2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
詐欺の証拠がある場合でも、弁護士が迅速に動くことで不起訴や刑の減軽を目指せるケースがあります。
詐欺の証拠には、通話録音・メール・LINEのやりとり・銀行口座の取引履歴などがあります。警察・検察はこれらを徹底的に収集するため、「証拠さえなければ大丈夫」という考えは非常に危険です。
この記事では、詐欺の証拠となるもの・警察の証拠収集方法・逮捕や起訴の可能性・弁護士が取れる対策まで詳しく解説します。
証拠隠滅のリスクについても触れていますので、ご自身やご家族が詐欺事件に関わっている方はぜひ最後までご覧ください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
詐欺の証拠になるものは?立証が難しいといわれる理由
詐欺罪とは?証拠と構成要件の関係
詐欺罪は、被害者の財産を騙し取る犯罪です。
1 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
刑法246条
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は(1)人を欺く行為(2)錯誤(3)交付(4)利益の移転(5)故意などです。
これらの要件に該当する証拠がある場合、詐欺罪で逮捕される可能性があります。
詐欺罪の構成要件
- 人を欺く行為
財産処分を動機づける「重要な事項」について、嘘をつくこと - 錯誤
被害者が、犯人の嘘を信じ込んだ状態になること - 交付
犯人や第三者に、被害者が自分の意思で、財産を差し出すこと - 利益の移転
財物(お金など)や利益(債権など)が犯人や第三者に移転すること - 故意
(1)~(4)についての認識・認容(内心の問題)
これらの詐欺罪の構成要件に該当する証拠がある場合、起訴されて有罪判決が出されれば、10年以下の拘禁刑に処せられます。
なお、詐欺罪は未遂の場合でも処罰対象となります。被害者を騙して金銭などを得ようとしたものの、相手に気づかれたケースなどが詐欺未遂罪の典型例です。
詐欺罪については『詐欺罪は初犯でも実刑?懲役の平均・執行猶予の割合もわかる解説』の記事で詳しく解説しています。
詐欺未遂罪については『詐欺未遂とは?構成要件や刑罰、弁護士相談のメリットを解説』の記事をご覧ください。
詐欺罪の立証が難しいといわれる理由
詐欺罪の立証は難しいといわれていますが、それは犯人の内心を証明できる証拠を収集するのが難しいからです。
詐欺罪に問われるのは、犯人が被害者を騙す時点で、「被害者がお金を差し出したいと思うように、嘘をついて、騙して、お金を受け取ろう」という意図があったことが証明された場合です。
詐欺罪の立証では、このような犯人の内面の認識・認容についての証拠が必要になるため、犯罪の証明が難しいとされています。
たしかに、詐欺の被疑者として逮捕されたとしても、「詐欺をするつもりはなかった。お金を借りた時は、必ず返すつもりだった」などと供述すれば、詐欺罪の故意は否定できてしまいそうです。
詐欺罪の証拠になるもの
犯人の内面を立証できる証拠は、供述証拠だけではありません。
電話の録音、メール・LINEなどの被害者とのやりとり、銀行口座の取引履歴、契約書類、経済的に困窮していた事実などが動かぬ客観的証拠となることもあります。
また近年では、スマートフォンのデータ、SNSのメッセージ履歴、クラウド上の通信記録なども重要な証拠として捜査の対象となっています。
警察や検察は捜査のプロなので、あらゆる証拠を収集して、あなたの置かれた状況をもとに、詐欺罪を犯したのかどうかが検討されることになるでしょう。
(1)詐欺の故意の証拠(一例)
- 本当は赤字続きで自転車操業だったので、商品を渡せないとわかっていた。しかし、顧客に商品を購入させ、先払いで代金を受領した。
- その後、顧客に対する詐欺で逮捕。
- 家宅捜索によって、預金通帳の履歴、会社の帳簿、被害者とのメールなどが押収されて、詐欺の故意が認定された。
(2)詐欺の故意の証拠(一例)
- 本当はお金を返すつもりはなかったのに、結婚をほのめかして、結婚できると誤解させたうえで相手に多額のお金を貢がせた。
- その後、結婚詐欺で逮捕。
- 相手とのLINEのやりとりなどから、虚偽の発言が繰り返されていたことが判明し、詐欺の故意が認定された。
たしかに、詐欺罪の立証は難しいとはいわれています。しかし、詐欺罪の証拠が揃えば、立証されてしまいます。
詐欺罪の犯人として逮捕されて取り調べを受けることになった場合、ただ単に「詐欺をするつもりはなかった」と主張したとしても、ほかの証拠があれば起訴される可能性もあるのです。
また、単に見通しが甘かっただけで、本当に詐欺をするつもりはなかった場合でも、詐欺の被害届が提出されたら、捜査が進められることもあるでしょう。
ある程度、証拠が押さえられた場合は、呼び出されて取り調べを受けることもあります。
警察の取り調べの対応方法について知りたい方は『警察の事情聴取(取調べ)をどう乗り切る?流れ・聞かれること・拒否できるかを弁護士が解説』の記事をご覧ください。
警察・検察はどのように証拠を集めるのか?
詐欺事件の捜査は、大きく「任意捜査」と「強制捜査」の2段階で進められます。
まず任意捜査の段階では、警察から任意の呼び出しを受けたり、証拠品の任意提出を求められたりすることがあります。
この段階では、捜査への協力を強制する法的拘束力はありませんが、拒否すると逮捕令状が請求されるリスクが高まる場合もあります。
その後、証拠が集まると、強制捜査へと移行します。家宅捜索・差し押さえが実施され、自宅やオフィスから通帳・契約書類・スマートフォン・パソコンなどが押収されます。
特に近年は、デジタルフォレンジック(電子機器の解析技術)が高度化しており、スマートフォンやパソコンが押収された場合、削除したはずのメッセージや通話履歴、アプリのデータまで復元・解析されることがあります。
SNSのアカウント情報やクラウド上のデータが証拠として認定されるケースもあります。
捜査機関は、こうした物的証拠と関係者の供述を組み合わせて、詐欺の故意を立証していきます。
証拠を隠滅しようとしたらどうなる?
詐欺の証拠が残っていることに気づいた場合、「LINEのやりとりを消してしまおう」「通帳を隠してしまおう」と考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、これは絶対に避けるべき行為です。
証拠隠滅のおそれがあると捜査機関に判断された場合、逮捕・勾留の理由になります。また、共犯者がいる場合、他人の事件の証拠にも該当し得るため、証拠隠滅罪(刑法104条)が成立するリスクがあります。
さらに、情状面でも大きなデメリットがあります。証拠を隠そうとした事実は、反省の態度がないと判断される材料になります。
検察官の起訴・不起訴の判断や、裁判官の量刑判断において悪い情状として考慮され、不起訴獲得や執行猶予の可能性を下げてしまうリスクがあります。
いずれにしても、一人で判断して動くことで状況が悪化するリスクがあります。まずは弁護士に相談し、適切な対応を確認するようにしてください。
詐欺の証拠があると逮捕・起訴される?確率と回避策
詐欺罪で逮捕される可能性は?
令和6年の詐欺罪の身柄率は、約53.4%です(令和7年版 犯罪白書)。
刑法犯全体の身柄率が約35.1%であることからすると、詐欺罪は逮捕される可能性が比較的高い事件であるといえます。
では、どのような詐欺事件が逮捕されているのでしょうか。
逮捕は(1)嫌疑の相当性(2)逮捕の必要性という2つの要件が認められてはじめて、実施されます。
詐欺の証拠が発見された場合、(1)嫌疑の相当性が認められることはあるでしょう。ですが、その場合でも、(2)逮捕の必要性という要件が認められなければ、逮捕されることはありません。

詐欺の逮捕については『詐欺事件で逮捕されたら弁護士に相談を|前科をつけないために』の記事をご覧ください。
逮捕を回避するための方法
逮捕を回避するには、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないということを、捜査機関や裁判所に理解してもらえるよう交渉する必要があります。
事件によっては、自首を検討する、被害者の方との示談を早急に進めるなどの対応が必要となるでしょう。
弁護士が自首に同行する「自首同行」も可能です。まずはご自身の件で自首は成立し得るのか、弁護士に相談してみることをおすすめします。
詐欺罪で起訴される可能性は?
令和6年に詐欺罪で起訴された確率は、約51.4%です(令和7年版 犯罪白書)。
刑法犯全体の起訴率が約37.7%なので、詐欺罪の起訴率は比較的高いといえます。
刑法犯の起訴・不起訴人数
- 起訴
69,026人 - 不起訴
113,926人
詐欺罪の起訴・不起訴人数
- 起訴
7,826人 - 不起訴
7,393人
※「令和7年版 犯罪白書」(2026年7月10日現在)
詐欺の証拠がない場合は起訴されませんが、詐欺の証拠がある場合でも起訴されないことはあります。証拠不十分の場合や起訴猶予の場合は、不起訴になります。
起訴を回避するための対策
起訴を回避するには、検察官を説得して不起訴処分を獲得するという対策が考えられます。
詐欺の証拠がある場合でも、証拠が不十分なときや、よい情状があれば、不起訴処分を獲得できるケースがあります。
詐欺罪の成立要件について証拠が足りないことや、示談成立、被害弁償の完了、再犯防止策に取り組んでいることなどを主張して、不起訴処分の獲得を目指すことになるでしょう。
不起訴処分の場合、刑事裁判にかけられることはなく、刑罰を科されることはなくなります。
起訴・不起訴について詳しく知りたい方は『起訴と不起訴の違い|起訴/不起訴ってなんですか?』の記事をご覧ください。
起訴前に示談を成立させれば不起訴も狙える

示談とは、加害者が被害者に対して、謝罪を申し入れ、示談金を支払い、被害者から許しを得て、刑事事件の被害に関する賠償問題について和解をすることです。
示談をすると、民事上の賠償責任を解消できるだけでなく、刑事責任が軽くなる可能性も出てきます。
示談では示談金を支払う必要がありますが、示談金は詐欺被害のお金を返金するだけではなく、慰謝料の意味合いも有します。
そのため、示談金の金額は、詐欺で得た金額や、そのお金に少し上乗せした金額になることが多いでしょう。被害者の処罰感情が強い場合は、高額になる傾向もあります。
起訴後でも示談は刑の減軽に有効
詐欺被害の金額が多額、計画性がある、組織的犯行であるなど、悪い情状がたくさんある場合は、起訴されて刑事裁判が開かれることもあります。
しかし、起訴される可能性はあっても、示談が無意味というわけではありません。示談の成立は、よい情状として裁判官に考慮してもらえます。
よい情状がたくさんあれば、検察官の求刑よりも刑罰が軽くなる、拘禁刑の実刑判決ではなく執行猶予判決になるといった可能性を高めることができます。
詐欺事件の場合、たとえば以下のような情状証拠(刑を減軽するための有利な証拠)があるとき、拘禁刑の年数や、執行猶予の有無に影響があるといえるでしょう。
詐欺の情状証拠
- 示談書
詐欺の被害者と示談が成立したことを表す書面 - 領収書
詐欺の被害弁償を行ったことを表す領収書 - 嘆願書
被害者が詐欺事件を起こした本人の処罰・厳罰を望まない旨の書面 - 親族・上司の上申書・誓約書
親族や上司が詐欺事件をしたご本人を監督する旨を誓約する書面
詐欺事件の示談については『詐欺事件で示談できると刑事罰が軽くなる?示談成功のポイントを解説』の記事で詳しく解説しています。
アトムの解決事例(特殊詐欺の受け子)
特殊詐欺グループの受け子として現行犯逮捕され、詐欺未遂罪で勾留された事例。裁判所からの勾留通知を受けたご両親が、今後の見通しを知るため当事務所に相談されました。
弁護活動の成果
弁護士が証拠状況をもとに示談方針を提案。示談金なしで被害者の宥恕(許し)を獲得し、保釈も実現。
公判では懲役3年が求刑されましたが、執行猶予4年の判決を獲得し実刑を回避しました。
最終処分
懲役3年執行猶予4年
詐欺の証拠に関するよくある質問
Q.どこからが詐欺になるのですか?
詐欺罪は、人を欺いて、錯誤におちいらせ、財産を処分させて、犯人や第三者に移転させる行為をした場合に成立する犯罪です。その結果、詐欺被害が発生することになります。
詐欺事件として問題になるのは、返済できる見込みがないのに借金名目でお金を騙し取ったり、リターンが出る見込みがないのに投資を持ちかけて資金を騙し取ったり、恋愛感情を利用してお金などを騙し取ったりしたケースです。
いつかは返そうと思っていた場合でも、実際に返済の見込みが立たないようなケースでは、資産や被害者とのやりとりなどが証拠となり、詐欺罪で立件される可能性もあるでしょう。
また、振り込め詐欺の受け子・かけ子も、組織の末端であろうと詐欺罪で立件されます。被害者が騙されたふりをして、警察に捜査協力をしている場合、その場に現れたあなた自身が証拠になって、詐欺未遂罪で逮捕されることもあるでしょう。
詐欺の受け子も犯罪です。詳しくは『詐欺の受け子とは?逮捕後の流れや不起訴・執行猶予を目指す方法を解説』の記事で解説しています。
振り込め詐欺について詳しく知りたい方は『振り込め詐欺で弁護士をつけるメリットは?選び方・費用も解説』の記事をご覧ください。
Q.詐欺罪の弁護士費用はいくらですか?
弁護士費用の内訳は、法律相談料、着手金、成功報酬、出張日当、実費などです。
弁護士の法律相談の費用については、初回無料や、30分~1時間程度で5,000円~10,000円ほどが相場になるでしょう。
なお、アトム法律事務所では、警察から呼び出しがきた、詐欺事件で逮捕されたなどの警察介入事件では、初回30分の弁護士の法律相談料は無料です。
着手金は、弁護活動に着手する対価となる費用です。通常、事件の難易度や、逮捕事件かどうかによって、料金が設定されていることが多いでしょう。
成功報酬は、弁護活動の成果に対する対価となる費用です。通常、得られた成果によって料金設定があります。
弁護士費用について、よくわからないところがある場合、弁護士相談の際、担当の弁護士に直接尋ねるなどして、確認しておきましょう。
詐欺事件の弁護士費用について詳しく知りたい方は『詐欺加害者の弁護士|詐欺に強い弁護士の選び方と弁護士費用を解説』の記事をご覧ください。
詐欺事件の無料相談窓口については『詐欺事件の弁護士相談|詐欺加害者のための無料相談窓口の探し方』の記事をご覧ください。
Q.詐欺罪の示談金はいくらですか?
詐欺罪の示談金は、被害者の希望額や加害者が実際に支払える金額によって変わります。
詐欺罪の示談金の相場としては、被害金額があまり大きくない場合は、被害金額に10万円~50万円程度を上乗せした金額になることもあるでしょう。
アトム法律事務所が過去に取り扱った詐欺事件の示談金相場は約60万円でした。
もっとも、被害者側の要求と、ご自身の資力との兼ね合いで、交渉によって決めていくことになります。
詐欺の証拠が押さえられた…詐欺に強い弁護士に相談したい
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- 詐欺の疑いをかけられた…何が証拠になる?
- 詐欺の証拠が押さえられた…どう対応すればよい?
- 詐欺の証拠がある場合でも、不起訴や刑の減軽を目指せる?
このような詐欺の証拠に関する不安をお持ちの方はいませんか。
詐欺罪は、証拠がある場合、逮捕される可能性も高く、事案によっては初犯であっても拘禁刑の実刑判決が出される可能性がある犯罪です。
ですが、刑事事件に詳しい弁護士の弁護活動によって、不起訴や刑の減軽を目指せる側面もあります。
警察に詐欺の被害届が提出される前であれば、被害者の方との示談成立による早期解決を目指す方法もあるでしょう。
一度、あなたの詐欺事件の不安について、アトム法律事務所の弁護士に相談してみませんか。
アトム法律事務所は、刑事事件に注力する弁護士事務所として設立された経緯があります。設立当初からの積み重ねがあるので、解決実績も豊富です。
証拠が押さえられる前に動くことが、最大の防御になります。詐欺の疑いをかけられた段階からでも、お気軽にご相談ください。弁護士相談ご希望の場合は、24時間365日つながる法律相談予約窓口にお電話ください。
警察から呼び出された、逮捕されたなど警察介入事件では、初回30分の弁護士相談が無料です。
早期の弁護士相談が、早期解決の秘訣です。まずはお気軽にご相談ください。


