
逮捕されてしまった後何もしないでいると、3日ほどで「勾留」という長期の身柄拘束手続きがとられることが通常です。
日常用語としては逮捕と勾留はあまり区別されず、捕まって警察署に拘束されている被疑者のことを「逮捕されている」ということが一般的です。そのため、「勾留」と聞いてもピンとこない方は多いのではないでしょうか。実は、被疑者の身体拘束には「逮捕」と「勾留」の二つの段階があります。
逮捕された後、勾留までされてしまうと生活面でも仕事の面でも様々な支障が生じます。スムーズに日常生活を取り戻すためには、勾留について理解して早期釈放に向けた弁護活動を行うことが重要です。
この記事では、勾留の流れや期間、勾留中の生活、刑事手続きの段階、勾留から釈放される方法など、勾留に関する事柄を弁護士が詳しく解説しています。
大切な家族が逮捕され、勾留されたら、もっとも大切なことは、早く弁護士に相談することです。早く弁護活動を開始することで、釈放に向けて取れる選択肢が広がります。このとき、家族のサポートもとても大切です。この記事を参考に、刑事事件に詳しい弁護士にアドバイスを求めて、早期釈放を目指していきましょう。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。
勾留とは
「勾留」とは|拘留との違い
勾留とは、罪を犯した疑いのある者を刑事裁判にかけるために刑事施設に身柄拘束することをいいます。
勾留には、起訴される前の被疑者の段階で行われる「被疑者勾留」と、起訴されたあとの被告人の段階で行われる「被告人勾留」の二種類があります。
逮捕や勾留は、いまだ裁判で有罪と判断されていない段階で強制的に拘束する手続きですから、犯罪の疑いがあるというだけでは足りず、認められるためには一定の要件を満たした場合に限られます。
「拘留」とは?
刑事事件の用語には勾留と読みが同じ「拘留」という言葉がありますが、意味が違いますので注意が必要です。
「拘留」とは刑罰の一種で、1日以上30日未満の間刑事施設に収容する刑罰です(同種の刑である懲役や禁錮は原則「1か月以上」刑事施設に収容する刑罰)。拘留は、罰金より軽い刑罰として位置づけられており、公然わいせつ罪や暴行罪、侮辱罪、軽犯罪法違反などの軽微な犯罪に規定されています。
逮捕と勾留の違い
被疑者の身体拘束には、まず「逮捕」が行われ、その後に「勾留」の手続がとられるという二段階になっています。
逮捕とは、被疑者に対する比較的短時間(最大72時間)の身体拘束です。逮捕は通常、裁判官の発付する逮捕令状に基づいて行われますが、現行犯逮捕では逮捕状なしに逮捕をすることができるなど例外もあります。逮捕期間は通常弁護士以外が面会をすることはできません。
被疑者の勾留は逮捕に続く比較的長期の身体拘束の手続きです。 逮捕では最大3日間しか身柄拘束をすることができないため、それ以上身柄拘束を続けるためには勾留の手続をとる必要があります。勾留は必ず裁判官の発付する勾留状を必要とし例外はありません。勾留された後は、ご家族など一般の面会ができるようになります。
逮捕時には被疑者の弁解を聞くことはありませんが、勾留の際は警察・検察の取り調べや裁判官の面談などの手続きを経たうえで判断されます。また、逮捕については不服申立てや取消しの制度はありませんが、勾留にはそういった制度も設けられています。
このように、被疑者の身体拘束を比較的短期間の逮捕と長期間の勾留の二段階に分け、後者の手続をより慎重にすることで、不当な身体拘束によって不利益を被らない制度になっているのです。
勾留の手続|勾留の条件・期間・場所
勾留請求|勾留される流れ
逮捕~勾留の決定までの流れ
- 逮捕~警察署での取り調べ
- 検察官への送致(逮捕から48時間以内)
- 弁解録取手続き(検察官の取り調べ)
- 勾留請求(送致から24時間以内)
- 裁判官による勾留質問
- 勾留許可決定
警察は逮捕した被疑者と証拠資料を48時間以内に検察官に引き継ぐ必要があります(検察官送致、いわゆる送検)。引き継いだ検察官は24時間以内に被疑者の話を聞いたうえで勾留請求するか釈放するかを検討します。
勾留請求をした場合、裁判官が検察官の勾留請求に理由があるかを判断するため、被疑者と面接(勾留質問)をして勾留を許可するかどうかを決めます。勾留請求が却下されれば身柄は釈放されることになります。
逮捕から3日程度で釈放されるかどうか、すなわち勾留されるかどうかは、刑事事件の大きなポイントの一つです。
弁護士解説|実務上のポイント
令状による通常逮捕を行う場合は、被疑者が自宅にいると見込まれる出勤時間前の朝方に行われるケースが多いです。逮捕されると1日警察の取り調べを受け、警察署内の留置場で寝泊まりします。
検察官送致では、午前中に同じ留置場にいる被疑者がまとめてに護送車両に乗せられて検察庁に向かい、順番に手続きを済ませ、夕方決まった時間に一緒に警察署に戻ります。送致の日は被疑者にとってはほとんど待ち時間になることが多いでしょう。
法律上送致は逮捕から48時間以内となっていますが、午前中にまとめて送致するという運用上、実務では早朝に逮捕された場合、翌日午前中には検察官への送致が行われるのが通常です。逮捕が早朝の場合、翌々日の午前中の送致では48時間以内という決まりを満たさないためです。一方、逮捕が日中以降であれば翌々日に送致でも間に合うことになります。
また、勾留請求は送致から24時間以内となっていますが、通常は送致を受けて検察官が直接被疑者を取り調べた後はその日中に勾留請求まで行います。
そして、多くの地域では送致が行われた日に勾留質問まで手続きが進行します。検察庁と裁判所は併設されていますので、午前中に検察官の面談を終えた後、勾留請求がなされ、午後には裁判官の勾留質問を受けることになります。
例外的に、被疑者の数が多い東京地検の場合、1日で手続きを済ませることは難しいため、勾留質問は勾留請求の翌日に行われます。前日と同じように午前中にまとめて護送車両で裁判所まで行き、勾留質問を受けて夕方警察署まで帰ってくるという流れです。
このように逮捕のタイミングや管轄地域によっては、逮捕の翌日夕方には勾留質問まで終わっていることもあり得ますし、逮捕から3日後になって勾留質問が行われることもあります。
刑事弁護に精通した弁護士はこういった実務上の手続や地検ごとの運用の実態を熟知していますので、逮捕の時間と場所がわかれば、今現在被疑者がどういう状況にいるのかがわかり、タイミングを逃さずに適切な弁護活動をすることができます。
勾留の条件(要件)
勾留が認められる要件は、犯罪を疑う相当な理由がある場合で、①住所不定、②罪証隠滅のおそれ、③逃亡のおそれ、のいずれかが認められる場合です(刑事訴訟法60条1項)。
すなわち、定まった住所があり、罪証隠滅も逃亡のおそれもないのであれば、犯罪の疑いがあっても勾留することは認められません。その場合、被疑者・被告人は通常の日常生活を送りながら、捜査や裁判をする在宅事件という扱いになります。
なお、罪証隠滅のおそれとは、物的証拠の隠滅をはかることだけでなく、証言に影響を与えるおそれがあることも含みます。そのため、被害者に働きかける可能性があれば認められやすく、共犯者がいる場合などはほぼ罪証隠滅のおそれありと判断されます。
また、罪の重さは勾留の要件と直接的な関係はありませんが、重い刑が見込まれるほど一般に証拠隠滅や逃亡のおそれは高いものと判断されます。
実務上、逮捕された事件の9割以上は何もしなければ勾留されるという状況ですが、勾留されることによって仕事を解雇されてしまうなどの不利益があまりにも大きいということに鑑み、近年では罪を認めている条例違反などの軽微な事件(痴漢や盗撮など)では勾留せずに在宅事件とする傾向もみられています。
勾留の期間
被疑者勾留の期間
被疑者勾留の期間は原則として10日間です。この10日間のカウントは、検察官が勾留請求をした日が1日目です。
刑事訴訟法208条1項は「被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」と規定します。勾留中に処分が決められない時には、被疑者は釈放されます。
また、同条2項には「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。」との規定があります。捜査機関が被疑者勾留の10日間で十分な捜査を行うことができなかった場合、「捜査未了」として勾留が延長されます。延長は最大で10日間なので、被疑者勾留は最大で20日間です。
すなわち、逮捕された事件では起訴・不起訴の判断まで最大で23日間、およそ3週間程度ということになります。前科をつけないために、不起訴を目指すのであればこの3週間での充実した弁護活動が不可欠です。
被告人勾留の期間
起訴された後の被告人勾留の期間は2か月ですが、1か月ごとに更新することができ更新回数に制限はありません。被告人勾留は保釈されなければ裁判が確定するまで続くことになります。
勾留の場所
勾留の場所は、被疑者勾留の場合は警察署の留置場、被告人勾留となった後は拘置所となることが一般的です。
警察の留置施設は、本来の刑事施設である拘置所への収容にかえて利用されているものですので、代用刑事施設(かつては代用監獄)などと呼ばれています。どこに収容するかは裁判官が判断し勾留状に記載しますが、被疑者段階では実務上9割以上は警察署の留置場に勾留される運用となっています。
起訴され、被告人として勾留される際に拘置所に身柄が移動することが多いでしょう。ただし、保釈が見込まれるような場合、手続き上の都合から起訴後も引き続き留置場にとどめ置かれることもあります。
勾留通知|勾留の連絡は家族にされるのか
勾留の際に弁護士が付いていない場合は、勾留されたことを被疑者の指定した家族等の1人に通知しなければなりません(刑事訴訟法207条1項、79条)。弁護士がいる場合は弁護士に通知されます。
勾留決定されたことを誰に通知するかについては、勾留質問の際に裁判官から聞かれます。通知は通常、罪名や勾留場所の記載された通知書の送付によって行われます。
これに対し、逮捕時の連絡については特に決まりがなく警察の判断によります。家族であっても勾留されるまでは連絡が行くとは限りませんので注意が必要です。
留置場での生活|接見、面会は自由にできる?
被疑者勾留の間、生活が送られるのは留置場です。警察署内に設置された留置施設にて、身体拘束されながら警察や検察官の取り調べを受けます。
家族や友人などの一般面会は、通常、一日につき一回、同時に3名までという制限に従わなければなりません。
各警察署で運用が異なることがありますので、面会に行く前には警察に問い合わせて、ルールの確認をしておきましょう。面会ができる時間は一回15分程度と決められている警察署が多いため、予めどのような会話をするかを考えておくとよいです。差し入れについてもルールがあります。一般書籍は許されることが多く、週刊誌も付録を外せば差し入れることが可能です。
勾留決定のタイミングで「接見禁止」の処分があわせて出されることがあります。接見禁止が付されると、家族でさえも面会が許されず、差し入れも禁止となります。共犯者がいる事件や組織犯罪では接見禁止が付されることが多いです。このときでも、弁護士であれば何の制約もなく、面会ができます。弁護士は被疑者の権利を守る重要な役割を担っているため、いつでも、一日何回でも、警察の立会いなしで面会が可能です。
勾留を阻止して早期釈放される方法とは
勾留阻止で日常生活を取り戻す|仕事をクビにならないために
もし、突然逮捕されそのまま長期間の身体拘束を受けてしまったとしたら、受けることになる社会生活上の不利益は非常に大きいでしょう。人によっては勾留によって受ける不利益は、前科がつくことよりも重大だと言うこともあります。
2~3日であればどうにかなるとしても、3週間も拘束されてしまえば仕事をクビになる可能性は非常に高まります。
実際、逮捕されてしまったことが会社に発覚してしまったり解雇になる最も多い原因は、勾留が認められることで長期の無断欠勤に陥ることにあります。
そこで、逮捕されたとしてもいかに早期釈放されるかが、スムーズに日常生活を取り戻すための重要な分岐点の一つです。
勾留阻止は逮捕から3日以内の弁護活動がポイント
逮捕から勾留請求までは最大で72時間しかありません。そのため、早期釈放を目指すためには逮捕直後から弁護活動を行う必要があります。
なお、国選弁護人を付けることができるのは勾留中の被疑者です。通常は勾留質問の際に私選弁護士がいない場合に裁判官から国選弁護人をつけるかどうか聞かれます。
勾留阻止のための弁護活動をするには国選弁護人の選任を待っていてはタイミングを逃してしまうおそれがあります。弁護士費用との相談もあるとは思いますが、 勾留を回避するためには、逮捕後すぐに弁護士へ相談をして迅速に弁護活動をしてもらえる弁護士に依頼をすることがポイントです。
勾留阻止の弁護士活動①検察官へのはたらきかけ
検察官は、被疑者が逃亡するおそれがあるときや、証拠隠滅をはかるおそれがあるときに、勾留請求を行います。つまり、捜査を円滑に進めるために、被疑者を拘束して証拠収集を行う必要があるときに勾留請求を行うのです。反対に、逃亡のおそれもなく、証拠隠滅の可能性がないことを示すことで、検察官の勾留請求を阻止することが可能です。
逮捕後の勾留を阻止するために、弁護士がまずすることは検察官への働きかけです。捜査を行うにあたり、身体拘束をする必要が無いこと、在宅捜査でも目的は達成できることを説明して勾留阻止を目指します。
具体的には、被害者の家族から身元引受書を取得したり、勤め先がわかる社員証を検察官に提示するなど定職についており逃亡は考えられないことを示します。 証拠隠滅の可能性を消すために、被疑者が被害者と接触しないことを誓約書にして示すことも大切です。また、被疑者が勾留されて身動きがとれなくなることで、どのような弊害が生じるか、家族や仕事関係者から話を聞き、検察官への上申書を用意することも考えられます。
検察官は、警察から事件を引き継いでから24時間の間に勾留請求を行うかを考えます。弁護士が検察官に意見書を提出したり直接検察官に事情を説明するタイミングは、極めて限定的です。送致(事件の引き継ぎ)の直後、すぐ担当検察官を調べて接触し、弁護士が収集した証拠を提出して釈放を求めなければなりません。
勾留阻止の弁護士活動②裁判官へのはたらきかけ
検察官が勾留請求をした場合、弁護士がすべきことは、勾留の判断を行う裁判官に対する働きかけです。検察官に示したのと同じように、裁判官にも勾留すべきでないこと、勾留せずとも捜査目的は達成されることを説明しなければなりません。場合によっては、弁護士は勾留質問が実施される前に裁判官と面談を行い直接事情を説明します。
裁判官は検察官から勾留請求を受けると被疑者本人と会います。その際に行われるのが勾留質問です。裁判官は勾留質問後、数時間のうちに勾留をするかどうかを判断します。そのため、勾留請求が行われると、弁護士は急いで裁判官にコンタクトをとり釈放を求めることが必要です。
裁判所によって、勾留質問が行われるのが勾留請求の日であるときと、その翌日であるときがあります。大阪地方裁判所(大阪簡易裁判所)のように即日勾留質問が行われる場合は「即尋(そくじん)」、東京地方裁判所(東京簡易裁判所)のように翌日勾留質問が行われる場合は「翌尋(よくじん)」といわれます。
勾留後の弁護士活動|「準抗告申立て」と「勾留取消し請求」
被疑者が勾留されてしまった後は、裁判所に「準抗告申立て」や「勾留取消し請求」をすることが検討されます。 また、「勾留延長」に際しても意見書を提出し検察官や裁判官に働きかけるなどして、勾留延長の阻止を目指します。
その他、示談によって不起訴が見込まれる事件などでは、被害者と示談が成立しその結果を検察官に報告することで釈放がなされるケースも多いです。勾留が刑事裁判の準備としての手続である以上、検察としても不起訴が見込まれる事件についてわざわざ勾留しておく必要性がないからです。
準抗告申立て
勾留決定に不服がある場合には、弁護士は「準抗告申立て」を裁判所に対して行います。裁判官のした勾留の判断が誤りだったと主張するのです。この際、勾留決定を出した裁判官とは別の裁判官三人で構成された裁判体で再度検討が行われます。そして、準抗告が認められると、被疑者は釈放されます。
裁判官の判断が間違いであったことを、別の裁判官が認める手続きですので当然簡単には認められるものではないですが、近年は認容数も増加しており、2019年には準抗告申立て14,643件のうち2,834件(約20%)が認容されています(弁護士白書2020年版より)。
勾留取消し請求
勾留決定がされた後の事情の変化によって、「これ以上、勾留する必要がなくなった」という場合には「勾留取消し請求」を行います。主に、勾留中に被害者と示談をすることで証拠隠滅のおそれがなくなったが釈放されないケースなどが考えられます。これが認められると、勾留の途中でも釈放され、被疑者は自宅に帰ることが可能です。
「被告人勾留」中に行う保釈請求
起訴後、被告人勾留からの釈放|保釈請求を行う
被疑者勾留が満期を迎え、起訴された場合には、そのまま被告人勾留へと移行します。起訴後、被告人勾留に入ると、「保釈」という手続が可能です。弁護士は、裁判所に保釈請求書を持参し、被告人の釈放を求めます。保釈請求は被告人本人でも行うことができ、留置施設に簡易な書式が設置されていることもあります。しかし、現実には、拘束状態にある被告人本人が保釈請求を行うことはかなり難しいものです。
保釈で釈放されるためには、これから行われる刑事裁判に必ず出廷することが約束されなければいけません。そのため、保釈中の生活場所、監督者がしっかり決まっていることが最低条件となります。職場の上司に協力してもらい、自宅を離れているときでも監視できるようにしておくことが有効です。
保釈の判断をするのは裁判所?裁判官?
保釈の判断をするのは、刑事手続きの段階によって「裁判官」であるときと「裁判所」であるときがあります。起訴されてから第一回公判までは、「裁判官」が保釈の判断を行います。そして、第一回公判が終われば、それ以降の保釈の判断はその事件の審理を行う裁判所が行わなければなりません。係属裁判所が裁判資料以外の資料を見て、予断を持って裁判することがないよう、第一回公判までの保釈については別の裁判官が判断するのです。
このような点は弁護士には重要ですが、被告人やその家族が知っておく必要はありません。保釈請求書を提出すると、裁判官は検察官に意見を聞き、その意見を踏まえて判断が行われます。保釈許可決定が出されると、保釈保証金を裁判所に納付し釈放が許されます。
被告人勾留の勾留期間は2ヶ月間?更新される?
刑事訴訟法60条2項には、「勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。」と規定されています。さらに、「特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。」と定められています。通常、起訴された後は、保釈が認められない限り裁判が終わるまで釈放されることはありません。
実務では、第一回公判は起訴後、約1ヶ月あたりのタイミングで期日が組まれることが多いです。どれだけ遅くても、2ヶ月の勾留期間内に予定されます。そして、その後の期日のために、被告人勾留は更新されていくことになるのです。振り込め詐欺などの裁判が長期化する刑事事件では、1年以上も被告人勾留が続くことがあります。
被告人勾留中の生活|接見、面会は自由にできる?
被告人勾留の間、生活を送るのは警察署内の留置場か拘置所です。基本的には留置場から拘置所に移動することになりますが、拘置所の収容人数が限界に達しているときには、引き続き留置場で生活をすることになります。ここでも、接見禁止処分が出されていない限り、一般面会をすることができます。
弁護士は裁判に向けて被告人と打合せを行うことが必要です。そのため、弁護士は勾留中に何度も足を運び、被告人の裁判をどう進めるかを検討していきます。勾留場所が拘置所の場合、施設管理の関係で、接見時間が制限されてしまうことがあります。事前に予約をいれる必要がある施設もあり、弁護士も接見に行く前には電話で問い合わせることが多いです。
まとめ
被疑者勾留と被告人勾留は、似ているようで違います。刑事手続きの流れを理解する上で、「勾留」をおさえておくことは大切です。早期釈放を目指すにあたっては、早めに弁護士に相談し、すぐに弁護活動を開始してもらう必要があります。大切な家族が逮捕された場合は、とにかく急いで弁護士までご相談ください。刑事事件は次々と手続きが進められていきますので、時間勝負であることを覚えておきましょう。