アダルトコンテンツなどのわいせつ物をネット上に公開すると「わいせつ物頒布等罪」に問われる可能性があります。
昨今、インターネットの普及が急速に進み、一般の方がネット上に自分の写真や動画をアップすることも珍しくなくなりました。
そのような中、最近になってアダルトコンテンツ(卑猥な画像等)を違法にアップし刑事責任を問われたというケースも多くなってきています。
この記事では、「わいせつ物の頒布・陳列」、「わいせつ電磁的記録媒体の頒布」などで立件された場合の逮捕や刑罰について解説しています。
自分や家族が逮捕されてしまったときにどうしたらよいのか不安な方は、最後までお読みください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
わいせつ物頒布等罪で罰せられる行為
そもそも「わいせつ物」とは?
わいせつ物頒布等罪は、刑法175条1項で定められている犯罪です。
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。
刑法175条1項前段
文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体などの「わいせつ物」を、「頒布」または「公然と陳列」した場合、わいせつ物頒布など罪になります。
ぞれぞれの言葉の意味をみていきましょう。
まず、わいせつ物について、最高裁判所は「その内容がいたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」ものと判示しました。(最高裁判所昭和32年3月13日判決・刑集第11巻3号997頁)。
他人を性的に興奮させたり、刺激させるような文書であることが認められれば、性的羞恥心を害しないなどの事情(芸術品等でしばしば問題となります。)がない限り、「わいせつな文書」等に該当する可能性が高いです。
わいせつ物であるかどうかの判断基準は非常にあいまいです。本人がわいせつ物ではないと思っていても捜査の対象となるケースもあるため、注意する必要があります。
わいせつ物の「頒布」とは?
「頒布」とは、分かりやすくいうと、「不特定又は多数の人に対して交付すること」をいいます。有料・無料は問わず、不特定又は多数の人に無料で交付した時点で「頒布」に該当すると解させています。
例えば、わいせつな画像や動画を、不特定又は特定の多数の人に送りつけた場合には、頒布したと認められ、わいせつ物頒布罪に該当する可能性が出てきます。
わいせつ物の「陳列」とは?
また、わいせつな文書等を「公然と陳列した」場合にも、犯罪が成立することになります。
「公然と陳列した」がどのような行為を指すのかというと「不特定又は多数の人が認識できるような状態に置く」ことをいいます。
例えば、わいせつな画像データや動画のデータをインターネット上で自由に再生したり閲覧できる状態に置いた場合、「公然と陳列した」に該当する可能性が出てきます。
わいせつ電磁的記録媒体の頒布とは?
わいせつ物頒布等罪では、わいせつな文書や図画だけでなく、わいせつな「電磁的記録に係る記録媒体」を頒布したり、公然と陳列した場合も処罰対象にしています。
「電磁的記録に係る記録媒体」とは、わいせつな写真や動画のデータが保存されたパソコンのハードディスクやインターネット上のサーバー等を指すと言われています。
わいせつな画像データや動画データをサーバーにアップロードして一般公開したり、わいせつな動画像データを記録媒体に焼いて頒布したりした場合、同罪に該当する可能性が出てきます。
わいせつ記録送信頒布罪で罰せられる行為
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した場合、わいせつ記録送信頒布罪に問われます。
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
刑法175条1項後段
わいせつ記録送信頒布罪が成立するには、不特定または多数の者の記録媒体に、わいせつな電磁的記録を存在するに至らしめることが必要です。
わいせつ記録送信頒布罪になる例
- わいせつな画像データをメール添付で不特定多数人に送信
- わいせつな写真の画像をファックスで不特定多数人に送信
有償頒布の目的でわいせつ物を所持・電磁的記録を保管した場合の犯罪
わいせつ物は「頒布」や「公然と陳列」しなくても、有償で頒布する目的がある場合、所持しただけで罪に問われ得ます(有償頒布目的わいせつ物所持・わいせつ電磁的記録保管罪、刑法175条2項)。
有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
刑法175条2項
有償で頒布する目的とは、販売目的や有償で貸与する目的になります。
わいせつ物を不特定または多数の人に販売する目的で所持していたり、わいせつな電磁的記録を同じ目的で保管していたりした場合には、実際に頒布や陳列をしていない場合であっても処罰の対象となるわけです。
わいせつ物頒布等罪の量刑とは?
上記の一連の「わいせつ物頒布等罪」の量刑は「2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金もしくは科料、または懲役及び罰金の併科」です(刑法175条1項前段、同1項後段、同2項)。
一般的に、わいせつ文書等の内容や頒布・陳列の規模の程度などによって科される刑の内容が変わってきます。行為の内容がより悪質であると判断された場合、懲役刑のみでなく、懲役刑と罰金刑を併せて科されてしまう可能性もあります。
また、罰金刑が科される場合、有償で頒布した場合の方が、無償で頒布した場合に比べて罰金額が高くなる傾向があるようです。
わいせつ物頒布等罪は起訴される可能性が高い!
わいせつ物頒布等罪で立件された場合、起訴に踏み切られてしまう可能性は非常に高いです。
起訴というのは検察官によって行われる、裁判の開廷を提起する手続きです。
起訴されると原則として裁判が開廷され、統計上99.9%の事件が有罪となります。
なお、検察庁が一般に公開している統計調査によると、2020年度にわいせつ物頒布等罪として送致を受けた事件のうち、起訴に踏み切った割合は約56.3%と過半数を超えていることが認められています。ちなみに、2019年の起訴率は約61.9%、2018年の起訴率は約56.0%という結果が報告されています。
刑法犯全体では2020年度の起訴率は約22.3%であるため、わいせつ物頒布等罪の起訴率は非常に高いと言えます。
関連記事
・起訴とは?弁護士の活動は?起訴の流れは?示談で不起訴?刑事事件の弁護士相談
わいせつ物頒布等罪で逮捕…弁護士相談のメリット
弁護士なら逮捕回避の可能性を上げられる!
逮捕は「証拠隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」が認められるときに行われます。
逮捕・勾留されると起訴されるまで最大で23日にもわたり身体拘束されるおそれがあり、日常生活に影響が生じるのは必至となります。
弁護士は捜査機関に対して「証拠隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」がないことを効果的に主張できます。
関連記事
・逮捕されたら│逮捕の種類と手続きの流れ、釈放のタイミングを解説
弁護士なら不起訴獲得の可能性を上げられる!
わいせつ物頒布等罪は、他の犯罪と比べても起訴に至るおそれが相当程度認められる犯罪です。日本の刑事裁判の有罪率は約99.9%。起訴される可能性が高いといことは、その後、有罪になる確率が高いということ。わいせつ物頒布等罪は前科が残る可能性が高い犯罪といえます。
しかし、わいせつ物頒布等罪で立件されたとしても必ず起訴されてしまうという訳ではありません。
検察官は、様々な事情を考慮して処分に付すべきかを判断するため、当然、情状面などで有利な事情があれば、処分に付しない(不起訴処分)と判断してもらえる可能性も残されています。不起訴処分を得ることができれば、前科がつくことを防ぐことができます。
わいせつ物頒布等罪で不起訴獲得の可能性を上げるためには、同様の犯罪を起こすおそれが一切ないことを強調するという方法が挙げられます。
具体的には、わいせつな文書等は全て破棄済みであること、頒布や陳列行為を可能にしたツール(携帯電話やパソコン等)を今後一切使用しないことを誓約すること、同居人の方や勤め先の方に協力してもらい今後監督を続けることを約束してもらうことなども有効です。
また、初犯であることや、事実を認め十分に反省していること等も、プラスの事情として考慮されると考えられています。
被疑者に有利な要素
- 犯罪に使ったツールを今後一切使用しないことを、本人が誓約する
- 本人が二度と犯罪をくり返さないように、同居の家族が本人を監督する
- 初犯である
etc.
当然、犯罪行為自体が悪質かどうかも重視されるところですが、情状面で有利な事情が複数あれば、検察官からも、今回に限っては不起訴で事件終了になるという判断がなされる可能性も見えてくるでしょう。
弁護士は捜査機関に対して、上記の事情を効果的に主張できます。
刑事事件に精通した弁護士であれば、事件の見通しを適切に示すことができ、その上で、不起訴を得るためにどのような方法が最善なのかについて、早期にアドバイスを得ることが可能となります。
あれこれと自分の頭のなかで思いを巡らせるよりも、まずは弁護士にご相談いただくのがよろしいでしょう。
わいせつ物頒布等罪をアトムの弁護士に相談
アトム法律事務所の口コミ・お客様の声
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。
アトム法律事務所が過去に解決した、性犯罪事件のお客様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
迅速な示談交渉で逮捕・報道を回避
(一部抜粋)事件から約2週間後には、示談が成立しました。とても早かったと思います。ありがとうございます。逮捕・報道に関する意見書を警察署に出して頂き、おかげで、逮捕も報道もされずにすみました。
きちんと話を聞き、適切に対応してくれる
(一部抜粋)野尻先生は、きちんと話を聞いて頂き、本当に大感謝です。相手側の弁護士から電話が来た時は、すごく不安でした。それでも先生はすごく対応して下さってすごくうれしかったです。本当にありがとうございました。先生のおかげで、もう一度チャンスを頂けたと思います。本当に心強かったです。これを機に今後は真面目に頑張りたいと思います。
わいせつ物頒布等罪のお悩みを24時間相談予約受付中!
アトム法律事務所では24時間365日休まず、わいせつ物頒布罪の相談予約受付中です。
わいせつ物頒布等罪は、迅速かつ適切な弁護活動をおこなうことで、不起訴処分を獲得できる犯罪です。
二度とわいせつ物頒布等罪をおこさないこと、反省している事情などを検察官に伝えて、不起訴処分獲得の交渉をうまく進めるには、刑事事件に強い弁護士のサポートが必須といっても過言ではないでしょう。
突然の逮捕、警察からの呼び出しであたふたしてしまっている場合ではありません。アトム法律事務所は設立当初から刑事事件をあつかってきた、刑事事件の解決実績豊富な弁護士事務所です。
一度、アトム法律事務所の弁護士に、あなたのわいせつ物頒布等罪のお悩みを相談してみませんか?
警察から呼び出しが来た、取り調べを受けた、逮捕されたなど警察介入事件では、初回30分の法律相談が無料になります。お気軽にご連絡いただけます。
弁護士の無料相談は、「まずは弁護士との相性を確認してみたい」、「刑事事件を得意とする弁護士の意見が欲しい」、「すぐに弁護活動を開始してほしい」など様々なニーズにおこたえできるものです。
まずはお気軽にお電話ください。アトム法律事務所の弁護士は、あなたの味方です。