「未成年でも逮捕されてしまうのか」
「未成年の我が子が逮捕されたらどうすればいいのか」
未成年でも逮捕される可能性はありますが、逮捕されるかどうかは未成年者の年齢によります。
未成年が逮捕された場合には、少年法の適用をうけて手続きが進められていきます。未成年が逮捕されてしまうと、その後の流れはどうなってしまうのか、分からない点も多いでしょう。
この記事では、未成年の逮捕事件(少年事件)をあつかう弁護士が、少年事件で逮捕される可能性、逮捕後の手続きの流れ等を解説しています。
なお、当記事で記載の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、成人とは20歳以上の者を指しています。民法上の成人(民法第4条)とは異なるものです。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
未成年は逮捕される?
未成年者の刑事事件とは?
未成年者が逮捕された場合など、未成年者の刑事事件のことは「少年事件」と呼ばれます。少年事件は、少年法の適用をうけて手続きが進められていきます。
少年法上、未成年者は性別にかかわらず「少年」と呼ばれます。
14歳以上の未成年なら逮捕される
14歳以上の未成年者が、犯罪を犯した場合「犯罪少年」と呼ばれ、逮捕される可能性があります。
逮捕後は、成人の事件とおおむね同じ手続きを経て、家庭裁判所に送致されたあと、適切な処分が決定されます。
14歳未満の未成年は逮捕されない
14歳未満の未成年者が刑罰法令に触れる行為をした場合は「触法少年」と呼ばれます。
触法少年(14歳未満の未成年者)は、刑事責任を問われませんし、逮捕も勾留もされません。
ただし、14歳未満の未成年者は、児童相談所に一時保護される形で身体拘束を受けることはあるでしょう。
未成年が逮捕された後はどうなる?
未成年の逮捕~家裁送致後の流れ
未成年が逮捕された直後の流れは、成人の事件とおおむね同じです。警察は、留置する必要があるとき、逮捕から48時間以内に事件を検察官に送致します。送致を受けた検察官は、留置の必要があるとき、送致から24時間以内に裁判官に勾留の請求をします。
もっとも、未成年の場合、逮捕後につづく身体拘束に関しては、「成人と同じように勾留される」こともあれば、「勾留に代わる観護措置が取られる」こともあります。観護措置を受けた少年は、少年鑑別所に収容されます。
勾留または観護措置の期間が終われば、一定の嫌疑があると判断された少年事件は、すべて家庭裁判所に送致されます。これを全件送致主義といいます(少年法41、42条)。
少年事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所調査官によって、少年の生活環境や事件を起こした背景などが調査されます。調査官は調査した結果を「社会記録」としてまとめ、家庭裁判所の裁判官に提出します。
裁判官は、社会記録をみて少年審判をするべきか検討します。審判不開始という判断をすれば、少年事件はそこで終了です。審判が行われれば、審判の手続きを経て、いずれかの処分が下ります。
少年審判の終局処分
- 不処分
- 保護処分
- 知事または児童自立支援施設等送致
- 検察官送致(逆送)
未成年が逮捕された後の少年事件の流れや処分の内容をさらに詳しく知りたい方は『少年事件の流れを弁護士がわかりやすく解説|逮捕されたら弁護士に相談』の記事をご覧ください。
審判不開始は「環境調整」が鍵になる
審判をせずに事件を終了するかは、家庭裁判所裁判官の判断によります。調査官の報告に基づき、審判不開始となれば少年は元の生活に戻ることができます。ここで重要なことは、少年が少年院に行く必要がないということを、いかに説得的に主張できるかということです。
何もしないまま少年が元の生活に戻れば、同じことを繰り返したり、精神状態が悪化する危険も否定できません。それを防ぐために、監督者や協力者を用意し、少年が更生できる環境を整えることが大切です。
未成年が逮捕されたらどうする?
未成年が逮捕されたら弁護士に相談する
未成年(少年)が逮捕された場合、家族がまずすべきことは、弁護士への相談です。
逮捕されてしまうと、長期間の身体拘束を余儀なくされてしまうおそれもあるため、すぐに動き始めることが必要です。事件の背景や少年本人の言い分を聞き、釈放のために何を主張すべきかを検討する必要があります。
逮捕されてしまうと、少年の精神状態が不安定になることも十分に予想されます。逮捕から3日間程度は、弁護士以外の面会ができません。お子様が逮捕されたという場合には、まずは状況を把握し少年事件への対応に備えるため、弁護士に相談することをおすすめします。
関連記事
・少年事件を弁護士に依頼する|わが子が犯罪を犯したら親がすべきこと
少年事件で弁護士に付添人になってもらう
未成年者はまだ心身が未成熟であり、事件の根本解決にむけては専門家の手助けが必要です。家庭裁判所に送致された後、弁護士は「付添人」となって少年の更生に助力します。成人の事件では「弁護人」というところが、少年事件では「付添人」という言葉になるのです。
事件の根本に家族関係や生活環境の問題があると認められれば、その改善に向けて環境を整えることが必要です。少年の健全な心身の成長が期待できる環境を作ることが、事件の解決につながるのであり、再犯防止策になります。弁護士は付添人として調査官と連絡を取り合いながら、少年に何が必要かを見極め環境改善に努めます。
付添人弁護士は、少年の親も選任することができますので、未成年の子供が逮捕された場合には、すぐに弁護士の選任を進めてください。少年本人との相性も重要ですので、一度本人との弁護士面会を設定し、本人の意向を確認することも大切です。
逮捕後の弁護士面会は接見と呼ばれます。接見について詳しく知りたい方は『弁護士の接見とは|逮捕中の家族のためにできること・やるべきこと』の記事をご覧ください。
未成年の日常生活への影響を最小限にする
逮捕後であっても家庭裁判所に送致される前であれば、観護措置を防ぐための弁護活動を期待できます。観護措置がなされなければ、少年鑑別所に入れられずにそのまま学校や職場に通うことができるため、日常生活に大きな影響を及ぼさずに済みます。
また、お子様の年齢が処分確定時に20歳を超えていると、刑事裁判を受けることになるおそれもあります。弁護士に依頼することで、速やかな事件処理により刑事手続への移行を防ぐことができる可能性が高まります。
未成年の逮捕でよくある質問
Q1.未成年が逮捕されるのは何歳からですか?
未成年が逮捕される年齢は、14歳からです。
14歳以上20歳未満の未成年が、刑法で定められた犯罪を犯した場合、逮捕される可能性があります。
Q2.18歳が逮捕されるとどうなりますか?
18歳以上20歳未満の未成年は「特定少年」と呼ばれます。
特定少年の場合は、刑事裁判を受ける可能性がより高くなる、実名報道の懸念が生じる等の点で、17歳未満の未成年の逮捕事件とは異なるでしょう。
17歳未満の未成年者と比べて、18歳・19歳の少年は社会において責任ある主体であるということが区別の理由となっています。
選挙権年齢や民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ,18・19歳の者は,社会において,責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場になりました。
今回の少年法改正は,18・19歳の者が罪を犯した場合には,その立場に応じた取扱いとするため,「特定少年」として,17歳以下の少年とは異なる特例を定めています。
法務省「少年法が変わります!」
刑事裁判を受ける可能性が高くなる(18歳以上の少年の逆送事件の拡大等)
逆送は、家庭裁判所によって、保護処分ではなく、刑罰を科すべきと判断された場合に、事件を検察官に送る(≒送致する)手続きです。
逆送された事件は、必ず刑事裁判にかけられます。
刑事裁判で有罪の確定判決がだされれば、刑罰が科されることになります。
また、原則逆送事件については、該当する場合必ず逆送されることになり、必ず刑事裁判にかけられることになります。
原則逆送対象事件とは,家庭裁判所が原則として逆送しなければならないとされている事件で,現行の少年法では,
○ 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人罪,傷害致死罪など)の事件がこれに当たります。
今回の改正で,18歳以上の少年(特定少年)については,原則逆送対象事件が拡大されることとなりました。
法務省「少年法改正 Q&A」
特定少年については、原則逆送対象事件の範囲が広いものになっています。
基本的には、16歳以上の少年のときに犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪については、原則逆送となります。
それに加えて、18歳・19歳の未成年者(特定少年)の場合は、18歳・19歳のときに犯した「死刑、無期又は1年以上の懲役・禁錮」にあたる罪の事件については原則逆送となります。たとえば、現住建造物等放火罪、強盗罪、不同意性交等罪、組織的詐欺罪などを犯した場合、特定少年であれば必ず逆送されます。
刑事罰が重くなる可能性
特定少年については、逆送決定後は20歳以上の者と原則同様に取り扱われるなど、17歳以下の未成年とは異なる取り扱いがされます。
例えば、有期懲役刑の期間の上限については、17歳未満の未成年の場合は15年です。
一方、特定少年(18歳・19歳の未成年)の場合は、(成人と同様に)有期懲役刑の上限は30年となります。
実名報道の解禁
また、未成年の犯人の実名・写真等の報道は禁止されていますが、18歳以上の少年のときに犯した事件について通常起訴された場合は、実名報道が解禁されます。
Q3.少年院に入る確率は?
令和4年度の少年保護事件のうち、一般保護事件(過失運転致死傷等保護事件及びぐ犯を除く)については、全体の約6.4%が少年院送致となっています(令和5年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/1より)。
ただ、一般的な確率を確認することに重要な意味はないでしょう。
少年院送致になるのか、それとも保護観察か、あるいは審判不開始かなどは、個別の事情に左右されるからです。
弁護士相談を活用して、少年事件の今後の見通しについて確認するのがよいでしょう。
Q4.未成年が万引きをしたら逮捕されますか?
未成年者であっても、万引きをすれば逮捕される可能性はあります。
ただし、未成年者が逮捕される場合があるとしても、それは14歳以上の未成年に限られるでしょう。
関連記事
・未成年が窃盗罪で逮捕される場合とは|少年事件に詳しい弁護士の解説
Q5.未成年が逮捕された場合、何日間くらい留置されますか?
逮捕された場合は、未成年者であっても成人であっても、手続きの流れは基本的には同じです。
成人の場合と同様、最大72時間、警察の留置場で生活することになります。
その後、検察官のもとで勾留される可能性もあるでしょう。その場合は、逮捕から最大23日間拘束されることになるでしょう。
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未成年の我が子が逮捕された場合は、すぐに弁護士までご連絡ください。
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逮捕直後は家族であっても面会が許されません。そのため、弁護士が代わりに面会をして、必要なアドバイスを差し上げることが何より重要です。
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