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少年審判の流れは?判決はいつ決まる?

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2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

  • 少年審判とは?
  • 少年審判の流れは?
  • 少年審判の判決いつ決まる

非行少年に対する少年審判は、成人の刑事裁判とは異なる特別な手続きです。少年に罰を与えるのではなく、少年の立ち直りを支援することを目的に行われます。

審判では、非行事実と要保護性を審理し、保護観察や少年院送致などの処分が決定されます。審判の結論は当日に決まることが多く、事前の環境調整や弁護活動が処分の軽減に大きく影響します。

この記事では、少年審判とは何か、審判の流れ、処分の内容、弁護士に依頼する重要性について解説しています。また、検察官送致された場合の刑事裁判についても説明します。

少年事件に直面している方、適切な対応方法を知りたい方はぜひご覧ください。

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目次 [非表示]

少年審判とは?

少年審判の目的

少年審判は、非行少年の更生と健全育成を目的として、適切な処分を決定する手続きです。

少年審判の目的は、成人の刑事裁判と異なり罰を与えることではありません。教育的な配慮のもと少年の立ち直りを支援します。

少年審判は、非公開で行われ、家庭裁判所の裁判官(審判官)が中心となって進めます。

少年の成長過程や家庭環境なども考慮しながら、最適な処遇を決定します。

少年審判刑事裁判
目的教育罪の制裁
対象少年・成人
・一部の少年
進め方職権主義的審問構造
※裁判所が中心
当事者主義的訴訟構造
※検察官 vs 被告人
手続き原則、非公開原則、公開
裁判所送致原則、送致送致なし(不起訴)も多い
結論保護処分(保護観察、少年院送致等)
検察官送致
・知事又は児童相談所長送致
有罪判決
・無罪判決

少年審判の対象となる「少年」

少年審判にかけられる可能性のある人は、非行少年です(少年法3条1項)。

非行少年の3類型

類型該当する者
犯罪少年  犯罪行為をした14歳以上20歳未満の少年
触法少年刑罰法令に違反した14歳未満の少年
虞犯少年刑罰法令の違反はないが、不良行為(虞犯事由)があり、将来、罪を犯すおそれがある18歳未満の少年

非行少年の区分について詳しくは『触法少年とは?逮捕・処分されることはない?定義・年齢を弁護士が解説』で解説しています。

少年審判で審理する内容

少年審判では、(1)非行事実と(2)要保護性(ようほごせい)を審理します。

非行事実

非行事実とは、少年審判で審理の対象となる犯罪や刑罰法令への違反、虞犯事由・虞犯性などを指します。

非行事実が認められない場合、少年審判は「審判不開始」で終了することもあります。

非行事実の内容

非行事実の内容
犯罪少年犯罪行為
触法少年刑罰法令に違反した行為
虞犯少年虞犯事由、および虞犯性

要保護性

要保護性とは、平たく言えば、非行少年に保護処分をくだす必要性のことです。

要保護性の判断基準は、以下の3つです。

要保護性の3つの判断基準

判断基準内容
犯罪的危険性少年の性格・環境に照らして将来再び非行に陥る危険性があるか
矯正可能性保護処分による矯正教育をすることで再非行の危険性を除去できる可能性があるか
保護相当性保護処分をくだすことが、最も有効かつ適切な処遇といえるか

要保護性の高さに応じて、保護処分の内容が決まります。

要保護性がなくなった場合、「不処分」で事件終結となることもあります。

一方、「保護不能」と判断されることもあり、この場合、保護処分は出されません。その後の流れしだいで、刑事裁判となり、判決で刑罰を言い渡されるリスクがあります。

少年審判に参加する人は?

少年審判には、主に少年本人、裁判官、付添人、家庭裁判所調査官、少年の保護者が出席します。

その他、少年の学校関係者や保護司、児童相談所職員などが裁判所の許可を得たうえで参加することもあります。

家庭裁判所調査官とは、心理学、教育学、社会学といった専門知識をもつ家庭裁判所の職員です。少年が家庭裁判所に送致された後、調査官が少年が非行に至った原因や再非行を防ぐ方法を調査・検討し、裁判官に報告します。

付添人とは、少年審判で少年側をサポートする人のことです。一部の重大事件を除き、付添人をつけずに審判を行うことも可能です。

付添人を務めるのは、多くの場合弁護士です。審判に同席して少年の意見表明を手伝ったり、少年の権利擁護や最善の処遇を目指して活動します。

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少年審判までのおおまかな流れ

犯罪少年の場合の流れ

少年事件の発生後、警察・検察が捜査をおこない、犯罪の嫌疑が認められる場合、原則として、家庭裁判所に送致(そうち)されます(全件送致主義。少年法41条、42条)。

なお、捜査の過程で、逮捕されるケースもあります。

逮捕された後は、「勾留」や「勾留に代わる観護措置」となり、身体拘束が続くこともあります。

少年事件の流れ

触法少年・虞犯少年の場合の流れ

触法少年や14歳未満の虞犯少年については、警察の調査後、一定の重大事件や家庭裁判所の審判に付することが適当と思料される場合、児童相談所長等に事件が送られます。

その後、児童相談所長等の判断により、家庭裁判所に事件が送致された場合、少年審判になる可能性があります。

14歳以上の虞犯少年については、警察の調査の後、家庭裁判所に事件が送られた場合、少年審判になる可能性があります。

少年審判の当日の流れ

ここでは、少年審判の当日の流れについて、確認していきます。

少年審判当日の流れ

少年審判が開始すると、まず裁判官が人定質問や非行事実の告知を行い、少年や保護者への質問、最終陳述を経て少年の処遇を言い渡します。

審判の手続き自体は、非行事実に争いのないケースであれば1時間程度で終了し、その日のうちに処分が決定することが多いです。

(1)人定質問

人定質問とは、本人確認の手続きです。

少年の氏名、生年月日などを質問して、少年審判を受ける少年が人違いでないことを確認します。

(2)黙秘権告知

人定質問の後は、審判官(裁判官)から、黙秘権が告知されます。

黙秘権とは、言いたくないことは言わなくてよい権利、沈黙を理由に不利益を受けない権利のことです。

(3)非行事実の告知・意見陳述

非行事実の告知では、裁判官から、少年に対して、審判に付すべき事実(いつ・何をしたかなど)の要旨が告知されます。

その後、少年本人、少年の付添人が、その事実について認めるかどうかなど意見を述べます。

(4)少年への質問等

非行事実に争いがある場合

非行事実について争いがある(否認している)場合は、まず、非行事実の有無を審理します。

少年の供述を踏まえて、証人尋問等の証拠調べをおこないます。

非行事実が認定できない場合、非行事実なしとして不処分が決定します(少年法23条2項)。

非行事実に争いが無い場合・非行事実を認定した場合

非行事実に争いが無い場合・非行事実を認定した場合は、要保護性の審理に移行します。

家庭裁判所の調査官の調査結果、鑑別の結果を踏まえて、裁判官から少年に対して、質問をします。

質問内容の例

  • 非行事実が悪いこととされる理由
  • 被害者にどのような迷惑をかけたのか
  • 非行に走った原因は何か
  • 自分で直すべき問題点は何か
  • どのように改善していくか
  • 親子関係、学校、仕事 など

裁判官からの質問が終わったら、続いて、調査官や付添人が、少年に質問します。

少年の付添人となる弁護士は、少年の味方として、少年に有利になる質問をおこないます。深く掘り下げて質問し、改善更生が期待できることを、裁判官にアピールします。

(5)少年の保護者への質問

少年の次は、少年の保護者にも質問をおこないます。

ここでも、裁判官、調査官、付添人(弁護士)が順番に質問します。

裁判官からは、少年がおこした事件を通じて気づいたこと等を質問されます。

少年の付添人となる弁護士は、少年が再び非行に走らないように保護者としてどのような協力ができるのかなど、具体的に質問していきます。

(6)最終陳述

最終陳述とは、少年が少年審判の最後に述べる意見のことです。

裁判官、調査官、付添人(弁護士)からの質問が終了すると、「最後に言っておきたいことがないか」と裁判官から確認されます。

そして、少年が意見を述べます。

(7)処分・決定の告知

少年の最終陳述が終わったら、決定の告知が行われます。

少年審判の決定の告知とは、裁判官から少年に対して、処分を言い渡すものです。

少年審判の決定には、不処分、保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)、知事又は児童相談所長送致、検察官送致(=逆送)があります。

それぞれの処分の内容については、後ほど詳しく解説します。

稀に試験観察に付されることもあります。

少年審判で最も多い結論は?

なお、犯罪白書によると、2023年、一般保護事件について、少年審判の最終処分で最も多かったのものは保護観察でした。

審判不開始で、処分を言い渡されずに、事件が終結しているケースも多いです。

2023年 少年審判に関する処分・決定の割合

割合
検察官送致(刑事処分相当)0.7%
検察官送致(年齢超過)1.7%
少年院送致6.6%
保護観察24.6%
児童自立支援施設等送致0.5%
知事・児童相談所長送致0.4%
不処分17.1%
審判不開始48.4%
その他*0.8%

令和6年版 犯罪白書第3編/第2章/第2節/2 家庭裁判所3-2-2-3図 少年保護事件 終局処理人員の処理区分別構成比」より抜粋のうえ、編集しました。

なお、少年審判の各処分・決定の内容は、次の項目で詳しく解説します。

保護処分に不服がある場合

保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)に不服がある場合、抗告という不服申立てをすることができます。

抗告は、少年審判で保護処分決定が告知された日の翌日から2週間以内に、高等裁判所あてに抗告理由書を作成し、家庭裁判所に提出する方法でおこないます。

なお、抗告の理由は、決定に影響を及ぼす法令違反、重大な事実誤認、処分の著しい不当に限定されます。

少年事件の判決はいつ決まる?

少年審判の結論はいつ決まる?

少年審判の結論は、少年審判の当日には決まってしまうことが多いです。

少年事件は、少年審判になる前から、家庭裁判所調査官の調査がおこなわれたり、裁判官が記録に目を通したりしています。

そのため、少年審判の前には、おおよそ裁判官の中で事件の結論が固まっている可能性が非常に高いです。

少年審判に強い弁護士は、少年審判当日の対応も大切ですが、少年審判になる前の活動が最も重要であると分かっています。

少年審判を控えている方、少年審判になる不安がある方は、できるだけ早く、少年事件に強い弁護士にご相談なさってください。

少年事件の刑事裁判の判決はいつ決まる?

少年審判で検察官送致(逆送)が決定した場合、後日、通常の刑事裁判にかけられる可能性があります。

刑事裁判では、有罪や無罪の判決がくだされます。

単純な認め事件の場合、有罪判決がくだされるのは、最短で起訴から約50日後が目安です。

ただし、注意したいのは、裁判官は証拠調べの内容をもとに、判決を考えるということです。

つまり、証拠調べの期日までに、どれだけ有利な証拠を出せるかで、判決の内容は決まってしまいます。

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少年審判の処分・決定の種類

少年審判の処分・決定には、以下のようなものがあります。

少年審判の処分・決定

  • 不処分決定
  • 保護処分
    保護観察決定、少年院送致決定、児童自立支援施設等送致決定
  • 検察官送致決定(逆送)
  • 知事又は児童相談所長送致決定
  • 試験観察(※中間処分)

ここでは、少年審判の処分・決定について解説します。

不処分決定

不処分決定とは、保護処分に付さない旨の決定のことです(少年法23条2項)。

家庭裁判所における調査の結果、保護処分に付することができない場合や、保護処分に付する必要が無い場合に、不処分決定が出されます。

不処分決定になる場合の例

  • 非行事実が認められない場合
  • 少年が更生し、要保護性がなくなった場合
  • 試験観察中の少年の態度から、保護処分を行う必要がなくなった場合
    など

不処分決定が出された場合、少年審判の決定が告知された日に、そのまま家に帰ることができます。

保護観察決定

保護観察とは、社会の中で生活しながら、保護観察官や保護司が定期的な面接指導等をおこなう処分です(少年法24条1項1号)。

保護観察処分決定が出された場合も、少年審判の決定の告知があった日に、家に帰れます。

少年院送致決定

少年院送致とは、少年を少年院に収容し、矯正教育や必要な措置を受けさせる処分のことです(少年法24条1項3号)。

社会の中では更生が難しいと判断された場合、少年院送致決定がくだされます。

少年院送致決定が出された場合は、審判から数日以内に少年院に収容されることになります。

児童自立支援施設等送致決定

少年が幼い場合、児童自立支援施設等に送致するという決定がされることがあります。

児童自立支援施設等送致とは、児童福祉法にもとづいて、児童自立支援施設等の比較的開放的な施設に入所させ、生活指導を受けさせる処分のことです。

検察官送致決定(逆送決定)

検察官送致決定とは、家庭裁判所から検察官に事件を送致する決定のことです(少年法20条)。

逆送(ぎゃくそう)と呼ばれることもあります。

逆送になる少年事件の例

  • 少年が「死刑、懲役、禁錮」に当たる罪を犯した場合

  • 16歳以上20歳未満の少年が「故意の犯罪行為」により人を「死亡」させた場合
    例)殺人罪、傷害致死罪

  • 18歳以上20歳未満の者(特定少年)が「死刑、無期、短期1年以上の懲役・禁錮」に当たる罪を犯した場合
    例)現住建造物放火罪、不同意性交等罪、強盗罪

  • 審判結果が出る前に、少年が20歳になった場合

*¹ 調査の結果、罪質・情状に照らし刑事処分が相当と認められるときに逆送になる。
*² 調査の結果、犯行の動機・態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状、環境その他の事情を考慮し、刑事処分(刑罰)以外の措置を相当と認めるときは、逆送されないこともある。

検察官送致決定が出されるのは、少年が重大な事件をおこした場合に、家庭裁判所が保護処分ではなく、「刑事処分が相当である」と判断したときです。

刑事処分相当を理由とする逆送の場合、原則、起訴されます。

起訴されたら、裁判になります。裁判で有罪判決が確定したら、刑罰を受けたり、前科がついたりします。

また、審判結果が出る前に、少年が20歳になった場合にも、検察官送致決定が出されます。

知事又は児童相談所長送致決定

知事又は児童相談所送致決定とは、家庭裁判所が、少年事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致する決定のことです(少年法18条)。

18歳未満の少年について児童福祉法上の措置が相当と判断された場合、知事又は児童相談所長送致決定が出されます。

試験観察

試験観察とは、最終的な処分を決定するために、一定期間、少年の生活や行動を観察するものです。

試験観察は、最終処分を下す前提として実施される中間処分です。

保護観察か少年院送致か決めかねる場合などは、試験観察に付されることがあります。

試験観察には、在宅試験観察、身柄付き補導委託があります。

試験観察中は、少年は、家庭裁判所調査官と面接をしたり、社会活動に参加したりします。

【コラム】試験観察中の弁護活動

試験観察中も付添人となる弁護士は、弁護を続けます。

たとえば、被害者の方との示談がまだの場合には、継続してコンタクトをとり、示談成立を目指します。

試験観察後には、最終審判が待っているので、それまで少年と接しながら、少年の反省を深める手助けや、生活態度のチェックをおこない、要保護性の解消にも尽力します。

少年事件で判決がくだされるケース

検察官送致(逆送)決定後、有罪判決がくだされる?

少年審判で検察官送致決定(逆送決定)が出された場合、少年でも刑事裁判を受けることになり、有罪判決がくだされる可能性があります。

検察官送致決定になった理由が「刑事処分相当」の場合は、原則、起訴され、裁判になります。

裁判で判決がくだされるまで流れは、以下のようなものです。

刑事裁判の流れ

起訴されたら、約40日後に、第1回公判が開かれます。

単純な認め事件の場合は、約10日後に第2回公判が開かれ、判決がくだされます。

無罪判決が確定すれば、刑罰を受けず、前科もつかずに事件終了です。

有罪判決が確定すれば、刑罰が科され、前科がつきます。

少年の判決の内容は、成人と違う?

通常、刑事裁判で言い渡される刑罰は、死刑、禁錮(法改正があるまでは懲役および禁錮)、罰金、拘留、科料、没収の6種類です。

ただし、少年の場合、有罪判決で言い渡される刑罰は、成人と異なる場合があります。

たとえば、18歳未満の少年に対して、有期の懲役・禁錮を言い渡す場合は、刑期は最長15年までとなり、刑の長期と短期を定める刑罰(不定期刑)が言い渡されます。

年齢量刑の例
成人禁錮5年
18歳未満の少年禁錮3年から5年

また、犯行時18歳未満の少年には、死刑が相当と思われる場合でも、死刑を言い渡すことはできません。この場合、無期刑が言い渡されます。

少年審判における弁護士の役割

少年審判では、弁護士は付添人として少年をサポートします。

少年の意見がきちんと伝わるようにサポートしたり、少年審判の処分が軽減するようにサポートしたりします。

以下では、少年審判の準備段階や審判期日で果たす弁護士の役割を紹介します。

弁護士は環境調整をサポートしてくれる

少年審判でだされる処分・決定を軽減するには、要保護性(再び非行に走る可能性)が解消しているかどうかがポイントになります。

弁護士は、少年の要保護性を解消するために、少年と向き合いながら、少年審判が始まる前に環境調整をおこないます。

非行の原因は、少年の周りの環境の影響も大きいからです。

少年審判当時までに済ませておきい環境調整としては、以下のようなものがあります。

環境調整の例

  • 家族関係の調整
  • 学校関係の調整
  • 職場関係の調整
  • 交友関係の調整

たとえば、家族関係の調整では、保護者の方との対話を経て、少年への思いを確認し、保護者として少年の更生のためにできることを認識・実行してもらったり、今後のサポート体制を整えます。

また、学校関係の調整では、退学を阻止して、学校と連携を図り受け入れ体制の調整を図ったりします。

そのほか、職場関係の調整として、働いている少年については、職場での受け入れが可能であることも有利な事情となり得ます。

また、交友関係の調整として、犯罪や非行をする仲間との断絶も、要保護性の解消に有利な事情となり得ます。

弁護士は示談交渉をしてくれる

少年事件の早期解決、少年審判での処分の軽減を目指す場合、示談は非常に重要です。

示談とは、事件の加害者と被害者が、和解の合意をすることです。

示談とは

少年事件に強い弁護士は、少年の代わりに、被害者の方に謝罪をし、示談交渉をおこないます。

当事者間では冷静な話し合いが難しい場合でも、法律の専門家である弁護士を立てることで、交渉がスムーズに進むケースは多いです。

示談は、被害者の方の被害回復につながるだけでなく、少年自身が自分の行為と向き合い、改善更生の兆しがあることを示す事情となります。

示談交渉をすることは、少年審判の処分・決定が軽減する可能性を高めます。

弁護士は味方になってくれる

少年審判では、弁護士が付添人となり、少年の味方になることができます。

少年審判では、裁判官、家庭裁判所調査官が出席し、少年や少年の保護者に質問をします。

しかし、裁判官らの質問が、少年に有利になるとは限りません。

この場合、付添人として弁護士がつくことで、少年のフォローができ、改善更生の可能性があることを裁判官に伝えやすくなります。

また、万一、少年審判で検察官送致された場合でも、その後の刑事裁判の弁護人を務めることもできます。

少年事件・刑事事件に強い弁護士に相談することで、迅速かつ最善の弁護を受けられることが期待できます。

少年審判で弁護士を選任する方法

少年審判で力になってくれる弁護士の種類

少年審判で力になってくれる弁護士には、私選弁護士、国選弁護人・国選付添人などがいます。

私選弁護士とは、少年や少年の家族が選ぶ弁護士です。

国選弁護人・国選付添人は、国が選んでくれる弁護士です。

私選弁護士国選弁護人国選付添人
選任者自分
依頼のタイミングいつでも勾留後家庭裁判所送致後
費用自己負担国が負担国が負担

私選弁護士

私選弁護士は、少年やその保護者が、自由に選んでつけることができる弁護士のことです。

私選弁護士の場合、いつでも選任できます。
警察から呼び出しがあった時点、逮捕された時点、少年審判になることが決定した時点など、あらゆるタイミングで選任が可能です。

ただし、弁護士費用は自己負担です。

国選弁護人

国選弁護人は、少年が勾留された場合や、勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容された場合につけることができる弁護士です(刑訴法37条の2)。

国選弁護人を利用できるのは、少年の資力が50万円未満の場合、または少年の弁護人になろうとする者がいない場合です。

国選弁護人の利用条件

  • 少年の資力が50万円未満の場合
    ・現預金等の流動資産が50万円未満
    ・少年の保護者の資力は考慮しない
  • 少年の弁護人になろうとする者がいない場合
    例)私選弁護士人の選任申出をしたが、断られた
    例)当番弁護士を呼んだが、その後の受任を断られた

国選弁護人の選任方法は、少年からの請求、または裁判所の職権です(刑訴法37条の2、同37条の3、同37条の4)。

なお、少年審判で検察官送致決定が出され、起訴された場合は、被告人国選弁護人制度が利用できます。

国選付添人

国選付添人は、少年審判になった場合に、裁判所がつけてくれる弁護士です。

以下のような事件で、国選付添人をつけてもらうことができます。

国選付添人の類型

  • 検察官が関与することが決定した事件
  • 裁判所の裁量で国選付添人をつける事件
  • 被害者による審判傍聴の申し出があった事件

少年審判に強い私選弁護士の選び方

少年審判に強い私選弁護士の選び方のポイントは、以下の3点です。

少年審判に強い弁護士選びの基準

  • 解決実績が豊富な弁護士か?
  • 迅速な対応ができる弁護士か?
  • 少年と弁護士の相性も大切!

解決実績が豊富な弁護士か

少年審判に強い弁護士は、少年事件の解決実績が豊富な弁護士です。

少年事件は、成人の事件とは違い、手続きが特殊です。

そのため、少年事件の解決実績が豊富な弁護士を選ぶことができると安心です。

迅速な対応ができる弁護士か

少年審判に強い弁護士は、迅速な対応ができる弁護士でもあります。

少年事件では、少年審判が始まるまでに、環境調整を済ませたり、少年の内省を深めたりしておかなければなりません。

環境調整には、親子関係の調整や、学校・職場との連携、交友関係の調整など様々あります。

また、少年審判で少年が自身の意見をきちんと述べられるように、何度も面談をおこない、内省を深める手助けも必要です。

少年審判を乗り越えるには、やるべき弁護活動が沢山あるため、迅速な対応ができる弁護士を選べると安心です。

少年と弁護士の相性も重要

少年事件で弁護士を選ぶときは、少年と弁護士の相性も重要です。

少年は、弁護士との対話の中で、自分がしたことが悪い理由や、被害者の方への反省の気持ち、自分の課題、再犯防止のための対策などに気づくことができます。

そして、これらのことは、少年審判で裁判官に伝えることになります。

相性の良い弁護士を選ぶことで、弁護士との対話が進み、少年により深い内省をうながせる可能性があります。

相性の良い弁護士を選ぶことは、少年審判を乗り越えるために必要なことです。

少年審判のお悩みは弁護士にご相談を

最後にひとこと

犯罪少年、触法少年、虞犯少年は、家庭裁判所の少年審判を受ける可能性があります。

少年審判では、審判不開始・不処分のほか、保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)、知事又は児童相談所長送致、検察官送致等の決定が出されます。

少年審判は、当日に結論が決まることが多いため、当日までの事前準備が非常に重要です。

少年審判に強い弁護士は、当日のサポートだけでなく、少年の周囲の環境調整や示談交渉、少年の内省の手助けなどをおこない、審判当日までにできる限りの対策を講じます。

少年事件・少年審判でお悩みの方は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。

アトム弁護士の解決事例

弁護士の解決事例(少年審判:不開始)

駅構内のエスカレーターで女性を盗撮した事案。被害者は不明だが、目撃者に追及され、駅員室に連行され、通報。家庭裁判所から通知が届いたため、ご相談にいらした。


弁護活動の成果

受任後は、家庭裁判所からの質問に対応。結果、審判不開始で終結となった。

示談の有無

なし

最終処分

審判不開始

弁護士の解決事例(少年審判:不処分)

少年が複数名で共謀し、コンビニで食料品を万引きした事案。警察から時折、事情聴取を受けていたが、事件から約1年後、逮捕されたため、親御様がご相談にいらした。


弁護活動の成果

受任後、検察から勾留請求された。弁護士が意見書を提出し、勾留請求を阻止。
少年審判の対応をおこなった結果、不処分となった。

示談の有無

なし

最終処分

不処分

弁護士の解決事例(少年審判:保護観察)

少年が路上で、児童を突き飛ばして暴力をふるった事案。在宅事件で捜査を受けていたが、裁判所調査官から少年鑑別所を検討すると言われたことで、ご相談にいらした。


弁護活動の成果

少年自身には、日記、謝罪文、原因分析、読書感想文などを書いてもらい、内省を深めてもらった。また、少年の通院、カウンセリングのサポート。
ご両親には、事件前後の少年の様子の違いを確認し、事件の原因になった環境をどう変えていくか等を検討してもらった。
結果、少年鑑別所への終了を回避。保護観察で事件終結となった。

示談の有無

なし

最終処分

保護観察

弁護士の解決事例(少年審判:児童自立支援施設送致)

14歳未満の少年が、同級生に口淫させ、性交した事案。児童相談所に送致され、親御さんがご相談にいらした。


弁護活動の成果

被害者の方に謝罪と賠償を尽くし、示談が成立。
家庭環境・養育状況について弁護士が上申書を作成し、少年自身に謝罪文を作成してもらう等した。
結果、児童自立支援施設送致となった。

示談の有無

あり。示談金約500万円

最終処分

児童自立支援施設送致

弁護士の解決事例(少年審判:保護観察)

高校生が路上で盗撮をした事案。警察で事情聴取をされており、親御様がご相談にいらした。余罪複数。


弁護活動の成果

5件中1件で、示談が成立。
付添人としての弁護を尽くし、保護観察処分を獲得。

示談の有無

あり。示談金約50万円

最終処分

保護観察

アトム弁護士の評判・依頼者のお手紙

刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。

アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。

突然の出来事で戸惑ったけれど相談をして安堵しました。

ご依頼者からのお手紙(突然の出来事で戸惑ったけれど相談をして安堵しました。)

(抜粋)この度は、大変お世話になりました。法律事務所を訪れたのは初めての事で、何にをどう相談したらよいのかも分かりませんでした。事件を起こした息子の親という事で、どんな目で見られても仕方がないと思っておりましたが、親切にていねいに今後の事、弁護士の役割などを説明して頂き、とつ然おこったことへの戸惑いから少し安堵感を覚えました。結果的に先生のご努力により、息子も人生を棒に振る事なく、就活に励んでおります。息子には初めて接見にいらした先生に会った時の気持ちも忘れないで欲しいと願っています。本当にありがとうございました。

親身になって対応して頂きありがとうございました。

ご依頼者からのお手紙(突然の出来事で戸惑ったけれど相談をして安堵しました。)

親身になって対応して頂きありがとうございました。私達、息子も、先生には大変感謝致しております。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了