以下のようなケースが「錯誤」にあたります。

  • 「必ず値上がりする投資商品です」と説明され、実際に値上がりすると信じた
  • 「ブランド品の正規品です」と言われ、本物だと信じて購入した
  • 「来月には必ず返す」と言われ、本当に返済されると信じてお金を貸した など

重要なポイントとして、錯誤の対象は「財産処分の判断の基礎となる重要な事実」に関するものでなければなりません。

些細な事実についての誤認では、詐欺罪における錯誤とは評価されない場合があります(「商品包装の色違い」「商品の付属品の数違い」など)。

交付と財物等の移転と因果関係

詐欺罪が成立するには、被害者が金品や財産上の利益を「交付」し、それが実際に加害者または第三者のもとに移ったことが必要です。立件にあたっては、これを裏づける証拠が求められます。

通常、領収書などが「交付」を裏づける証拠になります。寸借詐欺や結婚詐欺など、領収書が発行されないケースでは、被害者とのやりとり(メール、LINE など)の記録が証拠になる可能性があります。

詐欺罪は、財物等が加害者側に移転した時点で既遂(犯罪が完成した状態)となります。

逆にいえば、欺罔行為を行い、被害者が錯誤に陥ったとしても、財物の移転が完了していなければ、詐欺未遂罪にとどまる可能性があります。

移転の対象は、現金や物品などの財物だけでなく、財産上の利益も含まれます。

  • 被害者から現金を受け取った(財物の移転)
  • 被害者名義のクレジットカードを使って商品を購入した(財物の移転)
  • 騙して債務の免除を受けた(財産上の利益の移転)
  • サービスの対価を支払わずに役務の提供を受けた(財産上の利益の移転)

なお、加害者本人が財物を受け取る場合だけでなく、共犯者や第三者に移転させた場合にも、この要件は満たされます。

いわゆる「受け子」や「出し子」が現金を受け取る振り込め詐欺のケースでも、財物等の移転は認められます。

また、詐欺罪が成立するためには、「欺罔行為→錯誤→交付→財物等の移転」という一連の流れがすべてつながっている必要があります。これを因果関係といいます。

この因果の流れが途切れている場合には、詐欺罪は成立しません。

たとえば、加害者が嘘をついたものの、被害者はその嘘とは関係なく、別の理由で自発的にお金を渡したという場合には、欺罔行為と交付行為の間の因果関係が認められず、詐欺罪は成立しない可能性があります。

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・詐欺罪の証拠は?立証は難しい?逮捕される?詐欺の弁護士相談

故意と不法領得の意思

詐欺罪が成立するには、行為の時点で「人を騙して財産を差し出させる」という認識・認容(=詐欺の故意)があったことが必要です。

詐欺の故意(一例)

  • 相手に「お金を貸してほしい」と言った時点で、「借金を申し込むふりをして、被害者を騙して、お金を取ろう」と考えていた
  • 相手に「商品を購入したい」と申し出た時点で、「代金を支払わないで、商品だけもらって、逃げよう」と考えていた

先に述べたとおり、「騙すつもりはなかった」という主張が通るかどうかは、この故意が認められるかにかかっています。

ただし、このような加害者の内面の立証は難しいといわれており、報酬の額や指示のやり取りなど、客観的な事情から判断されることになります。

なお、詐欺の故意がなければ犯罪として立件されることはありません。しかし、返済や金銭の支払いが滞れば、民事上の債務不履行に問われて、相手方から損害賠償を請求されることはあるでしょう。

さらに、詐欺罪の成立には、故意に加えて「不法領得の意思」も必要とされています。

不法領得の意思とは、他人の財物を「自分のものとして利用・処分しよう」とする意思のことをいい、大きく2つの要素から構成されます。

  • 権利者排除意思
    財物の所有者(権利者)を排除して、自分が所有者のようにふるまおうとする意思
  • 利用処分意思
    その財物を何らかの用途に利用・処分しようとする意思

この要件があることで、一時的に使用するだけの行為(使用窃盗に相当するケース)や、相手を困らせる目的だけで財物を取り上げる行為は、詐欺罪の対象から除外されることがあります。

たとえば、嘘をついて相手の自転車を一時的に借り、すぐに返却するつもりだった場合には、不法領得の意思が認められず、詐欺罪が成立しない可能性があります。

一方、最初から返すつもりがなく、自分のものとして使い続けるつもりであれば、不法領得の意思が認められます。

詐欺で逮捕された後の流れ

逮捕の流れ

詐欺で逮捕されると、逮捕から起訴・不起訴の判断が下されるまで最長23日間、身柄を拘束される可能性があります。

まず警察署の留置場に身柄を拘束され、48時間以内に検察官へ事件が引き継がれます(検察官送致・送検)。

検察官は被疑者の送致を受けてから24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断し、請求があった場合は裁判官が勾留の可否を決定します。

勾留期間は原則10日で、やむを得ない事由があると認められる場合には、さらに10日以内の範囲で延長されることがあります。

勾留期間の満了までに、検察官が起訴・不起訴を判断します。起訴されれば裁判所で公判が開かれ、有罪と判断されれば拘禁刑が言い渡されます。

不起訴となれば、公判が開かれることも、前科がつくこともありません。

なお、詐欺罪の公訴時効は7年で完成します。

振り込め詐欺などの組織的な事件では、共犯者が多く証拠調べに時間がかかるため、公判期日が何度も設定され、裁判が長期化する傾向があります。

なお、詐欺事件のすべてで逮捕されるわけではありません。逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されれば、在宅のまま捜査が進められることもあります。

詐欺という犯罪の弁護活動は?対処法は?

勾留を回避するための対策

早期釈放を目指すのであれば、次のような対策が必要です。

  • 検察官の勾留請求を阻止する
  • 裁判官の勾留決定を回避する
  • 勾留決定に対して準抗告を申し立てる

逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことが認められれば、勾留を回避できる可能性が高まります。

これらの対策では、専門的な知識をもとに、いかに検察官や裁判官を説得できるかが重要になります。刑事事件の弁護活動に詳しい弁護士に依頼できると安心です。

起訴を回避するための対策

起訴を回避するには、検察官を説得して不起訴処分を獲得するという対策が考えられます。

証拠が不十分なときや、有利な情状があるときには、不起訴処分を獲得できるケースはあります。

犯罪の成立要件が認められないこと、被害者と示談が成立していること、再発防止策に取り組んでいることなどを主張して、不起訴処分の獲得を目指します。

「騙すつもりはなかった」と主張する場合、本人の供述だけでは捜査機関に受け入れられにくいのが実情です。

指示役とのやり取りの記録や報酬の受取状況といった客観的な資料を早期に確保し、取り調べでの受け答えを整理しておく必要があります。

この点は弁護士のサポートが不可欠といえるでしょう。

有罪判決や実刑を回避するための対策

詐欺事件に関与していない場合は、無罪判決を目指すことになります。証拠から、犯罪が成立しないことを主張していく必要があります。

詐欺事件に関与している場合は、実刑判決を回避して、執行猶予付き判決を目指すことになります。

被害者への賠償を行い、組織的犯罪であれば詐欺事件の関係者との連絡を絶つ、家族の監督を受けて更生に励むなどの対策をすることが必要になるでしょう。

詐欺の犯罪に関するお悩みは刑事事件弁護士に相談

詐欺罪として立件される不安をお持ちの方は、刑事事件に強いアトム法律事務所の弁護士にご相談ください。

詐欺事件の解決には、被害者の方との示談金の交渉や、検察官・裁判官への説得等が欠かせません。

お相手との取引関係において、不測のトラブルが生じ、詐欺被害を疑われているような場合もあるでしょう。

そのような場合は、即座にお相手に連絡をとり、返済計画を提示する等して、犯罪としての立件を回避するために全力を尽くします。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了