2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
大麻の栽培は、発覚すればほぼ確実に逮捕されます。営利目的の有無や栽培の量にかかわらず逮捕されてしまう可能性が高く、逮捕されたら長期間の拘束と重い刑罰が科せられるケースが多いです。
「自宅から大麻の匂いが漏れて通報された」「ビニールハウスで大麻を育てていたら通報された」
このようなかたちで大麻の栽培が発覚し、逮捕を心配されている方は少なくありません。
この記事では、大麻の栽培で逮捕を心配している方に向けて、大麻を栽培する行為の法定刑、実刑になるか、実際の量刑相場はどれくらいかといった疑問に答えています。
また、大麻栽培で逮捕されるきっかけとなるものや大麻所持といった他罪との関係も解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
大麻を栽培したら何罪になる?法定刑と実際の量刑相場
大麻の栽培とは?
大麻の栽培とは、大麻の種子を蒔いてから大麻を収穫するまでの一連の行為をいいます。
大麻の種子を蒔いた時点で、大麻栽培の罪が既遂となるため、実際には大麻を収穫しなくても犯罪が成立してしまうのです。観賞用のために大麻を栽培した場合でも、罪に問われた判例があります。
大麻を栽培する行為の法定刑は10年以下の拘禁刑
大麻を栽培する行為は、大麻草の栽培の規制に関する法律(旧大麻取締法)で規制されています。
大麻栽培の法定刑は、「1年以上10年以下の拘禁刑」(同法24条1項)です。
第24条 大麻草をみだりに栽培した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
大麻草の栽培の規制に関する法律
法改正前の栽培の量刑は「7年以下の懲役」であったため、法改正によって大麻の栽培の罰則が強化されたことになります。
大麻の使用や所持の法定刑は「1か月以上7年以下の拘禁刑」(麻薬及び向精神薬取締法66条第1項、66条の2第1項)であるため、比較しても栽培には重い刑が定められています。
大麻を栽培する行為に重い法定刑が定められている理由は、所持以上に大麻の流通を促進する危険性があるからです。
なお、営利目的がある場合、使用・所持・栽培ともに法定刑が加重されます。
大麻の刑罰(2024年12月12日~)
| 行為 | 罰則 |
|---|---|
| 栽培・輸出入 | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
| 営利目的の栽培・輸出入 | 1年以上20年以下の拘禁刑 (または) 1年以上20年以下の拘禁刑および500万円以下の罰金 |
| 使用・所持・譲渡・譲受 | 1か月以上7年以下の拘禁刑 |
| 営利目的の使用・所持・譲渡・譲受 | 1年以上10年以下の拘禁刑 (または) 1年以上10年以下の拘禁刑および300万円以下の罰金 |
改正前と比較すると、期間が長くなっていることがわかります。

大麻の刑罰について詳しく知りたい方は、『大麻の刑罰|執行猶予の可能性と刑罰を軽くするためにできること』の記事をご覧ください。
大麻の栽培で逮捕されたら初犯でも実刑になる?実際の量刑相場
大麻の栽培は、発覚すればほぼ確実に逮捕されます。
初犯でも起訴されてしまうと、実刑になる可能性があります。特に自分で使う目的で栽培するのではなく、営利目的で栽培すると実刑になることがほとんどです。
もっとも、執行猶予付きの判決が言い渡されれば実刑を回避でき、すぐさま刑務所に入れられることはありません。
ただし、執行猶予がつくためには、言い渡される刑が「3年以下の拘禁刑」である必要があります。
大麻栽培の罪は法定刑が「10年以下の拘禁刑」であるため、執行猶予がつく可能性は事案の内容によって判断が分かれるところでしょう。
とはいえ、営利目的がなく初犯で栽培の量も少なければ、懲役2〜3年、執行猶予3〜4年というのが量刑の相場であるため、実刑を回避できる可能性はあります。
一方、大麻栽培が営利目的でなされていた場合、初犯であっても執行猶予がつかず実刑になることがほとんどといってよいでしょう。
営利目的の有無は、主に大麻栽培の量など客観的な証拠から認定されます。営利目的の大麻栽培なら、懲役5年と罰金約200万円の併科が相場になります。
営利目的の大麻栽培で逮捕されてしまうと、長期間刑務所での生活が余儀なくされるおそれがあるということです。
※なお、これらは法改正前(2025年6月の拘禁刑導入前)に言い渡された判決に基づく量刑相場です。2025年6月以降に言い渡される刑は「拘禁刑」になります。
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大麻の栽培で逮捕されるきっかけと逮捕後の流れ
大麻の栽培で逮捕されるきっかけ
大麻栽培で逮捕されるきっかけとして一番多いパターンは、栽培された大麻を購入した者が逮捕され、入手ルートの捜査から栽培者が特定される場合です。
大麻栽培などの薬物事件は、被害者が存在せず密行性の高い犯罪です。そのため、捜査機関は大麻購入者を逮捕した場合、必ず大麻の入手先を捜査します。
購入者とのスマホ等でのやり取り履歴から、大麻栽培者が特定され芋づる式に逮捕されることも少なくありません。
また、自身で使用するために栽培している場合でも、大麻の所持で現行犯逮捕され、その後の家宅捜索で大麻の栽培が見つかり再逮捕されるケースもあります。
ほかにも、大麻草を見かけた近所の人からの通報や、大麻草の栽培中に生じる特有の匂いから、大麻栽培が発覚し逮捕に至るケースもあります。
いずれにせよ、大麻の栽培は証拠隠滅のおそれがあると判断されやすいことから、捜査の必要上、逮捕されることになるでしょう。
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大麻の栽培で逮捕されたあとの流れ
大麻栽培で逮捕されれば、警察の取り調べを経て48時間以内に事件と被疑者の身柄が検察に送られることになります。
検察官は被疑者の身柄を受け取ったら、24時間以内に被疑者を勾留する必要があるか判断しなければなりません。検察官が勾留請求し、裁判所がこれを認めれば被疑者は勾留されます。
勾留とは逮捕に続き行われる身柄拘束です。勾留の期間は、最大で20日間に及びます。この間に検察官は被疑者の起訴・不起訴を決めるのです。
検察官に起訴されると、被疑者勾留から被告人勾留に切り替わります。被告人勾留は、保釈が認められない限り、通常、裁判が終わるまで続きます。

大麻の栽培などの薬物犯罪は逮捕後も長く拘束される
大麻栽培などの薬物犯罪は、売人や客との口裏合わせや、薬物自体を破棄するなど、証拠隠滅のおそれが高いです。そのため、薬物犯罪で逮捕された場合、ほとんど勾留されると考えて間違いありません。
令和7年版犯罪白書によると、令和6年における大麻事件の勾留請求率は約98.0%、勾留認容率は約97.8%です(令和7年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節)。
また、押収した物の鑑定に時間がかかるため、勾留期間も長くなってしまうでしょう。勾留中は、証拠隠滅のおそれから接見禁止が出されることも珍しくありません。
接見禁止が出されると、たとえ家族であっても被疑者と面会ができなくなります。弁護士だけが接見禁止中でも接見できるため、なるべく早く相談しましょう。
大麻栽培は他の犯罪でも逮捕される可能性がある
大麻栽培とは別に大麻所持でも逮捕される
大麻の栽培で逮捕された後に、大麻を所持しているとして大麻所持でも逮捕されることがあります。
大麻栽培と大麻所持の罪はそれぞれ成立し、併合罪(刑法45条前段)となるのです。併合罪となれば、刑の長期が罪の重い方の1.5倍(刑法47条)となります。
つまり、大麻栽培と大麻所持であれば、重い方の罪である大麻栽培(10年以下の拘禁刑)が1.5倍され、15年以下の拘禁刑となります。
実際は、大麻の所持で逮捕されたあと、家宅捜索を受けるなどして、大麻の栽培が見つかり再逮捕されるケースが多いです。
大麻種子の購入|大麻栽培の予備罪で逮捕される
大麻種子を購入しただけでも、大麻栽培の予備罪で逮捕される可能性があります。
大麻種子は「大麻」の定義にはあたりません(大麻草の栽培の規制に関する法律2条2項)。そのため、大麻種子を所持しても、大麻所持で罰することはできません。
しかし、大麻種子を購入する行為は、通常、大麻種子を蒔いて大麻を栽培する準備行為とみなされます。
つまり、大麻種子の購入は、大麻栽培の予備罪(同法24条の3)として規制され、「5年以下の拘禁刑」が科せられます。
大麻栽培の予備罪で検挙されることは実際には少ないといえます。しかし、大麻種子を販売した者から、購入者が特定され検挙にいたるケースも考えられるでしょう。
なお、実際に大麻を蒔いた場合(大麻栽培の実行に着手した場合)、大麻栽培の罪だけが成立し、大麻栽培の予備罪はこれに吸収されることになります。
大麻種子の販売|大麻栽培の幇助で逮捕される
大麻種子を販売すると、大麻栽培の幇助犯で逮捕される可能性があります。
幇助(刑法62条1項)とは正犯の行為を物理的・心理的に容易にする行為のことです。
購入者が、大麻種子を蒔いて大麻を栽培するということを知りながら、大麻種子を販売する行為は、大麻栽培の幇助といえます。
営利目的でない大麻栽培の幇助が成立した場合、正犯の法定刑(10年以下の拘禁刑)が減軽され、販売者には「5年以下の拘禁刑」が科せられます。
なお、購入者が大麻種子を蒔いていない段階だと、購入者には大麻栽培の予備罪が成立するに留まりますが、販売者は大麻栽培の予備罪の幇助犯とはなりません。
この場合、大麻栽培の資金等提供罪(同法24条の4)が成立し、予備罪の幇助よりも重く処罰されます。法定刑は「5年以下の拘禁刑」です。
大麻の栽培で逮捕後に弁護士ができること
逮捕前に相談することで得られるメリット
大麻栽培の発覚を心配している段階、つまりまだ逮捕されていない段階でも、弁護士に相談する意味はあります。
弁護士に早期に相談することで、取り調べへの対応方法をあらかじめ確認できるほか、状況によっては逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを捜査機関に示し、逮捕を回避できる可能性が高まります。
すでに家宅捜索を受けている、警察から任意の呼び出しを受けているといった状況であれば、なおさら早期の相談が重要です。
逮捕後に弁護士ができること
大麻の栽培で逮捕されてしまった場合、弁護士であれば、反省の意思や再犯防止の対策を練るなどして検察官に寛大な処分を求めることができます。
起訴猶予による不起訴処分となれば、前科がつくこともありません。
薬物事件は直接的な被害者が存在しないため、被害者と示談し、不起訴処分を目指すといった弁護活動はできない、という特徴があります。
また、大麻の栽培で逮捕されると証拠を押さえられるため、嫌疑なし・嫌疑不十分での不起訴処分は考えにくいという点にも留意せねばなりません。
検察官に対して効果的な主張を行うためには、刑事事件、とりわけ大麻事件に詳しい弁護士への相談を検討してください。
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・大麻事件でかかる弁護士費用の相場|大麻で逮捕されたら弁護士へ
家族にできること
ご家族が大麻栽培の疑いで逮捕された場合、ご本人と直接連絡を取ることができず、不安な時間を過ごすことになりがちです。
逮捕直後は、家族であっても本人と面会できない期間が生じることがありますが、弁護士であれば逮捕直後から接見(面会)が可能です。
まずは弁護士に相談し、本人の状況を確認してもらうことが、家族にとって最初にできる有効な対応といえます。
大麻栽培の逮捕に関するよくある質問
Q.大麻栽培で逮捕されると会社や学校に知られる?
逮捕されただけで直ちに会社や学校に知られるわけではありません。ただし、勾留が長期化した場合や、実名で報道された場合には、結果的に発覚するケースがあります。
また、未成年や学生の場合は「学校・警察連絡制度」に基づき、警察から学校へ連絡・情報共有がなされる可能性もあります。
解雇や退学の可否は就業規則や校則の内容によって異なるため、早期に弁護士へ相談し、対応方針を検討することが重要です。
Q.家族による大麻栽培を知らなかった場合、家族も罪に問われる?
家族が大麻栽培の事実を全く知らなかった場合、共犯(共同正犯や幇助)が成立することは基本的にありません。
ただし、栽培に気付いていながら黙認していた、資金や場所を提供していたといった事情がある場合は、関与の程度によって幇助等が問題になる可能性があります。
Q.大麻栽培の罪に時効はある?
大麻栽培の罪の公訴時効は7年です(刑事訴訟法250条2項)。ただし、営利目的の大麻栽培など、より重い法定刑が定められている場合は時効期間が異なることがあります。
時効の成立には犯罪行為が終わった時点からの期間計算など、専門的な判断が必要なため、個別の状況については弁護士に確認することをおすすめします。
Q.大麻栽培の疑いをかけられて、証拠が不十分でも逮捕される?
逮捕には、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由(嫌疑)に加えて、逃亡または証拠隠滅のおそれがあると判断されることが必要です。
証拠が固まっていない段階でも、これらの要件を満たすと判断されれば逮捕されることはあります。
身に覚えがない場合や証拠が不十分だと考えられる場合こそ、早期に弁護士に相談し、取り調べへの対応を含めて助言を受けることが重要です。
大麻栽培で逮捕される不安への対処まとめ
大麻の栽培は、営利目的の有無や栽培の量にかかわらず、発覚すればほぼ確実に逮捕される犯罪です。
法定刑は「1年以上10年以下の拘禁刑」(営利目的の場合はさらに重い)と定められており、初犯であっても実刑になる可能性があります。
また、大麻栽培の罪だけでなく、大麻所持や予備罪・幇助犯として犯罪に問われるケースもあるため、注意が必要です。
大麻栽培の疑いをかけられている段階、あるいはすでに逮捕・勾留されてしまった段階のいずれであっても、弁護士に早期に相談することで、逮捕の回避や、不起訴・執行猶予の獲得に向けた適切な対応が可能になります。
ご本人はもちろん、ご家族だけで抱え込まず、できるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。
アトムの解決事例(大麻栽培)
ここでは、過去アトム法律事務所の弁護士が実際に解決した大麻栽培の事例をいくつかご紹介します。
自宅で大量の大麻を栽培・所持していた事例
依頼者の息子が、自宅で大麻を栽培・所持していたとして逮捕されたケース。栽培中の大麻草24本のほか、収穫済みのものを含め50グラム以上を所持しており、いずれも自己使用目的だった。
弁護活動の成果
保釈を実現したうえで薬物依存からの脱却に向けた通院や具体的な更生計画を整え、深い反省とあわせて執行猶予の相当性を主張・立証を尽くしたところ、懲役3年・執行猶予4年の判決となった。
営利目的で大麻を栽培・所持した事例
依頼者の交際相手が、共犯者と共謀し営利目的で大麻草63株を栽培し、乾燥大麻約389.5gを所持していたとして大麻取締法違反の容疑で逮捕されたケース。前科前歴はなかった。
弁護活動の成果
保釈を実現したうえで、前科前歴がないことや深い反省、家族による監督が期待できることなど執行猶予の相当性を主張・立証を尽くしたところ、懲役3年・罰金50万円・執行猶予5年の判決となった。
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