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公然わいせつ/頒布等の有名裁判例

ここでは公然わいせつ罪条文中の「公然」の定義について争われた裁判例をご紹介します。
またわいせつ物頒布等罪はとくに表現の自由との関係で問題になります。
わいせつ物頒布等罪における昨今のわいせつ性の判断について参考となる裁判例もご紹介します。

公然わいせつ罪における「公然」について争われた裁判例

裁判所名: 東京高等裁判所 事件番号: 昭和32年(う)第846号 判決年月日: 昭和32年10月1日

判決文抜粋

「公然とは不特定又は多数人の認識し得る状態をいう」
「この場合現実に認識されなくとも、認識の可能性があれば足りる(略)客観的にその行為の行われる環境が公然性を有すれば足りるものと解すべき」

弁護士の解説

人が通るおそれのある海岸においてわいせつな行為をしたものの、現実には人が目撃することはなかったという事例において、有罪となった裁判例です。
過去「公然」については「不特定又は多数人の認識し得る状態」と判示されていたところ、この裁判例において、実際に不特定又は多数の人が認識をする必要はなく、認識にいたる可能性があれば足りるとされました。
実際に人が見たかどうか等といった事情は関係がない、ということが言えます。

わいせつ物の定義について示された裁判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 昭和26年(れ)第172号 判決年月日: 昭和26年5月10日

判決文抜粋

「(被告人らが販売した新聞は)徒らに性慾を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものと認められる」

弁護士の解説

わいせつ物頒布等罪における「わいせつ物」の定義について、「性欲の興奮・刺激」「性的羞恥心の侵害」「善良な性的道義観念への違反」の3つの要件が示された裁判例です。
これら3つの要件がすべて満たされればわいせつ物と認定されます。
これら要件にあてはまるかどうかは、社会通念に従いその作品を見る者の見地から客観的に考察され、かつその物品の一部を切り取ってみるのではなく全体的に考察するべきとされています。

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