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盗撮の余罪はどこまで捜査されるのか|警察はデータを復元できる?

盗撮の余罪

2023年7月13日、盗撮を処罰する「撮影罪」が新たに導入されました。

「盗撮の余罪があると処分は重くなるのか」
「盗撮の余罪が発覚した場合、余罪も立件されるのか」
「盗撮のデータはバレる前に消すべきか」
「警察はどこまで盗撮のデータを復元できるのか」

盗撮で捕まったという場合、ほとんどのケースで初めての盗撮ではありません。そのため、余罪については大きな心配事だと思います。当然、警察も余罪の有無や常習性について追及をしてきます。押収されたカメラやスマートフォン、自宅のパソコンから他の盗撮画像が見つかり、それらが捜査対象になってしまうことがあるのです。

この記事では、盗撮の余罪について、その正しい対応方法を解説しています。被害者と示談をし、捜査機関に不起訴相当を主張するには、弁護士のサポートが必須です。盗撮で余罪が疑われている方は、是非この記事を参考にしてみてください。

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盗撮の余罪が発覚するとどうなる?

盗撮事件の余罪が発覚するまでの流れ

盗撮事件は、逮捕されると盗撮に使用したカメラやスマートフォンなどが押収されます。その他、家宅捜索でパソコンや外付けハードディスクなどの機器も証拠品として押収されることがあり、それらは警察に解析されることになります。

捜査の結果、他の盗撮事件の動画や画像が見つかるケースは少なくありません。一度削除されているデータでも、警察により復元されることもあります。

こうして、盗撮の余罪が発覚すると、取り調べの中で追及を受けることになるでしょう。事案によっては、余罪についても立件され、別の事件として刑事処分の対象となることがあります。

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盗撮事件の余罪が立件される可能性は?

実は、実務上は、盗撮の余罪についても正式に立件し、新たに本格的な捜査をするということは多くありません。そのため、余罪については処罰されないことが多いです。

理由としては、過去の盗撮データについては、盗撮場所や被害者の特定が難しいこと挙げられます。また、実務上全ての盗撮データを捜査するとすれば大変な労力もかかり現実的でないことも理由の一つでしょう。そのうえ、仮に全ての余罪を詳細に捜査して起訴したとしても、ほとんどの場合裁判ではまとめられて1つの刑が科されるだけです。アメリカのようにすべての刑が合算されて懲役数百年になるようなことはありません。

そのため、警察や検察は、刑事手続きにかける事件を証拠が固く確実に犯罪を立証できるものに絞るのです。

もっとも、盗撮データが存在し、その日時や盗撮した事実が明らかで、被害者が誰であるか特定できる場合には余罪が立件される可能性も十分にあります。職場やマンションの居室など限られた範囲での盗撮であれば、特に余罪の立件も考慮しなければなりません。

被害者多数(余罪多数)の場合の取り扱いはどうなる?

余罪データから被害者が特定できた場合は、被害者に連絡され、被害届が出されることがあります。基本的には、立件できる証拠が十分に揃っている場合には、捜査の対象とされるでしょう。

もっとも、被害者が多人数にのぼる場合には、どこまで立件するかはある程度捜査機関の判断になります。被害者の特定が可能であったとしても、人数が多い場合には、全員に連絡が行き全員から被害届を出されるというケースはあまり多くはありません。

余罪が発覚したことで逮捕・勾留される可能性はある?

逮捕・勾留をするためには、逃亡や罪証隠滅のおそれがあることが必要です。一般論でいえば、余罪があることは逃亡や証拠隠滅のおそれを高める事情ですので、余罪が発覚したことで逮捕・勾留される可能性はあります。

もっとも、身体拘束は被疑者に与える不利益が大きすぎるため、盗撮などの比較的軽微な事案では、在宅捜査とする運用が増えています。

また、盗撮については余罪があることがほとんどですので、「余罪があるなら話は違う」ということにもなりにくいでしょう。

したがって、すでに警察の取り調べを受けて帰宅しているのであれば、押収物からさらに盗撮の画像が出てきたとしても、あまり逮捕されることはありません。

盗撮の余罪が発覚したとしても、在宅捜査のまま進むことが多く、逮捕・勾留のおそれは低いといえます。

余罪があると刑事処分は重くなる?

余罪が発覚したとしても、立件されなければ余罪について処罰を受けることはありません。

もっとも、余罪の存在が、今捜査を受けている事件の刑事処分や量刑に影響することはあります。

立件されたのが一件であっても、繰り返し盗撮を行っていたことがわかれば、起訴される可能性が高まる・罰金額が高めになるなど、処分が重くなる方向にはたらきます。余罪があることを理由にどの程度処分が重くなるかについては、余罪の件数や内容次第です。

ご自身のケースの処分見込みについて不安がある場合には弁護士とよく相談されることをおすすめします。

盗撮余罪の有無による刑事処分の違い

余罪あり余罪なし
起訴の可能性高くなる低い
刑事処分重くなる軽い

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盗撮の余罪データは警察に復元される?|デジタル機器の捜査

盗撮のデータはバレる前に消すべき?証拠隠滅したらマズい?

盗撮の余罪データは削除したとしてもある程度簡単にバレてしまうものだと思っておいてください。

また、多くの都道府県では、盗撮目的で通常衣服で隠された下着や身体にカメラを差し向ける行為自体が犯罪行為となっています。写真や動画が実際には撮れていなくても盗撮は成立し、盗撮のデータが見つかるかどうかは犯罪の成否に関係がありません。

盗撮画像があっても、余罪があっても、事件を認めている場合には、略式起訴で罰金刑という量刑相場に変わりはありません。

そのため、軽微な盗撮事件で盗撮データを削除するメリットはほとんどなく、むしろ証拠隠滅を図ったことが判明すれば、刑事処分において不利な事情にしかなりません。

とはいえ、データを削除した行為が決定的な事情となり刑事処分が大きく変わるということも通常はないでしょう。もしすでに削除をしてしまったのだとしても必要以上に心配せずに、犯行を認めている場合には捜査に協力的な姿勢を示すことです。

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削除した盗撮のデータはどこまで警察に復元される?

スマートフォンなどのデジタル機器については、削除の操作をしたとしても内部にはデータが残っており復元は可能です。データを完全削除するには、ある程度の専門知識や技術、専用機器がなければ困難です。

削除した画像や動画、検索履歴、メッセージアプリやSNSのトーク履歴、メールなどは警察に解析・復元されて簡単にバレてしまったということが良くあります。

デジタル機器の分析調査を行って証拠を得る手法を「デジタル・フォレンジック」といいます。全国の警察署や交番にも解析用の機器があるほか、必要に応じて専門の民間会社などの協力を得ながら捜査を行います。

参考:電磁的記録の解析(警察庁)

もっとも、どの程度まで復元できるのかといった具体的な警察の解析・復元の技術の程度については「わからない」というほかはありません。技術的には可能であったとしても、そこまでのコストや労力をかけるほどのケースではない、と警察が判断する可能性もあります。

セキュリティ技術の向上とデータ解析|スマホの解析は難しい?

iPhoneのデータを抜き出すのは難しいという話を聞いたことがあるかもしれません。数年前にはiPhoneのロック解除をめぐり、FBIがハッカーに約1億円を支払ったというニュースが話題になったこともありました。

確かに、セキュリティ技術の進歩に伴い、特にiPhoneをはじめとしたスマートフォンの解析については困難や課題が生じることがあるようです。

とはいえ、先述の通り捜査機関の解析技術の程度ははっきりとはわかりませんし、技術革新のスピードも著しい分野ですので、ある時の情報がその後も妥当するかもわかりません。

また、スマートフォンから直接データを抜き出すほかにも、携帯電話やSNS等の事業者に情報開示を求めて証拠を得ることもあります。ネットワーク上のサービスに画像が保存されているなど外部に情報が残っているケースであれば、そこからデータを押さえられてしまうことも考えられるでしょう。

ほかにも、バックアップ作成などでパソコンとスマートフォンを接続し同期したことがある場合、パソコンを通じてスマートフォンの解析ができるということもあるようです。

いずれにせよ、基本的には証拠を隠して抵抗するリスクをとるよりも、素直に捜査に協力した方が良いことが多いです。通常は、スマートフォンの任意提出を求められた際に、暗証番号も求められるか、ロック解除を要求されますので従ってよいでしょう。

スマホやPCが必要なので返して欲しい

スマートフォンやパソコンの返却については、警察の捜査次第ですが、1か月程度かかることもあります。返却時期については直接警察に問い合わせても良いでしょう。

ただし、証拠隠滅の防止の観点から預かっている部分もあるため、その点の不安が解消されていない限りは難しいかもしれません。

弁護士が還付請求をすることによって返ってくることもありますが、新たにスマートフォン等を契約して用意する方も多いです。

なお、デジタル機器が返却された後は、データを削除したり回線の解約をしても問題ありません。復元されたデータも含め必要なデータはすべて捜査機関に保存されています。

盗撮の余罪についての正しい対応方法

取り調べで余罪について聞かれた場合の対応

盗撮の取り調べでは余罪に言及されます。余罪データが復元されたことを告知されることもありますし、隠したまま証言を引き出そうとしてくることもあります。

どちらにせよ、自ら余罪について積極的に話す必要はありませんが、追及された場合には聞かれた範囲で供述する必要もでてくるでしょう。

取り調べで大切なことは、①言いたくないことは嘘をつかずに黙秘をすること、②自身の記憶通りに話し、曖昧なことは取調官の誘導にのらないこと、③調書に署名押印する前に内容をしっかり確認することの3点です。

もっとも、盗撮は被害者不明のままでも立件されることはありますし、被害届が後日出される可能性も十分あります。

特に、余罪の立件可能性に関わる内容については、どう受け答えをするべきかの判断はきわめて重要です。盗撮場所や被害者など、余罪についてどこまで話すべきかということは、弁護士とよく打ち合わせておくことをおすすめします。

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盗撮事件の解決は被害者との示談が必須

盗撮事件の解決には、弁護士を通じて被害者と示談することが何より重要です。

たとえ多数の余罪があったとしても、立件されたのが本件だけであれば本件の被害者と示談することができれば不起訴になる可能性が高まります。

一方、余罪も立件された場合には、立件された事件すべての被害者とそれぞれ示談をしなければなりません。ある程度、余罪の捜査が進んでいる場合には、検察官の心証を確認するなど刑事処分の見通しを考えて弁護活動をする必要がでてきます。

被害者が特定され立件が見込まれるようなケースでは、すぐに被害者対応を行い、当事者間で解決しておくことで、余罪が立件されずに済むことも考えられます。すでに立件されてしまったとしても、示談することで不起訴の可能性を高めることができるでしょう。

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盗撮の余罪は早めに弁護士に相談する

盗撮事件で余罪がある場合、捜査機関が把握しているしていないにかかわらず、すぐに弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士は具体的な事案の内容を確認し、適切な処分の見込みや取り調べへの対応方法を伝えることができます。盗撮の余罪について強い不安がある場合、弁護士に相談するだけで不安の大部分が解消されるということも少なくありません。

また事案によっては、余罪についても示談などの被害者対応を検討した方が良いこともあります。示談をするには、被害者の都合に合わせた動きが必要です。刑事手続きの進行状況をふまえ、少しでも時間的な余裕をもって被害者対応を進めておく必要があり、早めの弁護士相談が重要になります。

余罪については、判断が難しい問題でもあるため弁護士と相談して方針をたてなければなりません。盗撮の余罪があるという場合に逮捕回避、不起訴獲得を目指すためには、刑事事件の経験が豊富な弁護士と打合せを重ね、警察、検察官、被害者への対応を適切に行うことがカギとなります。

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