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逮捕と書類送検の違いとは|身体拘束の有無がポイント

「逮捕されたが前科がついたのか」「釈放されて書類送検と言われたが無罪になったのか」とお考えの方もいるかもしれませんが、これらはいずれも間違いです。

逮捕も書類送検も、捜査の早い段階で行われる刑事手続きですが、ここで適切な対応を取ることが、早期釈放で普段の生活に戻れるかどうかや、最終的に前科を防げるかどうかに大きく影響します。

そこで今回は、身体拘束や時間制限の有無など、逮捕と書類送検の違いと、それぞれで取るべき対応について解説します。

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逮捕と書類送検の違い|身体拘束の有無が最大の違い

ニュースなどで、「書類送検」されたという報道を耳にすることがよくあります。しかし、書類送検について「書類送検は逮捕より軽くて甘い処分である」とか、「書類送検されたらそれで終わり」というような誤解をしばしばされていることがあります。

「書類送検」とは、どのようなもので、どういった場合にされるのかなど、逮捕と書類送検の違いについて確認をしていきましょう。

逮捕と書類送検|それぞれの意味は?

逮捕とは、犯罪の容疑を受けた人の身体を拘束する刑事手続きのことです。逮捕は本来、逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われるものですが、実情としては事件の全体像の解明のため、取調べを行うために行われるという側面もあります。
逮捕には、通常逮捕(逮捕状による逮捕)、現行犯逮捕(犯行現場等で令状なく行える逮捕)、緊急逮捕(一定の重大事件で事前の令状なく行える逮捕)の3種類があります。

書類送検とは、事件の書類を検察に送る手続きのことです。通常、事件の捜査は、まず警察が行い検察に引継ぎますが、この引継ぎを検察官送致(送検)と言います。逮捕されると、被疑者本人と書類が送検されますが、逮捕されない場合や釈放された場合は書類だけが送検され、これを書類送検といいます

逮捕と書類送検|留置場に入るのはどっち?

逮捕と書類送検のうち、留置場に入るのは「逮捕」です。留置場とは、警察署内にある被疑者を収容するための施設です。逮捕された被疑者は、留置場に入れられ、そこから警察署内の取調室に出向いて取調べを受けます。そして逮捕から48時間以内に、本人と事件書類が一緒に検察庁に送られます(送検)。

一方、書類送検の場合、 被疑者は自宅から警察署に出向いて取調べを受ける等して捜査されるため、留置場に入ることはありません。 これを在宅捜査といいます。警察の捜査で作成された書類が、書類送検されて検察に引き継がれることになります。

逮捕と書類送検|なにを基準に判断する?

犯罪の容疑をかけられたら必ず逮捕されるわけではありません。逮捕するには次の2つの条件を満たす必要があります。

逮捕の条件

  • 逮捕の理由:目撃証言など、犯罪を裏付ける客観的な証拠があること
  • 逮捕の必要性:住所不定、証人を脅したなど、逃亡や証拠隠滅の恐れがあること

理由がなければ逮捕ができないのは当然です。少なくとも逮捕をするためには、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由が必要です。「この人はもしかしたら犯罪をしたかもしれない」といった程度では逮捕はできません。

しかし、明らかに犯罪をしたと認められる(=逮捕の理由がある)ケースであっても、逮捕の必要性がなければ逮捕をすることはできません。逮捕の必要性とは、主に逮捕をしなければ逃亡や証拠隠滅をするおそれがあることをいいます。
たとえば、被疑者に仕事と家庭がある、罪が軽微で反省している、前科前歴がない等の場合は、逮捕の理由があっても、逮捕の必要性がないとして逮捕されないことが多いです。

逮捕の理由と必要性がない場合は逮捕されず、在宅捜査を受けて書類送検されることになります

犯罪をしたら必ず逮捕されるというわけではありませんし、逆に逮捕をされずに書類送検(在宅捜査)で済んだからといって不問になったわけでもありません。

罪の重さや被害の程度・事件の重大性などは、逮捕の有無に直接的には関係しません。ただし、重大事件で有罪判決や実刑が強く見込まれるような事件であれば、逃亡や証拠隠滅のおそれも高くなると判断されやすいので、結果的に重大事件は逮捕されやすいということはあります。

逮捕と書類送検|処分が重いのはどっち?

逮捕と書類送検の判断の違いは、主に逃亡と証拠隠滅のおそれの有無の差ですので、送検の時点でどちらの処分が重いということはありません最終的な刑事処分の重さは、検察官による起訴・不起訴の判断や、刑事裁判の判決によって決まります。そのため、「(犯してしまった罪に対して)書類送検では処分が軽すぎる」というのは誤った理解です。

もっとも、逮捕の場合は強制的な身体拘束を一定期間受けますので、事実上身体拘束の不利益が大きいという意味では書類送検より重い処分であるという考えはできるでしょう。また、逮捕されるということは、逃亡や証拠隠滅の恐れが懸念されているといえるため、書類送検の場合に比べて、捜査機関から厳しい目で見られていると考えられます。

一方、書類送検される在宅捜査の場合は、警察の呼び出しに応じる以外は日常生活を送れます。そのため、弁護士に相談をして、処分を軽くする弁護活動を依頼しやすいです。
逮捕された場合には、ご自身で弁護士や必要な情報にアクセスすることは難しくなりますので、当番弁護士の接見を受けたり、外にいる家族が私選弁護士に相談する必要があります。

逮捕や書類送検で前科はつく?

逮捕や書類送検をされただけではまだ前科はつきません。前科は有罪判決が確定したことをいいます。逮捕や書類送検された後、検察官が事件を起訴し、裁判で有罪判決を受け、判決が確定して初めて前科がつきます。具体的には、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留・科料の判決が確定した場合で、執行猶予がついた場合を含みます。

日本の刑事司法では、起訴されると約99%が有罪判決を受けます。そのため、逮捕や書類送検をされても前科をつけないためには、そもそも起訴を防ぎ、不起訴処分を獲得することが重要です。早急に弁護士に依頼し、被害者と示談したり再犯防止の取組みを見える化して、検察官に伝えてもらいましょう。

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逮捕からの流れ|時間制限が大切

逮捕は、裁判で有罪になったわけでもないのに、強制的に身体拘束をして留置場生活を強いる行為です。そのため、逮捕後の身体拘束には厳しい時間制限が設けられています。

この厳格な時間制限は、身体拘束を最小限にするという意味で極めて重要なものですが、一方で起訴の判断までの時間的な猶予があまりないため、不起訴を目指すためには迅速な弁護活動が不可欠です。

逮捕からの流れ

①逮捕後まずは警察の取り調べ|48時間以内に送検

逮捕されると、警察署の留置場に入れられ、そこから署内の取調室に出向いて取調べを受けます。逮捕から48時間以内に、被疑者本人と事件書類が送検され、検察官に引き継がれます。警察では、被疑者=犯人という前提で取調べられることが多く、辛さからやってもいない罪を認めてしまうこともあります。

こうした事態を防ぐには、逮捕後できるだけ早く弁護士接見を受け、黙秘権の効果的な使い方や、納得できない供述調書が作成された場合の対応方法など、取調べのアドバイスを受けることが重要です。また、弁護士に依頼すれば、逮捕中でも示談等の弁護活動を進めてもらうこともできます。

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②送検後は検察官の取り調べ|24時間以内に勾留請求

送検後、検察官は自ら被疑者を取り調べます。送検から24時間以内に、取り調べの結果と警察から引き継いだ書類をもとに、被疑者を拘束して捜査を続けるか検討し、拘束すべきと判断すると裁判官に勾留請求を行います。裁判官もこれを認めると、10日間の勾留が決定し留置場生活が続くことになります。

勾留は、①罪を犯したと疑う相当の理由、②住所不定、証拠隠滅の恐れ、逃亡の恐れのどれか(刑事訴訟法60条1項)を満たす場合に認められます。これらの要件を満たさない場合は、逮捕だけで釈放されます。勾留されると仕事や学校への影響は甚大です。早急に弁護士に勾留を防ぐ活動を依頼しましょう。

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③勾留中に起訴不起訴の決定|最長20日間

日本では、検察官だけが事件を起訴する(裁判にかける)か否かを決める権利を持ち、この判断は勾留中に行われます。勾留は原則10日ですが、捜査の必要性がある場合は最長10日間延長されます。つまり、検察官が、勾留期間である最長20日間の間に、事件を起訴されるか不起訴にするかを決定します。

そのため、不起訴で前科を避けたい場合は、最長20日間の勾留期間が勝負です。被害者がいる犯罪では謝罪と賠償を尽くして示談を締結したり、家族のサポート体制を整えるなど再犯防止の行動を証拠化して検察官と交渉します。これらは弁護士しかできません。刑事事件に強い弁護士にまずご相談ください。

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逮捕後、家に帰れるタイミングはある?

逮捕されても、釈放され家に帰れるタイミングがあります。まず、軽い窃盗など被害が小さい場合は、微罪処分として逮捕から概ね48時間に釈放される可能性があります。次に、示談が成立したり家族の支援体制が整うなどした場合は、勾留されず、逮捕から72時間以内に釈放される場合があります。

さらに、勾留されても不起訴になれば釈放され、前科がつかず事件は終わります。起訴された後は、保釈が認められるか、裁判で無罪か執行猶予付判決を得なければ釈放されません。拘束期間が長引くほど生活への影響は大きくなるので、早期の釈放を目指す場合は1日も早く弁護士に相談しましょう。

書類送検後の流れ

書類送検後の流れ

書類送検後は検察官が起訴するか決める|不起訴を目指すなら示談を

逮捕されずに書類送検されると、無罪になったと安心する人がいますが、間違いです。書類送検された被疑者は、今まで通りの生活を送れますが、検察官から呼び出しの連絡があるので、その際は検察庁に出頭する必要があります。呼出しは、書類送検から1週間以内のこともあれば数か月後のこともあります。

検察官は、出頭した被疑者を取り調べ、警察から送られた捜査書類も精査して、事件を起訴するか不起訴にするかを決定します。不起訴を獲得したい場合は、起訴される前に示談をしたり、通院するなど再犯防止の取組みを整えて検察官に伝え、信用してもらうことが重要です。

示談とは、民事上の紛争を当事者間で話し合って解決することをいいます。
被疑者と被害者が和解しているのであれば、被害者の処罰感情は緩和されている以上、被疑者に重い刑罰を科す必要は無いので不起訴処分にするのが妥当である、と検察官に判断される可能性が高まります。

もしも示談成立後に起訴されたとしても、被害者に賠償と謝罪を尽くした点が考慮されて刑が軽くなる見込みがあります。

書類送検後に逮捕されることはある?

書類送検されるのは、逮捕されなかったり釈放された場合ですが、書類送検後に逮捕される場合もあります。前述のように、書類送検後、検察から呼出しがあった際は検察庁に出頭する必要があります。しかし、繰り返し呼出しを無視する等していると、逃亡の恐れがあるとして逮捕される可能性が高まります。

検察の呼び出しはある日突然あるので、都合が悪い場合もあるでしょう。そのような場合はある程度融通を利かせてもらえます。ただし、原則平日の昼間にしか対応してもらえません。それでも、仕事を理由に何度も出頭を拒んだり無視すると、逮捕される上に心証が悪くなる恐れも高まります。

書類送検後、起訴不起訴が決まるまでに時間制限はある?

書類送検後、起訴不起訴が決まるまで、時間制限はありません逮捕された場合は、勾留期間である最長20日間に起訴不起訴の判断がされる点と大きく異なります。検察からの呼出しも1週間~数か月後と幅がありますが、起訴不起訴の判断も、早ければ書類送検から1か月後、長い場合は1年近くかかることもあります。

書類送検の場合、原則日常生活を送れることや、起訴不起訴の決定に時間制限がないことから、事件を忘れ、呼出で焦る人が多いです。しかし、放置された被害者の怒りが増したり、証拠が散逸する等、手遅れになるケースも少なくありません。在宅であることを生かし、早急に弁護士に相談しましょう。

逮捕、書類送検に弁護士ができること

逮捕後に弁護士の接見でアドバイスをもらえる

逮捕後最長72時間は、家族も面会できません。この間に面会できるのは弁護士だけです。そこで、弁護士を留置場に派遣して接見を受けることが大きな意味を持ちます。弁護士接見は、何時でも、何時間でも、何回でも受けることができ、警察の立会いもないので、安心して相談をすることが可能です。

取調べでの会話が記された供述調書は、検察官の起訴不起訴の判断で大きく考慮されます。接見で、黙秘権の使い方や、納得できない供述調書への対応などアドバイスを受けておくことは、不起訴獲得にも役立ちます。また、示談や家族の支援体制を整えてもらうことで、早期釈放の可能性も高まります。

書類送検後に示談交渉を依頼したり取調べのアドバイスを受けることができる

書類送検された場合、弁護士に相談・依頼することで、被害者がいる場合は謝罪と賠償を尽くして示談をしてもらったり、再犯防止の取組を整えて証拠化してもらうことができます。これらの対応は、検察官が起訴か不起訴かを決める際に有利な事情として考慮してもらうことができます。

また、書類送検でも検察官に呼出されて取調べを受けるので、事前にアドバイスを受けておくと安心です。書類送検で在宅捜査を受けている場合、安心して何もしない人もいますが、決して無罪になったわけではありません。不起訴を獲得し前科を回避したいのであれば1日も早く弁護士に相談すべきです。

特に、在宅捜査の場合、当番弁護士制度や国選弁護士を利用することができませんので、ご自身で私選弁護士を探す必要があります。相談・依頼が早いほど、弁護士ができる対応は多く、良い結果に繋がりやすいです。

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監修者情報

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代表弁護士 岡野武志

第二東京弁護士会所属。ご相談者のお悩みとお困りごとを解決するために、私たちは、全国体制の弁護士法人を構築し、年中無休24時間体制で活動を続けています。